支援法基本方針の改定案撤回を要請

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 復興庁が7月10日公表し8月8日までパブリック・コメントを募集している、原発事故子ども・被災者支援法の基本方針についての改定案に対して、「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟、福島原発震災情報連絡センター、原発事故被害者の救済を求める全国運動 実行委員会の3団体は、7月17日、参議院議員会館で、復興庁に対して、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」を撤回し、支援法の本来の趣旨に基づいた施策を求める要請書(下記に掲載)を提出した。

 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めている。しかし、2013年の政府の「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」や「被災者に対する健康・生活支援施策パッケージ」は、法の趣旨から逸脱し、政府の不作為に対する被災者の不満や批判の声が広がってきた。法の基本理念に基づき、原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現を求める国会請願が131,005筆の署名を添えて、今国会に提出されている現状にある。

 しかし、今回の「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」は、線量が低減したとして、「避難指示区域以外から避難する状況にはない」と明記。「(空間線量等からは」支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当」と明記し、「当面、放射線量の低減にかかわらず、支援対象地域の縮小又は撤廃はしないこととする」とし、福島県が、避難指示区域以外からの避難者に対する応急仮設住宅の供与期間を「平成29年3月末まで」としたとして、「空間放射線量が大幅に低減していること等とも整合的」とするなど、立法の趣旨に反し、被災者の切り捨てにつながる内容となっている。

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内閣総理大臣 安倍晋三 殿
復興大臣 竹下亘 殿
2015年7月17日

「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」を撤回し、支援法の本来の趣旨に基づいた施策を求める要請書

        「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
        福島原発震災情報連絡センター              
        原発事故被害者の救済を求める全国運動 実行委員会

 去る7月10日、復興庁は、「原発事故子ども・被災者支援法」(以下「支援法」)に基づく「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」を発表し、8月8日までパブリックコメントにかけています。
 この改定案では、「現在の支援対象地域内の空間放射線量は・・大幅に低減しており、生活圏として既に年間1~20ミリシーベルトの線量域の下方部分」として、「支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当」などとし、「避難指示区域以外から避難する状況にはない」と断言しています(※1)。
 しかし、そもそも支援法は、「(原子力発電所の事故により放出された)放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」(第1条)ことを明確に認め、支援策について、被災者ひとりひとりが「居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができる」ように、「そのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」(第2条)と謳っています。
 チェルノブイリ事故以来、世界に類を見ない深刻な影響を引き起こしている福島第一原発事故は、未だに収束せず、汚染は今もなお進行中であり、避難区域以外でも年間1mSv以上の線量を観測する地域も少なくありません。線量が「低減」していたとしても、事故前の環境放射線量と比べればその数倍を示すところも広く存在しています。線量の増加分が原発事故によって放出された放射性物質に起因したものと考えれば、こうした地域から避難し、今後も避難を継続したいと願う市民の皆さんの選択は、支援法の考え方からしても十分に根拠のあるものであり、特に小さな子どもたちを抱えている親たちにとっては切実なものと言わなければなりません。今回の改定案が依拠している考え方は、支援法の立法趣旨や立法府における認識(※2)からも逸脱しています。
 また、今回、復興庁は東京や福島で「説明会」を開催することとしています。そもそも支援法は、政府に対して「基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」ことを義務づけています(第5条第3項)。それにもかかわらず、基本方針策定(2013年)の際も、意見を聞くだけにとどまり、具体的な対応は見られませんでした。単なる「説明会」では、「意見を反映させるために必要な措置」の実現からは程遠いものだと言わなければなりません。支援法に基づく施策は、この間、一向に具体化されず、示されるのは既存の施策の並べ替えや、名ばかりの「支援策」に留まってきました。
 政府のこれまでの不作為に続き、今回の改定案は、当事者や支援者の想いに背き、立法府と被災者が創り上げた支援法の理念や前提を否定し、有名無実化させようとするものです。こうした考えと政府の姿勢を、私たちは認めることはできません。
 さらに、この改定案は、高すぎる基準に基づいた避難区域の解除、「自主」避難者への住宅支援の打ち切りなど、人々の願いに反した帰還政策と一連・一体のものであり、原発事故の矮小化、放射能汚染の受忍の強要そのものです。
 私たちは、この改定案と一連の帰還政策に反対し、「支援法」の趣旨を踏まえ、下記「要請事項」を緊急に強く申し入れるものです。

※註
 (1):ただし、「改定案の概要」では、支援対象地域は「当面縮小しない」としている。しかし、将来的な縮小・撤廃を前提とした方針であり、対象地域はむしろ拡大が必要
 (2)「原子力規制委員会設置法」成立時の参院の付帯決議においても、「放射線の健康影響に関する国際基準については、 ICRP(国際放射線防護委員会)に加え、ECRR(欧州放射線リスク委員会)の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと」と明記されている。

<要請事項>
1.今回の改定案の基本的考え方を撤回し、支援法の本来の趣旨に基づいた施策をあらためて確立すること。

2.避難者の意見聴取と政策への反映を目的とした「公聴会」を、多くの避難者が生活している京都・新潟・山形などをはじめ、全国各地で実施すること。

3.「支援対象地域」については、多くの被災当事者および支援者が主張してきたように、「年間1mSv以上の地域および福島県全域」とすること。

4.福島県外でも健診や医療費の減免を行うとともに、甲状腺癌以外の癌、癌以外の疾患についても幅広く検査すること。

5.「自主」避難者も含む、抜本的・継続的な住宅支援制度を確立すること。

以上
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by kazu1206k | 2015-07-18 11:45 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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