対談録「検察は起訴すべきである」3

12月12日、福島原発告訴団の「起訴を!東京地検包囲行動&院内集会」で、海渡雄一弁護士の司会により「検察は、起訴すべきである」と題して、古川元晴さん(元京都地検検事正、元内閣法制局参事官)と船山泰範さん(日大法学部教授)が対談しました。その記録を、3回にわけて掲載します。その3。

検察は起訴すべきである
古川元晴×船山泰範×海渡雄一


12月12日、参議院議院会館会議室

*その2から続く。


海渡雄一 河合さんが話したいということですので。

河合弘之 私は古川先生の危惧感説、船山先生の危惧感説を聞いて非常に感動して、これはぜひ地検の検事さんたちにも知ってもらいたいということでご紹介をし、本にし、地検にも証拠として出しています。他方、この添田さんのこの本で我々は既に出ている証拠の読み方で、こんなに凄いことが分かるということを教えてもらったわけです。
先程、海渡氏が地検の検事に45分にわたって説明してました。始めは硬い顔をしてましたけれど、海渡さんの熱弁が進むに連れて「ふんふん、なる程」みたいな感じになって聞いてくれました。もちろん、「うんうん、そうだね」とは言いませんけれどね(場内爆笑)。ちょっと顔色が変わってきました。それくらい迫力のある指摘なんです。
1997年(平成9年)の建設省など7省庁の手法調査っていうこの文書、これも凄く重要で、もう8,6mの想定がされていて、その後の計算では13,6mとされていて、「注意しろよ」みたいなのが、もう役所から出ていたということ自体が凄く重要なことですよね。だから「津波は想定外だ」なんてどこを押したら言えるんだ、役所が言ってるんじゃないか、と。それも7つの役所が言ってるんです。それを無視して、何で予測可能性が無いなんて言えるのか、想定外じゃなくて、「想定内」じゃないかっていう証拠が一つ出てきたのです。
もう一つは、森山審議官が凄いことを言ってるんですね。これは彼等にとって決定的かと思うんですが、「東電は役員クラスも貞観の地震による津波は認識している」(12月9日の上申書13ページの下線を引いてある部分)ってはっきり言ってるんですよ。はっきり言っている。もう一つは、吉田所長が「15,7m来るんで対策が必要だ」っていうようなことも、ちゃんと何回も何回も上司に言ってありますって、吉田調書の中で言ってるんですね。
そういうことを見ると、ますます、まさに動かぬ証拠が出てきたという感じなんです。これは時間の経過とともに、どうんどんそういうものが漏れ出てくる、証拠が漏れ出てくるっていう感じで、ぼくらは今の時点ではどういうふうに考えるべきかって言うと、危惧感説でいっても、絶対にこれは揺がないだろう、具体的危険性説にいっても、もうこれは動かし難いところにまで来ている。だから検察は安んじて起訴をして欲しい、安心して起訴をして欲しいって(場内爆笑)思います。
これで起訴しなかったらどこへ行くかっていうと、もう一回検察審査会へ行くんですけれど、ぼくらは今日、こういう証拠をもちろん全部、出しますから、そうすると、これだけの証拠を見て、彼等を解き放すわけにいかないじゃないですか。だからぼくらは今回のこの書面は凄く重要だ、添田さん、よく見つけてくれた、海渡さん、よくこの書面書いてくれた、っていうふうにぼくは思っています。
それで、ぼくは検察官の、地検のやるべきことは両方からアプローチする、危惧感説、改良された新・危惧感説と的アプローチをするとともに、具体的危険性説からもアプローチをするべきで、どっちからアプローチしても行く結論は起訴だ、起訴という結論だ、というふうにまとめるべきだと思っています。(拍手)

船山泰範 今の河合先生の考え方に、まったく私も賛成でございます。先程からお話ししておりますように、具体的予見可能性説でも充分なんだということを海渡先生が訴えたということで、検察官も安心して(場内爆笑)て 起訴して欲しいと思います。また、起訴できるんだと思いますね。

古川元晴 これも誤解されている面がある(場内爆笑)、つまり世の中は原発については全部、危惧感説で動いているんです。全部です。リスク管理っていうのは、皆さん、誰だってこんな、そんな具体的に過去に起きたことだけやればいいなんて、誰も思っていなかったはずですよ、そんなことは。ですから、これはやっぱり危険なものなんだから、ちゃんとやらなければならないということで、彼等だって、この危惧感説で、名前はともかくとしまして、こういう考え方でやらなければ国民から避難される、国民は赦さない、ということは分かっていたはずなんですよ。

海渡雄一 その通りです。

古川元晴 ですから皆さんがたはおかしいと思ったわけです。世の中は全部、それで動いている。従って、彼等からすれば困るから、+++++++ で、問題は刑事責任を追求する刑法学会が世の中から依然として遅れた具体的確実な危険でなければ、責任は取れませんよ、という形の理論を未だに圧倒的多数で、彼等が支配しているということです。今回の事件が起きてもビクともしない、これが私らがどうにも理解できないくらいの、実態だということです。何でこの刑法学会だけがこんなに世の中からズレてしまっているのか、ここを私たちは明かにしたいと。
つまり、何故かと言いますと、これは推測ですけれども、やはり人を処罰するのが刑罰です。だから、厳格でなければならない、いい加減なことはしてはならない、だから厳密にやる、それは当たり前の話です。厳密にやるのはいいんですが、何のために刑法があるんだ、ということです。世の中の安全を護るために、誰でもが課している法的責任は何なのかということを明かにして、それに対してキャンスにとっていくと、そういうふうでなければ、社会への、世の中の法律じゃあないわけですよ。ですから、ここだけがズッこけちゃってるわけです。
私らは当たり前のことを言っているわけで、こんな当たり前の理論が、何で未だに刑法学会では通用しないのかということがある、ということをぜひご認識いただいて、この考え方を広めていただきたいと思います。

船山泰範 今、刑法学会と言われたんで、私もその一員としてですね(場内爆笑)、ドキッとしますし、恥かしいと思っています。しかし私は兼ねてから、危惧感説で話をしているということと、あと、もう一つですが、刑法が何のためにあるのか、ということを言っておきたいと思うんです。これは、単に人を処罰するためじゃないんです。刑法は、そういう刑事制裁を通して、国民が安心して生活できるような社会を作っていく、そのために刑事裁判があるわけです。
今年、亡くなられました、経済学者の宇沢弘文さんという方がいらっしゃいます。この方は経済学は何のためにあるのか、皆が幸せになるためだ、とおっしゃっていました。法律学も、皆が幸せになるためにあらなきゃいけない、刑法もそういう目的を持っているということを、付け加えさせていただいて、刑法学会を変えていきたいと思っております。(拍手)

海渡雄一 うまくまとまってきたようですが、せっかくなので、最後にこの添田さんのエピローグのところの一言を紹介したいと思うですけれども、彼はこの本を書いている途中も、事故が起きた後も、原発の安全性は非常に問題だけれども現実にこれだけ原発があるんだから、少数の原発を再稼動するのは已むをえないんじゃないかな、と思ってたというふうに正直に書いています。しかしこの本を書く過程で規制当局や東電の実態を知るにつれ、彼等に原発の運転を任せるのはとても怖いことを実感したと。間違えば国土の半分が使いものにならなくなるような技術を慎重に謙虚に使う能力がない。しかも経済優先のために再稼動を主張し、科学者の懸念を無視して「リスクは低いと」強弁する電力会社や規制当局の姿は、事故後も変わっていない。二度あることは三度あると考えて備えなければならないが、彼等にその自覚があるようには見えない。だから再稼動を認めるべきでない...ご自分の考え方が変ったと書いているんですね。
これだけ深く研究した人がこういうふうに変わっていったということ自体が、ぼくは非常に重要なことではないかと思います。
今回、私は検察庁に行って、前任の検事さんはこれまでの情報はまだ与えられなかった、で、はっきり言うと、政府の事故調の調査の過程で森山審議官は大嘘をついていたんです。もう、さっきのメールとはまったく違う中身の調書が公開されています。だからそういう形で検察官は騙されたんだとぼくは思うんですよね。しかしこれだけの事実が明かになった以上、もう国と東京電力が完全に組んで、津波についてこれが耐震バックチェックの最大のリスクだ、 というふうに、 そういうことを知りながら、そのことについて何の対策も立てさせないで、ここまで来てしまったということが、こんなにはっきりした以上は、絶対に起訴してもらいたいです。起訴させましょう!
ということで、本当に今日は、有難うございました。不行届きもあったかと存じますが、古川先生、船山先生、有難うございました。

(文字起し: 雅)
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by kazu1206k | 2014-12-19 20:29 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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