福島原発MOX燃料の疑惑と行き場のない使用済み燃料で公開質問状

東京電力は、6月19日、福島県と県議会に対し、福島第一原発3号機でのプルサーマル計画について議論再開を要請した。東京電力は、福島第一原発3号機でのプルサーマル実施の息を吹き返したいらしい。東京電力は、なぜプルサーマルをやりたいのか?

軽水炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃焼させるプルサーマルは原子炉の安全余裕を減らし、その危険性は払拭されていない。
1999年に搬入された福島第一原発3号機用MOX燃料は、そもそも品質保証の不十分で、すでに10年も貯蔵して核崩壊が進み、燃料及び原子炉内での燃焼の健全性も確認されていない有様だ。
それ輪をかけて問題なのは、使用済みMOX燃料の処理方策が決まっていないことだ。使用済みMOX燃料を原発から搬出する前提となっている高速増殖炉商業炉も第2再処理工場の建設も検討すらできない現状なのだ。一旦プルサーマルを認めれば、行き場のない使用済みMOX燃料は地元に残され、地元は「核のごみ捨て場」になる。

脱原発福島ネットワークなど6団体は、7月22日、東京電力福島第二原発で、清水正孝社長に対して、MOX燃料の疑惑及び使用済みMOX燃料の処理方策などについて、明解に県民に説明するよう求め、「福島第一原発3号機用MOX燃料の疑惑解明と使用済みMOX燃料問題についての公開質問状」を提出した。

以下は、公開質問状の内容。

 


1、福島第一原発3号機用MOX燃料の品質保証上の疑惑は解明されたのか。
①福島第一原発3号機用コジェマ社製MOX燃料の製造確認試験は、「実際の部材」にMOX粉末ではなく、ウラン粉末を用いていたのではないか。
②プルトニウム均一度に関する「技術的能力の評価」について、コジェマ社メロックス工場においてPWR用燃料の製造実績をペーパー確認しただけではないか。
③コジェマ社メロックス工場の製造確認試験は、品質保証上疑義をもたれるのではないか。

2、製造後10年以上貯蔵している福島第一原発3号機用MOX燃料は劣化していないのか。
①製造後10年以上貯蔵している福島第一原発3号機用コジェマ社製MOX燃料のプルトニウムの同位体組成はどのように変化あるいは劣化しているか。
②製造後10年以上貯蔵している福島第一原発3号機用MOX燃料は使用すべきではないのではないか。

3、プルサーマルの危険性はなくなったのか。
①プルサーマルは、制御棒の効きが低下し出力変化が急激になるなど、原子炉の安全余裕を減らすのではないか。
②炉の構造を変えず、富化度を高くしてプルトニウム含有率が高く燃焼度も高い日本のプルサーマルの危険性は、安全側に改善されたのか。
③プルサーマルは世界の少数派で、英はやらず仏も現行再処理工場継続の間で、沸騰水型軽水炉で現在もMOX燃料を使用しているのは、独のグンドレミンゲン原発のみではないか。

4、使用済みMOX燃料の処理方策は決まっていないのではないか。
①国の「原子力政策大綱」は、使用済みMOX燃料の処理方策について、「2010年ごろから検討を開始」とし、2007年4月の日本原子力研究開発機構等の五者協議会で、2007年度末まで「中間成果報告」、2008年度末まで「最終成果報告」を予定していたがいずれも報告されず、「2010年ごろから検討を開始」することはできないのではないか。
②「検討の開始」は、「六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況」等を踏まえて行うことになっているが、使用済みMOX燃料の処理方策が検討できない現状を、立地町や福島県には、どう説明しているのか。

5、使用済みMOX燃料搬出の前提である高速増殖炉商業炉と第2再処理工場はできるのか。
①原子力立国計画では「プルサーマル使用済燃料はFBR用に貯蔵する」と明記されている。2007年12月の五者協議会報告でも、使用済MOX燃料は第2再処理工場に運ぶとされ、第2再処理工場は軽水炉サイクルと高速増殖炉サイクルが併存する移行期に位置づけられている。要は、使用済MOX燃料の搬出は、高速増殖炉商業炉の建設が前提となって初めて可能になる。しかし、原型炉「もんじゅ」の運転再開の目処さえ立っていないのが現実で、商業化の予定は当初の計画より既に80年遅れているが、建設はできるのか。
②第2再処理工場は、高速増殖炉の炉心燃料を再処理する高速増殖炉のための再処理工場だが、再処理工場さえ稼働できず高速増殖炉商業炉のめどが立っていないのに、第2再処理工場の建設を「2010年検討開始」できると断言できるのか。
③処分の方法が定かでない使用済燃料はつくらないという、原子炉等規制法第23条第2項の規定の目的からすれば、「再処理の委託先」が存在することが不可欠な前提になっているのではないか。
④使用済みMOX燃料の処理方策も決まらず、高速増殖炉商業炉の建設も第2再処理工場の建設の検討すらできない現状では、プルサーマル実施の緊急性は全くないのではないか。

6、福島第一原発3号機用MOX燃料の使用済みMOX燃料は地元に残るのではないか。
①2009年1月北海道議会において資源エネルギー庁は、使用済MOX燃料を「貯蔵する場所は発電所です」と答えているが、使用済みMOX燃料は福島第一原発3号機の燃料プールの中に保管貯蔵し続けるのか。
②使用済燃料プールでの「一定期間」の冷却とは,どのくらいの期間をいうのか。
③水冷保管期間が過ぎた場合は、どこにどのように貯蔵あるいは処分するのか。

7、福島第一原発3号機のプルサーマルは原子炉等規制法第23条第2項に違反しないのか。
①「再処理の委託先」が存在しない以上、福島第一原発3号機でプルサーマルを実施し処分の方法が定かでない使用済MOX燃料をつくることは、原子炉等規制法第23条第2項の「使用済燃料の処分の方法」の記載義務規定に違反するのではないか。
②6月16日、国会議員21名が「使用済MOX燃料の処理が明らかになるまで、MOX装荷を延期するよう求める意見書」を経済産業大臣に提出したことをどう認識しているか。
以上
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by kazu1206k | 2009-07-23 07:14 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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