9,600億bq/yのストロンチウムを海洋放出

原子力規制を監視する市民の会の阪上さんから、3月25日の原子力規制委員会の「特定原子力施設監視・評価検討会第34回会合」の傍聴報告が届きました。

傍聴<汚染水>特定原子力施設検討会…規制の後退と海洋放出の実態

3月25日に、原子力規制委員会が設置した特定原子力施設監視・評価検討会の会合で汚染水についての議論があり、傍聴しました。特定特定原子力施設というのは、福島第一原発のことを指します。法的にはもはや、原子炉等規制法により規制を受ける原発ではなく、特別な規制を受ける得体の知れない原子力施設なのです。

特定原子力施設監視・評価検討会第34回会合資料
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/00000002.html

◆排水路の放射能は数値目標なし…汚染水に対する規制の後退◆

汚染水については、焦点のK排水路からの放射能放出が1年あまり放置されていた問題に関連して、原子力規制庁から、排水路の放射能について整理した文書が出されました。これが、原子力規制委・規制庁の汚染水に対する規制をさらに後退させる内容でした。

資料1 http://www.nsr.go.jp/data/000101567.pdf

文書では、放射能の放出抑制による敷地周辺の放射線防護について、2つの要求を並べています。

① 特定原子力施設から大気、海等の環境中へ放出される放射性物質の適切な抑制対策を実施することにより、敷地周辺の線量を達成できる限り低減すること。

② 特に敷地内に保管されている発災以降発生した瓦礫や汚染水等による敷地境界における実効線量(敷地全体からの放射性物質の追加的放出を含む実効線量の評価値)を、平成25年3月までに1mSv/年未満とすること。

①と②の違いは、①は達成できる限りでよいのに対し、②は敷地境界における実効線量1mSv/年未満という達成すべき数値が具体的に提示されていることです。そして文書は

排水路を流れる水は…発災時に環境中に放出された放射性物質が雨水により流れ出したものに由来するものと考えられることから、「施設内に保管されている発災以降に発生した瓦礫や汚染水等」には該当しない。このため当該排水路を流れる水は、…上記②において制限することを求めている敷地境界における実効線量(評価値)の対象には含まれない

と続きます。排水路の水は、②ではなく①だというのです。達成すべき数値はなく、達成できる限りでよいというのです。これは汚染水に対する規制の大きな後退です。

というのは、これまで排水路の水については、放射能が、発災時に出たものか、発生後に発生したものかは区別できず、よって厳しくみて、すべてを②として扱ってきました。それをこれからはすべて①にするというのです。そもそも発災後に発生した瓦礫にしても汚染水にしても、そこに付着している放射能は発災時に出たもので、両者を区別することは意味がないと思います。それに発災時のものだから規制を緩めてもよいというのはおかしいですよね。

これは、昨年2月26日の原子力規制委員会決定(規制要求)で、排水路の水も液体放射性廃棄物として規制するとしていたことにも反します。検討会会合でも、委員から、昨年の規制要求との関係についての質問が出ましたが、回答はありませんでした。

◆海洋放出の実態…東電がはじめて評価値をまとめて公表◆

この日の会合の資料では、東電が放射能の海洋放出の実態をはじめて明らかにしました。以下の64ページ以降です。

http://www.nsr.go.jp/data/000101568.pdf

資料によると

○発電所から海洋への放射性物質の放出量

① H23/3/26~H23/9/30(フォールアウト・海洋への放出)
Cs137…3,600兆ベクレル

② H26/4/1~H27/3/31(港湾への放出)
Cs137…3,900億ベクレル/Sr90…9,600億ベクレル/トリチウム…5兆4,000億ベクレル

③ H26/4/1~H27/3/31(港湾への放出)
Cs137…1,700億ベクレル/Sr90…170億ベクレル/トリチウム…4,600億ベクレル

とあります。①が事故直後で、大気から海に降るフォールアウトと直接汚染水として海洋に放出されたものを含みます。セシウム137で3,600兆ベクレルというびっくりする値です。他の核種の数値はありませんが、セシウム134も137とほぼ同量あったはずです。

②が最近一年の港湾への放出量です。今でもストロンチウムなどは1兆ベクレル近く出ています。②のうち、K排水路の分が③です。セシウムは約半数、ストロンチウムやトリチウムは約10分の1となっています。K排水路以外の海洋放出は、ほとんどが、海側遮水壁で一部開いている開口部から海に流れ出ている地下水に含まれる放射能です。海側遮水壁は一部をわざと開けていて、地下水を逃がしています。ここから放射能も出ています。

湾内外にはセシウムだけでもすでに数千兆ベクレルの放射能が放出されています。これ以上、海洋を放射能で汚染してはなりません。タンク中のトリチウム汚染水を放出するなど絶対に許されません!
e0068696_7184289.png

[PR]
by kazu1206k | 2015-03-27 07:19 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k
プロフィールを見る
画像一覧