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汚染水海洋放出事件で東電を書類送検、福島県警

 福島原発告訴団が、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、2013年9月3日に東京電力元幹部武藤栄ら32名と法人としての東京電力株式会社を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)」の被疑事実で刑事告発した事件で、福島県警生活環境課は、10月2日、公害犯罪処罰法違反容疑で、広瀬直己東電社長や勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長ら新旧経営陣32人と、法人としての東京電力を福島地検に書類送検した。
 福島県警の捜査は、2013年10月に告発を受理してから約2年間もたち、東京電力関係者らから事情聴取などを進めていた。福島県警は「捜査を尽くした」としているものの、福島地検への送検に付した意見書の内容や認否については、明らかにしておらず、今後は、福島地検による捜査と処分の中身が問われることになる。
 送検の容疑は、東京電力が、福島原発事故後、2011年6月政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について、経営破綻を危惧して問題を先送りにし約2年間にわたり、抜本的対策を講ずることなく放置、危機的な状況を政府規制担当者らに説明せず、1日当たり300~400トンの汚染水を海へ流出させた。さらに、汚染水貯蔵タンクの監視や漏えい防止措置を怠った結果、2013年7月までに応急仮設タンクから約300トンの汚染水漏洩、引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし、これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず、事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した疑い。
 今後とも、福島地検が厳正公正な捜査を完遂して、東京電力の責任を明らかにし幹部らを起訴するよう、福島県民、市民の監視が必要だ。

●資料:汚染水海洋放出の告発について

2013年9月3日
福島原発告訴団・弁護団

1.本日、武藤類子(福島原発告訴団団長)ら3名のものは福島県警に対して、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力元幹部武藤栄ら32名及び法人としての東京電力株式会社を公害罪の被疑事実でそれぞれ刑事告発した。

2.被告発人(32名)
1.武藤 栄 東京電力株式会社 前・取締役副社長(~2011年6月)原子力・立地本部長
2.勝俣 恒久東京電力株式会社 取締役会長(~2012年6月)
3.皷 紀男 東京電力株式会社 取締役副社長(~2012年6月) 福島原子力被災者支  援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
4.西澤 俊夫 東京電力株式会社 取締役社長(~2012年6月)
5.小森 明生東京電力株式会社 常務取締役(~2012年6月)原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長 
6.清水 正孝 東京電力株式会社 前・取締役社長(~2011年6月)
7.藤原 万喜夫 東京電力株式会社 常任監査役(~2011年6月)・監査役会会長
8.古谷昌伯東京電力株式会社 取締役(~2012年6月)
9.高橋 彰 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
10.片岡 和久東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
11.横田 昌史東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
12.下河邉 和彦東京電力株式会社取締役会長
13.廣瀬 直己東京電力株式会社代表執行役社長、取締役、執行役
14.相澤 善吾 東京電力株式会社 代表執行役副社長取締役、執行役取締役副社長
15.山口 博東京電力株式会社取締役代表執行役副社長
16.石崎 芳行東京電力株式会社代表執行役副社長
17.嶋田 隆東京電力株式会社取締役、執行役
18.内藤 義博東京電力株式会社取締役、
19.數土 文夫 東京電力株式会社取締役
20.能見 公一東京電力株式会社取締役
21.小林 喜光東京電力株式会社取締役
22.樫谷 隆夫東京電力株式会社取締役
23.藤森 義明東京電力株式会社常務執行役
24.佐野 敏弘東京電力株式会社常務執行役
25.村松 衛東京電力株式会社常務執行役
26.新妻 常正東京電力株式会社常務執行役
27.武部 俊郎東京電力株式会社常務執行役
28.増田 祐治東京電力株式会社常務執行役
29.山崎 剛東京電力株式会社常務執行役
30.住吉 克之東京電力株式会社常務執行役
31.姉川 尚史東京電力株式会社常務執行役
32.壹岐 素巳東京電力株式会社常務執行役
33.法人としての東京電力株式会社

3.罪名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)
3条2項
 東電役員、元役員ら33名
3条2項、4条
法人としての東京電力株式会社


4.告発の内容
(1)タンクからの漏洩
(a)注意義務

 東京電力は、人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水を貯蔵するために設置した応急仮設タンクからの汚染水漏洩を防ぐため,応急仮設タンクを早期に通常の強度と安全性を備えたタンクに切り替え,またタンク周りに設置された堰に設けられた排水弁を開放したままにすることなく,止栓して,仮にタンクからの流入が起きても,海洋への流出を防ぎ,さらにタンクからの漏洩が起きていないかを確実に検知し,速やかに漏洩防止の措置をとるなどの善管注意義務を負っていた。

(b)東京電力による漏洩
これらの注意義務をことごとく怠り,平成25年(2013年)7月までに,タンクに損傷を引きおこし,汚染水のタンクからの約300トンの汚染水の漏洩に引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし,また,これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した,

(2)地下水からの漏洩
(a)注意義務と過失

 福島第1原発の原子炉建屋地下には山側から海方向に毎日約1000トンの地下水の流れがあり,これを迂回させて海に排出する確実な経路を確保しなければ,早晩地下水が建屋地下に流入し,炉心溶融により建屋地下に貯留している放射性物質と接触し,放射性物質に汚染された状態となって海に排出される事態となることを認識しながら,平成23年(2011年)6月17日政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について,経営破綻を危惧して中長期的対策として問題を先送りにし,その後約2年間にわたり,抜本的対策を講ずることなく放置し,また危機的な状況を政府規制担当者らに説明しなかった。

(b)東京電力による漏洩
日付不明の時期から今日に至るまで,毎日300ないし400トンの,東京電力が認めているだけで,平成23年(2011年)5月以降,海洋に流出したセシウム137は20兆ベクレル,ストロンチウムは10兆ベクレルに上る人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水の海洋への排出を引きおこし,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出した,

(3)告発のポイント
  福島第一原発事故の収束もないまま、福島原発告訴団の告訴・告発は不起訴にするとの報道がまことしやかに流れている。
  本件東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件が発生したのは、まさに地検が上記告訴・告発について、真摯に捜査、検討せず、東京電力に何をやっても許されるという慢心を与えたためである。
  本件告発では、本件の捜査を福島県民に寄り添い、その痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねることとした。
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by kazu1206k | 2015-10-02 22:42 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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