鮫川村の放射性廃棄物焼却の実験施設

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 環境省は、東京電力福島第一原発事故で放射性物質に汚染され保管されている稲わら、牧草などの農林業系副産物の焼却実証実験を行う施設を、東白川郡鮫川村青生野地区の放牧地に11月15日から建設をはじめた。鮫川村青生野地区の建設地は、塙町、いわき市、茨城県北茨城市と隣接した水源涵養地で、複数の河川の源流部にあたる。

 環境省によれば、県内に保管されている8,000bq/kg超の農林業系副産物(稲わら、牛ふん堆肥、牧草、きのこ原木、果樹剪定枝など)を焼却対象物として減容化・安定化を図るため、仮設の小型専用焼却炉を設置し、焼却による減容化の実証試験を行うとされ、1日5トン程度を処理できる小型炉で、来年1月中に実証実験を始め、計600トンの焼却を見込むという。敷地面積は1600平方メートル程度。焼却期間の終了は、平成26年9月を予定しており、焼却灰の管理は焼却炉の設置場所または隣接地に管理型最終処分場での処分を想定し、保管する方針という。

 環境省の委託事業で、焼却炉の設置費用を含めた今年度の事業費は4億6200万円、25年度は1億8000万円、26年度は9300万円を見込んでいる。

 この動きに対して、鮫川村役場などよりも建設地に近く、焼却炉の建設地から約1.5キロの場所に自宅がある塙町の和田さんらは、『焼却すれば灰に放射性物質が数倍から百倍以上に濃縮されますが、その灰も予定地に埋設されるとのことで、地元の方々から不安の声が上がっています。何より予定地は水源地であり、ひとたび放射性物質が混入すれば広範囲に汚染が拡散されることになります』と訴え「那倉を放射能汚染から守る会」を結成。鮫川村の役場に公開質問状、再質問状、役場での話し合い、一旦工事を中止して地元にきちんと説明し同意を得ることを求めたが、聞き入れられず工事着工されたため、鮫川村長宛に「1.焼却炉建設の必要性がない。2.処分場は放射性物質の二次汚染を引き起こす可能性が高く危険である。3.地域住民の同意を得ていない。4.貴村の信用とイメージが失墜する。5.公費の無駄遣いである。」などの理由で工事停止の要望書を提出した。(末尾に掲載)

 翻って、いわき市の水道水源は、取水量の約85%を夏井川・鮫川などの中小河川の表流水に依存している。この鮫川村青生野地区は、いわき市の水道水源保護地域の上流域、鮫川水系のひとつ四時川の源流部のひとつにあたる。ここに放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設が建設され、高レベルに放射能汚染された8,000bq/kg超の指定廃棄物の焼却および最終処分地になろうとしている。鮫川村に先行して飯舘村、大熊町で実施された実験結果では数万bq/kの有機物を燃やした後の灰には50万から2百万bq/kを上回る数値が出ているという。
 現在、8,000bq/k超の指定廃棄物は本来国が責任を持って処理することになっているにもかかわらず、なぜ市町村で処理しなければならないのか。
 いわき市は事態を把握するとともに、水道水源の放射能汚染被害を未然に防止するため、鮫川水系水質汚濁対策連絡協議会等の開催を求めるなど的確な対応をして、市民の命と健康を守らねばならない。

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鮫川村
村長 大樂勝弘 殿

焼却処分場工事の白紙撤回を求める要望書

 青生野地区焼却処分場建設計画について以下の理由により直ちに白紙撤回することを求めます。

1.焼却炉建設の必要性がない。
8,000ベクレルを超える放射性廃棄物の焼却実験とのことですが、対象のものはわずか28トンに過ぎません。どうしてもこの処理が必要ということであれば、これだけ一時的に保管し5年後に政府が作る最終処分場に持ち込めばよいだけの話で、焼却炉を作る必要はありません。
また600トンを焼却する予定ですが、堆肥原料落ち葉10トンは業務開始後に搬入、庭木・立木342トンは実施期間中発生の都度搬入となっており、要するに今後集めることになります。しかし、貴村は福島県内にあって非常に汚染の低い村であって除染の必要はなく、庭木、立木、落ち葉を広範囲に集める必要はありません。除染対象地区に指定されたのは昨年度でありその後1年を経て線量は0.1マイクロシーベルト台に下がっています。沢水など村民の生活に直結するマイクロスポットのみの除染で十分なはずです。

2.処分場は放射性物質の二次汚染を引き起こす可能性が高く危険である。
  当会では処分場建設について専門家を招き、勉強会、講演会を重ねておりその結果として危険性の高い施設であると認識しています。建設予定地周辺には多くの住民が居住しており健康被害、風評被害が予想されます。
  他町村で行われた焼却実験では、200万ベクレル/kgを超える汚染灰が発生しています。貴村では焼却灰を10万ベクレル/kg以下に抑えるとのことですが、単に灰を希釈するかどうかの違いだけで、放射性物質の総量は変わらず意味がありません。焼却灰の保管は5年とのことですが、貴村が計画しているセメント固化は崩壊が早いこともあり、また万一の地震を勘案すれば充分な施設とはいえません。
  建設予定地は自然林に囲まれた水源涵養地であり3つの河川の源流となっています。国の天然記念物であるヤマネも生息する豊かな生態系があります。こうした地を二次汚染の危険性に晒すのは愚かです。

3.地域住民の同意を得ていない。
  建設予定地は塙町、いわき市、北茨城市との境にあり、処分場建設による影響は貴村住民だけでなく近隣市町村住民にも及ぶものですが、建設が始まろうとしている11月になっても依然として貴村では地域住民への説明会すら行っていません。また当会で開催した専門家による勉強会に再三参加要請したにも関わらず貴村からは大楽村長はじめ誰一人参加せず、安全確保を図るためにあらゆる観点から安全性や危険性を把握しようとする姿勢が見られません。さらに、当会が求めてきた施設資料の開示すら応じていません。
こうした放射性物質の焼却処分場を作るのであれば、はじめに地域住民への説明を行って、どのような施設を作り、どのような業務を行うのか、その際の環境汚染やそれに伴う地域住民への健康被害はどれほどが予想されるのか、またその対処をどのようにとるつもりであるのか等を地域住民が納得するまで説明し、同意、了承を得るのが行政がとるべきやり方です。
大楽村長は放射性廃棄物を一掃して事故前のきれいな村にしたいと説明されていますが、焼却処分場を作っても放射性物質の総量は変わらず、単に一箇所に集めるに過ぎません。鮫川村から汚染物を近隣市町村との境に集めて迷惑施設を押し付け、地域住民には一切の情報開示も説明も行わず、自分達だけが綺麗になればよいというのは余りにも身勝手であり、住民の健康と安全を守る自治体の責務を放棄していると言わざるを得ません。

4.貴村の信用とイメージが失墜する。  
貴村は大豆で村興しを掲げ、安心安全な農産物作りを行い全国から高い支持を集めていたはずです。貴村を大切にしてきた村民の気持や努力、多くの人の支持や信頼を失うことは、村政の汚点として村史に残るはずです。

5.公費の無駄遣いである。  
事業は3年間で7億円とされています。予定地は広大であり焼却せずに保管する方法も十分考えられますが、焼却による減容化により巨額の公費が投入されることになります。被災者の補償が進まず、未だに県内の線量の高い地域に多くの子供たちが生活しているのですから、これらの方々に少しでも回すべきです。

 那倉を放射能汚染から守る会
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by kazu1206k | 2012-11-25 22:13 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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