使用済燃料プールの漏えい問題

脱原発福島ネットワークや福島老朽原発を考える会は、長期に使用済MOX燃料を貯蔵する燃料プールの問題と福島第一原発2号機電源喪失事故の原因究明を7月6日、福島県に要望する。要望書は以下の通り。

福島県知事  佐藤 雄平 様   平成22年7月6日

要 望 書
(福島第一原発2号機電源喪失事故の原因究明と超長期に使用済MOX燃料を貯蔵する燃料プールの漏水による環境汚染防止のためプルサーマル中止を求める)

(要旨) 

 福島第一原発3号機のプルサーマル実施は、「処分の方法」が具体的に示されない使用済燃料の発生を禁じている原子炉等規制法に抵触します。そればかりでなく、使用済MOX燃料をプールにおいて超長期にわたり保管せざるをえないことから、プール水漏えいによる環境汚染が懸念されます。
 現に米国では、微量のプール水漏えいを長期間気づかず大量の漏えい水が土壌や地下水・飲料水を汚染し、周辺の川を汚染する事態が発生しています。米国では、使用済燃料プールや地下に埋設された配管からの漏えいが既に27件も発生し、原発の老朽化による新たな危険としてとらえられています。プール水漏えい事故は社会的に大きな影響を与え、今年1月のバーモンド・ヤンキー原発での漏えい事故では、バーモンド州議会上院が今年2月原発の寿命延長を拒否する決議をしています。
日本国内でも、2005年4月福島第一原発2号機で、原子炉建屋内の気水分離器等貯蔵プールの漏えいで、東京電力は漏えい発見後1年以上経って貫通欠陥を修理するなど、ことの重大性を理解しない杜撰な管理を行っています。
 また、6月17日に発生した福島第一原発2号機の電源喪失事故については、バックアップを含めて外部電源が全て同時に遮断するという、前代未聞の事故でしたが、詳細はまだ明らかになっていません。事故原因を含めて情報公開が徹底されていない現状です。
 使用済燃料プールからの漏えい及び電源喪失事故について、以下を要望いたします。

要 望 事 項

1、使用済燃料プールからの漏えい等につき、以下の点を明らかにしてください。
(1)福島第一原発3号機のプルサーマルにより生じる使用済MOX燃料が貯蔵されるプールの耐用年数は一体何年でしょうか。
(2)「処分の方法」が具体的に示されず、使用済MOX燃料の貯蔵が超長期にわたる場合の貯蔵計画を明らかにしてください。
(3)米国で社会問題となっている原発のプール水漏えい事故による環境汚染について、国や東京電力から説明等を受けたことはありますか。また、どのように受け止めているのか、お考えをお聞かせください。
(4)使用済燃料プールから漏えいが生じないことについて、東京電力からプール管理方法等の説明を受けていますか。
2、この問題につき、県技術連絡会でも十分に審議し、県民に説明してください。
3、使用済MOX燃料の超長期にわたる貯蔵が避けられず、原発のプール水漏えいにより、将来、福島県の豊かな環境が汚染される恐れがあることから、福島第一原発3号機でのプルサーマル実施を中止してください。
4、外部電源が全て同時に遮断するという前代未聞の福島第一原発2号機電源喪失事故につき、現時点で明らかになっていることを東京電力に報告させ、県民に説明してください。3度目の原子炉の急冷による影響について評価させ、結果を公表してください。
5、2号機の事故の解明を優先し、プルサーマルに関する県の検討を中断してください。同型で同じ事故の危険をもつ3号機でのプルサーマル実施を止めてください。

(理由)

1、使用済MOX燃料の貯蔵が超長期に及ぶのは必至
 使用済MOX燃料が処理される第二再処理工場は、どんなにうまくいっても操業は約40年先であり、現実には、六ヶ所再処理工場がガラス固化で行き詰っている状況からも、さらに先になることは明らかです。福島第一原発3号機でプルサーマルを実施した場合、生じる使用済MOX燃料の貯蔵が超長期にわたるのは必至です。
 東京電力は市民との交渉において、福島第一原発3号機の使用済MOX燃料の行方について、「むつ」に建設中の中間貯蔵施設には持っていかない、福島第一原発の共用プールには持っていけるよう許可を取っている、敷地内の乾式貯蔵については将来の選択肢としてある、共用プールも乾式貯蔵も敷地内なので搬出にはあたらない、と回答しました。東京電力の回答は、使用済MOX燃料は、処理する再処理工場建設の目途が全くない状況では、使用済MOX燃料はとりあえず福島第一原発3号機のプールに入れられ、その後共用プールへ移され、その後原発が全て廃炉になった後も敷地内のどこかに半永久的に留め置かれることを意味します。

2、米国では原発プール水漏えいによる環境汚染が社会問題に
 米国では、微量のプール水が気づかれないまま長期間に渡って漏えいし、結果的に大量の漏えい水が土壌や地下水・飲料水を汚染し、周辺の川の汚染も問題になる事態が発生しています。2005年9月にはインディアン・ポイント原発で、使用済燃料プール水漏えい事故が発生しました。セーラム原発では2002年9月に、プールのライナーの背後にある漏えい検知溝がホウ酸等で詰まり、コンクリートを通じて5年間も漏れ続けました。トリチウム等の放射能を含む漏えい水は地下水を汚染し、飲み水や周囲の川を汚染しています。米国では、使用済燃料プールや地下に埋設された配管からの漏えいが既に27件も起きており、原発の老朽化による新たな危険としてとらえられています。プール水漏えい事故は社会的に大きな影響を与えています。今年1月に発覚したバーモンド・ヤンキー原発での漏えい事故によって、バーモンド州議会上院は、今年2月に原発の寿命延長を拒否する決議を採択しています。

3、日本でも福島でも発生している原発プール水漏えい事故
 日本でも使用済燃料プール等からの漏えい事故が起きています。2003年3月に伊方原発3号機、2005年4月に福島第一原発2号機、2007年3月に美浜原発1号機で、プールのライナー溶接部で応力腐食割れによる穴があき、漏えい事故が発生しています。伊方原発3号機の場合、四国電力は7~8年間、腐食の進行に気付きませんでした。リラッキング工事でたまたま見つかったのです。福島第一原発2号機の場合、原子炉建屋内にある気水分離器等貯蔵プールで漏えいし、東京電力は、漏えいが見つかってから1年以上経って貫通欠陥を修理したとしています。広大な第一原発共用プールであれば、漏えい箇所を特定するだけでも至難の業となるでしょう。そのことは、2001年に発覚した六ヶ所再処理工場での使用済み燃料プール漏えい事故からも明らかです。その上、水を抜くことが出来ないことから、修理も困難となります。

4、東京電力による漏えい管理では不十分
 福島第一原発2号機の場合、東京電力が漏えいを見つけたのが定期検査中であったにもかかわらず、すぐには対処せず、漏えい水量の確認を1日1回から1日3回にしただけで、次の定期検査までそのまま運転を続けました。少量の漏えいが起きてもプールの水位が一定程度保たれていればよいという姿勢です。しかし米国インディアン・ポイント原発でのプール水の漏えい量は、最大9.8リットル/日程度でした。少ない漏えいが5年間続き、環境汚染にいたったのです。また、セーラム原発のように、検知溝が詰まった場合など、全く手に負えません。さらに、米国のように、土壌への漏えいを検知する「検知用井戸」もありません。

5、貯蔵が超長期にわたる場合にプールの安全性は保証されない
 使用済燃料プールや共用プールは、原子炉と同様に1年毎の定期検査、30年以降は10年毎の定期安全レビューや高経年化技術評価により安全確認がされます。しかし高経年化技術評価でも60年の運転しか想定していません。使用済MOX燃料の貯蔵が60年を超える可能性は十分にありますが、その場合の安全性は保証されません。

6、将来の福島県の環境を放射能で汚染しないで
 環境基本法の精神「将来にわたる環境の保全」は原子力にも適用されます。地下水や土壌が放射能で汚染すれば取り返しのつかないことになります。将来の福島県の環境を守るために、今なすべきことは、使用済MOX燃料を発生させるプルサーマルの実施を中止することです。

7、前代未聞の2号機電源喪失事故の解明を
 6月17日に福島第一原発2号機で発生した電源喪失事故は、当初東電が説明したような発電機のトラブルではなく、外部電源の喪失が発端の事故であったことが明らかになっています。外部電源は独立に2系統あり、さらにバックアップ用に2系統ありますが、その全てが同時に遮断したというのです。地震でもなければありえないことです。同じ原因が、同型炉の3号機にも内在している可能性があります。とてもプルサーマルどころではありません。
 福島第一原発2号機は、ECCSの作動が過去2回あります。今回はECCSが作動したわけではありませんが、原子炉に冷水を浴びせた点では同じです。3度の急冷による影響が懸念されます。
 この事故について、東京電力は初期のプレスリリースを行っただけで、その後何も明らかにしていません。プルサーマルの検討よりもこの事故の解明を優先すべきです。

以上

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by kazu1206k | 2010-07-05 23:46 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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