東京地検による「不起訴理由説明会」-2.9福島

 2月9日、福島原発事故に関する東京電力旧経営陣の刑事告訴で、東京地方検察庁が再び不起訴にした1月22日の処分についての「不起訴理由説明会」が福島地方検察庁において開かれた。これは、2014年7月、東京第五検察審査会が、東京電力の旧経営陣、勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人に対して、福島原発事故の刑事責任について業務上過失致死傷罪で「起訴相当」、小森明生元常務は「不起訴不当」としたのを受けて、東京地方検察庁が再捜査していた事件で、1月22日、改めて不起訴処分を行ったことによるもので、2月3日の東京地方検察庁での説明に続き2回目。
 この日は、東京地方検察庁の佐藤主任検事と古宮検事の二人の担当検事が県内外の告訴人30人に不起訴理由を説明し、質疑に応じた。
 東京地方検察庁の再不起訴決定は、すでに東京第五検察審査会に送られており、この事件は、東京第五検察審査会が再審査を行い、再び起訴の議決の場合は検察官役の指定弁護士が強制的に起訴することになる。
 以下は、福島原発告訴団の「不起訴理由説明会」報告。
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東京地検の結論は以下のペーパーの通り。
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「東京電力の役員らに刑罰を科すかどうかという刑法上の過失犯成否の観点からみた場合、本件事故について予見可能性、結果回避可能性及びこれらに基づく注意義務を認めることはできず、犯罪の嫌疑は不十分である」

検事たちからは、言葉を度々詰まらせながら、理解し難い説明がありました。

◆不起訴とした理由。
・最大15.7mの津波の試算があり、何らかの対策を講じることによって結果を回避できた可能性もあるが、対策をしても回避できなかった可能性もあり、刑法上の罪は問えない。
・10m盤を超える津波が来る可能性を予見する知見が、当時の社会通念上の一般的な理解であったとは、認められなかった。

◆捜査の内容について。
・個別の証人、捜査の内容についてはお答えできない。検察審査会の『起訴すべき』という決議を受けて、十分に捜査を尽くした。

◆告訴人たちの主張。
・女川と東海第二では、推本を突き付けられて対策を講じたことで事故を回避している。福島で対策を講じなかった過失があるのではないのか。
・原発という危険な構造物を動かすには、社会通念を上回る高い知見が求めらるのではないのか。
・保安院は、スマトラ、中越を踏まえて、想定の数倍の対策をしなければならないと話し合っていたはずだ。そのことは東電も知っていた。事実認定が間違っているのではないか。
・「自家発電を高台に置いてほしい」と、津波対策の件を勝俣さんに直接お話しした。「コストがかかるから」とはねのけられた。このことは何度も申し上げているが、私のところには事情聴取もなかった。待っているのに、どうして証言させてくれないのか。
・東電で働いている人たちも、津波の危険性や双葉活断層の話をしていた。非常用電源が2つとも地下に置いてあることに不安を訴えていた。2004年の段階で、非常用ディーゼル発電を高台に移すことはすぐにもできた対策なのに、コストを惜しんでやらなかった。この罪はなぜ問われないのか。
・結論ありきの捜査をしたのではないのか。捜査を打ち切れと圧力があったのではないのか。
・識者からは大津波の可能性も指摘されていた。非常用の電源があれば、全電源喪失は防げた。津波に全部おっかぶせて、防げなかったはずだというのは、事実認識に誤りがある。東電の代弁者、東電の弁護士と話しているように感じる。
・JR北海道は経営陣が起訴された。対策が必要なことがわかっていたのに対策を取らず事故を起こした、その同じ構図なのに、東電だけ優遇されているように思える。
・13万人が未だに避難していて、細胞が放射線によって傷つけられるという意味の傷害事件の被害者は数百万人だ。これほど大きな事件だから立証できないのか。
・このままでは「予見していませんでした」といえば、どんな大事故も罪に問えない社会になってしまうのではないか。
・被害者側の話は聞かず、東電の言い分だけ鵜呑みにして結論を出したように見える。
・検察が判断できないことは、裁判で決めたらいいのではないか。
・あなたがたが決めた不起訴で、東電は大喜び。電力会社はどんどん再稼働。何が起きても罪は問わないと決めた判断は、今後にとって大変な過ちだ。
・危険であるという証明ができなくても、安全であるという証明ができなければ、予防していこうというのが予防原則。「安全よりもコストを優先させる」と、明らかに東電はそういっている。その中で、結局は罪に問えない、嫌疑不十分になるということが、私たちには到底理解できない。

◆検事らの答え。
・捜査の内容はいえないが、必要な捜査を遂げたと思う。今回の地震、津波というものが、量、大きさ、長さにおいて、当時の予測を超えたものであったと認定せざるを得ないと考えている。
・結論ありきということは絶対にない。起訴するために捜査をした。
・みなさんにご理解いただけるとは思えないが、検察の立場からいうと、法律上の犯罪だという結論には至らなかったということだ。我々としても頑張ったが、そういう結論に至った。
・行政上、民事上の責任については、いろいろな考え方がある。

◆告訴団から最後に。
刑法上の過失責任が問えないという結論に対しては、今後、検審で問うことになる。捜査した証拠を提出していただいて、わかりやすく検審の11人が審査できるようにしてほしい。
第二次告訴では、当時者たち、東電の津波対策の当事者、保安院の行政の当時者を訴えている。「過失責任が問えないんだ」という法理を振りかざさず、厳正に捜査してほしい。
説明していただいたことには感謝するが、検審の決議を受けて厳正な捜査を遂げ、予見可能性や結果回避可能性も、裁判上で判明すれば事件の理解も深まったと思う。
検察の職責は、社会が安定していくように糺すことではないのか。そうした意味では、職責は未完であると思う。みなさんの結論は、社会が安定して運営できることではなく、混乱と不安を増長する結果になっているといいたい。このこと、留意していただきたい。
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by kazu1206k | 2015-02-12 06:03 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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