憲法9条改悪、3項に自衛隊を明記
2017年 05月 03日
安倍政権は、2014年に従来の政府見解を変え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定、解釈改憲を強行。2015年には日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)の改定、安倍首相自身が法案への「国民の理解が進んでいない」ことを認めながら安全保障法制の強行採決、2016年3月安保法制が施行され、集団的自衛権に基づく武力の行使、後方支援として米軍等へ弾薬提供、PKOや米軍等の武器等防護として武器の使用など、海外における武力の行使に踏み出す段階になってきました。自衛隊任務を大幅に拡大して、アメリカ等他国への攻撃で日本が武力行使するもので、「専守防衛」は放棄され、憲法9条は踏みにじられてきました。
このような立憲主義及び民主主義の危機はより深刻な状態の今、憲法9条3項に自衛隊の存在を明記して、憲法9条を改悪する改憲案は、まさに我が国の在り方が平和国家を放棄する、戦争国家に変わる重大な問題です。今まさに、戦争放棄をうたう憲法9条は崖っぷちにあります。
安倍首相は、18年9月の自民党総裁選で勝って21年9月までの総裁の任期中の改憲を実現しようとするもので、個利個略そのものです。
権力を縛るのが憲法という、立憲主義の考え方を公然と放棄して恥じない安倍首相の横暴を許してはなりません。
以下は、日本弁護士連合会の5月3日付け「憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話」。
本日、日本国憲法が施行されてから70年目の憲法記念日を迎えた。
日本国憲法は、個人の自由・権利を保障するため憲法により国家権力を制限するという立憲主義を基本理念とし、基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権を基本原理としている。
この間、日本国憲法は確実に国民の間に定着し、国民はこの憲法の下で不断の努力によって権利と自由を拡充させ、民主主義社会を実現・発展させるとともに、平和な国家を築き上げてきた。
しかしながら、集団的自衛権行使を可能とするなど憲法違反の安保法制が施行されてから1年の間に、安保法制の運用が進められ、違憲状態が既成事実にされようとしており、立憲主義の危機ともいえる状況が生じている。
また、衆議院憲法審査会では、憲法改正に関する審議が行われており、具体的な改憲項目として大規模災害など緊急事態における国会議員の任期延長問題が審議されているなど、今後の議論の状況が注目されるところである。
日本を取り巻く国際環境が変化しつつある今日、改めて、日本国憲法の恒久平和主義の下、70年の間に一度も戦争の惨禍に見舞われることなく、平和国家として歩んできたことを確認するとともに、国際紛争を外交努力で解決することにより平和と自由を守ることが求められている。
当連合会は、日本国憲法施行から70年目の憲法記念日を迎えて、日本国憲法の定める基本原理を尊重し立憲主義を堅持する立場から、日本国憲法の果たしてきた役割と意義を国民と共有するとともに、平和と自由を守るために、たゆまぬ努力を続けることを誓うものである。
2017年(平成29年)5月3日
日本弁護士連合会
会長 中本 和洋