安全審査の想定期限切れMOX燃料で県に要請

脱原発福島ネットワークなど県内外の44の市民団体は連名で、東京電力福島第1原発3号機でのプルサーマル受け入れ3条件と、11年間貯蔵して安全審査の想定期限が切れているMOX燃料の装荷を認めないことについて、佐藤雄平福島県知事に14日要望書を提出した。

要望書は、代表11名によって、福島県生活環境部の荒竹次長に手渡された。
要望を受けた荒竹次長は、「MOX燃料の安全性が担保されていないこと、第1原発3号機の老朽化と耐震安全性の確認、使用済み燃料の搬出と核廃棄物の最終処分場の拒否という3点の要望と理解した」「国と事業者に3条件の検証を申し入れた。国には、使用済み燃料の搬出と核廃棄物の最終処分場の拒否を知事が直接申し入れている。今後の取り組みとしては、技術連絡会で3条件の検証を厳密にやっていきたい」「装荷時期をよくきかれるが、検証作業の終期を決めている訳ではない」「皆さんの意見を受け止めて検証作業を進めていきたい」などと話した。

要望書は以下の通り。

●要 望 書

(東京電力福島第1原発3号機のプルサーマル受け入れ3条件と安全審査の想定期限切れMOX燃料の装荷を認めないことについて)

(要旨)
1、福島県は、運転34年を迎える老朽炉・福島第一原発3号機において、装荷遅れ11年となり安全審査の想定を超えた期限切れMOX燃料を装荷しないよう国と事業者に求めること。

2、福島県は、搬入後10年以上貯蔵しているベルゴニュークリア社製MOX燃料の安全性について、その製造過程と品質保証、装荷時における同位体組成・放射能総量・放射線の線量当量・核特性と反応度の変化・高濃度ウラン燃料との炉心構成・原子炉のふるまいと安全裕度、装荷遅れ11年による影響評価等の情報公開を国と事業者に求め、原資料を検証して安全性を確認すること。

3、福島県は、福島第一原発3号機の耐震安全性について、2006年の福島第一原発3号機高経年化対策報告書の耐震安全性評価が旧指針による評価であることから、国・事業者に対して、新指針に対応した福島第1原発3号機の耐震安全性評価の実施を求め、新潟県中越沖地震及び駿河湾の地震等最新の知見に基づき、専門家の意見を聴きながら、その耐震安全性評価結果を検証すること。また、原子力安全・保安院、原子力安全委員会が福島第一原発3号機での地盤、基準地震動の評価を行わない限り、プルサーマル受け入れの技術的要件を満たさないとの立場を堅持すること。

4、福島県は、福島第一原発3号機の老朽化対策について、装荷遅れ11年による影響評価および1998年のプルサーマル許可以降の高燃焼度ウラン燃料の導入、健全性評価の導入、制御棒の材質変更、連続運転期間の延長の動向など原子炉の運転条件の変化を踏まえた安全審査のやり直しを国と事業者に求め、原資料を検証して安全性を確認すること。

5、福島県は、福島県エネルギー政策検討会「中間とりまとめ」における問題点と提言のうち、安全規制機関としての原子力安全・保安院の推進機関である経済産業省からの分離ばかりでなく、立地地域住民への配慮、国民的議論の必要性、政策決定への国民参加などの提言の実現とともに、MOX燃料を含む使用済み核燃料の早期搬出を、国と事業者に強く求めること。

6、福島県は、福島県エネルギー政策検討会「中間とりまとめ」に関するこれまでの検証結果とプルサーマル受け入れ3条件について、県民に説明し、県民の声を聞く機会を設けること。


(理由)
 日頃より原子力安全行政の発展のためにご尽力を賜り敬意を表します。
 さて、1月の東京電力の福島第一原発3号機でのプルサーマル計画の実施の申し入れを受けて、貴職が2月県議会で、福島第一原発3号機でのプルサーマルについて、「耐震安全性、高経年化対策、貯蔵MOX燃料の健全性の確認」という「3条件を満たすことを必要不可欠な条件として、受け入れる」と表明しました。
 しかし、軽水炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃焼させるプルサーマルは原子炉の安全余裕を減らし、その危険性は払拭されていません。

1、搬入後10年以上貯蔵しているベルゴニュークリア社製MOX燃料の安全性について

 1999年に搬入され、製造後11年4ヶ月間貯蔵している福島第一原発3号機用ベルゴニュークリア社製MOX燃料は、もともと品質保証の不十分な燃料であり、再処理からおよそ13〜14年が経過して核壊変が進み、プルトニウム組成が変化し、核特性の変化、原子炉内の核反応度の低下と、安全性の確保が担保されておりません。
 東京電力は、貯蔵プール内のMOX燃料の目視検査を実施していますが、プルトニウム組成をはじめ核的な健全性評価と炉心の安全解析を改めて明らかにしなければ健全性評価となり得ず、名ばかりの検査で、県民の安全・安心をないがしろにするものです。
 翻って、搬入時における、福島第一原発3号機用MOX燃料の安全審査は、
1、プルトニウムの組成変動の検討条件は、再処理後2年として審査
2、MOX燃料の装荷遅れについての影響評価は、装荷炉心で5年までの装荷遅れについて評価
 となっています。
 しかし、現時点で、貯蔵MOX燃料は、再処理後13年以上も経過し、搬入後も11年の装荷遅れとなっており、安全審査の想定を超えています。東京電力は、ウラン燃料でも審査後10年以上経過して使用した例はないとしています。10年以上貯蔵しているMOX燃料は、安全審査の範囲を超え、安全が確認できない「無効」状態です。安全が担保されない以上、装荷すべきではありません。県民の安全・安心を犠牲にして、安全審査想定外の燃料を装荷し使用すべきでないことは明白です。
 またご承知の通り、東京電力は、地元自治体・福島県・福島県民に説明もなく、第2バッチ分のMOX燃料集合体32体をフランスのコジェマ社メロックス工場に発注し、平成12〜13年に製造されました。ところが、同工場のMOX燃料に品質問題が発生し、昨年、関西電力では、同工場で加工されたMOX燃料を大量に廃棄しました。
 このため、わたしたちは、東京電力に対して、製造後10年が経過するコジェマ社メロックス工場製MOX燃料の品質保証を確認する性状検査項目の公開を求めたところ、東京電力はこれを拒否しました。このことから、不正事件を起こした東京電力の企業体質が根本的に変化していないことは明白であり、製造後10年が経過するコジェマ社メロックス工場製MOX燃料の品質保証も、全く担保されておりません。

2、福島第一原発3号機の耐震安全性と老朽化対策について

 福島第一原発3号機は、運転開始以来34年を迎える老朽炉であり、トラブルも多いプラントで、プラント自体の健全性評価が必要です。老朽炉でのMOX燃料使用による予測や対応技術は実証確認されておらず、まさに、福島第一原発3号機が実験台です。
 国が1998年に福島第一原発3号機でのプルサーマルを許可して以降、高燃焼度ウラン燃料の導入、健全性評価の導入、制御棒の材質変更などが行われ、事業者は2014年からの連続運転期間の延長に向けた取り組みも始めています。さらに隣県のBWRでは熱出力の5%上昇運転も計画されています。このことは、福島第一原発3号機のプルサーマルの安全審査には反映されておりません。これらの炉の運転条件の変化を踏まえた安全審査のやり直しも必要です。
 また、2006年の福島第一原発3号機高経年化対策報告書の耐震安全性評価は、対象機器について、旧指針による基準地震動S1、S2(270ガルおよび370ガル)により評価されています。しかし、この報告書の後に耐震設計審査指針の改訂があり、基準地震動はSs(450ガルおよび600ガル)とされ、新指針に対応した新しい基準地震動による耐震安全性評価をしておらず、高経年化報告書の耐震安全性評価は陳腐化しています。
 国と東京電力は、福島第一原発5号機と同第二原発4号機について、国の新耐震指針による耐震安全性の中間報告をまとめましたが、福島第一原発3号機は実施していません。中越沖地震における柏崎刈羽原発の各号機および静岡地震における浜岡原発の各号機の基準地震動の実測値、ならびに中越沖地震における各号機のはぎとり波の算出値は、同じ敷地内の原子炉であっても地盤が大きく異なることを示しています。福島第一原発5号機の地盤と基準地震動をそのまま福島第一原発3号機に当てはめることは「新たな知の取り入れ」を謳った現行の国の耐震安全設計指針の考え方に反します。双葉断層の正当な評価の上で、新指針に対応した新しい基準地震動による耐震安全性評価が必要です。

3、使用済みMOX燃料について

 そもそも、プルサーマルの前提となる我が国の核燃料サイクル計画は、六ヶ所村再処理工場の溶融炉の欠陥により完全に行き詰まっています。使用済みMOX燃料は処理方策も決まらず、高速増殖炉商業炉の建設も第2再処理工場の建設の検討すらできない現状で、プルサーマルを実施すれば、行き場のない使用済みMOX燃料は発電所内に残され、福島県は「核のごみ捨て場」になります。
 原子力政策について、国の関係各機関は、依然として、国民的議論を行わず、原子力発電所の安全確保を願う福島県民と福島県の声を反映したものとはなっていません。福島県エネルギー政策検討会「中間とりまとめ」における問題点と提言のうち、安全規制機関としての原子力・安全保安院の推進機関である経済産業省からの分離ばかりでなく、バックエンド対策、高レベル廃棄物処分の実現見通し、核燃料サイクルの経済性、高速増殖炉の実現可能性、使用済MOX燃料の処理などの問題点、および立地地域住民への配慮、徹底した情報公開、国民的議論の必要性、政策決定への国民参加などの提言について、国・事業者に実現を強く求めることが必要です。
 3月29日、貴職が国に対し「プルサーマル実施により発生する使用済MOX燃料については、原子力発電所から確実に搬出するとともに、福島県において、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の設置は行わないこと」を要望した点を評価するものですが、福島県がこれまで使用済み燃料の搬出について煮え湯を呑まされた経緯からすれば、使用済みMOX燃料を速やかに搬出する見通しがない以上、プルサーマルを受け入れるべきではありません。速やかな搬出の確認が先でありあます。
 2011年中に福島第一原発の使用済み燃料の貯蔵容量が限界に達するとされています。今後、原発敷地内の共用プールの新設計画や乾式貯蔵施設の新増設などの提案が予想される中で、むしろ、福島県は、東京電力が輸送容器内への貯蔵など「生活の知恵」(勝俣前社長)と称する脱法行為が行われないよう、安全協定に基づく立ち入り調査を行う等の監視を強めるとともに、使用済み燃料搬出へのとりくみを国と事業者に強く求めていくべきです。
 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分場にたいする拒否の姿勢を盤石のものとするため、全国各地の自治体で制定されている放射性廃棄物処分地立地「お断り条例」を県条例として制定することも視野に入れて対応すべきです。

 貴職は「原子力安全・保安院の経済産業省からの分離」「プルサーマル導入は慎重に対処」と選挙において県民に公約しました。任期末を迎え、政治家の公約は重く、ひとたび破約となれば県民の政治不信の原因と化すのは明らかです。
 この際、わたしたちは、福島県民の安全・安心を最優先する立場から、福島第一原発3号機でのプレサーマルを受け入れないことを改めて求め、貴職が、東京電力福島第1原発3号機でのプルサーマル受け入れ3条件を厳密に検証し、安全審査想定外の期限切れMOX燃料の装荷を認めないことを強く求めるものです。

<要望団体>
脱原発福島ネットワーク(福島県) 
ストップ!プルトニウム・キャンペーン(福島県)  
脱原発ネットワーク・会津(福島県)  
チェルノブイリ子ども基金・会津 (福島県)  
とめようプルサーマル!三春ネット(福島県) 
福島原発30キロ圏ひとの会(福島県) 
双葉地方原発反対同盟(福島県) 
ふくしまWAWAWAー環・話・和ーの会(福島県)
みどりの未来・ふくしま(福島県)
郡山の未来をつくる会 (福島県)
真珠の会(福島県)
NPO百笑屋敷(福島県)
銀河のほとり (福島県) 
里山喫茶 燦 (福島県)
みやぎ脱原発・風の会(宮城県)    
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)(宮城県)
水俣病に学び放射能から海空大地を守る会(宮城県)
みどりと反プルサーマル新潟県連絡会(新潟県)
刈羽村・命を守る女性の会(新潟県)
東京電力と共に脱原発をめざす会(埼玉県) 
福島老朽原発を考える会(東京都)
空と海の放射能汚染を心配する市民の会(東京都)
ストップ・ザ・もんじゅ東京(東京都) 
原発・核燃とめようかい(東京都) 
劣化ウラン研究会(東京都)
たんぽぽ舎(東京都)
核開発に反対する会(東京都)
都労連交流会(東京都)
ふぇみん婦人民主クラブ(東京都)
浜岡原発を考える静岡ネットワーク(静岡県)
地震で原発だいじょうぶ?会(静岡県)
原発震災を防ぐ風下の会(静岡県)
核のごみキャンペーン・中部(愛知県)
太陽光・風力発電トラスト(滋賀県)
美浜・大飯・高浜原発に反対する大坂の会(大阪府)
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン(大阪府)
原発さよなら四国ネットワーク(愛媛県)
環境共育を考える会(福岡県)
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会(佐賀県)
NO!プルサーマル佐賀ん会(佐賀県)


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by kazu1206k | 2010-04-14 18:45 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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