大地震・津波は、冷却材喪失事故に

原発震災の深刻化に伴って、地震津波に対して脱原発福島ネットワークが東京電力にどう対応してきたか、報道関係等からネットワーク世話人として聞かれます。
1991年から月1回発刊されてきたネットワークニュース「アサツユ」にネットワーク23年の活動の大所が記録されていますが、保管記録用の「アサツユ」バックナンバーがハイロアクションに貸し出されていて、1995年の阪神大震災以来の原発の耐震安全性や津波に対する具体的な行動について触れることができませんでした。2002年以降のデータのあるパソコンもダウンしていました。ようやく本日データが復旧しましたので、2002年以降のデータを確認しました。

2005年のデータによると、M9の強震動、30m超の巨大津波、地球規模の遠地津波、多大な人的被害を出した、2004年12月26日のスマトラ島沖地震・津波によって、インド南部カルパカムにあるカルパカム原子力発電所や核複合施設が大津波に襲われたことから、大地震・津波は、原子炉の冷却材喪失事故につながる重大事案として、東京電力に対し2005年1月10日「原発の地震津波対策に関する公開質問書」を提出、同2月7日には7団体の連名で「地震津波対策の再検討を求める要請書」を提出し、月1回福島原発のサイト内で実施していた東京電力との交渉で回答を求めました。

要請では、「スマトラ沖大地震・津波をうけ、福島原発での地震津波対策は抜本的再検討が必要です。すでに浜岡原発では、地震時の炉心損傷評価でIAEA推奨基準の6倍の危険性が示され、従来の600ガルから新たに1000ガルの揺れに耐えられるよう全て耐震補強工事を実施することになりました。双葉断層に位置する福島第一原発の耐震設計値は265ガルで到底安全・安心の領域にありません。チリ地震津波の引き波では、双葉町郡山海岸で距離1キロ・高さ5メートルの引きとの証言もあり、冷却水の取水口が発電所港内にある福島原発では、炉心溶融にいたる致命傷になる可能性があります。押し波による冷却用海水ポンプや非常用電源の機能喪失も同様の事態を引き起こします。
「配管減肉」問題や大地震・津波は、冷却材喪失事故につながる重大事案です。事業者は効率優先をあらため安全側に立って行動すべきです」として、「福島原発での地震津波対策を抜本的に再検討し10機全て耐震補強工事を実施すること」を求めたものです。

この公開質問や要請に対してやりとりは6回にわたりましたが、東京電力は「福島第一、第二に最も影響が大きいと考えられる三陸沖、宮城県沖、福島県沖、房総沖による津波ついて、詳細な検討を行っている」「福島第一、第二における津波水位を数値評価により行い評価結果に基づき、設備改良、手順書整備を実施済み、発電所の安全性は確保されている」と強調するのみで、詳細な内容やデータを示すこともなく、福島原発での地震津波対策を抜本的に再検討し10機の耐震補強工事を実施することも一顧だにしませんでした。当時の社長は、あの勝俣恒久さんです。

●2005年1月10日  原発の地震津波対策に関する公開質問書
 
東京電力株式会社  社長 勝俣恒久 様     脱原発福島ネットワーク

(前文略)


1、引き津波による水位低下について、福島原発の取水口の下端レベルは何mで、津波による最低水位が取水口の下端レベルを何分間程度下回ると想定しているか。また、取水槽の容量はいくらかで、必要な海水が何分間分以上確保される設計か、それは原子炉施設の安全確保に支障はないか。

2、引き津波による水位低下が起きた場合は、Asクラスの耐震設計をされている「非常用海水ポンプ」を使って除熱するのか。また、非常用海水ポンプを使用して汲み上げた海水と接しているのは、「原子炉機器冷却系」の熱交換器か。運転中に地震が起きて、引き津波で海水面が取水口の下端レベルに下がると、潮位「低低」の信号が出て、復水器を通すラインの循環水ポンプが全機停止するか。その際、運転員の「手動」による原子炉スクラムは可能か。

3、「原子炉隔離時冷却系」が働く間に何が起こるか。この過程でさまざまな予期せぬ事態が次々と起こる可能性があり、そもそも循環水ポンプが全機停止する事象は、設計基準事象にはないので、この場合の解析やマニュアルはどうなっているか。

4、通常状態では、原子炉で発生する熱は使用済み燃料プールの熱も含めてすべて海水で冷やすようになっているが、海水での冷却機能が停止することは、原子炉にとって本質的に重大な事態だが、押し津波により貯水槽が砂で埋まれば、この機能はたちまち消滅する、福島原発での津波シミュレーションはあるか。解析内容を示されたい。

以上

●この質問への東京電力の回答は「チリ津波で設計し、海底砂は港湾堤防で止まる。取水機器への影響はない」とし、チリ津波対応や津波数値シミュレーションについて「津波の引き波の想定は、平成14年の土木学会の知見をベースに評価して、津波の水位が非常用海水ポンプの取水可能水位を下回るのは、数分から10分程度を想定している。なお、下回る場合は、手順書により、プラントの運転を停止するとともにポンプを一時停止して対応する。第二原発は、建屋レベルまで水位が上昇するが、コンクリート製の扉で水密構造になっているので水が入らない」と回答。
 押し波で砂が入ればプールが埋まるのではないかとの質問に、「設置許可申請では、最大津波をチリ地震津波に基づいて検討。砂移動について、外海からの流入は、発電所港湾の湾口において制限されること、港湾内は定期的に浚渫により砂の量は限られていることから、取水機能に障害はないと考えている。津波の水位評価は、数値シミュレーションを実施し発電所の安全が確保されていることを確認している」と回答。
 波源の断層モデルやパラメータ等、津波数値シミュレーションについては、「土木学会により策定された津波評価手法について」説明。「福島第一、第二に最も影響が大きいと考えられる三陸沖、宮城県沖、福島県沖、房総沖による津波ついて、詳細な検討を行っている」「福島第一、第二における津波水位を数値評価により行い評価結果に基づき、設備改良、手順書整備を実施済み、発電所の安全性は確保されている」と答えていました。

●2005年2月7日  安全軽視の運転再開に反対し「配管減肉管理指針」の公表と地震津波対策の再検討を求める要請書

東京電力株式会社  社長  勝俣恒久  殿 

 貴社は、福島第一原発5号機の配管減肉問題で、技術基準に定めた必要肉厚を守らず、規制当局の保安院もそれを是として法令をないがしろにし安全性を軽視しています。わたしたちは法令の遵守と安全確保を求め、福島県も自らの非を認めぬ保安院にたいして、県民の安全を守る立場で努力しています。
 こうした中で、立地町長などの運転再開要請も行われましたが、福島第一・5号機ばかりか、2号機の炭素鋼配管のひび割れ貫通、4号機の低合金鋼配管2カ所での穴あき損傷など、配管損傷は拡大しており再発防止対策も未確立のままです。この状態で、運転再開を強行するなら、効率優先、県民無視、安全性の軽視というそしりは免れません。
 また、昨年11月、保安院は貴社に対して改善指示を行い「配管減肉管理指針」を策定させたといいますが、貴社はこの内容を公表しておりません。はたして、「余寿命3年以下の場合に取替え計画を立案する」との管理フローや減肉率の計算式は変化したのか、配管減肉管理の安全性は確保されているのか、貴社は指針を公表して県民に説明する義務があります。
 相次ぐ配管損傷によって、減肉管理は、従来のサンプル調査ではカバーできないことが明らかです。貴社は、いまこそ減肉の実態をきちんと把握するため該当する配管の全数点検を実施すべき時です。
 また、スマトラ沖大地震・津波をうけ、福島原発での地震津波対策は抜本的再検討が必要です。すでに浜岡原発では、地震時の炉心損傷評価でIAEA推奨基準の6倍の危険性が示され、従来の600ガルから新たに1000ガルの揺れに耐えられるよう全て耐震補強工事を実施することになりました。双葉断層に位置する福島第一原発の耐震設計値は265ガルで到底安全・安心の領域にありません。チリ地震津波の引き波では、双葉町郡山海岸で距離1キロ・高さ5メートルの引きとの証言もあり、冷却水の取水口が発電所港内にある福島原発では、炉心溶融にいたる致命傷になる可能性があります。押し波による冷却用海水ポンプや非常用電源の機能喪失も同様の事態を引き起こします。
 「配管減肉」問題や大地震・津波は、冷却材喪失事故につながる重大事案です。事業者は効率優先をあらため安全側に立って行動すべきです。この際、3月22日までに文書回答されるよう要請します。


1、「配管減肉管理指針」を公表し、「余寿命3年以下の場合に取替え」との管理フローや減肉率の計算式は変化したのか、配管減肉管理の安全が確保されているのか、県民に説明すること。
2、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス製使用配管の減肉可能性箇所の全数点検を行うこと
3、福島原発での地震津波対策を抜本的に再検討し10機全て耐震補強工事を実施すること。
以上

いわきに風を  原発いらない いわき市民の集い  ストップ!プルトニウム・キャンペーン
脱原発ネットワーク・会津  脱原発福島ネットワーク  福島原発30キロ圏ひとの会  双葉地方原発反対同盟
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by kazu1206k | 2011-04-19 19:38 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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