人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「地デジ難民」の防止

2月定例会、3月2日の一般質問のご報告です。
大きな3項目のうち「テレビ地上波デジタル放送の難視聴対策と「地デジ難民」の防止」のやり取りを以下、紹介します。
わたくしが調査をしたかぎり、国の暫定的難視聴対策は住民の各世帯にきめ細かな対応をしておらず、7月24日の地上波デジタル放送への完全移行によってテレビ放送が見られなくなる人、つまり「地デジ難民」が発生することは必至です。このまま現状に手をこまねいていては、行政として重大な不作為となります。国策強行による「犠牲」がでないように、市は基礎自治体として、市民生活を守るため国に対してアナロク波の停止延期を求めることも求めました。

長いですが、ご覧ください。 

大きな第一点は、テレビ地上波デジタル放送の難視聴対策と「地デジ難民」の防止、であります。

 今年7月24日は、テレビの「地上波デジタル放送への完全移行」の日とされています。あと4ヶ月あまりで、アナログテレビ放送の電波が停止します。
 これまで、エコポイントで地デジ対応のテレビに買え換えたご家庭も多い中で、「地デジがうつらない」というご家庭が出てきました。地デジの難視聴問題です。
 先日尋ねたお宅では、「アナログの方が映る」と言って、このまま7月24日を迎えると、テレビを見ることができなくなると嘆いておられました。地上波デジタル放送への完全移行によってテレビ放送が見られなくなる人、つまり「地デジ難民」問題です。

 そこで、1点目は、テレビ地上波デジタル放送の難視聴対策の実態について、です。

①まず、7月24日のアナログ波停止までに5ヶ月を切りましたが、デジタル受信機やチューナーの普及、辺地共聴施設や集合住宅共聴施設の整備などいろいろと課題がありますが、地デジ化に伴う受信対策は万全なのか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
地上デジタルテレビ放送受信機の普及率につきましては、平成22年11月26日に発表された総務省及び社団法人デジタル放送推進協議会が実施している「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」によりますと、市町村単位での結果は示されておりませんが、平成22年9月現在の福島県の普及率が87.8%となっていることから、本市におきましても同程度に普及が進んでいるものと推測しております。
また、総務省が平成23年1月21日に発表した受信障害対策共聴施設・集合住宅共聴施設のデジタル化対応状況によりますと、本市における辺地共聴施設のデジタル化進捗率は平成22年12月31日現在で80%、集合住宅共聴施設のデジタル化進捗率は平成22年9月30日現在で95%以上となっております。
今後は、総務省が平成23年1月24日に発表した地デジコールセンターの体制強化や臨時相談コーナーの設置などの取組み事項をまとめた「完全デジタル化最終行動計画」及び「完全デジタル化に向けた最終国民運動」に基づき、関係機関と連携を図りながら、積極的に受信対策等に取り組んで参りたいと考えております。

②次に、生活保護世帯や市民税非課税の障がい者世帯など低所得者世帯に対する、地デジチューナーの無償給付はどこまで進んだのか、お尋ね致します。

 —答弁:総務部長
地上デジタル放送を受信するためのチューナーの無償給付を実施している総務省地デジチューナー支援実施センター福島事務所によりますと、平成21年10月1日から受付が開始されました生活保護受給世帯や市民税非課税の障がい者世帯などへのチューナー無償給付の申込み件数は、平成22年12月末現在、2,462件となっております。また、本年1月24日から受付が開始されました市民税非課税世帯へのチューナー無償給付の申込件数は、本年2月末現在で19件となっております。

③次に、辺地共聴施設及び集合住宅共聴施設の整備など共同アンテナの設置費用補助の実績は、予算対比でどのようになっているか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
辺地共聴施設等の改修に対する補助は、市町村を経由して国が組合に補助する間接補助としているところであり、平成22年度の予算額8,821万9,000円に対し、実績見込額は、1,180万5,000円となっております。
また、集合住宅共聴施設改修補助につきましては、デジサポを経由して国が住宅管理者に直接補助しているところであり、デジサポふくしまによれば、本市内の住宅管理者からの改修補助の申請はなされていないと聞き及んでおります。

④それでは、辺地共聴施設及び集合住宅共聴施設の整備などの共同アンテナの設置費用の個人負担額はどうなっているか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
平成22年度の補助事業における、辺地共聴施設等の改修での個人負担の金額は、平均で、一世帯あたり約5万円程度となっています。
集合住宅共聴施設における個人負担の金額は、家主の負担により整備することが前提でありますが、個人負担については、家主と入居者の協議によるものと考えております。

総務省は、地上テレビ放送のデジタル化により難視聴となる地域に対して、5年間の緊急避難として、衛星放送等により地上波デジタル放送の番組を送り届ける「暫定的難視聴対策事業」をはじめ、対象地区と視聴できる番組を地デジ難視対策衛星放送対象リスト(ホワイトリスト)として公開しています。
⑤この地デジ難視対策衛星放送対象リスト(ホワイトリスト)に掲載された本市の地デジ難視対策衛星放送対象地区や改修困難共聴地区の地区数や世帯数など、その具体的内容はどうなっているか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
平成23年1月21日発表の総務省地デジ難視対策衛星放送対象リストいわゆるホワイトリストには、本市において、555地区、3,117世帯及び、改修困難共聴施設の4地区、22世帯が掲載されております。

⑥それでは、ホワイトリスト掲載世帯の地デジ難視対策衛星放送の利用申込世帯数や対策済み世帯数など、ホワイトリストへの対応はどうなっているか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
地デジ難視対策衛星放送の利用申込み数につきましては、受付機関である社団法人デジタル放送推進協会により、明らかにされていないため、正確な数字は把握しておりませんが、デジタル放送推進協会から地デジ難視対策衛星放送の受信設備工事や、受信申込に関する業務を受託している総務省地デジ難視対策衛星放送受信設備整備支援センターが、現在、対象世帯を戸別に訪問し、説明を行ないながら、その場で申込書の回収を行なっており、3月末までには、掲載されているすべての世帯へ申込書の配布を完了させることを目標に、現在作業を進めています。本市における訪問件数は、2月14日現在で約500世帯となっていることから同程度の申込みがされているものと考えております。

 冒頭紹介したお宅は、ホワイトリスト対象地区の方です。このご家庭では、地デジ調査センターに電話をして電波状況を調査してもらったところ、「やっぱり映らない。難視地区なので、市の情報政策課に報告しておく。情報政策課から連絡が来る」と言って調査票をおいていったそうですが「連絡がない」と困惑していました。

⑦そこで、7月24日のアナログ波停止までに、ホワイトリストへの対応は完了するのか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
総務省によれば、ホワイトリストに掲載され、地デジ難視対策衛星放送の利用申込があったすべての世帯に対し、7月24日のアナログ波停止までに対応することとしております。本市といたしましても、総務省東北総合通信局などの関係機関と更なる連携を図りながら、取り組んで参りたいと考えております。

⑧このようなホワイトリスト対象世帯数の本市テレビ視聴世帯数に占める割合はどのくらいか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
本市の平成23年2月1日現在の世帯数12万8,775世帯に対し、ホワイトリスト掲載世帯が3,117世帯ですので、約2.4%になります

⑨次に、地デジ化に伴うアナログテレビの不法投棄問題もありますが、本市が回収した不法投棄テレビの台数は、この数年どのように推移しているか、お尋ね致します。

 —答弁:生活環境部長
不法投棄監視活動等によって、市が回収した不法投棄テレビの台数は、過去3箇年の実績で申し上げますと、平成19年度が317台、平成20年度が355台、平成21年が597台となっております。また、今年度は、約500台の見込みであります。

⑩それでは、このまま7月24日のアナログ波停止までに、地上波デジタル放送が視聴できない世帯は、どの程度になると想定できるのか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
アナログ波停止までに、地上デジタル放送が視聴できない世帯数を想定することは困難でありますが、平成22年9月に国が実施した浸透度調査によれば、デジタル化対応をしていない方の7割が「まだ時間的余裕があるから」と回答していることから、今後、停波時期が近づくにつれ、相当程度対応が進んでいくものと思われます。

⑩−1 先日、わたしはホワイトリスト対象地区にお邪魔してお話を伺いました。「何とかして欲しい」とみなさんが声を上げておられ、中には「映らないので、金がかかるからアナログのままだ」という方もおりましたが、10世帯ほどのうち、地デジ難視対策衛星放送のことを知っていた方は一人もおりませんでした。やはり、的確な情報の不足と対応の遅れを痛感せざるを得ませんでした。このままではいけないと思います。
そこで、あらためて今後はどう対応するのか、お尋ねいたします。

 —答弁:市民恊働部長
本市といたしましては、今後ともアナログ放送終了までに地上デジタル放送を視聴できない世帯が発生しないよう、関係機関との連携を図り、難視地区解消等の対策や広報啓発活動の強化に努めてまいりたいと考えております。

2点目は、「地デジ難民」の防止と今後の対応について、です。 

 そもそも、アナログで見られるテレビを何故、デジタルにするのか。確かに画像が高画質になり、俳優のしわまで見えてしまうのですが、このテレビ地上波デジタル放送計画とは何のためにやっているのでしょうか。
 ご存知の通り、もともと、電波の監理は国の専権事項です。テレビ地上波をデジタル放送に切り替える計画は、「電波の有効利用」のために「国策」として推進されてきました。
 「電波の有効利用」というのは、今までテレビの地上波が使ってきたVHFやUHFという電波の周波数帯から、テレビの地上波を立ち退かせて、その後を、道路交通情報システムや5,000万人分の次世代携帯電話などで利用するというものです。いわゆる「跡地利用」ですが、これはあくまで予定であり、それがどんな事業なのか、利用者である国民にも内容はあまり知らされていません。
 また、2001年以来10年間で1,602億円の税金が「アナログ周波数変更対策」という地デジ移行対策に投入されてきましたが、この財源は、電波利用料財源というそうです。
 この電波利用料は、無線局が電波を利用するための利用料金ですが、無線局というは放送局ばかりでなく、私たち一人一人の携帯電話端末も1台当り年間250円の利用料を支払っています。携帯電話会社が料金に組み入れて、携帯電話の利用者から徴収し、まとめて国に支払うシステムです。
 この電波利用料財源の予算は、2008年度で約673億円、その8割約530億円近くが携帯電話の利用者が支払ったものです。地デジ移行のために約199億円が使われました。地デジ移行対策費用は、携帯電話の利用者である全国1億人の国民が負担してきたのです。
 このような背景を踏まえて、以下伺います。

⑪地デジ難視対策衛星放送で届くのは、東京キー局の地上波番組のため、ホワイトリスト対象の受信者はじめ難視聴者は「地元ニュースや地域天気予報が見られない」ことになります。このような事態を放置することは、行政が情報格差を是認し、国民の知る権利を奪い、災害時の緊急連絡も不徹底となる重大な不作為ではないかと思いますが、如何でしょうか。

 —答弁:総務部長
地上デジタルテレビ放送への移行は、国や放送事業者が責任を持って取り組むべき事業であり、これまで、国や放送事業者は、共聴施設を整備する際の補助や、低所得世帯に対するチューナーの無償給付など、様々な取り組みを進めているところでありますが、市といたしましても、市民の皆様が等しく地上デジタルテレビ放送を受信できるよう、国や放送事業者などの関係機関と一体となって、難視聴対策の地区説明会や、周知・広報活動を実施するとともに、戸別訪問による電波受信状況調査や受信に向けたアドバイスを行なうなどの市独自の取り組みを講じているところであります。
しかしながら、本年7月24日のアナログ放送終了までに、共聴施設整備などの恒久的な受信対策が完了せず、県内の番組を視聴できない世帯が一部に生じることも見込まれますことから、引き続き関係機関と連携・協力し、出来るだけ早期に恒久的な受信対策が図られるよう、努めて参りたいと考えております。

⑫また、衛星放送による難視対策の暫定措置は2015年3月に終了しますが、終了後の恒久対策を国に求めるべきではないか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
衛星放送による難視対策の暫定措置があるいわゆるホワイトリストに掲載された地区につきましては、今後も、衛星放送による難視対策の暫定措置の2015年3月終了までに、辺地共聴施設新設対策、高性能等アンテナ対策のいずれかの恒久対策が実施出来るよう、きめ細かく相談に応じ、円滑に移行できるよう、関係機関との一層の連携を図り、国の動向も踏まえながら、完全移行に向けて取り組み、暫定措置の期間終了後の恒久対策が必要とならないよう、努めて参りたいと考えております。

⑬7月24日のアナログ波停止までに、難視聴や移行に間に合わない世帯の問題が解消しない場合、高齢者や障がい者、テレビが唯一の情報源という市民にとっては、生活に重大な支障をきたすのは明らかです。この際、アナログ波停止の延期を国に求めるべきではないか、お尋ね致します。

 —答弁:市民恊働部長
地上デジタル放送への完全移行に当たり、市といたしましては、関係機関と連携・協力を図りながら市内の状況の把握に努め、地上デジタル放送への移行状況等について、総務省東北総合通信局に対し、情報を提供して参りたいと考えております。

ホワイトリストの他にも、国が「新たな難視地区」に指定した住民の方のお話も聴きました。
山間部の「限界集落」と言われる地域の住民生活が、国策によって立ち行かなくなるのは許されることではありません。
基礎自治体の長として、市長は国に的確な対応をして頂くよう要望致しまして、次の質問に移ります。


by kazu1206k | 2011-03-03 07:35 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k