被災者支援法で復興庁に要請

 福島原発震災の被災者支援に取り組む全国130名以上の自治体議員で構成する、福島原発震災情報連絡センターは、11月20日、「原発事故子ども被災者支援法」基本方針の策定にあたって、復興庁に要請行動を行いました。要請行動には、共同代表の佐藤和良・いわき市議、中山均・新潟市議、松谷清・静岡市議、センター事務局の野村羊子・三鷹市議が参加。要請書を復興庁で水野靖久参事官に手渡した上で、約1時間、内容説明と意見交換を行いました。
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 センター側からは、支援対象地域を福島県全域及び福島県以外の追加被曝線量が年間1mSv以上となる地域の指定を強く求めた他、5月のウクライナ非常事態省等の視察を踏まえて、チェルノブイリ法による年間40日の保養休暇制度や各種の社会保障制度などの情報提供を行い、伊達市の移動教室や各種団体・地域での被災者支援の実情を踏まえた保養制度の枠組み創設や被災者自身が健康を管理し全国どこでも健康診断や医療行為を受けることができる健康管理手帳を全被災者に交付することを訴えました。
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 水野参事官は、総選挙で予算編成がいつになるのか、12月下旬に特別国会以降、組閣が終らないと先が見えない、従来の与党PTによる政策推進が新政府ではどうなるかも不透明であること、と話しました。一方で、支援対象地域の指定や必要な施策などの準備はしていることを明らかにし、「支援対象地域」の指定だけに拘泥せず、必要に応じて施策課題毎にカバーできる対象が広がる可能性があるという見解も示しました。また、健康管理手帳などの支援法第13条の「放射線による健康への影響に関する調査、医療の提供等」に関しては、環境省で施策をまとめているとのことで、「縦割り行政」の中、コントロールタワーとしての復興庁の力が試されているところです。

●要請書は、以下の通りです。

2012年11月20日
復興庁
復興大臣 平野達男 殿

福島原発震災情報連絡センター
共同代表          
佐藤和良(いわき市議)
松谷清(静岡市議)
中山均(新潟市議)
            
「原発事故子ども被災者支援法」基本方針の策定にあたっての要請


 東日本大震災への災害対応や復興への取り組みついて、心より敬意を表します。
 さて、私たち「福島原発震災情報連絡センター」は、福島原発震災の被災者支援などに取り組む全国130名以上の自治体議員で構成しており、チェルノブイリ事故の汚染や健康影響の残るウクライナへの視察や調査、被災者支援や放射能汚染に関する研究会などを重ね、本年5月29日には「『原発事故の被災者の生活支援に関する法案』についての要請」を各政党代表者に対し提出しました。
 私たちを含む多くの市民団体などの要請や取り組みなども踏まえ、本年6月、超党派の議員立法で「子ども等に配慮して行う東京電力原子力事故の被災者の生活支援に関する施策の推進に関する法律」が成立しました。本法律は、本件事故により放出された放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと(第一条)、被害者が被災地に居住するか、避難するか、あるいは避難した後帰還するかについて、被害者自身の自己決定権を認め、そのいずれを選択した場合であっても適切な支援を受けられること(第二条第二項)、さらに国がこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を負っていること(第三条)などを明記しており、これらの点を私たちは高く評価しています。この法律に基づき整備される基本方針や政省令並びに事業計画において,その理念が生かされるように,その具体化や充実が望まれるところです。
 特に、妊婦や子供だけでなく、成人も含めてその他多様な健康被害の可能性を配慮し、年齢、性別、居住区域などの制限を厳格化せず,できるだけ広く対象とすべきです。また、今回の事故により家族と離れ離れになるなど生活環境や経済・雇用関係が激変した方々は,心身にもさまざまな影響が生じている可能性があり,放射能による健康被害という観点だけでなく、心理ケアやサポート、保養の必要性も施策の中に組み入れられるべきです。さらに、この法律の見直しに当たっては、放射線量と支援対象地域との関係の観点のみにとどまらず、広い観点から検討する必要があると考えられます。
 そこで私たちは、本法律に基づく基本方針の策定にあたって、被災当事者の現状や意見、支援者の問題意識なども踏まえ、以下の通り実現を図るよう、要請するものです。



1.国の責務(第三条)及び法制上の措置等(第四条)について
(1)「国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任」を負っており、被災者生活支援等施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有し、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないことから、来年度予算より各支援等施策の項目毎の財源確保等を行うこと。

2.基本方針(第五条)について
(1)被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方向として、被災者一人一人に寄り添い、必要な支援を実施する万全の体制を構築すること。
(2)支援対象地域は、福島県全域及び福島県以外の追加被曝線量が年間1mSv以上となる地域を全指定すること。
(3)支援対象地域以外であっても、事故直後に一時的に高い線量や汚染が観測・確認された場合には、その地域でも適切な調査や支援が実施されるよう配慮すること。

3.汚染状況の調査等(第六条)、除染の継続的かつ迅速な実施等(第七条)について
(1)汚染調査は、α核種・β核種を含め放射性物質の種類毎にきめ細かく実施すること。
(2)子どもの暮らしや学び・遊びの場などの除染等を早急に実施すること。
(3)各家庭の建物や庭などの除染費用の助成制度を整備すること。

4.支援対象地域で生活する被災者への支援(第八条)について
(1)心的ストレスへの心のケアやサポート体制を整備すること。
(2)屋内公園や屋内運動場などの運動施設を整備すること。
(3)子どもたちの宿泊移動教室や長期休暇時のリフレッシュ保養を制度化すること。
(4)心身の健康保持のため保護者等の保養休暇制度を創設すること
(5)特に学校・園の給食や妊産婦の食事などを中心に、汚染のない食材の提供などの枠組みを整備すること。
(6)教職員に対する低線量被曝に関する放射線防護教育を実施すること。その場合、本法第一条で明記された「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」という観点を十分に踏まえ、既製の安全論のみに依拠せず、危険性を指摘する主張や意見、予防原則の考え方なども重視すること。

5.支援対象地域以外で生活する被災者への支援(第九条)について
(1)移動支援のため高速道路の無料化を再導入すること。また、自家用車や高速道路以外の移動支援も整備すること。
(2)住宅提供(住宅借上制度)の新規受付の継続、提供期間の延長を確保すること。
(3)母子避難に伴う託児施設の確保や移動先における就学・就業支援の促進を図ること。
(4)家族と離れて暮らす子どもに対する各種支援を進めること。

6.放射線による健康への影響に関する調査、医療の提供等(第13条)および国際的な連携協力(第17条)について
(1)支援対象地域の全ての被災者に健康管理手帳を交付すること。
(2)支援対象地域の全ての被災者の定期的な健康診断、子どもの生涯にわたる健康診断を実施すること。
(3)甲状腺がんの未然防止ために、現在実施されている福島県の県民健康管理調査に国が積極的に関与し、国の責任において、「早期発見」「早期治療」のために現状を是正すること。
(4)血液検査、尿検査等の追加、市町村の検査体制確立にむけた財政援助、甲状腺検査等の拠点病院の確保など、抜本的な検査体制の確立を図ること。
(5)大人も含め全被災者の医療費負担の減免を行うこと。
(6)チェルノブイリ事故による影響について、小児甲状腺癌以外の健康被害に関する最新の医学的知見や報告(事故25周年国際会議の報告等を含む)などの情報の収集や調査研究を進め、今後の対策に活かすこと
(7)健康調査や医療については、本法律の第一条や原子力規制委員会設置法の参院付帯決議を踏まえ、ICRPの知見や基準のみならず、ECRRなどの主張も参考にすること。

7.意見の反映等(第14条)および法の見直し(附則)について
(1)被災者の意見を反映するため被災者協議会を設置して、施策策定に参画させること。
(2)支援対象に指定された地域を「放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直す」(附則第2項)に基づき指定から除外する場合は慎重に対処し、健康調査・医療提供など必要な支援策が継続できるようにすること。
(3)施策の拡充や見直しにあたっては、被災者の声はもちろん、支援活動に従事する者などの意見も聴取すること。
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by kazu1206k | 2012-11-21 09:50 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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