健康調査拒む環境省、1.29院内集会&政府交渉

 1月29日、参議院議員会館で、全国自治体議員で組織する「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟による「原発事故子ども・被災者支援法ー健康調査・住宅支援・保養を動かそう!院内集会&政府交渉」が行われた。
 自治体議員連盟は、これまで、支援法の具現化ために、国会請願や予算要求、「住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」への要請、住宅支援や健康調査などの緊急課題に対する政府交渉などを実施。この日は、昨年12月の支援法関連予算案の関係各省庁ヒアリングをふまえて、院内集会を行い、自治体議連として政府関係機関に要望書を提出して、政府交渉を実施したもの。
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 院内集会で、国会議連幹事長の川田龍平参議院議員が、国会議連が進めている「健康調査法案」を説明。
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 国会内で議連の縮小に伴い与党への働きかけを強めながら、5月の集団的自衛権関連法案の審議のあとに、「健康調査法案」を提出したいとの意向を示した。その上で、地方自治体議会レベルから自民・公明などの与党系への働きかけが要請された。
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  また「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間報告」について、FoEJapan 理事(子ども・被災者支援法市民会議世話人)の満田夏花さんが講演。
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 専門家会議の委員構成や会議の進行に大きな問題があったこと、さらに、福島県県民健康調査で小児甲状腺がんの多発、転移・浸潤を含む症状が深刻であること、2巡目の検査で1巡目では見つからなかったがんが4例見つかるなど深刻な結果が出ているのに、分析・検討することをしなかったことなどの問題点が指摘され、専門家会議の中間取りまとめが、福島県の甲状腺検査を「疫学追跡調査」へ見直すよう提言していることを被災者の健康管理を蔑ろにしていると批判した。
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 また、中間取りまとめが、福島県外の甲状腺検査を否定したことについて、UNSCEARのデータでさえ最近の研究における放射性ヨウ素も放射性セシウムの拡散評価で、福島県外も福島県と同等レベルの汚染の広がりを示していることが指摘された。WHOとUNSCEARの報告の引用が、内容の検証を行っておらず、原典に書いていないことが引用されていることなどを批判し、福島県内外で被ばく量を比較することの非科学性、県外の被ばく量は低いとして、県外での健診切り捨てを批判しました。
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 さらに、甲状腺がん以外のがんや非がん疾患の否定は、原爆被爆者調査やチェルノブイリ原発事故被曝者などを対象とした多くの研究結果を踏まえていないと指摘。中間取りまとめを、原発事故に伴う住民の健康管理施策の根拠にするべきではなく、環境省は施策の全面的な見直しをすべきとしました。
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 政府交渉は、支援対象地域内外での健康調査、避難者への住宅支援、保養など緊急課題の解決に向けて、「健康調査・住宅支援・保養をすすめる要請書」(末尾に掲載)を提出した上で、文科省、環境省、厚労省、復興庁などの担当官と質疑意見交換を行った。
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 健康調査では、環境省が専門家会議の中間報告をたてにUNSCEARの過小評価論に基づく健康調査の否定に終始して、要請内容を拒否する立場を変えず、法の理念にもとずく支援施策にはほど遠い実態があらためて明らかになった。住宅支援でも、避難者の生活実態に応じた住み替え・転居を認めて欲しいという被災者の声に答えず、恒久法の制定を拒否するばかりであった。避難先・移住先において生活再建が可能となる住宅支援の実現に耳を貸さず、帰還政策一辺倒で、除染費用とリスクコミニュケーション費用の予算ばかりが目立つ2015年度予算は、被災者の切り捨てを狙う政府の意図とが透けて見えるものとなっている。保養では、「子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援」とする、文部科学省の「自然体験・交流活動支援事業」が被災者と子どもたちが幅広く利用できる支援の強化、民間活動への支援拡大、国としての保養制度を創設の必要性が訴えられた。

 自治体議員連盟では、政府の頑な原発事故被災者切り捨ての態度に対し、あくまで法の理念に基づく、原発事故被災者の支援施策の実現を、これからも粘り強く求めて行くこと、4月の統一自治体選挙のなかで、原発事故被災者の支援、原発事故子ども・被災者支援法の推進を掲げていくことを確認した。

●原発事故被災者に係る健康調査、住宅支援、保養等をすすめる要請書

内閣総理大臣 安倍晋三 殿                    2015年1月29日
復興大臣 竹下 亘 殿 
環境大臣 望月義夫 殿 
厚生労働大臣 塩崎恭久 殿
文部科学大臣 下村博文 殿
国土交通大臣 太田昭宏 殿
                   

「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟

 福島原発事故から3年10ヶ月、事故収束の見通しも立たず、原発事故被災者の暮らしは、依然困難な状況が続いている。長引く事故の影響の下、ふるさとを追われ家族や地域が分断されたまま、応急仮設住宅等で避難生活を強いられている被災者は、住まいの不安を感じ、入居期間延長や住み替えについての柔軟な対応を求めている。放射能汚染と長期的な低線量被曝に、避難区域はじめ放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域では、子どもや住民に対する自主的甲状腺検査が実施され、健康調査の適切な実施を求める声が広がっている。
 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めている。しかし、政府の「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」および健康・生活支援施策は全く不十分で、怨嗟の声が被災者に満ちており、法の実現のため個別法の制定を求める動きも始まっている。
 国は、原発事故被災者の意見を聴く機会を速やかに設け、生活再建・医療福祉など、原発事故被災者を総合的に支援するために、立法措置を含む必要な措置を講じるとともに、自治体が講じている施策についても、国が適切な支援を行なうことを求められている。
 本議員連盟は、法の理念に基づき、これまで原発事故被災者の生活支援等に係る施策の実現を求めてきたが、あらためて健康調査、住宅支援、保養等の具体的施策の実現を要請する。



1、定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免など、法第13 条第2項第3項の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

① 定期的な健康診断、健康影響に関する調査及び医療費の減免について、法第13条第2項では、一定の被ばく線量以上の地域の原発事故被災者の生涯にわたる健康診断の保障、第3項では健康被害についての医療費減免が規定されているが、福島県内ですら甲状腺がん、心の健康、生活習慣病等の狭い範囲の健康診断であり、詳細な健康診断は避難区域からの避難者のみで、甲状腺がん以外の癌や疾病が把握されていないところから、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域において、長期継続した定期的な健康診断と健康影響に関する調査を国の直轄事業として実施するための必要な措置を講ずること、及び平成23年3月11日において、福島県及び放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域に住所を有し18歳未満であった者の、事故由来の放射線に起因しないといえない甲状腺がん等疾病について、医療費の減免に関する必要な立法措置を講ずること。

② 国は、放射線障害検査のため、原発事故被災者への定期的な健康診断の実施、心電図検査や回数の増など学校検診の拡充、かかりつけ医での血液検査の実施、甲状腺検査も含め現行健康保険制度の適用による医療給付の実施に必要な措置を講ずること。

2、避難者が避難先・移住先において生活再建が可能となる住宅支援の実現にむけて、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

① 2016年3月までの適用とされる災害救助法に基づく仮設(みなしを含む)住宅などの応急的対応をあらため、避難者への住宅供与期間の長期化、避難者の意向や生活実態に応じた更新、柔軟な住み替え・転居を認めるなど、避難先等で生活を再建できる必要な措置を講ずること、また恒久的総合的な住宅支援のため必要な立法措置を講ずること。その際、避難者の意向や生活実態に応じて、新たに避難を開始するものも含め避難、帰還、帰還後の再避難を柔軟に認め、国の直轄事業として住宅供与等を行なうこと。

3、子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援強化拡大と保養制度の実現のために、立法措置を含む必要な措置を講ずること。

① 子どもたちの心身の回復を目的とする活動への支援は、文部科学省の「自然体験・交流活動支援事業」があるものの、利用できるのは一部で回数も年1回と限定されているところから、原発事故被災者と子どもたちが幅広く利用できる支援の強化と民間活動への支援拡大など必要な措置を講ずること、さらに国としての保養制度を創設する必要な立法措置を講ずること。

4、法第十四条を遵守し「被災者の意見の反映」を実現するため被災者等協議会を設置して、基本方針の見直しを行うこと。

以上
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by kazu1206k | 2015-01-30 07:46 | 福祉医療 | Comments(0)

佐藤かずよし


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