トリチウム汚染水の海洋放出中止で東電交渉

 脱原発福島ネットワークの東京電力交渉(再開第27回)が、5月19日午後、いわき市平の東京電力平送電所で行われた。
 冒頭、「いのちよりカネは許さない!トリチウム汚染水の海洋放出中止を求める要請書」(下記に掲載)の提出が行われ、「トリチウム汚染水の海洋放出は、コストを優先して国民の命と健康をないがしろにするものである。漁業者、市民、国民の理解を得られないトリチウム汚染水の海洋放出は行われるべきではない」とトリチウム汚染水の海洋放出の中止を求めた。
 東京電力側は、「トリチウムは、ストロンチウムやセシウムより害が少ない。現時点ではいえないが、国の汚染水処理対策委員会の決定に従う。運用基準の1リットル当たり1500ベクレルは、地下水やサブドレンの基準で、汚染水には対応していない。元々、(告示濃度の1リットル当たり)6万ベクレルを国が認めている」と回答した。
 また、3月に提出した「炉心溶融マニュアルの隠蔽と炉心溶融の公表遅れに抗議し、責任の明確化を求める要請書」への回答では、「第3者委員会の結果がでれば回答できる」として、回答しなかった。
 さらに、福島第一原発1・2号機の排気筒の亀裂による倒壊防止対策では、「解体工事は決めたが、工法など具体的計画については検討中」との回答にとどまった。
 被曝労働者の待遇改善では、下請け企業の労働者の各種保険加入率の把握状況について、「労働基準監督署できくべき」との回答に対し、東京電力が労働者に実施している直接アンケートできいてみてはどうかという意見も、受け付けなかった。全面マスクのフィルターの再利用など運用状況は次回回答すると応えた。
 その他では、凍土遮水壁の凍結が始まったが、消費電力量をあらためて回答するように求めた。地震対策として防潮堤の建設はどうするのかも次回回答となった。

 過酷事故から5年が過ぎ、市民の要請や質問に対する東京電力の対応が悪化している感がある。事故以前と比べても、公式発表を繰り返し押し付け、説明を求めても避けて答えないことが多くなってきた。これらは、秘密主義、情報非公開、隠ぺいなど、東京電力の事故以前からの伝統的な企業体質ではあるが、事故責任の受けとめ方に歪みがあり、加害企業としての自覚が依然欠如し希薄化が進行している。国と相互依存の無責任体制がまかり通る。長期にわたる事故収束と廃炉への過程をこの体質で乗り切れるとは思えない。また、放射能汚染や被曝という形で、そのツケを住民、国民にまわそうとしているのではないか。

いのちよりカネは許さない!トリチウム汚染水の海洋放出中止を求める要請書

東京電力株式会社 代表執行役社長 廣瀬 直己 様           2016年5月19日

 4月19日、経済産業省の汚染水処理対策委員会「トリチウム水タスクフォース」は、東京電力福島第1原発事故でタンクに貯蔵されているトリチウム汚染水の処分方法について、コストや処理期間などを試算の結果、海へ流すことが最も短期間で低コスト処分できると発表して、汚染水処理対策委員会に判断を委ねた。
 タスクフォースは、「地層注入」「海洋放出」「水蒸気放出」「水素放出」「地下埋設」の5つの処分方法を設定し、前処理について「希釈」「同位体分離」「なし(そのまま処分)」の場合の技術的成立性について検証。それぞれ、トリチウム汚染水の総量を80万トン、1日の処分量を400トンなどと仮定し、処分期間やコストを計算、比較したものだ。
 試算結果は、処理コストが少ないとされたのが「希釈後海洋放出」。調査から設計、建設、処分、監視までのトータルコストは「18億~34億円」とされ、海洋放出は最長7~8年で処理することができ、5つの中でも最も低かった。一方、地下埋設は最長76年の管理が必要で、コストも高かった。「希釈海洋放出」は、告示濃度の1リットル当たり6万ベクレル以下に海水と混ぜて希釈して海に流す。これは東京電力の現在の運用基準1リットル当たり1500ベクレルを40倍も基準を緩めることが前提だ。
 このトリチウム汚染水の海洋放出に対し、「廃炉・汚染水対策福島評議会」では、「海洋放出は漁業者から認められるものではない。流せば福島の漁業は死んでしまう」と県漁連会長は「タンク保管も評価に入れるべきではないか」と指摘し、福島県副知事も「経済的合理性だけではなく、風評被害などのリスクも踏まえて議論してほしい」と国と東京電力に要望した。さらに、福島県漁連の各漁協組合長会議では、「実害になる」として、海への放出は認めない方針を確認した。
 こうした動きに、東京電力社長は4月27日、原子力規制委員会で「やれることは全部やらないといけない、まずはそういうスタンス」と話し、海洋放出を進めようとしている。
 トリチウム汚染水の放出は、東電の試算で、サブドレン等の汚染水だけで一日9.65億ベクレルとされ、総量規制のないまま放出されれば、貯蔵タンクを含め総量1,000兆ベクレルのトリチウムが全量投棄されることになり海洋汚染が拡大する。
 東京電力は、これまで福島県漁連傘下の漁業者に再三説明と称して計画への合意を迫っているが、他の水産業者や観光業者、市民、国民への説明がないまま、困難な選択を迫る不誠実で不当な対応が続いている。トリチウム汚染水の海洋放出は、コストを優先して国民の命と健康をないがしろにするものである。漁業者、市民、国民の理解を得られないトリチウム汚染水の海洋放出は行われるべきではない。下記の通り要請し、速やかな回答を求める。


1、トリチウム汚染水の海洋放出計画は中止し、広く市民説明会を開催すること。
2、トリチウム汚染水の海洋放出に関する環境アセスと総量規制を実施すること。
3、トリチウム汚染水は、固化など安全な方法で保管し恒久的対策を確立すること。


命を守る三春の会   風下の会福島   脱原発の日実行委員会福島   脱原発福島ネットワーク   脱原発緑ネット    ハイロアクション福島   福島原発30キロ圏ひとの会   双葉地方原発反対同盟   フクシマ原発労働者相談センター   ふくしまWAWAWA−環・話・和ーの会 
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by kazu1206k | 2016-05-19 23:02 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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