一般質問の詳細、県民健康管理調査・汚染廃棄物処理

9月定例会、5日の一般質問の詳細報告、第2回目です。

今回は、「原子力災害と市民の放射線被曝をより低く抑える対策について」
(1)福島第一原発事故と福島第二原発の廃炉に対する今後の対応について
(2)福島第一原発から30キロ圏内地区の要望への対応について
(3)子どもを守る対策について
(4)県民健康管理調査と仮称「原発被曝者援護法」の制定について
(5)放射能汚染廃棄物などの処理と国・事業者の責任について
(6)原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続について
のうち、(4)から(6)のやり取りを、紹介します。

4点目は、県民健康管理調査と仮称「原発被曝者援護法」の制定について、です。

 6月定例会の保健福祉部長答弁は「国・県が今後実施する予定の「県民健康管理調査」や「内部被ばく線量調査」により、市民の放射線被ばくの状況などを含めた健康状態が明らかにされることとなっており、これらの調査結果を踏まえ、市として必要な対応を検討して参りたい」とのいうものでした。
 しかし、県民健康管理調査の甲状腺検査の目的を見ると「事故による放射線の健康影響については、現時点での予想される外部及び内部被ばく線量を考慮すると極めて少ないと考えられます。」と決めつけています。

⑮そこで、県民健康管理調査について、県民200万人を対象とする基本調査を実施して3月以降の被曝線量を推計した後、詳細調査の対象を限定するとしています。
 しかし、対象を20万人と県民の1割に限定するのでは、いわき市民の大部分が詳細調査の対象外になることも考えられ、切り捨て御免の差別的調査となります。詳細調査の対象にならなかった市民が被曝に起因する疾病や障害が生じても、その原因を被曝によるものと認めないためにこの調査が利用される懸念があります。「調査あって治療なし」になるではないか、お尋ね致します。

 —答弁(保健福祉部長)県民健康管理調査については、県内の放射能汚染を踏まえ、県民の健康不安の解消や将来にわたる健康管理の推進等を図ることを目的に実施することとされており、議員お質しの詳細調査の対象とならない市民についても、健康診査の活用により長期的な健康管理を行うこととされております。

 福島県は「健康診査」の目的で「チェルノブイリ原発事故で唯一明らかにされたのは、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんの増加のみであり、その他の疾病の増加については認められていません。」とし、特別な健康診断は「甲状腺検査」だけで、あとは一般的な健康診断のみです。
しかし、チェルノブイリ原発事故では、膀胱癌や心臓病など、甲状腺がん以外の疾患も多数報告されており、調査や健康診断は、起こりうる全ての疾患に対応できるようにしなければ意味がありません。

⑯県民健康管理調査検討委員会の山下座長など、この調査の指導者が「100mSvまでは安全」という低線量被曝を軽視した考え方に立っていることから、被曝に起因する疾病の原因を「風評被害」による「精神的影響」や一般的な生活習慣などにすり替えるためにこの調査が利用される懸念があります。ほんとうに市民の健康を守ることに役立つ調査になるのか、お尋ね致します。
 —答弁(保健福祉部長)県民健康管理調査においては、全県民の長期的な健康管理を行っていくためには、放射能の影響の評価のみならず健康状態を把握することが極めて重要であることから、生活習慣病の予防や早期発見、早期治療につなげるための健康診査を実施することとしており、健康診査の受診機会が増えることにより、受診率の向上が図られ、結果として、市民の健康保持・増進につながっていくものと考えております。
 また、市民の健康管理を進めるため、市といたしましては、県民健康管理調査と併せて、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査等を独自に実施するため、県から貸与を受けて、共立病院に設置する1台に加え、保健所に設置することも検討して参りたいと考えております。


 県の先行調査では、尿検査の検出限界値を13ベクレルとしましたが、チェルノブイリ膀胱炎と呼ばれる、膀胱癌の前段現象は、尿検査のデータが6ベクレル程度でも問題になっています。市民団体による福島の子どもたち10人の尿検査では、0.4〜1.3 ベクレルのセシウムが全員から検出されています。
 比較的低い数値も、継続的な検査によって、必要な措置をとることができますが、検出限界が高いと、低線量被曝の影響が追跡できません。現状では、全員セシウムはなしと切り捨てられてしまいます。これでは、被害を最小限に抑えられなくなります。

⑰調査で、いわき市の役割が名簿提出と広報だけでは市民の健康を守る責任ある対応ができません。市民の健康を守る役割を担う基礎自治体として、いわき市民全員の定期健康診断と医療行為の公的保障を行なうべきと考えますが、本市としてはどのように対応する考えか、お尋ね致します。
 —答弁(保健福祉部長)いわき市民全員の定期健康診断の実施につきましては、県民健康管理調査において、長期的な健康管理を行っていくための健康診査を実施することとされており、全ての県民が対象となるように、制度設計を検討しているところであります。
また、福島第一原子力発電所の事故に起因する必要な医療行為につきましては、当事者である東京電力や国が保障すべきものと考えております。

⑱8月26日に市長に提出された、市議会東日本大震災復興特別委員会の第一次提言では、「市民の健康管理・被曝量低減に対する対応の強化」として、「市民の長期的健康管理については、市が責任をもって県と連携して推進させるとともに、(仮称)原発事故被曝者援護法などの特例法の制定、被曝者健康手帳の交付及び定期通院・医療行為の無償化・社会保障などを国の責任において行うことを要請すること」を挙げていることから、定期的な健康診断などの健康管理も含め、特例法の制定を国及び県に対して強力に働きかけるべきではないか、お尋ね致します。
 —答弁(保健福祉部長)6月定例会で答弁いたしましたとおり、国・県が実施する「県民健康管理調査」や「内部被ばく線量調査」などにより、市民の放射線被ばくの状況などを含めた健康状態が明らかにされることになっておりますことから、これらの調査結果を踏まえ、市として必要な対応を検討して参りたいと考えております。

⑱−2被曝者援護法については、行政も市民も一緒に声を上げていくべきと思うが市長の考えはいかがでしょうか。
 —答弁(市長)市としてやるべきことは、低線量であってもホールボディカウンターによる内部被ばくの管理を市独自でしっかりやっていきたい。援護法については、市としての基本的て立場は、国に積極的に働きかけていくという立場です。ただ市民の声は、行政だけで受けているのではないので、議会としても国に意見書を出して意志を示して頂きたい。

 広島・長崎、チェルノブイリの知見を含めて、低線量被曝の影響を重視するものも多く、ICRP やそれを取り入れた日本の法令も、低線量も線量に応じたリスクがあることを前提にしています。
長期的な低線量被曝状況にあるいわき市としては、予防原則の立場から、影響があるとの前提に立って対応することを、強く要望して、次に移ります。


5点目は、放射能汚染廃棄物などの処理と国・事業者の責任について、です。

 市の廃棄物埋立施設「いわき市クリンピーの森」の所在地である渡辺町区長会から「焼却灰などの放射線量測定」「測定結果が報告されるまで埋立などの停止」という要望書が提出されました。
また、清掃センター周辺の学校や保育園の保護者や市民から「放射性ガレキを燃すのか」という問い合わせや「放射性ガレキを燃やさないで」という声が多数寄せられています。そこで、以下伺います。

⑲放射能汚染廃棄物の処理について、原子力安全委員会は6月3日付けで「安全確保の当面の考え方」を示し、再利用については年間10μSv以下のクリアランスレベルの基準、また処理・輸送・保管については、周辺住民の受ける線量が年間1mSvを超えないようにする、作業者の受ける線量は年間1mSvを超えないことが望ましいとし、更に処分については、周辺住民の受ける線量が基本シナリオで年間10μSv以下、変動シナリオで年間300μSv以下であることとしましたが、本市においては空間線量率が積算で1mSvを既に超えている地点もあり、これらはどのような現状になっているのか、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)本市といたしましては、国が6月23日に示した「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」に沿って処理を進めていく考えでありますが、この方針は、原子力安全委員会が示した「安全確保の当面の考え方」における、再利用の際のクリアランスレベルや処理・輸送・保管・処分の際の年間被曝量の基準等を踏まえて、とりまとめたもので、この方針に基づき処理を進めることで、原子力安全委員会の示した基準も達成されるものと考えております。
 なお、国によりますと、これらの基準については、自然由来の放射線等を含まないものとされております。
 本市における処理の現状といたしましては、災害廃棄物のうち、国の方針で示された基準を満たしている家電類や木くず類の一部については、リサイクルを実施しており、金属類やコンクリートがらなど他の品目についても基準以下であることが確認され次第、順次、処理を進めていく予定です。
 また、リサイクルが困難な災害廃棄物の焼却や埋立処分については、今後、地域の皆様の理解のもと国の方針で示された基準に基づき処理を進めてまいりたいと考えております。
なお、家庭などからの通常ごみの焼却に伴い発生する焼却灰からも放射性物質が検出されておりま すが、国の基準に基づき主灰については、クリンピーの森に埋立処分しており、飛灰については、清掃センター内に一時保管しております。

⑳北部及び南部清掃センターの排ガスについて、排ガス中のセシウムなど放射性核種の放射能濃度はどの程度か、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)排ガス中の放射性物質の濃度につきましては、8月4日に市が、民間の分析機関に依頼し、南部清掃センターにおける排ガスについて測定しておりますが、稼働中である1号炉及び2号炉ともに、今回の測定方法における検出限界濃度未満、1㎥あたり1ベクレル未満
となっております。
 なお、北部清掃センターについては、8月31日にサンプリングを行い、来週には結果が判明する予定であります。

21)北部及び南部清掃センターのバグフィルターの性能について、両センターのバグフィルターのセシウムなど放射性核種の吸着能力に関する実証データを示して頂きたいと思います。
 —答弁(生活環境部長)北部及び南部清掃センターの実証データはございませんが、今後、災害廃棄物の処理を進めるにあたり、バグフィルターの安全性を確認と、市民の皆様の不安を解消するため、放射性核種の吸着能力に関する測定を行うこととし、その結果が判明した段階で、すみやかにお示しいたします。

22)北部及び南部清掃センター周辺の放射線量について、周辺住民の受ける線量が年間1mSvを超えないようにするには、毎時0.11μSv以下でなければなりませんが、実際にはどの程度か、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)北部清掃センターから半径約2km以内の6地点における空間線量の9月2日の測定結果は、地表より1mの地点で、1時間あたり0.27から0.37マイクロシーベルトとなっております。
また、南部清掃センターから半径約2km以内の7地点における、8月31日の測定結果は、0.13から0.20マイクロシーベルトとなっております。

23)北部及び南部清掃センターの焼却灰について、焼却灰中のセシウムなど放射性核種の放射能濃度はどの程度か、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)7月22日に県災害対策本部が測定した結果では、北部清掃センターにおいては、1号焼却炉の主灰からは1キログラムあたり2,790ベクレル、飛灰からは23,000ベクレルの放射性物質が検出されております。
また、南部清掃センターにおいては、1号焼却炉の主灰からは3,410ベクレル、飛灰からは21,300ベクレル、2号焼却炉の主灰からは4,380ベクレル、飛灰からは19,600ベクレルの放射性物質が検出されております。

24)クリンピーの森周辺の放射線量について、周辺住民の受ける線量は変動シナリオ年間300μSv以下であるためには、毎時0.03μSv以下なければなりませんが、実際にはどの程度か、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)9月4日に測定いたしました、クリンピーの森敷地境界付近の4地点及び、埋立エリア中央付近の1地点、合計5地点において測定した、地表より1mの高さにおける空間線量の値は、1時間当たり0.18から0.29マイクロシーベルトとなっております。

25)渡辺町区長会からの要望には、どのように対応する考えか、お尋ね致します。
 —答弁(生活環境部長)これまで、廃棄物処理施設の維持管理にあたっては、周辺地域の皆様の理解と協力をいただきながら廃棄物の適正処理を行ってきたところであります。
 今後の災害廃棄物の処理にあたりましては、地域の皆様の御理解のもと、事業を進めてまいりたいと考えており、今回の要望に対しましても、市といたしましては誠意をもって対応してまいります。

26)双葉郡の警戒区域等の高レベル汚染地域を通行した車両が洗車などの除染に伴い発生する放射能汚染汚泥について、本市はどのように対処する考えか、お尋ね致します。
 —答弁(行政経営部長)警戒区域等を通行した車両につきましては、全て、Jヴィレッジなど、市外において、放射能スクリーニングや洗車等を実施しているとのことであり、本市を通行する際には除染された状况であると考えられることから、市内において、新たな除染等を行う必要性は低いものと認識しております。市といたしましては、こうしたスクリーニングや除染の実施に際しては、指導・監督を徹底すること、及びスクリーニングの方法や数値について公表することにより、
市民の不安解消に努めることなど、これまでも、国や東京電力に対して、強く申し入れをしているところであります。

 これは車の下回りやゴムなど放射性物質が付いて、いわき市内まで放射性物質を持ってきてしまい、車検などで高レベルの汚泥がでて困っているということなので、きちんと調査をして対処して頂きたいと要望します。

27)施設周辺住民の反対がある中で、本市が焼却と埋立を強引に進めるべきではなく、国と廃棄物を発生させた放射性物質の排出責任者の東京電力の責任において、費用負担も含めて全面的に実施するよう国と東京電力に求めるべきではないかと思いますが如何でしょうか。
 —答弁(生活環境部長)災害廃棄物の処理を早期に進めて行くことは、本市が1日も早く震災からの復興を果たしていく上で大変重要であると認識しております。
 このため、国の処理基準に沿って、焼却や埋立処分を行う考えでありますが、これらの処理は、施設周辺住民の皆様の理解の元に進めていくべきものと考えております。
また、本市といたしましては、これまでも国に対し、一時保管が必要な焼却灰等の最終処分については国の責任・主導のもとに行うこと、一時保管に必要な費用等については所要の財政支援を行なうことなどを、強く要望して参りましたが、引き続き要望して参るとともに、今後、東京電力に対する費用負担の請求等についても、検討して参りたいと考えております。

 いずれにしても、本市の焼却施設や埋設施設が放射性物質の二次汚染源になったり、市民に放射能をまき散らすような事態があってはならないことです。施設周辺住民の合意なしに、本市が焼却と埋立を強引に進めないことを強く求め、次に移ります。

6点目は、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続について、です。

 国は、原子力災害に伴う損害賠償にかかる和解仲介の手続を実施する組織として「原子力損害賠償紛争解決センター」を設置し、東京と福島県郡山市の二カ所に事務所をおきます。
 福島県弁護士会の原発事故損害賠償説明会でも、県内全域で県民多数の参加があり、各地域において相当程度の和解仲介の需要が想定されます。

28)そこで、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続によって、被災者に対して迅速かつ十分な損害賠償が行われることが期待されていますが、相当程度の和解仲介手続き需要があると想定されるため、本市に居住する被災者が容易に利用できるよういわき市での手続きの実施ができる出張所の開設などを、本市として国に働きかけるべきではないか、お尋ね致します。
 —答弁(行政経営部長)原子力災害の損害賠償に係る和解仲介を行う原子力損害賠償紛争解決センターの事務所が、本市に設置されることは、賠償手続を円滑に進めるに当たり、市民の大きな手助けになるものと認識しております。このことから、8月20日に来市された平野達男東日本大震災復興対策担当大臣に対し、その設置を求める要望を行ったところであり、今後も、引き続き、国に対する働きかけを行って参りたいと考えております。


 以上、原子力災害に対する、いわき市当局の危機対応能力の向上とスピーディな対応を求め、わたくしの質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。

*長文、ご覧いただきありがとうございました。
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by kazu1206k | 2011-09-08 18:05 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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