意見書ー子ども・被災者支援法、3年消滅時効など採択

いわき市議会6月定例会は、最終日の6月27日、条例の改正9件、補正予算5件、その他30件(工事請負契約9件・事業委託契約1件・財産取得3件・財産取得の変更7件・訴えの提起1件・損害賠償の額を定めること1件・辺地に係る公共的施設の総合整備計画を定めること1件・専決処分の承認6件)、固定資産評価員選任の同意など人事案3件など、合計47件の議案を可決。また、議員提出の5意見書と1決議を全会一致で可決採択して、閉会しました。
そのうち、
「『原発事故子ども・被災者支援法』に基づく具体的施策の早期実施を求める意見書」と
「東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書」
および「福島第一原子力発電所事故に関する速やかな情報公開を求める決議」を紹介します。

●「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく具体的施策の早期実施を求める意見書

 いわき市議会は、平成23年12月定例会で(仮称)原発事故被曝者援護法の制定を求める意見書を可決し、市民の長期的健康管理について、特例法の制定による健康管理手帳の交付及び定期通院・医療行為の無償化・社会保障などを国の責任において行うことを要望してきた。
 平成24年6月21日、東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律、いわゆる原発事故子ども・被災者支援法が、超党派の議員提案により衆議院本会議において全会一致で可決成立した。
 本法律は、第1条で、本件事故により放出された放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを、第2条第2項で、被害者が被災地に居住するか、避難するか、または避難した後帰還するかについて、被害者自身の自己決定権を認め、そのいずれを選択した場合であっても適切な支援を受けられることを、さらに第3条で、国がこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を負っていることを定めている。
 本法律は、基本法のため、基本方針の策定とそれによる具体的支援施策が急がれているところであるが、未だ成案をみていない。
 本市議会は、本法律に基づく基本方針の策定と具体的支援施策の早期実施に向け、被災当事者であるいわき市民の現状を踏まえ、被災者一人ひとりに寄り添い、必要な支援を実施する万全の体制構築を求めるものであり、よって、政府においては次の事項を実現するよう強く要望する。

1 国は、被災者生活支援等施策を総合的に策定し、実施する責務を有し、必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならないことから、平成25年度補正予算より次に掲げる支援等施策ごとの財源確保等を行うこと。

⑴ 各家庭の建物や庭などの除染費用の助成制度を整備すること。

⑵ 子どもたちの宿泊移動教室や長期休暇時のリフレッシュ保養の制度化など心的ストレスへのケアやサポート体制を整備すること。

⑶ 高速道路の無料化、住宅提供期間の延長、母子避難に伴う託児施設の確保や移動先における就業支援の促進など各種支援を進めること。

⑷ 支援対象地域の全ての被災者への健康管理手帳の交付、定期的な健康診断、国の責任において小児甲状腺がん等の早期発見・早期治療の実施、医療費負担の減免、これらの検査・医療体制の確立にむけた基礎自治体への財政援助を行うこと。


2 支援対象地域は、福島県全域及び福島県以外の追加被曝線量が年間線量1ミリシーベルト以上となる地域を全指定すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成25年6月27日
 
 内閣総理大臣  安 倍 晋 三 様
 財務大臣  麻 生 太 郎 様
 厚生労働大臣  田 村 憲 久 様 
 復興大臣  根 本   匠 様

いわき市議会議長  根 本  茂


●東京電力福島第一原子力発電所事故により発生した損害賠償請求権につき3年の消滅時効の適用を排除する立法措置を求める意見書

 東京電力福島第一原子力発電所事故は、我が国がこれまで経験したことのない未曾有の大事故であり、広範囲の地域に、長期にわたり、経済的にも精神的にも、生活全般にわたる深刻な影響を及ぼし続けている。さらに、その被害は潜在性を有し、被害の範囲も、その内容も、未だ明らかになっておらず、放射線被ばくの健康への影響について専門家の中でも意見が分かれ、特に低線量を長期間にわたって被ばくすることによる健康への影響についての一致した科学的知見が確立されていないことや、放射性物質の除去技術が確立しておらず、被害地域の復旧について明確な見通しが立たない状態にあることからも、少なくとも現時点において、被害者が、自らの被害の全容を客観的に把握し、その被害に見合った賠償を求めることは不可能である。
 当事者である東京電力株式会社は、本件原発事故に係る損害賠償請求権について民法第724条前段の消滅時効の規定が適用されることを前提に、被害者からの請求に時効中断の効果を認めつつも、この規定の適用が排除される範囲を限定的に解釈する立場をとっている。
 これに対し、東日本大震災にかかる原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続きの利用に係る時効の中断の特例に関する法律によれば、原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介申し立てに時効中断効を付与し、和解が成立しなかった場合でも打ち切りの通知を受けた日から1カ月以内に裁判所に提訴すれば、和解仲介申立時に訴えを提起したものとみなされることとされている。
 しかるに、上述のとおり、本件原発事故による被害は、深刻かつ広範で、依然としてその全体像も明らかでなく、平成24年度末に原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた被害者が、わずかに1万3,030名にすぎないなど、未だ被害者は申し立てすらできない状況にある。ましてや、打ち切り通知から1カ月以内に訴状を作成し、証拠を整理して提訴することは極めて困難であり、本件特例法だけでは、被害者救済にはまだ不十分と言わざるを得ない。被害者の現状を直視すれば、被害者側に民法第724条前段が適用されない旨の主張立証責任を負わせることなく、これを救済する特別な立法措置を講ずることは当然とも言える。
 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を可決する際の附帯決議として、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権の消滅時効に関しては、法的措置の検討を含む必要な措置を講ずることが求められているところであり、まさに本件立法措置が必要な措置であると言うことができる。
 よって、国においては、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る損害賠償請求権について、少なくとも民法第724条前段の消滅時効を適用しないものとする立法措置を講ずるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成25年6月27日

 衆議院議長  伊 吹 文 明 様
 参議院議長  平 田 健 二 様
 内閣総理大臣  安 倍 晋 三 様
 法務大臣 谷 垣 禎 一 様
 経済産業大臣  茂 木 敏 充 様
 復興大臣  根 本   匠 様 

いわき市議会議長  根 本  茂 


●福島第一原子力発電所事故に関する速やかな情報公開を求める決議

 東京電力株式会社は、6月19日、福島第一原子力発電所の海側に設置した観測用の井戸で採取した地下水から、海への排出基準を上回る高濃度の放射性ストロンチウムとトリチウムを検出したと公表しました。
 東京電力によると、5月24日に水を採取し、31日にはトリチウム濃度が基準値より高いことを発電所の担当部署が把握していました。しかし、経営陣への連絡や放射性ストロンチウムの結果が出るのを待って6月19日に公表したとしています。この間、2週間あまりが経過しています。
 今年3月、停電で使用済燃料プールの冷却システムなどが停止した事故が発生したことを受け、いわき市議会は「東京電力福島第一原発事故の早急で確実な事故収束を図るために仮設設備の本設化とバックアップ体制の構築及び速やかな情報公開を求める決議」を全会一致で可決しました。度重なる事故の発生で市民が不安を強め、復興の足かせとなっていること、また事故情報伝達の遅れが市民に混乱をもたらす中で、その是正を求めるためでした。今年4月に、正副議長を先頭に東京電力株式会社福島復興本社を訪れ、決議書を提出し、この際、改めて情報の速やかな公開を求めてきたところです。
 ところが今回、同様のことが繰り返されたことは、本市議会として誠に遺憾であり、東京電力の対応に憤りを感じざるを得ません。事故から2年3カ月を経過しても事故の収束が不透明な状況にあり、いわき市民は今なお不安を抱えて暮らしています。このような事態が繰り返されるたびに市民の不安は拡大します。
 よって、いわき市議会は、東京電力に対し、通報連絡協定に基づき情報の速やかな公開に会社を挙げて徹することを強く求めます。
 以上、決議する。

  平成25年6月27日

い わ き 市 議 会
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by kazu1206k | 2013-06-27 17:16 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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