除染の限界、住民の生存権守れ

10月7日、野田首相は福島第1原発の視察後、楢葉町の楢葉南小学校の除染現場や同町大坂地区の汚染土壌仮置き場などを視察し、同行記者団に「復興再生の全ては除染だ。除染のスピードアップをしないといけない。長浜環境相に指示した」と話したという。
環境相に指示した内容は、(1)除染や廃棄物処理に当たる環境省の出先機関「福島環境再生事務所」に権限を移譲し作業を迅速化(2)関係府省の連携強化(3)進捗状況を住民に情報提供とされ、環境省は10月中に対策を取りまとめて公表する方針だという。

楢葉町は、8月10日に警戒区域が解除となり、政府により20ミリシーベルト未満の「避難指示解除準備区域」。環境省の「特別地域内除染実施計画」によって、住民の帰還に向けて学校など子どもの生活圏での除染作業、道路や水道などのインフラの復旧状況を見極め段階的に縮小することになっている。いま町のあちこちで、環境省の「福島環境再生事務所」所管のゼネコンのJV企業体による除染が始まっている。財物補償もままならないのに、何が何でも帰還させようという政府の意図がみえる。
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楢葉町の父の実家。航空モニタリングでは年間10ミリシーベルト〜20ミリシーベルトの空間線量率の地域。実家の話しでは、先行した地域施設は2回除染したが除染後も毎時1.1マイクロシーベルトという。先行除染した汚染土壌等の仮置き場が自宅近くの所有する田圃に隣接して設置されたしまったと、隣接地権者無視の国と町のやり方に憤っていた。
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室内でも、空間線量は毎時0.63マイクロシーベルト。年間で5.518ミリシーベルトになる。ここに帰って住もうとは思わないと、実家の話。当然のことだ。
政府が、20ミリシーベルト未満の「避難指示解除準備区域」に住民の帰還を強制することは、被曝の強制であり、明らかな生存権の侵害だ。「法治国家」でこんなことが到底許されるものではない。

窓ひとつ、隣りを気にして生活なければならない仮設住宅で先の見えない困難な生活に喘いでいる避難住民。汚染された大地への帰還を迫る政府と行政の理不尽さ、利権化した除染への不信、破壊された日々の暮らし、怨嗟の声が深まっている。
除染しても空間線量が下がらないところに帰還はありえない。汚染された大地で農業はじめ産業がどう成り立つのか。誰がどのように生産活動を行い、誰が流通させ販売し、誰が消費するのか。帰還して生活が成り立つのか。
1兆5千億円を超える除染事業費は壮大な無駄遣いにならないのか。それよりも、住民が次の生活に進むことができる一律財物補償を早急に行うことが必要だ。政府や行政には、被災住民の生存権を守る義務がある。
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by kazu1206k | 2012-10-08 22:10 | 地域 | Comments(0)

佐藤かずよし


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