日弁連、指定弁護士の選任手当に意見書

 日本弁護士連合会は、法務省が10月15日から「検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令の一部を改正する政令案」に関する意見募集を行ったことに対して、11月5日付けで意見を取りまとめ、11月10日に法務省刑事局に意見書を提出した。
 日本弁護士連合会は「検察審査会が起訴議決をして指定弁護士が選任された事案のうち大規模・困難事件としては、多数の被害者や被害者遺族がいた兵庫県の明石歩道橋での事故に係る事案、福知山線事故に係る事案や小沢一郎氏の政治資金規正法違反事件に係る事案などがあり、さらに、これから起訴されることが予想される東京電力の福島第一原子力発電所の事故に係る事案がある。」として、「こうした事件については、膨大な記録を検討し、補充捜査を実施し、被害者参加する多数の被害者等との対応が必要であり、ほとんど全ての事件で公判前整理手続が実施され、証拠開示への対応などが求められており、事案によってはマスコミ対応にも追われることになる。」「指定弁護士の職務は極めて多岐にわたるとともに、弁護士業務とは全く異なる検察官業務を行うものであり、事案によっては、その負担は極めて大きいだけでなく、物理的な時間も相当程度とられ、本来の弁護士業務にも影響が出ているのが現状である。」「したがって、大規模・困難事件があることを想定すると、将来的には速やかに、上限を撤廃することが検討されるべきである。」と述べて「本件政令改正案に賛成するが、今後更に改善が望まれる」とした。

「検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令の一部を改正する政令案」に関する意見書

2015年(平成27年)11月5日
日本弁護士連合会

意見の趣旨
 本件政令改正案に賛成するが,今後更に改善が望まれる。

意見の理由
 1 本件政令改正案について
  当連合会は,改正検察審査会法の施行前から,検察審査会法における指定弁護士に対して給すべき手当の額について,検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令(以下「本件政令」という。)第1条に定められた上限額は著しく合理性を欠いているとしてきたところである(平成20年5月28日付け 「『検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令案』に関する意見書」)。そして,平成21年5月21日の改正検察審査会法施行の前後を通じて,起訴議決により指定弁護士が選任された具体的な事案を念頭に置いて,審級ごとの上限額の120万円があまりに低額であるとして,その改善に向けた取組を続けてきたものである。
 今回,ようやく,本件政令第1条につき,下限と上限をそれぞれ増額する政令案(以下「本件政令改正案」という。)がパブリックコメントに付され,その施行日を平成28年1月1日とし,本件政令の施行の日以降に審理が終了した事件の当該審級に関する手当について適用される見込みとなったことは一定の前進であると考える。

2 今後の課題について
  もっとも,本件政令改正案において,その上限額が315万円とされたことについては,依然として不十分であり,上限額の更なる引上げや上限の撤廃について,速やかに検討がなされるべきである。
 これまでに,検察審査会が起訴議決をして指定弁護士が選任された事案のうち大規模・困難事件としては,多数の被害者や被害者遺族がいた兵庫県の明石歩道橋での事故に係る事案,福知山線事故に係る事案や小沢一郎氏の政治資金規正法違反事件に係る事案などがあり,さらに,これから起訴されることが予想される 東京電力の福島第一原子力発電所の事故に係る事案がある。
 こうした事件については,膨大な記録を検討し,補充捜査を実施し,被害者参加する多数の被害者等との対応が必要であり,ほとんど全ての事件で公判前整理手続が実施され,証拠開示への対応などが求められており,事案によってはマスコミ対応にも追われることになる。
 このように,指定弁護士の職務は極めて多岐にわたるとともに,弁護士業務とは全く異なる検察官業務を行うものであり,事案によっては,その負担は極めて大きいだけでなく,物理的な時間も相当程度とられ,本来の弁護士業務にも影響が出ているのが現状である。
 したがって,大規模・困難事件があることを想定すると,将来的には速やかに, 上限を撤廃することが検討されるべきである。
 なお,指定弁護士の手当は,現在,審級ごとに,判決後に支払われているが, 長期間の審理がなされる事案の場合には,判決までの数年間を無報酬で指定弁護士の業務に従事しなければならず,そのことが指定弁護士の大きな負担となっているので,今後は,手当の支払方法や支払時期についても検討されるべきである。

3 結論
 以上から,当連合会としては,一定の前進という趣旨で本件政令改正案に賛成するが,上限額の更なる引上げや上限の撤廃,手当の支払方法や支払時期につい て,速やかに検討に着手すべきことを強く求める。

                             以上
e0068696_716220.jpg

[PR]
by kazu1206k | 2015-11-23 07:16 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k
プロフィールを見る
画像一覧