ADR和解案拒否問題、あらためて日弁連声明

 日本弁護士連合会は、原子力損害賠償紛争解決センター総括委員会が、8月4日付けで「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」を公表し、東電のADR和解案拒否問題について、「原子力損害の賠償に関する法律が定める損害賠償システム自体に対する信頼を損なうものである」と批判したことを受けて、8月20日、会長声明を明らかにしました。
 改めて、東京電力に対し、和解案を尊重し、各和解案を受諾することを強く求めるとともに、原子力損害賠償紛争審査会に対し、すやかに受諾するよう強く働きかけることを求め、政府に対しても、東京電力を強くその旨指導することを求めた。
 さらに、政府及び国会にも、東京電力による和解案拒否事案を再発させないために、速やかにセンターの和解案に、その内容が著しく不合理なものでない限り東京電力の応諾を義務付ける片面的裁定機能を付する立法を行うことを求めている。

●「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」に関する会長声明

原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)総括委員会は、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一、第二原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)による損害賠償に関する東京電力の対応に関し、平成26年8月4日付けで「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」を発表した。同所見では、「近時、仲介委員が提示した和解案に対し、被申立人(東京電力)から、その全部又は一部について受諾を拒否する旨の回答がなされる例が少なからず認められるようになっている」ことを指摘した上で、かかる行為は、「新・総合特別事業計画において自ら誓約した和解案の尊重を放棄するものというだけでなく、仲介委員が提示した和解案の内容のみならず和解仲介手続自体をも軽視し、ひいては、原子力損害の賠償に関する紛争につき円滑、迅速かつ公正に解決することを目的として設置された当センターの役割を阻害し、原子力損害の賠償に関する法律が定める損害賠償システム自体に対する信頼を損なうものであるといわざるを得」ないと厳しく批判している。

当連合会としても、本年6月27日に、「浪江町民等の集団申立てにかかる東京電力による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案拒否に関する会長声明」において、①浪江町民による集団申立事件について、センターが提示した和解案を浪江町民は受諾することを決定していたにもかかわらず東京電力が拒否する回答を行った件、②飯館村蕨平地区住民による集団申立事件に関し、センターが提示した和解案について、東京電力が、和解案の重要部分について拒否する回答を行った件について、東京電力に対し、センターの和解案を尊重・遵守することを重ねて強く求めてきたところであり、総括委員会所見に全面的に賛同する。改めて、東京電力に対し、和解案を尊重し、各和解案を受諾することを強く求める。

また、原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)に対し、今回の事態は審査会の和解の仲介の手続を実施するための組織として設けられたセンターの存在意義及び審査会の主な事務である和解仲介手続そのものの意義を失わせかねないものであるから、東京電力が和解案の拒否を撤回し、速やかに受諾するよう強く働きかけることを求める。

さらに、政府に対しても、東京電力を強くその旨指導することを求める。

また、併せて、当連合会は、先述の本年6月27日付け会長声明で求めているとおり、審査会に対し、センターの和解案にも示されている本件事故により避難が長期化し帰還が困難となっている地域住民の被害の深刻な実情を反映した精神的損害に関する追加の指針を速やかに策定すること、政府及び国会に対して、東京電力による和解案拒否事案を再発させないために、速やかにセンターの和解案に、その内容が著しく不合理なものでない限り東京電力の応諾を義務付ける片面的裁定機能を付する立法を行うことを求める。


  2014年(平成26年)8月20日
  日本弁護士連合会
  会長 村 越  進
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by kazu1206k | 2014-08-29 22:44 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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