プルサーマルの安全・防災対策

6月定例会、一般質問の「プルサーマルの危険性と安全・防災対策について」、やり取りを紹介します。概要は、以下の通りです。

12年前の1998年、福島県は全国で初めて、「MOX燃料の品質管理の徹底」や「使用済みMOX燃料政策の長期展望の明確化」など四つの条件を付けてプルサーマルを受け入れました。
 しかし、翌1999年にMOX燃料の検査データの捏造が発覚し、茨城県東海村のJCO臨界事故、再処理工場の度重なる延期などで、事前了解の条件が崩れました。
 2001年、佐藤栄佐久前知事が、国のブルドーザーのような原子力政策の一方的な進め方を危惧し、福島県エネルギー政策検討会を設置した矢先、東京電力の原発点検記録ねつ造不正事件が発覚し、2002年9月、プルサーマルは事前了解の前提条件が消滅したとして、白紙撤回されました。
 ところが、本年2月佐藤雄平知事は、東京電力のプルサーマル実施の申し入れを受け、1998年の事前了解四条件が未だ満たされていないにもかかわらず、「耐震安全性、高経年化対策、貯蔵MOX燃料の健全性の確認」という3点を必要不可欠条件として受け入れを表明し、その検証作業に入りました。
 いわき市は、福島原発の隣接自治体であり、プルサーマルが実施され一旦事故が発生すれば、大きな被害を蒙ることから、市民の安全・安心を最優先する立場で、以下伺います。

1点目は、東京電力福島第一原発3号機におけるプルサーマルの危険性について。
 
 プルサーマルを実施する福島第一原発3号機は、運転開始以来34年という老朽原子炉であります。
 プルサーマルは、ウラン燃料用軽水炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃やすため、制御棒の効きが悪くなるなど原子炉の安全余裕を減らす危険性が指摘されています。
 1999年に搬入されたMOX燃料は、もともと品質保証の不十分な燃料で裁判にもなり、搬入後11年近く貯蔵しているために核壊変が進んで、原子炉の核分裂反応に影響を及ぼします。しかも、11年前の国の安全審査では、5年までの装荷遅れしか影響評価をしておりません。既に、安全審査の範囲を超え、安全の確認がないのであります。
 さらに、使い終わったMOX燃料は処理の方法も決まっていないため、プルサーマルを実施すれば、行き場のない使用済みMOX燃料は福島原発に残されます。

①そこで、安全裕度、MOX燃料の品質保証、長期貯蔵MOX燃料の健全性、使用済みMOX燃料の処理策など危険性と諸問題を抱えたプルサーマルを、本市は市民の安全・安心を最優先する立場からどのように考えているのか、お尋ね致します。
 —答弁(行政経営部長兼危機管理監)東京電力福島第一原子力発電所3号機のプルサーマル計画につきましては、現在、経済産業省原子力安全・保安院及び福島県において、県民の安全・安心を最優先に技術的な見地から、評価・検証を慎重に進めているところでありますので、市といたしましては、その推移を見守って参りたいと考えております。

2点目は、東京電力福島第一原発3号機におけるプルサーマルの安全確保について。

②本市は、本議会で「原子力発電所の安全性の確保を最優先にすべきものと考えており、福島県及び福島県議会の対応を慎重に見守る」と答弁していますが、福島県の容認条件である貯蔵MOX燃料の健全性、耐震安全性、高経年化対策の3条件について、本市として市民の安全確保の観点から何を確認すべきと考えているのか、お尋ね致します。
 —答弁:福島県は、東京電力株式会社から提出されたプルサーマル計画の技術的三条件について、本年5月31日に、福島県原子力発電所安全確保技術連絡会を開催し、その内容の検証作業に着手したところであり、本市といたしましても、この技術的三条件は、いずれも重要であると考えておりますので、福島県の検証作業を見守って参りたいと考えております。

 わたくしは、原子力発電所の安全確保のため、プルサーマルをふくむ、計画の事前了解、平時と非常時の連絡通報、立入検査、安全措置要求、損害補償などを盛り込んだ、本市と事業者、福島県の三者による安全協定の締結が必要であると、本議会でたびたび訴えてまいりました。
 しかし、本市は「安全協定が未締結であっても、原子力発電所の現況を把握できる体制となっており、本市が安全協定に加わることについては、慎重な対応が必要」と消極的態度を取ってきました。
 平成19年6月定例会では「福島第二原子力発電所の立地する楢葉町に隣接し、福島労災病院が初期被ばく医療機関に指定されていること等から、引き続き県及び事業者と通報連絡に係る協議を進めている」とも答弁しています。

③そこで、先の答弁以降の検討結果を踏まえ、プルサーマルの安全確保をふくめた安全協定の締結に関して、今後の対応を、お尋ね致します。
 —答弁:本市は、原子力防災対策を重点的に充実するべき地域の範囲、いわゆるEPZ範囲外に位置していることから、安全協定を締結しておりませんが、平成20年3月から、東京電力株式会社より、福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所内で発生いたしました不適合事象につきまして、4段階に区分した情報を提供していただいております。また、財団法人福島県原子力広報協会主催の会議等に職員が出席するなど、県関係機関との情報交換に努めているところであり、今後とも、あらゆる機会を通して、国及び県との連携強化を図って参りたいと考えております。

④次に、プルサーマルの安全確保に関する市民への説明責任について、本市は福島県または国、事業者に対して、プルサーマルの安全確保について説明を求めるべきではないか、お尋ね致します。
 —答弁: 国及び県が進めている評価・検証作業の推移を見守って参りたいと考えております.

3点目は、プルサーマルによる原子力災害と隣接自治体いわき市の防災対策について。

 プルサーマルによる原子力災害については、認定NPO法人・原子力資料情報室がアメリカ原子力規制委員会のWASH1400報告に基づく事故想定及び放射能放出量拡散状態を評価し住民の被曝を計算しております。
 それによると、炉心溶融による水蒸気爆発という大事故の場合、チェルノブイリ原発事故並みに炉心の4%のプルトニウムが外部に放出され、ウラン燃料炉より50%も被曝が拡大すると予測しています。
 福島第一原発3号機の事故の場合は、被曝した人の半数が死に至るとされる範囲は、ウラン燃料の場合は同じ双葉郡内の楢葉町までの半径内とされますが、MOX燃料の場合はいわき市全域を含む半径内になると予測されています。

⑤そこで、本市は、この災害評価を含めてプルサーマルによる原子力災害をどう評価しているのか、お尋ね致します。
 —答弁:本市は、NPO法人・原子力資料情報室のデータによる災害評価を評価する立場にはありませんが、プルサーマル計画の安全性については、現在、進められている国及び県の評価・検証作業において確認されるものと考えております。

⑥プルサーマルによる原子力災害の防災対策について、いわき市地域防災計画の放射性物質対策計画をMOX燃料に対応して見直す考えはないか、お尋ね致します。
 —答弁: いわき市地域防災計画放射性物質等対策計画は、原子力施設の事故等の影響が本市へ及ぶおそれがある場合の国・県の指導等による本市の対応を規定するものであり、県計画等に変更があった場合、その整合性を図る必要があるものと認識しております

 本市は、国の原子力防災専門官や原子力保安検査官との連携強化について、平成19年6月定例会で「原子力災害対策特別措置法において、国と県などが相互に連携を図りながら、原子力災害対策等を円滑に実施することとされていることから、今後、県等関係機関と連絡調整を図りながら検討する」と答弁しています。
⑦そこで、平成19年の答弁以降の検討結果を踏まえ、今後の対応を、お尋ね致します。
 —答弁:本市におきましても、原子力災害対策特別措置法に基づき、緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)及び常駐する原子力防災専門官とは、常時よりの連携が確保されております。また、原子力保安検査官におきましても、事業者等からの通報や、原子力安全・保安院からの情報について、随時、報告提供を受けておりますので、一定の連携が図られているものと受け止めております

 プルサーマルを白紙撤回した佐藤栄佐久前知事は、新聞インタビューでプルサーマルを今どう考えればいいのか、と問われ「使用済みMOX燃料をいつどう処理するのか、国が明確に示さないと、福島県が捨て場所になる」「急いで結論を出す必然性はない。せめて再処理工場が本格創業し、行方を見極めてからではいいのではないか」と応えています。これは、極めて正鵠を射たものと思います。

⑦-2 本市は市民の安全・安心を最優先するならば、県に対して、隣接自治体としてのリスクと防災費用が増大するばかりのプルサーマルは慎重に対応するよう求めるべきであると思います。長きにわたって県議会で活躍され議長としても原子力発電所の安全確保に尽力されてきた市長にご所見を伺います。
 —答弁:(市長)プルサーマルは、県の了解なので国と県の中でやっていること。いわき市に科学的技術的な専門的検討能力はない。プルサーマルは、県が責任を持って判断すべきことと思う。同時に県がオーケーとした時点では、県に説明責任があると思うので、その際は県に説明を求めていきたいと思います。


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by kazu1206k | 2010-06-12 11:16 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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