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トリチウム水「国の小委員会踏まえ最終判断」、東電交渉

 脱原発福島ネットワークによる再開第36回東電交渉が9月8日午後、東京電力平送電所で開かれました。
 今回は、前回7月18日に提出した「川村会長のトリチウム水海洋放出発言の撤回とトリチウム水の安全な保管を求める要請書」の要請項目についての回答と質疑、さらに、前々回提出の「福島第一原発事故収束作業等に係る被曝労働者の待遇改善を求める要請書」の再回答と質疑を中心に行われました。

 まず、「川村会長のトリチウム水海洋放出発言の撤回とトリチウム水の安全な保管を求める要請書」への回答とそれに対する質疑やり取りは、以下の通りです。

要請項目 1、福島第一原発事故のトリチウム汚染水の海洋放出に関する川村会長発言を陳謝し撤回すること。
 ◎回答
 会長の発言の真意が一部の報道機関に伝わらず、海洋放出方針判断との報道がなされたことにより、社会のみなさまにご不安、ご心配、ご迷惑をおかけしたことに対し、深くお詫び申し上げます。
 なお、トリチウム水を海洋放出すると判断した事実はありません。
 今後、国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会での議論を踏まえ、事業者として最終判断をします。
 ●質疑主なやり取り
ネット:会長は実際にトリチウム水海洋放出の「判断はもうしている」と言った。
東電:発言した事実は認めるが、真意・趣旨は違う。
ネット:「判断はもうしている」発言は撤回すべきではないか。「不適切であったので撤回する」と回答文書の訂正をすべきだ。次回に再回答を求める。
東電:上には伝える
ネット:「漁業者はじめ福島県民、利害関係者の合意を得て」という文言はないのか。国の意見しか聞かないように表現されているが。でなければ削除すべきでは。検討して次回に再回答を求める。

要請項目 2、トリチウム汚染水海洋放出の総量、管理基準、放出方法等について、市民説明会を開催すること。
 ◎回答
 放出方法等については、福島県当局や地元自治体、県民及び各種団体の代表の方々に対しては、「福島建廃炉安全監視協議会」や「廃炉に関する安全確保県民会議」などの場でご説明いさせていただく所存です。
 福島県民の皆さまや広く社会の皆さまに対しては、当社の定例会見やホームページ等を通じてご説明するとともに、各マスコミの力もお借りしながら、ご理解いただけるよう取り組んでまいりたいと考えています。
 ●質疑主なやり取り
ネット:市民説明会は必要ないと考えているのか。
東電:市民説明会は開かない。県の「協議会」や「県民会議」などで説明したい。
ネット:国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会では「風評被害を考えれば安易な海洋放出すべきでない」いう声が強い、その意見が委員会の結論なら東電は従うかの。
東電:委員会の結論を踏まえ、と言っている。
ネット:県民に向き合う姿勢を見せてください。
ネット:自治体や各種団体だけでなくおおくの県民に話しかける姿勢をそろそろ見せるべきではないか。
ネット:説明会を開かない理由は?風評被害の恐れが払拭されれば放出するのか。
東電:地元の方が「がんばっても風評被害が」という。風評被害に対して…
ネット:タンクひっ迫、見通しは?
東電:あまりないのは事実。2020年分までは、タンク・土地とも確保している。
ネット:トリチウム汚染水海洋放出の総量・管理基準・放出方法について回答を。
東電:決まっていないので回答できない
東電:国のタスクフォースで示しているものはある。
ネット:東電は国のタスクフォースの希釈後海洋放出シナリオと同じ考えなのか。どう考えているのか。質問をします。希釈後海洋放出シナリオについて東電はどう考えているか。その評価。技術的検討した事実はあるかのか。
東電:回答はします。
 
要請項目 3、トリチウム汚染水の安全な保管について、タンク保管や固化保管等を検討し結果を説明すること。
 ◎回答
 多核種除去設備で処理した水の取扱いについては、国の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」において、技術的な検討に加えて風評被害などの社会的な観点島も踏まえて、総合的な検討が行われているところです。
  ●質疑主なやり取り
ネット:タンク保管や固化保管は考えていないのか。
東電:小委員会の結論を受けて。結論を待つ。決定はしていない。
ネット:東電は主体的に考えているものはないのか。
東電:タンクを増やし続けている。固化は技術的に難しいことではない。希釈も。
ネット:東電は同位体の分離までするとかは考えていないか。
東電:考えていない。タスクフォースの検討でダメとなった。今の技術ではできないと認識している。
ネット:セメント固化の問題は?
東電:体積が3倍増え、自由水が出て、劣化など現実的でない。敷地の問題がある。
ネット:溶接型タンクの耐用年数は?
東電:今わからない。20年くらいだろうか。
ネット:タンクごとの耐用年数を知りたい。次回に回答を。

 「福島第一原発事故収束作業等に係る被曝労働者の待遇改善を求める要請書」の再回答とそれに対する主な質疑やり取りは、以下の通りです。

●「入所時教育」
入所時の放射線防護教育の徹底のために、テキストをハンドブック化して個々人に個別配布することについて
東電:2015年「安全統一ルール21ヶ条」を作成、個別に配布している。2017年の改訂版がある。配布。1万5千部作った。これは災害事例集は載っていない。
ネット:放射線防護について、現場の実践教育が不可欠だ。過去に災害が起きて、防止しようとして作ったのだろうが、放射線防護についての教材、配布してほしいという趣旨の質問だった。これは安全ルールを示したものだ。放射線防護の教育テキストが配布されていないのは不十分だ。配布ではなく、貸与だ。配布してほしい。
東電:個人というよりはシステムで対応する。個人ではマスクをしっかりする、というくらい。
ネット:個人の教育が必要、知識や対応力について個人にも教育を
東電:不十分ではない。放射線防護上の問題が起こっているかというと……
ネット:リスクがあるという事を書くべきだ。
東電:ご意見として…。現場に伝えます。
ネット:常に携帯できるもの
東電:今は計画線量越えとかがある訳ではないので、問題が現場にあるからルールブックを作った。放射線管理上の問題はないので、それは必要はない。
ネット:放射線被ばくの恐れがある場で働いているのだから、自覚してもらう必要があるし、1回で終わるものではない。
東電:放射線のリスクについて記述するのはありかもしれない。
ネット:あためて、放射線防護テキストの個別配布を要望します。

●「労働法令の遵守」
各協力企業の総務担当者のみの講習会の実施に留まっている現状で、未加入者の実態は不明としており、大半という加入実態を明らかにするとともに、東電による労働者個人対象の社会保険加入状況アンケートを実施することについて
東電:社会保険加入状況の個人アンケートは向いていない。社会保険の加入率は難しいのではないか。正確な数字は。個人アンケートだと、30日未満だと変わるとか、わからない方も多いのではないか。企業は全て把握している。加入状況は東電は把握している。
ネット:直接やってみる必要がある。継続して要望していきたい。

●「福利厚生」
東電は発注工事毎の契約金額で福利厚生費等の費用を含めて契約しているとして、元請け会社の作業員宿舎が整備される中で、老朽アパートや借家などの劣悪な老朽アパートや借家へ入居する実態の劣悪な2次・3次下請け会社の作業員用の宿舎の建設については目を向けていない。作業員宿舎の実態について
東電:示すことはできない

この他、大熊町大河原地区(居住制限区域)の東電単身寮(1500人くらいほぼ満室)の環境について、事故時第一原発構内にあった車両の内2台が不明になっている問題等、次回に持ち越されました。

トリチウム水「国の小委員会踏まえ最終判断」、東電交渉_e0068696_13353881.jpg

by kazu1206k | 2017-09-08 23:19 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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