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避難者住宅で知事に公開質問状、3団体

 3月9日、原発事故被害者団体連絡会、原発被害者訴訟原告団全国連絡会、「避難の権利」を求める全国避難者の会の3団体が、東京電力福島第一原発事故による区域外避難者への住宅無償提供の3月末打ち切りを目前に記者会見を行いました。
 「原発事故被害者団体連絡会」の熊本美彌子さん(田村市から東京都内に避難)は、国と福島県に対して支援の要望をしてきたが、誠実な対応がないとして、「原発事故の責任をどう考えているのか?」「母子避難を続けている人は生活が成り立たない。 生活の困窮者ではなく、原発の避難者として対応して欲しい」と話し、1人も路頭に迷わせないで、と強く訴えました。
 3団体は、面談を拒否し続ける内堀福島県知事に対し、 知事の現状認識と責任や支援打ち切りの政策変更決定の経緯などを問う、公開質問状を送付したことを明らかにしました。3月21日までの回答を求めています。
 以下、公開質問状です。

福島県知事 内堀雅雄 様

       <避難者住宅問題解決に向けての公開質問状>


 私たち福島第一原発事故による被害者は、事故後6年を経てなお苦境の中にあります。
 わけても、2015年6月15日に知事が決定された避難指示区域外避難者に対する住宅無償提供の打ち切りは、期限とされる本年3月末日まで3週間余に迫り、対象とされた1万2539世帯・3万2312人の多くは、住まいの確保、のしかかる経済的負担という二重、三重の苦境に追い込まれています。

 私たち被害者2団体と全国で避難生活を余儀なくされている被害者は、このような事態を避けるため昨年5月以来、この政策を決定された責任者である知事に対し、政策変更に対する疑問への回答と、全ての避難者の暮らしが守られる解決に向けて、重ね重ね直接の話し合いを要請してまいりましたが、知事は「組織として対応している」としてこれを拒否されました。

 自らの決断による政策変更によって、多くの被害県民を窮地に立たせる結果を招いている事実を前にして、なお、被害者との対話を拒み続ける姿勢は異常と言わざるを得ません。

 私たちは、今後も知事との直接対話を含め、事態の正当な解決を求めてまいる決意です。その前提として、現時点で確認しておくべき点に関して、別紙公開質問状によって知事の回答を求めます。

 切迫している事態を踏まえ、3月21日(月)までに、文書をもってご回答願います。

2017年3月8日

原発事故被害者団体連絡会
連絡先:☎080-2805-9004 Email:hidannren@gmail.com

原発被害者訴訟原告団全国連絡会
連絡先:☎090-3363-5262 Email:gensoren@zpost.palala.

「避難の権利」を求める全国避難者の会
連絡先:☎080-1678-5562 Email:hinannokenri@gmail.palala.com

<質問事項>     

1. 知事の現状認識について

1)知事は災害救助法適用打ち切りの理由の一つとして「放射線量が下がった」とされたが、その根拠は何か。

2)朝日新聞が2月末に行った県内在住者に対する世論調査で、放射性物質が健康に与える影響について63%が「不安を感じている」と答えていることが報じられたが、これをどう受け止めるか。知事自身は、放射線が健康に与える影響に対する懸念はなくなったと考えているか。

3)県民健康調査で子供の甲状腺がんが多数発見されているが、知事は事故による放射性物質との関係をどう考えておられるか。

4)2011年3月11日、原子力災害対策特別措置法に基づいて発令された福島第一原発事故に対する原子力緊急事態宣言は、未だ解除されていません。この事態をどう受け止めておられるか。

5)県が昨年行った「住まいに対する意向調査」で、県外避難者の50%から70%が「県外生活の継続を望んでいる」と答えているが、知事はこれをどう分析されたか。

6)2月23日の県議会本会議で、知事は「大部分の避難者は住まいの見通しが立っている」と答弁されたが、この根拠は何か。「見通しが立っている」とは、「健康で文化的な生活」(日本国憲法第25条)が営まれるということを意味しているか。


2. 知事の責任について

1)知事は今回の政策変更によって生じる結果について、政府と共にその責任を負ったことを認識されているか。

2)今回の政策変更によって、県民の安全と生活を守る知事の責務に違背することはないと断言できるか。

3)この3月末から4月初めにかけて帰還困難区域を除きすべての避難指示が解除され、約3万2千の県民が新たに「区域外避難者」になる。これらの人々に対しても、今回の政策変更と同様の対応をなされるのか。

4)住宅無償提供打ち切りによって、不本意に移住を迫られることは基本的人権に対する侵害であり、2015年の国連人権委員会に報告された「グローバー勧告」や、「社会権規約」「国連の国内強制移動に関する指導原則」などの国際的な規範にも反するとの指摘があるが、知事はこの指摘をどう受け止めるか。

 5)知事は「原発事故からの回復には時間がかかる」と発言しておられる。「支援策」の不十分さ、対応の遅れを率直に認め、少なくともすべての被害県民が安心して生活できる住まいが確保されるまで、今回の政策変更を撤回もしくは留保される考えはないか。そのことを政府と再協議する考えはないか。ないとすればその根拠を示されたい。


3. 政策変更決定の経緯について

1)災害救助法適用延長打ち切り、「福島県による支援策」切り替えを決断された日時及び内閣総理大臣と協議した日時を示されたい。

2)同上決断に至った経緯と理由を示されたい。

3)対象を「避難指示区域外」と特定した判断の根拠を示されたい。

4)同上決断に至る過程に被害当事者の意向は反映されたか。

5)政策変更によって被害県民の健康と生活が十全に担保されるとの確信があったか。あったとすれば、その主な根拠は何か。なかったとすれば、いかなる方法でそれを補おうと考えられたか。


4. 「福島県による支援策」の決定経緯について

1)「支援策」は2015年12月25日に発表されたが、打ち切り決定後半年を要した理由を示されたい。

2)「支援策」の検討は何時開始され、どのような機関で、何回の検討が行われたか。知事の最終決済は何月何日かを示されたい。

3)検討の過程で被害当事者の実態をどう把握されたか。当事者の意向を聴取されたことはあるか。あるとすれば、それをどう反映されたか。

4)2015年10月に行った関係都道府県へのアンケート結果は「支援策」にどう反映されたか。

5)「住まいの意向調査」が「支援策」決定後になったのはなぜか。


5. 「福島県による支援策」の内容について

1)「支援策」の基本理念はいかなるものだったか。災害救助法による救助内容のレベルを維持するものか、レベルダウンもやむなしとするものか。

2)避難先都道府県への公営住宅確保依頼と民間賃貸住宅への家賃補助を柱とする「支援策」で、どの程度カバーできると考えたのか。

3)引っ越し費用の補助などで、帰還者と県外居住継続者との間に差を設けたのはなぜか。

4)民間賃貸住宅居住者への家賃補助を「初年度3万円、次年度2万円」とした算定根拠は何か。2年で終了とする根拠は何か。

5)「放射能への不安」を避難継続の理由と認めながら、これを家賃補助に限定したのはなぜか。

                             <以上>
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by kazu1206k | 2017-03-10 23:52 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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