国際専門家会議に関する公開質問状

9月11、12日の両日、日本財団の主催で、福島県立医科大学にて、国際専門家会議 「放射線と健康リスク―世界の英知を結集して福島を考える」 International Expert Symposium in Fukushima-— Radiation and Health Risks が開催されます。

主催者の資料によれば、会議の目的は、
『日本財団は、笹川記念保健協力財団と協力し、1991 年より 10 年間チェルノブイリ事故に汚染された地域に 住む約 20 万人の児童の検診を実施し、WHO,IAEA など世界にこの検診の科学的データに基づく情報を提供 し、高く評価されています。この経験をもとに、福島原発事故による放射線被ばくの健康への影響につい て、世界の英知を集め、科学的な検討を行うためにこのたび下記の要領で国際専門家会議を開催いたしま す。この会議は、福島県民の健康リスク問題を正しく評価し、今後予定される県民健康管理調査事業を支 援すると同時に、新たな国際放射線安全防護に資する方策を考え、福島の復興に資することを目的として います。』

組織委員会は、次の方々です。
笹川 陽平(委員長・日本財団会長)
紀伊國 献三(笹川記念保健協力財団理事長)
菊地 臣一(福島県立医科大学理事長兼学長)
丹羽 太貫(京都大学名誉教授)
山下 俊一(福島県立医科大学副学長、長崎大学教授)
David Heymann (英国グローバル・ヘルス・セキュリティー・センター長)
Fred Mettler, Jr. (国際連合放射線影響調査科学委員会米国代表)

これに対して、市民放射能測定所、47プロジェクト、他120団体は、主催者に、以下のような公開質問状を提出しました。

●国際専門家会議に関する公開質問状

2011年9月10日

国際専門家会議「放射線と健康リスク」組織委員会 御中

この度、貴委員会が9月11-12日に福島県立医科大学で開催される国際専門家会議に対しては、多くの疑問、疑念があります。その疑問は、3月中の段階で福島県住民に対して説明された100mSv以下の被ばくは安全であるとの見解についてであり、また今回の会議の趣旨の一つ「県民健康管理調査」の外部評価についてです。

放射線防護の専門家の役割は放射線被ばくを最小化して健康被害を未然に防ぐことにあると、私たちは考えます。「福島県における県民健康管理調査の取組み」の目的は「原発事故に係る県民の不安の解消、長期にわたる県民の健康管理による安全・安心の確保」とあります。放射線防護の専門家が役割を果たした結果として安全と安心は確保されるものです。100mSv以下の被ばくは安全であるとの説明によって防護に失敗し、その責任が放棄されてしまいました。

また県民健康管理調査次第のなかには、『今回の福島第一原子力発電所事故による健康影響は極めて少ないと考えられる』とあり、結論を現段階であらかじめ断定しているかのような調査を行い、異なる見解を持つ専門家、研究者間の継続的な議論がなされないのは、自らの責任回避を図ろうとしているようにしか見えません。県民、国民、市民の不信と不満は高まっています。原発事故による汚染の結果、現在も各地で様々な形での被ばくが続いています。その責任の多くが日本における放射線防護の専門家とされる貴委員会の委員および国際専門家会議の限定された出席者にあります。当事者が自ら選んだ海外の専門家から、現在の状況を変え、本来の放射線防護に資する見解を引き出せるとは到底考えられません。このままでは見せかけの外部評価にすぎないと断定せざるを得ず、住民の不安は増大するばかりです。

私たちは、以上に述べる理由から、この度の国際専門家会議が福島第一原発事故に伴う放射線被ばくの健康への影響について科学的な検討を行い、健康リスク問題を正しく評価し、放射線防護を行うには不十分と考えております。

ここに私たちの見解をお伝えするとともに、貴委員会の会議に関して下記の通りお訊ねいたします。誠意あるご回答をいただけますよう、謹んでお願い申し上げます。なおこの質問状は、貴委員会にお送りするとともに一般公開いたします。

質問:

1.開催される会議の出席者のなかに、低線量被ばくの健康への影響は国際放射線防護委員会の評価よりも大きいと報告する研究者たちの参加が見受けられません。国際専門家会議として、放射線被ばくによる健康への影響を検討するならば、異なる見解を持つ専門家、研究者同士が議論してこそ意味があるものです。そうした研究者を排除して行われる理由をお答えください。

2.年間100mSvまで安全であると住民に説明を行ってきた貴委員会委員、山下俊一福島県医科大学副学長と生涯100mSvから悪影響が見られるとする内閣府食品安全委員会の見解には大きな隔たりがあります。これに関する貴委員会の見解をお聞かせください。

3.チェルノブイリ事故の影響によるがん死者数、罹患者数に関して、IAEA/WHOの報告(2005年「チェルノブイリ・フォーラム」がん死約4000人)とニューヨーク科学アカデミー報告書(2009年の時点で、がんを含む様々な疾患に加え、死産などに伴う総死者数100万人)、ECRR、ドイツ放射線防護協会、またその他多くの報告には大きな隔たりがあります。それらをどのように説明されるのか貴委員会の見解をお聞かせください。

4.小児甲状腺がん以外の疾病の増加については認められていないとするチェルノブイリ原発事故の「公式」な見解とは異なる多くの研究、報告(ニューヨーク科学アカデミー『チェルノブイリ大惨事ー人と環境に与える影響』、核戦争防止国際医師会議ドイツ支部『チェルノブイリの健康影響』)については検討されるのでしょうか。されないならば、その理由をお聞かせください。

5.専門家、研究者間の意見の違いがあるにも関わらず、お互いの意見が議論されないことで、住民の不安は募り、会議の趣旨に反していると思われます。貴委員会の目的と趣旨のご説明とその理由をお聞かせください。

6.8月16日に行われた記者会見で貴委員会は、県民の放射線に対する不安を払拭するための提言、子どもを持つ母親の不安の解消のための提言を取りまとめるとの発表をなされています。不安を払拭するための提言を行うとありますが、放射線防護のための提言ではない理由をご説明ください。

7.市民の不安を取り除くはずの会議が、一般市民を排除して市民の声が届かない形で行われる理由をご説明ください。

以上
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by kazu1206k | 2011-09-11 07:33 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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