被災者支援法いわきフォーラムの内容

 11月10日、「原発事故子ども被災者支援法いわきフォーラム」(主催:いわき市議会創世会)がいわき市総合保健福祉センターで開かれ、いわき市民をはじめ双葉郡からの避難者など約130名が参加しました。
e0068696_2030170.jpg
主催者あいさつなどに続いて、海渡雄一弁護士(日本弁護士連合会)が「原発事故子ども被災者支援法の概要と課題について」と題して、1時間にわたり、法の概要説明と問題提起を行いました。
e0068696_20501399.jpg
 海渡雄一弁護士は、基本方針に求められる方向性について、次のように課題を指摘しました。
1)法の目的を踏まえ、健康被害を未然に防止するという観点から予防原則を基本方針に明記すべきである。
2)支援対象地域の策定に当たっては、1ミリシーベルト以上+福島全域を対象とし、事故直後のヨウ素による初期線量も重視するようにしてほしい。
3)避難者、母子避難家庭などに対して、避難、移動の費用、高速道路料金の無償化の保障をしてほしい。
4)滞在者については、被曝の低減につながる場合には除染を含む効果的な活動を行うと共に、保養、移動教室などの被災者が地域外に出ることによって被曝を低減する施策に費用負担をすること、さらにはこれらの施策を実施する実施NGOに対する補助を求める。
5)県民健康調査については、不安の払拭という誤った目的が前提とされ、低線量被曝の健康影響を軽視する専門家だけで運営されており、低線量被曝の危険性について科学的に解明されていないという法の基本理念とは矛盾したものとなっている。被害の未然の防止県民の間に不信の声がある中で、セカンドオピニオンを求める権利とそのための費用を保障してほしい。
6)県外にもかなり高い被曝線量を示す地域があること、初期には広範囲にかなり高い被曝がもたらされた地域が県内外にあること、福島県民が全国に避難していることなどを踏まえ、将来的には国が主体となって公正な健康診断システムを確立することを求める。そして、その対象として甲状腺以外も対象とすることを求めたい。
7)地方自治体や民間で現実に取り組まれている創造的な施策に柔軟に支援できる仕組みを作ること。
8)基本方針の策定だけでなく、今後の変更や施策の実施段階でも継続的に市民の意見を取り入れられるシステムを作り上げ、この法律が確実に被災者の支援の実になるものにしていってほしい。

 創世会からは「政府の基本方針に求めるもの」と題して、平野復興大臣宛に提出した『「原発事故子ども被災者支援法」基本方針の策定にあたっての要望』の内容である、福島県全域及び年間線量1mSv以上となる全地域を支援対象地域として指定することや全ての被災者に健康管理手帳を交付すること、リフレッシュ保養を制度化することなど、法律条文毎21項目の概要を問題提起しました。
e0068696_20462921.jpg
 市民・自治体からの要望では、
 平第四小学校PTA会長の鈴木さおりが、いわき市は放射性ヨウ素による初期被曝により4月まで線量は高かったことから、母としてPTAとしてこどもたちの被曝低減に全力で取り組んできた経過をふまえて「福島全域を支援対象に。県民全員の毎年の健康診断と一生涯の医療費の窓口無料化。汚染地のすべての除染。食の安全確保のため基準値を下げ、給食の検出下限値を下げて」と訴えました。
 いわき放射能市民測定室事務局長の鈴木薫さんは、事故のあとに感ずることは、政府、自治体から大切なことをあとで知らされることが多かったことに驚いたとしながら、「こどもの保養のため、久米島にデイズジャパンの皆さんの支援も受けて一ヶ月50人のこども達が2週間の保養をしている。もっと長く行きたいが、15日が精一杯。今は学校を欠席して保養に行っているが、出席日数となる扱いにしてほしい。伊達市でやられているように、クラスごと、学校ごと保養に行けるようにしてほしい」と訴えました。
 福島の子どもたちを守る法律家ネットワークの菅波香織弁護士は、「この法律にはすごいところがある。特に放射線の危険性について『科学的に解明されていない』と明記した。いわきは線量が低いといわれるが、この法律は不安に思って当然だと認めてくれている。二条2項にはひとりひとりの判断を尊重すると書いてある。放射線についての考え方は人によってさまざまである。不安な人、平気な人がある。いわきは安全だから除染といえない空気がある。こどもたちの環境を特に除染してほしい。住民の意見、この地域についてはいわきの人にしか、本当のニーズはわからない。市民である私たちが決めるべきだ」と述べました。
 自治体からー本間静夫いわき市保健福祉部長は、「市としても期待。支援地域にいわきが含まれるのかという点について、当然含まれるべきだと考える。少なくともいわき市の全域指定してほしい。放射性ヨウ素による被曝が当市としては重要である。市民の不安も大きい。セシウムの量だけで判断するべきでない。被害地域の意見を聞いてほしい。県民の健康管理に取り組んでいる。国からの財源で造成された県の基金が枯渇することのないように要望したい」と述べました。
 避難者から—双葉地方原発反対同盟の佐藤龍彦さんは、楢葉町にいたが避難で7回転居して、いわきに住むこととなったとはなし「支援法については注目していた。疑問点は、不安の解消ではなく、被曝させられた、実害を受けたという事実を受け止めてほしい。医療費の減免は全部国が見るべき。取り返しのつかない事故を起こしたのは誰か。支援法ではない。償いの法律であるべきだ。国からの謝罪がない。国も県も帰還一辺倒で町と行政を守ろうとしている。一番心配なのは生活と命と健康だ。被災者に選択権があるという法律は画期的だ。しかし、自立できるための、裏付けとなる賠償のあり方になっていない。健康被害の立証責任は国と東電の側にある。無料で補償するべきだ。健康手帳はしっかり実施してほしい。検査と予防と生活保障を福島全域で発行してほしい」と訴えました。

 会場から意見交換で、大熊町の女性からは「12月には県外への避難への災害救助法による支援を打ち切る方針だという。災害救助法で難しいなら、支援法で切れ目なく支援をつないでほしい。これからの新たな避難の支援を続けてほしい」と切実な訴え、いわき市の母さんは「こどもたちのことが心配。県立福島医科大だけが、なぜデータを集めているのか。検診結果も告知されない。待ちきれないで市民測定室で測っている。こどもたちの貧血が増えている。ストロンチウムも増えている。プルトニウムについては測定データがあるのか、公表されない。実害が生ずるかどうかは5年後にわかる。危機感が薄れているのではないか。復興よりも被害が出た時にどうするのかの方が大切だ。本音では避難させてほしい。でも経済的にできない。こどもの疎開を認めてほしい」と訴えました。

 市民などの意見を聴いた復興庁の水野靖久参事官は、原子力災害についてお詫びし、所管庁として国の責務で全力をあげたい、基本方針について担当参事官として作業を進めているとし、支援地域をどうするのかが最初の問題で、支援の具体策は、保養の充実、母子避難の高速道路費用の支援、NPOへの支援、健康管理の充実などが柱になるとして、「支援対象地域については、年間積算線量1mSv、1mSv+福島全域、5mSv、東電賠償地域の猪苗代までなど色々な意見がある。NPO支援については、新潟や山形などが対象地域になるだろう。地域外の子どもたちが支援対象にならないということはないと思う。対象地域と支援策は違う。個々の政策ごとに支援対象は違うと感じる。夜も眠れないほど悩んでいる。被災者の皆さんの意見を斟酌したい。意見を聞き大変有益であった。基本方針の策定が大詰めにさしかかっている。どうかよろしくお願いしたい」と発言しました。







 
[PR]
by kazu1206k | 2012-11-13 21:38 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k
プロフィールを見る
画像一覧