汚染水告発、福島検察審査会が地検の不起訴を容認

 東京電力福島第1原発の放射能汚染水海洋放出に関して、福島原発告訴団が「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)」の被疑事実で刑事告発した事件について、福島検察審査会は6月23日、福島地検による不起訴処分を相当とする議決を行ったことが、7月5日公表された。
 本件は、東京電力が福島第一原発における汚染水対策を怠り、放射能汚染水を海洋に放出した事件で、福島県警に告発以来2年半をへて、福島地方検察庁が3月29日、嫌疑不十分などとして不起訴処分を行ったため、4月13日、福島検察審査会に対し、東京電力元会長勝俣恒久ら7名と法人としての東京電力株式会社を公害罪法で起訴するよう福島原発告訴団が審査を申立てていた。
 福島検察審査会事務局の対応が性急なため、福島原発告訴団は上申書を提出して「この汚染水の漏洩は、事故収束と汚染水管理の責任を負っている被疑者らが必要な初歩的な注意義務を怠り、無策のまま、対策を先送りしたことによる」「公害罪法違反の犯罪」として、「福島の人々の生命・健康を守るために、被疑者らを起訴し、責任を問うことが必要」「審査員の皆様が,福島の人々の運命を握っています。審査員の皆様には,公正かつ徹底した審理をして頂けると期待しています」として、拙速な結論を出さず慎重審査と2360人の申立人らの陳述を求めるとともに、起訴相当の議決を強く求めてきた。
 しかし、福島検察審査会は、公害罪法の構成要件として要求する、「放射性物質の排出」について、汚染水貯蔵タンクからの漏えいは汚染水が海へ「排出」されたことの十分な証拠も「危険」が発生した十分な証拠もない、遮水壁先送りも原子炉建屋の滞留水が水封され貯留しているため「排出」と「危険」を立証する十分な証拠もない、当該排出は「事業活動に伴う排出」に当たらず、「過失を立証する十分な証拠がないという検察官の判断を不当とするに足りる証拠を見出すことができなかった」と議決書で述べたのみで、判断に至る理由も示さず論理性、法理性に欠けるものであった。
 事故後にすみやかにスラリー壁を建造しなかったことが汚染水対策混迷の根本であり、そもそも福島地検の判断は、フランジ型タンク設置や地下水が海に達するまで相当の期間を要するとの認定や原子炉建屋内の滞留水の水封など、初歩的な科学的誤謬に基づく杜撰なものであり、昨年10月26日まで海側遮水壁は閉合されず、汚染水流出を放置してきた事実は明白で、現在でも完全な流出防止は実現していないのである。
 このような福島地検の不起訴処分理由の内容を慎重に審査すべき福島検察審査会が、わずか2か月の間の幾度かの審査で、判断理由も示すことができないほどの議決を行ったというのは、驚くべき事態である。はじめに「不起訴相当」の結論ありき、と疑わせる。
 はたして厳正公正な審査を完遂したのか。漁業関係者はもちろん周辺住民を不安と絶望に陥れ、国際問題になる放射能汚染水の太平洋への流出は、東京電力自身も認める汚染水漏洩であり、誰の目にも明らかな汚染水の海洋放出である。このままでは東京電力による犯罪的行為は全て認められてしまうことになる。何をやっても責任が一切問われない。
 汚染水問題が深刻さを増す中、トリチウム汚染水2500兆ベクレルもの海洋放出計画が福島県民、漁業者に押し付けられようとしている。漁業者はじめ多くの福島県民、周辺住民、海に生きる多くの人々、海洋の生きとし生けるものにとって、放射能汚染水の海洋放出は許されるものではない。
 以下は、福島原発告訴団の武藤類子団長のコメント。 

 東電汚染水放出事件 不起訴相当の議決について

 汚染水放出事件はそもそも、東電が早い時期に適切な対策を取っていれば防げたものと思います。
 福島地検の不起訴処分後に行われた検察官による説明を聞く限りでは、十分な捜査が尽くされたとは思えず、福島検察審査会の審査員が正当に判断できるだけの証拠が示されていたのか非常に疑問です。
 この事件の責任を裁判によって追及することは、今後の東電の汚染水処理が適切に行われるかどうかという点でも重要であったと考えていましたので、非常に残念に思います。

       福島原発告訴団 団長 武藤類子
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by kazu1206k | 2016-07-08 23:35 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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