汚染水海洋放出事件、福島地検が不起訴

 福島原発告訴団が、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、2013年9月3日に東京電力元幹部武藤栄ら32名と法人としての東京電力株式会社を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)」の被疑事実で刑事告発した事件で、福島県警は、昨年10月2日、公害犯罪処罰法違反容疑で、広瀬直己東電社長や勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長ら新旧経営陣32人と、法人としての東京電力を福島地検に書類送検したが、福島地検は、3月29日、これを不起訴処分とした。
 告発は、汚染水貯蔵タンクの監視や漏えい防止措置を怠った結果、2013年7月までに応急仮設タンクから約300トンの汚染水漏洩、引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし、これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず、事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した疑い。さらに東京電力が、福島原発事故後、2011年6月政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について、経営破綻を危惧して問題を先送りにし約2年間にわたり、抜本的対策を講ずることなく放置、危機的な状況を政府規制担当者らに説明せず、1日当たり300~400トンの汚染水を海へ流出させた疑いだ。

 これに対して、福島地検は、
1.溶接型タンクから漏えいさせた件について、 廣瀬社長ら4名と法人としての東京電力を嫌疑不十分、ほか28名を嫌疑なし、
2.遮水壁先送りにより被害を拡大させた件について、勝俣元会長ら6名と法人としての東京電力を嫌疑不十分、ほか26名を嫌疑なし、とした。
 福島地検の処分理由の趣旨は、以下の通りだ。
1、汚染水貯蔵タンクから漏えいについて、排出、危険の発生について立証困難とし、「事業活動に伴う排出 要件を満たさない」などとし、結果回避義務を一部認める余地はあるが、予見可能性が立証困難で、過失を立証することは困難。
2、遮水壁先送りについて、建屋周辺地下水の放射性濃度は滞留水に比べて極めて低濃度で、滞留水漏洩を疑わせるだけの高濃度放射性物質は検出されていない、「排出」の証拠がないから「危険」の発生も立証困難とし、これまた「事業活動に伴う排出 要件を満たさない」とし、汚染水の海洋流出防止のためには、海側遮水壁を設置すれば十分で陸側遮水壁設置を回避義務として課すことは相当でない。

 このように福島地検は、汚染水貯蔵タンクからの漏えいは汚染水の海への「排出」に至っていない、遮水壁先送りも原子炉建屋の滞留水が水封され貯留していため「排出」と「危険」を立証する証拠もない、従って嫌疑不十分または嫌疑なし、という処分理由となっている。
 しかし、この不起訴処分と処分理由は到底認められるものではない。告発以来2年半、福島県警と福島地検のこれまでの捜査は一体何を捜査してきたのか。はたして福島地検が厳正公正な捜査を完遂したのか。漁業関係者はもちろん周辺住民を不安と絶望に陥れ、国際問題にもなろうという、放射能汚染水の太平洋への流出は、誰の目にも明らかな東京電力の汚染水漏洩、汚染水の海洋放出であり、このままでは東京電力による犯罪的行為は全て認められてしまうことになる。何をやっても何もしなくても、その責任が一切問われない。このまま、福島地検の不起訴処分を認めるわけにはいかない。
 現在、福島原発告訴団は、福島地検に不起訴処分の理由説明を求めている。
 その上で、東京電力の責任を明らかにし幹部らを起訴するよう、福島県民の代表による福島検察審査会への申立を検討することになる。
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 処分の詳細、福島地検の「東京電力福島第一原発の汚染水に係る公害罪法違反告発事件の処理について」は、下記に掲載した。
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by kazu1206k | 2016-03-30 22:04 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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