いわき市議会の第2次提言書

震災発生から8ヵ月。いわき市議会は、11月22日、東日本大震災復興特別委員会が議会としての基本的な考え方を「東日本大震災からの復旧・復興に向けた第2次提言書」として取りまとめ、市長に提出しました。これは、7月の緊急提言、8月の第1次提言において検討した事項をさらに議論を深め、新たに発生している問題も加味して検討し、集約したものです。

●「東日本大震災からの復旧・復興に向けた第2次提言書」は、以下の通りです。

東日本大震災からの復興のため、日夜御尽力されている市長はじめ多くの市職員に敬意を表します。
議会といたしましては、本年7月29日に「東日本大震災復興特別委員会」において検討した「緊急提言書」を提出し、続いて8月26日には「東日本大震災からの復旧・復興に向けた第1次提言書」を提出し、復興・復旧に関する諸課題について提言して参りました。
このたびの第2次提言は、震災発生から8カ月あまりが経過し、新たに発生している問題や、緊急提言・第1次提言において検討した事項について、さらに議論を深めた結果をとりまとめたものであります。
現在、執行部におかれましては、復興事業計画を策定中とのことでありますが、その計画が、市民の期待と要望に応え、本市の復興を大きく前進させる原動力とさせるべく、多くの市民や事業者の切実な声を込めて、議会として復旧・復興に関する諸施策を提言するものでありますので、復興事業計画の策定や次年度当初予算の編成に当たっては、提言する項目を是非とも取り入れられますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。
併せて、本市の着実な復旧・復興の実現のためには、執行部と議会が一丸となって取り組む体制が不可欠でありますことから、これまで提言した項目の実現状況や進捗状況を逐次確認しながら、市民の負託を受けた議会として主体的に活動してまいりたいと考えておりますので、今後とも、御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

1 生活再建支援・居住環境整備

⑴ 被災者支援
ア いわき市に戻ってくる避難者やいわき市に再避難する方などのために、適時適切な一時提供住宅の再調整を行うなど、必要な住宅支援策を講ずること。
イ 仮設住宅における寒さ対策などの居住環境整備について、入居者の意向を十分に汲み取り、その内容を県に対し要望すること。
ウ 被災者に対する寒さ対策として、暖房器具を支給するなどの措置を講ずること。
エ 津波被災地における被災事業者(商店・小規模事業者など)の生活再建支援のため、他地域で事業を再開する場合の支援を強化すること。

⑵ こころのケア
ア こころのケアは、一被災市町村での対応には限界があることから、県域又はそれを超えた範囲で支援するための拠点整備を行うとともに、効果的な支援を展開するよう国・県に対し要望すること。
イ こころのケアは、専門知識を有する人材の確保が不可欠であることから、これら専門知識を有する職員を採用するとともに、必要に応じて国・県から職員の派遣を受けるなどし、その体制を整備すること。
ウ こころのケアは、先進事例の調査・分析に加え、被災地における個別事情を考慮して対応する必要がある重要かつ困難な事項であることから、こころのケアに関わる職員に対する充実した研修を実施すること。
エ 復旧・復興に携わる自治体職員についても、職員自らが被災者であることを踏まえ、また、被災者に対するサービス維持等の観点からも、こころのケアを行うこと。
オ こころのケアは、その対応が長期に及ぶことから、国等の協力を得ながら長期的な展望に立った体系的なプログラムを策定するとともに、ニーズの変化にも迅速かつ適確に対応できるよう当該プログラムの適時適切な見直しを行うこと。
カ 効果的なこころのケアを実施するため、国等の協力を得るとともに、これに携わるそれぞれの機関の役割を明確にしたうえで、いわき市の需要に適応した独自のケアを適切に提供できる体制を早急に構築すること。
キ こころのケアは、広い視野に立ってサービスを提供する必要があることから、「利用者」と「提供者」の双方の立場を把握・理解しながら、サービスの提供のあり方を客観的に評価するとともに、最適なサービスメニュー等を提案できるコーディネーターを設置すること。

⑶ 自治体との連携強化等
ア 他市町村からいわき市への避難者が多いことから、特に福祉部門や消防・救急部門について、避難の実態に基づく職員応援体制などの措置を国・県に対し要望すること。
イ いわき市と双葉郡8町村との意見交換会や事務担当者会議など、避難自治体と受け入れ自治体の連絡・連携にかかる会議等については、お互いが当事者であることなどを踏まえ、県主導により実施することを要望すること。また、いわき市と双葉郡8町村との連絡・連携に関する県の窓口をいわき地方振興局に設置するよう要望すること。

⑷ 民間団体等との連携・支援体制のあり方
ア 有事の際に効果的に機能する、行政とNPO法人やボランティア団体などとの連携体制を構築するため、平常時から、これら団体等との有用な関係を築くこと。
イ 民間団体が有する人材やノウハウを有効に活用する観点から、いわき市社会福祉協議会を市内のNPO法人やボランティア団体などを統括する基幹団体に位置づけるとともに、その機能を十分に発揮できるよう体制整備を図るなど必要な支援を行うこと。
ウ 避難所等に対する停電時における電力供給について、電力会社と応援協定を締結するなどし、対策を講ずること。

⑸ 情報の把握・発信
ア 被災者に対する情報の発信に当たっては、情報通信機器のみに依存せず、マンパワーやコミュニティ内の人的結合による伝達能力を再評価し、情報発信の強化を図ること。
イ 震災発生からこれまで、市民から寄せられた災害に関する問い合わせの内容と回答を分野別に取りまとめたQ&A集を作成し、公開すること。

2 地域産業再生・復興及び雇用対策

⑴ 情報の把握・発信
ア 専門の機関・企業・大学が集まるシンポジウム・コンベンション・会議を開催して企業関係にアピールできる仕組み・ステップ作りをすること。
イ 洋上風力発電の学会の大会開催をいわきに誘致すること。

⑵ 都市魅力イメージ戦略
ア 「総合エネルギー産業都市」を目指し、メガソーラー(大規模太陽光発電施設)の誘致などを推進するとともに、原発に依存しないエネルギー都市構想を発信しながら都市魅力の増進を図ること。
イ ゴルフ場跡地等を利用し、低額な宅地・住宅の供給を行うことにより、避難者の定住化を図り、定住人口の増加と都市魅力の増進につなげること。
ウ 長期的将来の定住人口増加を図るため、大都市部からの移住者受入れに関する取り組みを継続すること。
エ 環境イメージ戦略としてのエコ特区を設け、エコタウン構想を復興計画の基軸に位置づけること。
オ いわきの60kmの海岸線に防潮林を造成し、健康(サイクリング・ウォーキングなど)のキーワードを組み込みながら、防潮林を擁したいわきの都市イメージを形成すること。
カ エコ住宅の建設費補助により被災者の住宅建設を支援できるよう国費の交付を求めること。
キ JRの駅を降りて歩いて行ける特性を生かした湯本温泉街をアピールすること。

⑶ 風評被害対策
ア 環境省福島環境再生事務所関係機関の本市への設置を国に求めるなど、除染技術の研究拠点施設を本市内に整備すること。
イ 地産地消を一層推進することにより、本市産品の安全性をアピールすること。
ウ 放射線量の測定値の公表を徹底すること。
エ 除染作業の実施実績(実施の前後の放射線量比較を含む。)をアピールすること。

⑷ 地域経済支援
ア 経済特区制度を活用し、独自の産業圏を形成すること。
イ 企業支援及び新規の企業進出の促進のため、被災地域の電力料金割引の特別措置を国に求めること。
ウ 原子力被災地についての新たな給付金制度の創設を国に求めること。
エ 地場産業・地域産業に対しての優遇措置も柱として必要であることから、資金の借入だけではなく、固定資産評価の見直しや固定資産税等の減免などの措置を、経営体力がつくまでの一定期間実施すること。この場合における市税の減収分については、国費による補填が確実になされるよう国に求めること。
オ 地域経済と防災に寄与する交通網のインフラ整備構想を策定すること。
カ 震災と原子力発電所事故により寸断した交通網を補うため、高速道路料金の恒久的無料化を求めること。
キ 小名浜港利用に係る船舶へ特典を付与する制度を設け、利用を促進すること。
ク 震災復興需要が去った後の経済対策を講ずること。

⑸ 雇用対策
ア 都市計画特区・土地利用規制(用途制限)緩和特区の創設を国に求め、事業所の再建・再開を加速することによって雇用の確保を図ること。
イ 電気事業者・用地提供者・自治体のいずれにもメリットのある発電施設立地の仕組みを構築し、メガソーラー(大規模太陽光発電施設)、風力発電施設など新エネルギーの関連企業を誘致すること。
ウ モノづくりと人材を育てる機能とを合体させた新しい工業団地を興し、高い技術を持った人材の輩出を図ること。
エ 原子力発電所事故や季節の影響を受けない農業生産工場の建設など、国の補助制度等を最大限に活用した革新的な一次産業の育成により、安定した雇用を創出すること。
オ 不稼動漁港の活用策による雇用対策を打ち出すこと。
カ 防潮林植林事業を創設し雇用対策とすること。
キ 震災によって失業状態にある被災者が、失業の生活不安からこころのケアを要する状態に陥ることを防止するため、被災者の就労状況を把握し、実効性ある就職支援を早急に実施すること。

⑹ 新エネルギー・再生可能エネルギー産業
ア 電気事業者・用地提供者・自治体のいずれにもメリットのあるメガソーラー事業の仕組みづくりを構築すること。
イ スマートグリッド(次世代送電網)・スマートシティ関連産業への投資を促進できる環境づくりと機運の醸成に努めること。
ウ 漁業関係者との調整を図りながら福島県沖洋上風力発電事業へ積極的なかかわりを持つこと。
エ 水力・揚水式水力・小水力エネルギーの能力やバイオエタノール燃料などバイオエネルギーの事業化を再評価すること。
オ IGCC(石炭ガス化複合発電)の早期実用化に向けて、国の事業推進を求めること。
カ 生活に身近なエネルギーに新エネルギーを取り入れたエネルギー使用生活モデル(木質ペレット・木質がれき・個人住宅太陽光発電(売電価格の引き上げによる発電設備の普及促進)・温泉による温水発電や生活環境への温水利用・いわき版エコポイント等)を創案し、市民に提案すること。
キ 産業技術総合研究所など日本のエネルギー戦略を根本から考えるための研究機関を本市に設置するよう誘致活動をすること。
ク エネルギー産業導入経済特区を制定し、新エネルギー及び再生可能エネルギー産業のインキュベート機能化を図ること。

3 防災まちづくり及び原子力災害対策

⑴ 災害に対応し得る地域力の再生・強化
ア 防災に関する知識を普及させるための副読本を作成し、初等教育に活用すること。

⑵ 防災基盤施設などの高度整備
ア 公共施設の情報発信基地としての機能を高く再評価し、機能が最大限に発揮されるよう充実を図ること。
イ 公共施設の通信網(光ファイバー)の機能状況・導入効果を検証し、その効果が高度に発揮される運用体制を整備すること。
ウ 避難所に指定されている施設のうち、学校施設については、災害対応部分の補助メニューの新設・拡大等を国に要望すること。

⑶ 市の取り組み及び組織体制
ア 東日本大震災に関する総合窓口を本庁及び支所にそれぞれ設置し、庁内外の関係機関と連携した相談案内体制を構築し、きめ細かく対応すること。
イ 被災者援護に民間活力を最大限に生かすため、災害ボランティア等との連絡調整を行う窓口機能の強化を図るとともに、災害ボランティアを育成するための仕組みづくりを進めること。
ウ 市民の情報受信力の強化を啓発すること。
エ あらゆるメディアを通じて情報を提供できるよう、情報発信手段を多重化し、かつ、重要な情報が市民に確実に行き渡るよう、能動的な手段により情報を発信すること。
オ 非常用備蓄品として、携帯ラジオを配備すること。
カ 東日本大震災を通じて得た多くの貴重な教訓や課題を精査し、広く庁内外でその情報を共有・活用するとともに、各種行政計画の策定にも活かすこと。
キ いわき市生活支援連携会議について、会議をより効果的かつ実効性あるものとするため、消防部門や水道部門の委員を加えるなど、参集範囲の拡大を検討するとともに、復旧・復興に向けては庁内連携が極めて重要であることから、当該事務を所掌する職員の増員又は組織の新設について検討すること。

⑷ 原子力発電所事故への対応
ア 原子力損害賠償紛争解決センターを本市に設置するよう国へ要望すること。
イ 補償と損害賠償を対象とする区域については、福島第一原子力発電所からの距離のみによって形式的・画一的に区分することなく、放射性物質の影響を被った区域全域を対象とすること及び原子力発電所事故に起因する被害への適正かつ速やかな支払いの実施を東京電力株式会社及び国に要望すること。
ウ 更なる原子力災害を想定した避難計画を作成し、避難訓練を実施すること。
エ 原子力安全庁の本市への誘致を国に要望すること。
オ 東京電力株式会社との連絡通報体制(ホットライン)を構築し、原子力発電所の状態を含め情報の把握に努めること。

⑸ 放射性物質への対応
ア 市街地は500mメッシュ、その他の区域は1Kmメッシュで放射性核種別の線量マップを早急に作成すること。
イ 食品の簡易放射線量測定器を各支所単位に配備し、市民の利用に供すること。
ウ 除染費用を助成する制度の創設を東京電力株式会社及び国に要望すること。
エ 放射性物質に汚染された瓦れきの中間貯蔵施設を国と東京電力株式会社の責任において設置するよう要望すること。
オ 総合磐城共立病院における放射線被曝医療分野の機能強化を図ること及び長期的視点で市民の健康管理ができるよう健康管理センターを整備すること。
カ 放射性物質による内部被曝の軽減を図るため、免疫力を高める養生食を普及させるための講習会を開催すること。
キ 市職員が放射線に関する認識を深めるため研修会を実施すること。
ク 福島第一原子力発電所から30km圏内の市内でも放射線量が比較的高い地区を都市再生モデル地区として、効果的な除染方法の確立を図ること。
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Commented by MIKE at 2011-11-26 10:45 x
先日は夜明けの震度4の地震で目を覚ましました。大震災以降、家自体に何らかの損傷があるのか、最近は強い風でも揺れを感じるような気がします。

ところで、現在の福島第1原発、各建屋の耐震強度はどの程度なのでしょうか。
最近の報道は、収束に向けての将来的な話ばかりで、今そこにある危機について、あえて目を瞑っているように感じます。
さらに、もし原発に何かあった場合の避難方法には、新たな検討が加えられているのでしょうか。

3月の時には避難をしなかった人たちも、次に何かあれば逃げると考えている人がほとんどだと思います。
国や東電の発表を信じる人も少ないでしょう。
今度こそ本当のパニックが起こります。
by kazu1206k | 2011-11-24 17:24 | 議会 | Comments(1)

佐藤かずよし


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