ほど遠い原発事故の収束、被害者を切り捨てるな

●ほど遠い原発事故の収束、被害者を切り捨てるな

               佐藤和良(福島原発告訴団副団長)

 福島原発事故から5年になろうとしている。しかし、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていない。福島第一原子力発電所は、事故収束の見通しも立たず、毎日大量の放射性物質を空気中に放出し、汚染水を海洋に流出し続けている。
 連日8千人が従事する事故収束作業の現場では、労災死亡事故が相次ぎ、熟練労働者が離脱するなど、多重労務構造下での厳しい被曝労働という労働環境にある。
 そして、未だに約11万人の被災者が避難生活を強いられ、その約4割の約4万5千人が県外避難を続けている。事故の収束にはほど遠い状況だ。
 にもかかわらず、国の原子力災害対策本部は、「復興の加速化」と称し、「年間積算線量20mSv以下・日常インフラの復旧・住民との協議」の3要件による、避難指示区域指定の解除・区域外避難者の住宅支援の2017年3月打ち切り、損害賠償の2018年3月打ち切りと、原発事故被害者切り捨て方針を打ち出し、被害者救済に致命的な打撃を与えようとしている。
 事故の風化と帰還の強制、被曝の受忍強制という被害者切り捨て政策が進む中で、母子避難など二重生活の精神的経済的困難、避難生活の疲弊、被災者間の分断などが深まり、被害者は声をあげにくい状況だが、福島第一原発事故による損害の賠償や責任の明確化を求めて、訴訟などを起こしている被害者団体が結成した全国組織「原発事故被害者団体連絡会」(略称:ひだんれん、21団体・約2万5千人)や強制避難と自主避難の壁を越えた全国の避難者のネットワーク「『避難の権利』を求める全国避難者の会」が2015年に相次いで立ちあがった。

責任追求で原発に終止符を

 一方、福島原発告訴団が2012年に「福島原発事故の刑事責任を糾す」として1万4716人で行った告訴・告発事件は、検察庁が二度にわたり不起訴処分としたが、東京第五検察審査会が二度にわたり起訴相当を議決して、被疑者・勝俣恒久、武黒一郎、武藤栄が「強制起訴」となった。
 福島原発事故の真実と責任の所在を明らかにする、この刑事訴訟は、原発社会に終止符を打つため重要な意義を持つため、訴訟の行方を見守り支える「支援団」が1月30日東京で立ちあがる。
 また、福島原発告訴団の「東電と旧経産省保安院の津波対策担当者計5名」に対する「2015年告訴」は、東京第一検察審査会に申立てを行い、現在審査中となっている。この他、13年に広瀬直己東電社長や勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長ら新旧経営陣32人と法人としての東京電力を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)」で福島県警に告発した「汚染水告発」事件は、福島県警が新旧経営陣32人と法人としての東京電力を福島地検に公害罪法違反容疑で書類送検し、現在、福島地検が捜査している。
 いま政府は、福島原発事故などなかったことのように、原発事故子ども・被災者支援法を骨抜きにして帰還と被曝を強要しているが、「ひだんれん」は、福島原発事故から5年となる今年3月2日に、東京・日比谷野外音楽堂で「被害者を切り捨てるな!全国集会」を開催するとともに、政府交渉に臨む。
 原発事故被害者の健康と生活を侵害している原因を除去して被害回復を進めるため、立ちあがった被害者を孤立させず、全国でつながって行こう。

                      労働情報 926・7合併号 2016.1.1/15 
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by kazu1206k | 2016-01-02 18:48 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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