「夢のみずうみ村」(山口市)のデイサービスを視察した。従来のデイサービスとは、ひと味違っている。バリアフリーではなく「バリアアリー」だ。
利用案内によれば、「夢のみずうみ村のデイサービスは、『宅配ビリテーション』と呼ばれます。夢のみずうみ村の全てのプログラムは、生活する能力を磨き、生きるエネルギーをひき出す目標をめざして行います。ご自分でやりたいことをお選びいただき、お好きなだけやって頂いて元気になっていただきます。この村で『体験したこと』『できたこと』をご自宅で実際に実行していただきます。」とある。
普通のデイサービス施設と違って、緊張を生まないように自分の家のような、雰囲気である。家庭の家具がおいてあり、それを通所者が利用している。要するに施設施設しておらず、雑然として、しかも暮らしのエネルギッシュな面が生かされている。「家庭仕様」なのだ。
朝、送迎バスで来所した利用者は200以上のプログラムから各々、好きなメニューを選びホワイトボードに札を貼る。それが1日の開始だ。
パン作り、料理教室、昼寝、陶芸、ちぎり絵、ポパイ、カラオケ、パソコンなど多彩なメニューから、その日のスケジュールを自分で決める。麻雀をする人たちも、水泳をする人たちもいる。
講師も、料理教室では障がいを持った料理上手な人が、務めている。わたしたちのガイドさんも障がいを持った方だった。そうしたボランティアをすると、報酬が村の通貨「ユーメ」で支払われる。麻雀も「ユーメ」をかける。貯まった「ユーメ」で村のものが買えるという訳だ。
施設は、家庭仕様だから、当然階段も段差もある。昼食はバイキング形式でマイ茶碗、マイ箸が常備されている。食後の後片付けも自分でやるという。
夢のみずうみ村の「自己選択と自己決定」は、人が人として生きる基本を教えてくれる。日常生活を、みんな活き活きして営む。介護へのかかわりは、何かをしてあげることではないんだな、と思い知らされた。