人気ブログランキング | 話題のタグを見る

鮫川村焼却施設工事停止決議の提案理由

 11月29日から開かれていた改選後初の定例会、いわき市議会11月定例会が12月13日閉会しました。最終日の本会議は、決議案の提出を巡って10時開会が13時開会になりましたが、今議会提出の79件、継続審査中の23年度決算議案17件のあわせて、96議案を可決、同意、承認しました。
 内容は、
・地域分権一括法の改正に伴う市条例の制定や防災集団移転促進のため災害危険区域条例の制定などの条例案33件
・災害公営住宅整備事業費58億4223万江円・災害廃棄物処理事業費33億4467万円・いわきグリーンスタジアム施設改修費2億400万円など183億4343万円の一般会計補正予算などの補正予算案22件
・その他が、公共下水道北部浄化センター建設工事などの工事請負契約3件・災害公営住宅用地や防災集団移転用地の取得などの財産取得9件・訴えの提起1件・国民宿舎勿来の関荘と道の駅よつくら港情報館の指定管理者の指定2件・西郷町忠多地区や泉もえぎ台地区の造成宅地滑動崩落緊急対策工事、災害公営住宅関船団地建築工事など専決処分の承認4件の19件
・教育委員会委員任命の同意など人事案5件
・継続審査中の平成23年度決算議案17件

 決議案は、鮫川村青生野地区の放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設に関する決議が2件、北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射に関する決議が2件で、いずれも「対抗」決議案でした。私たちいわき市議会創世会が提出した決議案第1号と第4号は、賛成10でいずれも少数否決となりました。決議の要旨と採決の結果は、以下とおりです。(数は、議長をのぞいて36名)

・決議案第1号 鮫川村青生野地区おける焼却実験施設の建設工事の停止を求める決議
 「環境省は、鮫川村青生野地区での放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設の建設工事を一旦停止し、いわき市はじめ近隣自治体及び住民への情報開示と誠意ある説明を行うとともに、安全確認と合意形成ができるまで、建設工事を停止すべき」(賛成10・否決)

・決議案第2号 放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設に関する情報の公開と住民生活の安全・安心の保障をを求める決議
 「政府及び環境省において、周辺住民はもとより本市及び本市市民への必要かつ十分な情報の公開と説明並びに住民生活の安全・安心を保障するためあらゆる対策を講ずること」(賛成30・可決)

・決議案第3号 北朝鮮のミサイル発射に断固抗議する決議
 「日本政府において、国連安全保障理事会などを通じ、国際社会が一致して経済制裁を発動するなど、しかるべき対処がなされるよう、毅然とした速やかな対応を強く求める」(賛成30・可決)

・決議案第4号 北朝鮮のミサイル発射に断固抗議する決議
 「日本政府においては、対話の積み上げによる外交を強め、国連安全保障理事会などを通じ、国際社会が一致して、しかるべき対処がなされるよう、毅然とした速やかな対応を強く求める」(賛成6・否決)


●以下、「決議案第1号 鮫川村青生野地区おける焼却実験施設の建設工事の停止を求める決議」の提案理由を掲載します。

 35番、いわき市議会創世会の佐藤和良です。

ただいま上程されました決議案第1号鮫川村青生野地区における焼却実験施設の建設工事の停止を求める決議について、提案理由のご説明を申し上げます。

 鮫川村青生野地区における放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設の建設工事の停止を求める本決議の最も重要な点、肝心要は、いわき市民の水道水源を放射能汚染から守るということ、水道水源の放射能汚染被害を未然に防止し、命の源である水を守るということであります。
 そのために、事業主体である環境省に対して、いわき市はじめ近隣自治体及び住民への情報開示と誠意ある説明を行うとともに、安全確認と合意形成ができるまで、施設の建設工事を停止するよう求めるものです。

 一点目は、いわき市はじめ近隣自治体及び住民への情報開示と誠意ある説明について、であります。

 昨年の東日本大震災と続く福島原発の過酷事故によって、市民は、放射能汚染、放射線被曝の現実と向き合いながら生活しております。
 そうした中で、本件事業主体の環境省は、放射性物質を含む農林業系副産物の減容化をめざす焼却実証実験施設の建設について、国が責任を持たなければならない8,000bq/kg超の指定廃棄物を含めた焼却を行うにもかかわらず、いわき市はじめ近隣自治体及び住民にたいして、適切な情報開示と説明を行わないまま、11月15日建設工事に着手しました。
 いわき市には11月12日に計画通知が送付されたといいますが、環境省側からいわき市に対して、計画に関するは説明なく、11月30日のいわき市議会創世会の調査及び12月11日の建設水道常任委員会の調査にそれぞれ水道局、生活環境部が同行して計画内容を聴取したという経緯であります。
 結局、環境省は、本件ついて、事業主体として自ら積極的に説明責任を果たしておらず、聞かれれば答えるという官僚的態度に終始しており、放射能汚染、放射線被曝の現実と向き合い生活している被災者には受け入れ難いもので、誠に遺憾であります。
 環境省がまず開示すべき基本的情報は、焼却炉の構造及び基礎データ、煙突の構造及び高さ、排出ガスの量及び排出速度など維持管理の具体的方法、大気環境及び水環境など生活環境影響評価、放射性物質の飛散・拡散対策及び被曝リスクなどであります。
 環境省は、このような基本的情報について、いわき市はじめ近隣自治体において、環境省の主催による住民説明会を開催して、丁寧に説明し、住民の疑問や懸念に答えるべきであります。

二点目は、安全確認と合意形成ができるまで建設工事の停止について、であります。

 鮫川村青生野地区は、いわき市の水道水源、鮫川水系四時川の源流域であるため、市民の間から放射性物質の拡散による風下地区や下流域の放射能汚染の懸念について不安の声が上がっております。
 放射性物質の飛散・拡散対策では、バグフィルタの濾過機能は99.9%以上という環境省の説明ですが、濾過機能は90%と指摘する専門家もおり意見が別れております。
 鮫川村青生野地区で現地調査を行った前滋賀大学講師で長野県戦略アセスメント専門部会委員などを歴任した関口鉄夫氏によれば、焼却施設から放射性物質が吸着した微細煤塵の飛散の問題として、現地は緩やかな起伏上の地形の上部に位置するため、風の影響を強く受け広い範囲に影響が広がり、無風状態のときは周辺の沢に沿って流れると指摘しております。
 また、排出ガスの挙動以外にも搬入物・搬出物の粉塵の飛散も注意すべきであること、さらに埋立保管した際に遮水シートが破れれば表層地下水の汚染に直結すること、表層地下水が湧水として近くに顔を出していることから沢水に流れ河川汚染につながること、なども指摘しております。
 こうした専門家の指摘について、いわき市民の水道水源域での放射性物質の焼却施設の建設でありますから、いわき市は、市民に一番ちかい基礎自治体として、予防原則の立場にたって、きちんと安全確認を行うことが必要であります。
 環境省に対しては、基礎自治体と市民が安全確認できるよう情報の公開と誠意ある説明を求め、周辺住民の合意形成が欠かせないことを主張すべきであります。
 最低限、環境省は安全確認と合意形成ができるまで、工事を停止しておくべきであります。 

これらを踏まえて、本決議案を朗読し、提案させていただきます。

鮫川村青生野地区における焼却実験施設の建設工事の停止を求める決議
 
 いわき市の水道水源は、取水量の約85%を夏井川・鮫川などの中小河川の表流水に依存しています。

 現在、いわき市の水道水源の上流域、鮫川水系四時川の源流部のひとつの鮫川村青生野地区に、放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設の建設工事が始まり、放射能に汚染された8,000bq/kg超の指定廃棄物の焼却と処分が行われようとしています。
 実施主体の環境省によれば、8,000bq/kg超の農林業系副産物(稲わら、牛ふん堆肥、牧草、きのこ原木、果樹剪定枝など)を焼却対象物として、小型焼却炉を設置し焼却による減容化の実証試験を行うとされ、来年1月中に実証実験を始め、終了は平成26年9月、計600㌧の焼却を見込んでいます。焼却灰の管理は焼却炉の設置場所または隣接地に管理型最終処分場での処分を想定し、保管する方針です。
 現在、8,000bq/kg超の指定廃棄物は国が責任を持って処理することになっており、市町村で焼却、最終処分することは認められません。

 本施設は、標高700mの放牧地の分水嶺の西側に建設中で、東側は四時川の源流域です。小型焼却炉ということで環境影響調査もなく、近隣自治体及び住民への説明もなく、工事は着工されましたが、「福島県生活環境保全条例13条1項」では「工事着工の60日前」に「ばい煙指定施設設置届出書」の提出が必要でした。環境省が福島県に届出書を提出したのは10月30日で、11月15日に着工したため、12日4日、福島県が環境省に工事の一時中断を要請しました。

 水は私たちの生命の源です。いわき市民のいのちの水を供給する水源涵養地を守ることは、行政、議会の務めです。本施設による放射性物質の拡散により風下地区や下流域の汚染が懸念されることから、水道水源を放射能汚染から守るため、予防原則の立場に立った対応が求められております。
 環境省は、鮫川村青生野地区での放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験施設の建設工事を一旦停止し、いわき市はじめ近隣自治体及び住民への情報開示と誠意ある説明を行うとともに、安全確認と合意形成ができるまで、建設工事を停止すべきであります。

 よって、本議会は、鮫川村青生野地区における放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実験施設の建設工事の停止を求めます。

 以上 決議する。

 決議案第1号につきまして、提案に至りました経緯並びに考え方を述べましたが、議員各位におかれましては、何とぞご理解の上、本提案にご賛同を賜りますようお願いを申し上げ、提案理由の説明にかえさせていただきます。
by kazu1206k | 2012-12-14 09:31 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k