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地検特捜部の犯罪

厚生労働省の村木元局長の無罪判決が確定した郵便不正事件。このえん罪事件で、証拠品のフロッピーディスクのデータを改ざんした疑いで大阪地検特捜部の前田主任検事が逮捕された。大阪地検特捜部の上層部も改竄の報告を受け、黙認していたというから、地検特捜部の組織的冤罪事件だ。
「一部に変な人がいたんだという話にせず、事件全体について何があって、なぜこうなったのか検証してもらい、検察のあり方に生かしてほしい」「個人の犯罪に矮小化しないで欲しい」と記者会見で村木元局長が語ったように、前田検事の個人犯罪に矮小化してはならないだろう。

前田検事は、東京地検の西松建設事件で大久保隆規氏の取調べを行い、大久保氏から容疑を認める供述を引き出したとされた。また、東京地検が緒方元公安調査庁長官を逮捕した詐欺事件でも緒方氏の共犯の被疑者満井氏の取調べを担当、公判で取調べのやり方が問題視され一審判決は同検事の証言の信用性を否定している。
さらに、東京地検特捜部時代に捜査にかかわった福島県発注工事をめぐる汚職事件では、事情聴取された元福島県幹部が「言っていないことまで供述調書に記された」と報道されている。元県幹部は2006年夏以降、東京地検特捜部で事情聴取を受け、県発注工事での談合の有無や業者との関係などの説明を求められ、「自分は談合などに関して供述しなかったのに、担当検事は供述調書を作成した」と前田検事の調書偽造をほのめかした。前田検事は贈賄側の水谷建設会長の事情聴取も担当し、収賄側の佐藤前知事の実弟経営の会社に融資した1億円の趣旨を取り調べ、この1億円もわいろに当たると主張したが、一審東京地裁判決、二審東京高裁判決ともにわいろと認定していない。佐藤前知事の弁護団は「捜査にかかわった前田容疑者が逮捕されたことで、供述調書など福島県汚職事件全体の証拠の信用性が低いことが明らかになった」という趣旨の上告補充書を提出する方向で検討しているという。
前田検事の捜査のやり方は大阪地検だけの問題ではない。今回の犯罪は、検察組織の組織的な犯罪であり、特捜部という組織の起源と存立そのものにかかわる問題である。

新聞やテレビは、検察批判を繰り替えしているが、検察のリーク情報をそのまま流し、えん罪を社会的に流布し認知させる役割を果たしてきた。新聞やテレビは、このことに対する反省にかける。マスコミと検察は二人三脚で動いてきたのではないか。

朝日新聞の報道と半日後の逮捕、あまりに早く、トカゲの尻尾切りに見える。個人の刑事事件にスリかえてはいけない。当時者の最高検で真実が解明されるのか心もとない。弁護士を任期付で検事任用するなど、第三者の捜査体制と捜査結果を評価検討する第三者の委員会が必要なのではないか。


by kazu1206k | 2010-09-23 22:37 | 時評 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k