汚染水対策、国・東電と質疑

 3月17日、いわき市議会の東日本大震災復興特別委員会・原子力災害対策分科会が国と東京電力を招聘して開かれた。議題は「廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況」と「汚染水対策の現状と今後の対応」。内閣府廃炉・汚染水対策チームと東京電力福島復興本社、福島第一廃炉推進カンパニーからの説明と、いわき市議会の約60項目の事前質問への回答を受けて質疑を行った。
 福島第1原発2号機の原子炉建屋大物搬入口屋上の高濃度汚染雨水をK排水路から放出した問題では、放出した放射性物質の総量が不明であり、「公表すべきとは思わなかった」という増田廃炉カンパニープレジデントの責任と厳正な対処も明らかにされなかった。また、東京電力と国は、サブドレン等の汚染水の海洋放出計画でも総放出量を明らかにできず、全く無責任な汚染水対策=海洋放出であることが、改めて明らかになった。また、いわき市民への精神的損害賠償やスピーディな賠償決定の要望にも、「ご理解頂きたい」の一点張りで、「風評被害は収束しつつある」などと驚くべき発言も飛び出した。
 東京電力はしきりに「社会目線」と発言していたが、東京電力と国の原子力被害への対応は依然として、住民軽視に終始している。高濃度汚染雨水の垂れ流しは、東京電力の相も変わらぬ情報隠蔽体質と国・規制委員会の無責任体質があらためて明らかにし、多くの市民が強い憤りを感じている。今後も強い働きかけが必要だ。
*下記に、質問一覧表。
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質 問 一 覧 表

いわき市議会東日本大震災復興特別委員会
原子力災害対策分科会

1 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの進捗状況について
 ⑴ 原子炉の状態確認について
  ア 1~4号機原子炉建屋から放出されている放射性物質の1日当たりの総量はいくらか。
  イ 注水冷却しない場合、1~3号機の炉内温度は何度になるのか。

 ⑵ 原子炉の冷却計画について
  ア 注水冷却はいつまで行うのか。

 ⑶ 滞留水処理計画について
  ア 地下水バイパスについて、現時点までの総排水量及び放射性物質の核種ごとの総排出量はいくらか。
  イ 多核種除去設備の運用状況について、既設・増設・高性能それぞれの処理能力と実績及び稼働率はいくらか。

 ⑷ 放射線量低減・汚染拡大防止に向けた計画について
  ア 2号機原子炉建屋大物搬入口上部の溜まり水のK排水路漏出問題について、「公表すべきとは思わなかった」とする増田廃炉カンパニープレジデント発言の謝罪と責任に関する厳正な対処をどのように考えているのか。
  イ 港湾周辺の海水濃度について、洋上モニタリングブイを必要な位置に設置して、港湾周辺の海水濃度の連続モニタリング体制を整備すべきではないか。

 ⑸ 要員計画・作業安全確保に向けた計画について
  ア 福島給食センターについて、調理に当たって、除染されていない坂下ダムからの給水については作業員から不安の声が上がっているが、善処する考えはあるのか。
  イ 工事契約、労働条件、偽装請負、違法派遣の防止及び労働法令違反の防止について
   (ア) 元請及び一次下請けの事業者名の公表と作業員の発注単価を明らかにすること。
   (イ) 作業員には日当と危険手当が支給されているが、元請への賃金の支払い方法で日当と危険手当を区分して発注しているのか明らかにすること。
   (ウ) 放射線量の高い現場での作業でも、危険手当が支給されている作業員と支給されていない作業員がいるが、全ての作業員に危険手当を支給させることの指導について明らかにすること。
   (エ) 労災死亡事故待機中の賃金支給状況について明らかにすること。
   (オ) 電離則健診等の偽造問題に対し、元請事業者及び下請事業者に対する指導・監督内容と再発防止策について明らかにすること。
   (カ) 今年12月に施行される改正労働安全衛生法のストレスチェックについて、さまざまな規模の事業者が混在する福島第一原発の対応について、具体的に、どこの会社がどのようにストレスチェックを行い、集団的な分析による職場環境改善にどう取り組むのか明らかにすること。

  ウ 労災事故防止について
   (ア) 資料「原子力発電所における労働災害防止対策の取り組みについて」(平成27年2月16日東京電力株式会社)と資料「福島第一原子力発電所における労働災害防止対策の取り組みについて」(平成27年2月16日東京電力株式会社福島第一廃炉推進カンパニー)を提示し、内容を説明すべきと考えるが、いかがか。
   (イ) 平成26年1年間に福島第一原発構内で発生した労働災害について、「各労働基準監督署に届けられている死傷病報告書」の件数及び「被災労働者に支給した療養補償給付」の給付日数はどのくらいか。

 ⑹ 汚染水処理対策技術検証事業(トリチウム分離技術検証試験事業)について
  ア 現段階での概要はどうか。
  イ 今後の取り組みはどう進めるのか。

⑺ 情報公開について
  収束作業を進める上では県民・市民の収束事業に関する信任が欠かせない。東電が24日に発表した高い濃度の汚染水の外洋への放出は、事象の把握後ほぼ1年間公表していなかった。
  東電は、原因が分かったので公表したとしているように、原因究明を優先させ、掌握した事象の公表は後回しにした。
  当委員会の復興本社視察の際、地下貯水槽の汚染水漏れに関して、事象を把握したならば直ちに公表することが住民の信頼の上からも大切と口頭で東電に要望した経過があるが、今回の問題は、こうした要望は全く顧みられていないことを明らかにした。
 ア 東電はさまざまな形態で提出される要望事項等について、その実施の可否についてどのような仕組み・体制で検討しているのか。
   また、寄せられた要望等には、どのような形で回答をしているのか。

  イ 今回の問題で、東電が情報を一元的に管理することについて不信が増大し、収束作業そのものへの信頼を低下しかねない事態にあることに鑑み、事故収束にかかわる情報を管理・公開するための第三者機関を設置することが信頼回復の方策になると考えるが、東電として情報管理と公開のあり方については、今後どのような対応をとろうとしているのか。

⑻ 労働者の安全確保について
  ア 死亡事故の発生に伴い安全点検を全面的に行ったとしているが、作業進捗の中で危険箇所は変遷し、それに伴う安全対策の追加も必要となる。現場作業員に気づきが大切になるが、現場作業員の意見を生かすための方策はとられているのか。

2 福島第一原子力発電所における汚染水対策の現状と今後の対応について

 ⑴ K排水路等の汚染雨水流出問題について
  ア 共用プール建屋の屋上は「平成24年7月測定」として「0.50mSv/h」と公表されているが、その他の建屋屋上の測定データを公表しないのはなぜか。
  イ 排水溝出口付近のサンプリングが毎週1回で、排水溝の外の海水の調査しかしていないが、排水そのものを測定しないのはなぜか。
  ウ 排水溝出口付近のサンプリングは毎週1回とされるが、調査方法とサイクルはどういう基準で決められているのか。
  エ これまで放出した放射性物質の総量はいくらか。
  オ K排水路以外の排水路を流れる雨水に含まれる放射性物質の濃度や総量はいくらか。
  カ 「公表すべきとは思わなかった」とする増田廃炉カンパニープレジデント発言の意味は、事故時に放出した放射性物質には「東電の管理責任はない」、敷地に降下したセシウムやストロンチウムが雨水と流出することは「管理対象」ではなく、そのまま放流してよいということか。
  キ 「東電からの規制委への報告は平成25年11月。1~4号機原子炉建屋の山側(西側)を通る排水路の雨水から高い値の放射性物質が検出された直後。県担当も出席した平成26年1月の規制委の作業部会をはじめ、対策も計6回議論したが、海洋汚染の対策が取られている港湾内に排出先の変更を求める意見もあったが、東電は明確な回答を保留。規制委は同年2月、東電に平成27年3月まで1年間の猶予期間を与え、濃度の低減や管理計画の策定などを求めるにとどめた」のは、汚染雨水の流出の事実上の黙認で、問題ではないのか。
  ク 経済産業省は、第一原発事故の対応拠点としてJヴィレッジに廃炉・汚染水対策現地事務所を置く東電に、排水路の清掃や汚染源の特定などを指示しただけであり、昨年4月以降は情報開示を積極的には求めていない。これは、廃炉作業の管理・監督への認識の甘さが露呈したのではないか。
  ケ 今回の汚染雨水の流出について、責任の所在はどこにあるか。

⑵ サブドレン等の汚染水の海洋放出問題について
  ア 建屋周辺のサブドレンや海側の地下水ドレンから汚染水を汲み上げ、水処理施設でトリチウム等を除く放射性核種を除去して海洋放出する計画において、放出する放射性物質の濃度や総放出量はいくらか。
  イ 原子力規制委員会は1月、福島第一原発の「中期的リスクの低減目標マップ」案に「貯蔵液体放射性廃棄物」の削減策として、処理水の海洋放出等を明文化した。総量規制がないまま、貯蔵タンクを含め総量1,000兆ベクレルのトリチウムなどが全量投棄されることになるが、法的根拠及び安全性の担保はどのようなものか。
  ウ アンダーコントロールとされる内容について、国が説明会等を開催し、情報の開示及びわかりやすい説明を行うべきではないか。

 ⑶ 高性能アルプスについて
  ア 確証実験での吸着フィルター及び吸着塔の交換頻度並びに稼働率はどのくらいか。
  イ 廃棄物はどのように保管するのか。

⑷ 2号機の汚染水外洋放出について
  ア その根本策として排水口を湾内に変更することとしているが、湾内の海水は1日に半分程度入れかわるという指摘もあり、その効果は、外洋への放出を数日間遅らせることと、汚染水を希釈して低濃度にする程度しか考えられないが、これが根本策となるのはなぜか。

⑸ 汚染水が港湾内に流出した問題について
  ア 22日に発生した汚染水が港湾内に流出した問題では、警報が鳴ってから流出を阻止する作業まで約90分かかったとされているが、この間、汚染水が湾内に流れ込んだことになり、作業の方法としては不適切と思われる。直ちに流出をとめられなかったのはなぜか。

⑹ 汚染水雨水について
  ア 汚染雨水の海洋流出については、東電はもちろんのこと、国・県、原子力規制委員会、マスコミも承知していたと報道されているが、これは事実か。
  イ 汚染雨水の海洋流出について、いわき市も承知していたのか。
  ウ 汚染雨水の海洋流出について、「思いが至らなかった」とのコメントもあるようだが、何よりも先に説明すべき相手が漁業者ではないのか。漁業への影響や漁業者との信頼関係をどのように認識しているのか。

3 損害賠償について
 ⑴ いわき市民への精神的損害賠償について
  ア これまでの12万円を超えた精神的損害賠償を実施すべきではないか。
 
 ⑵ 損害賠償の決定について
  ア 損害賠償の決定権を東電の本社に置くのではなく、福島復興本社へ権限譲渡し、スピーディーに賠償を決定できる体制を確立すべきではないか。 

⑶ 昨年12月に公表された商工業者への損害賠償の考え方について
  ア そのあり方を見直すことを表明したが、検討の状況はどうか。

⑷ 避難指示区域外の商工業者に対する損害賠償について
  ア そのあり方はどのように考えているか。

⑸ 相当な因果関係について
  ア 損害賠償に当たって求められる「相当な因果関係」とは、どのような場合をさすのか。

⑹ 営業損害賠償について
  ア 震災前と同等の業績に回復した事業者はどの程度と捉えているか。
  イ 業績の回復が順調な業種と、低調な業種をどのように認識しているのか。
  ウ 今後、中長期にわたり業績が回復しない業種への対応はどのようにするのか。

4 その他
 ⑴ 経済産業省原子力災害現地対策本部では「被災者、国民の視点に立って」考えられるリスクの総点検を指示したと伝えられていることについて
  ア 排水路の配置図とモニタリング数値の公表公開
  イ 「被災者、国民の視点に立って」と、改めて被災者と向き合う姿勢をただされていますが、どのように認識されているのか。
  ウ 報道によれば、昨年4月から把握していたと言われているが、今後排水路で放射性物質の濃度が高いと判断された場合の対応について
  エ 濃度が高いとの数値認識の基準値とはどの程度か。(また影響はどの程度か)
  オ 仮に高濃度が計測された場合の対処手順について
  カ 排水路総点検と高濃度雨水処理体制について(排水路の排水経路の見直し)
  キ 考えられるリスクの総点検の対応について(具体的に)
  ク モニタリングデータ公開の迅速化と透明化が改めて求められているが、その対応について

⑵ 第一原子力発電所内のホットスポットの位置図と除染計画における雨水対策について

⑶ 今回の問題による影響は数値ではかれることができないものであり、風評被害の固定化につながることを危惧する。東電としての風評対策について

⑷ 今回の問題による廃炉工程への影響について

⑸ 汚染された施設、各種機器、タンク、備品、工具、車両などは、最終的にどのように処分するのか。
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by kazu1206k | 2015-03-19 09:08 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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