質問報告1−清水市政の進め方ー原子力災害・新病院・子育て
2017年 11月 07日
1 清水市政2期目の選挙公約と市政の進め方について(第1回)
(1)「震災からの復興・創生」について(第1回)
(2)「医・職・住」の深化について(第1回)
(3)「子育て・教育先進都市の実現」について(第1回)
(4)「所得の増大」について
(5)「共創のまちづくり」について
(6)「中山間地域の交通確保、車を持たないこどもや高齢者の移動手段の確保」について
2 いのちを守る、受動喫煙対策について
(1)タバコによる健康被害と受動喫煙対策の現状について
(2)受動喫煙対策の促進について
3 人財育成とふるさとの歴史・文化について
(1)ふるさとの歴史・文化に根ざした人づくりについて
(2)いわき市考古資料館の整備について
第1回は、「1 清水市政2期目の選挙公約と市政の進め方について」の「(1)『震災からの復興・創生』について」「(2)『医・職・住』の深化について」「(3)『子育て・教育先進都市の実現』について」、です。
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35番、創世会の佐藤和良です。
9月10日に実施されたいわき市長選挙において、清水市長が2期目の当選を果たしました。心からお祝いを申し上げます。
東日本大震災と原発事故から6年8ヶ月、原子力災害を含む東日本大震災からの復興は、未だ道半ばです。
浜通りの拠点都市として、市民福祉の向上とより良いいわきに向けて何が必要なのか。人間の復興に至る本市の再生ビジョンが今問われています。
私は「いのちを守る」という原点に立って、市民に寄り添い、市民の切実な願いを実現するため、2期目の清水市政に対しましても、是々非々の立場で対応してまいりたいと思います。
以下、通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、清水市政2期目の選挙公約と市政の進め方について、であります。
清水市政2期目の選挙公約は、「共に創る『いわき新時代』~輝く"ひと" 魅力ある"まち" 豊かな"しごと"の実現~」とされ、「5つの元気プロジェクト」と「ワクワクする3つの夢プロジェクト」を掲げました。
そこで、清水市政2期目の選挙公約と市政の進め方について、市民が関心を持って具体化を望んでいる点について、以下伺います。
1点目は、「震災からの復興・創生」について、です。
①まず、「側溝堆積物の撤去」について、これまでの進捗状況を踏まえて、どう進めるのか、お尋ね致します。
—答弁(土木部長)
側溝堆積物の撤去につきましては、昨年度の小名浜地区における震災復興・側溝堆積物撤去モデル事業に引き続き、小名浜地区の残る箇所及び除染が完了した久之浜・大久地区を除く市内全域で撤去を実施するものであり、行政区長等から聞き取りした排水不良箇所等の情報を基に5月から実施した詳細な現地調査により撤去箇所を確定し、7月からの小名浜地区を始めとして随時、各地区の撤去に着手しており、11月上旬までには市内全域で着手予定であります。
今後におきましては、市民の皆様が震災前の安全で快適な生活環境を取り戻せるよう、年度内の完了を目途に、全力で取り組んで参りたいと考えております。
②次に、「原子力災害からの脱却」について、福島第一原発の事故収束と同第二原発の廃炉決定、汚染水の海洋放出計画、子どもの生活環境の被曝低減など、終わらない原子力災害対策について、市長はどう進めるのか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
これまで「原子力災害からの脱却」を目指して、まずは、今後、更なる原子力災害が発生することが無いよう、福島第一原発における廃炉作業の安全かつ確実な実施と、福島第二原発の廃炉方針の早期決定について、国及び東京電力に対して、私自ら機会を捉えて、求めてきたところであります。
そのような中、福島第一原発における重要な汚染水対策の一つであります多核種除去設備で除去できないトリチウムを含む処理水、いわゆるアルプス処理水の処分方法などについては、社会に与える影響が非常に大きいことから、技術的な問題だけではなく、風評被害が決して広がらない手法を検討するよう、私が委員として参画している国の廃炉・汚染水対策福島評議会等を通して、国及び東京電力に対して、求めて参りました。
また、放射性物質による市民の皆様の不安を解消するため、放射線の影響を受けやすい子どもの生活環境である、教育施設や公園等を優先しながら除染を実施するとともに、懸案であった市道の側溝堆積物の撤去についても、私が先頭に立ち、再三にわたり国に働きかけを行い、昨年度から国の財政支援を受けて取り組むなど、市民の皆様が安心して日常生活が送ることができるよう、様々な原子力災害対応を進めて参りました。
今後とも、このような対応を継続し、市民の皆様の安全・安心が脅かされることが無いよう、原子力災害からの脱却を目指して参りたいと考えております。
(再質問)
②–2 第二原発の廃炉決定については、福島県議会の吉田議長が11月1日、県庁を訪れた東京電力の小早川社長に対し、第二原発の廃炉工程に関する東京電力としての見解を示すよう、従来より踏み込んだ要請を文書で行いました。
また、汚染水の海洋放出計画について、これを協議している国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会が第一原発を視察した際、メンバーから「1F敷地外にタンクを設置したらいいのではないか」という意見も出されています。
こうした点を踏まえ、第二原発の廃炉を決定し工程を示すことや汚染水を海洋放出せずタンク貯蔵用地を確保することなど、いわき市として、踏み込んだ原子力災害対応が必要と考えます。あらためて市長のご所見をお尋ね致します。
—答弁(市長)
ただいまの議員お質しの件でありますが、第二原発の廃炉につきましては、これまでも再三再四、国、東京電力に要望して参りましたので、議員のお質しの件についても、十分踏まえて検討してまいりたいと思います。
また、汚染水の問題につきましても、先ほども答弁で申し上げましたように、風評被害が決して広がらない手法を検討するようこれからも強く申し入れをしていきたいと思っています。
③次に、「小名浜港背後地の賑わい創出」について、イオンモールいわき小名浜開業後に対応する常磐線泉駅と小名浜を結ぶ福島臨海鉄道の旅客輸送の復活など、公共交通の諸課題をどう解決していくのか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
小名浜港背後地の賑わい創出に向けましては、「(仮称)イオンモールいわき小名浜」開業による小名浜港背後地における交流人口の増加に対応するため、公共交通の利用促進が重要であると考えております。
このため、福島臨海鉄道の旅客輸送につきましては、福島臨海鉄道株式会社と協議を進めてきたところでありますが、新たに駅舎やホームの整備、自動列車停止装置や信号機など保安装置の設置、及び旅客車両の購入などの多大な費用負担が伴うことが想定されることから、現時点におきましては、採算性の確保の面で困難であると同社より伺っております。
しかしながら、鉄道による旅客輸送は、輸送能力の高さや定時性の観点から効果的であると考えており、旅客輸送の可能性につきましては、今後の小名浜港背後地やアクアマリンパークの交流人口の状況等を踏まえながら、引き続き、同社と協議して参りたいと考えております。
また、路線バスにつきましては、小名浜港背後地やアクアマリンパークへ の来訪者の利便性を図るため、いわき駅や泉駅と小名浜を結ぶ路線などの一部をイオンモールへ乗り入れることとしており、具体的な本数やダイヤ等につきまして、来年6月の開業に向け、バス事業者やイオンモールと協議を進めているところであります。
今後におきましても、小名浜港背後地の賑わい創出に向け、鉄道やバスの他、タクシーによる公共交通の充実や利用促進に向けた取り組みを進めて参りたいと考えております。
④次に、イオンモールいわき小名浜開業に伴う商業者への影響と対応について、小名浜のリスポが来年1月閉店となりますが、イオンモールいわき小名浜開業に伴う影響は、大なり小なり市内の商業者に及ぶことから、商工会議所とも連携して、商業者の相談窓口を開設してはどうか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
商業者の経営課題や商店会振興等に関する相談に対しましては、市の窓口での対応のほか、商工会議所や商工会の経営指導員による支援、専門家の派遣などによる助言・指導等が行われておりますが、商業者が、より相談しやすい窓口のあり方について、窓口の効果的な周知等を含め、商工団体と協議して参りたいと考えております。
⑤次に、「津波被災地域の新しいまちづくりへの取組み支援」について、江名地区などまちの再生と港の利活用をめざす新しいまちづくりへの取組みをどう支援していくのか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
これまで、津波被災地域の復興に向けては、震災復興土地区画整理事業や、災害公営住宅整備事業などの基盤整備事業に取り組むとともに、復興グランドデザインの具現化に向けた取組みの展開や、津波被災地の支所等に配置している津波被災地支援員による活動支援などを実施して参りました。
また、地域が主体となった取組みであります江名地区の「海あるき町あるき 江名の町再発見」や、久之浜地区の「復興・久之浜漁港まつり」などのまちづくり活動に対しましては、まち・未来創造支援事業等により、支援を行ってきたところであります。
現在、震災から6年8ケ月が経過しようとしており、被災した地域の皆様のニーズも変化しておりますことから、今後は、国の被災者支援総合事業における「コミュニティ形成支援事業」や「心の復興事業」などを活用し、コミュニティ形成の促進など、各地域の復興の進展に伴う課題に対応するとともに、海や港などの地域資源を活用したまちづくり活動を含め、復興から創生へとつながる取組みを的確に支援して参りたいと考えております。
2点目は、「医・職・住」の深化について、です。
⑥まず、「総合磐城共立病院の建替えによる良質な医療の安定的な提供」ついて、常勤医師の確保や臨床研修医のマッチング、看護職及び医療技術職の採用など、医療スタッフの確保をどう進めるのか、お尋ね致します。
—答弁(病院事業管理者)
医療スタッフの確保につきましては、これまで、大学医局等への働きかけをはじめとして、連携講座及び寄附講座の設置や、各種手当の見直し、新築の医師住宅の提供、修学資金貸与制度の活用など様々な取り組みを継続して行って参りました。
新病院の建設にあたりましては、最先端の医療機器を導入し、医師の診療環境を整えるほか、設計コンセプトの一つとして「働く人にとって魅力のある病院」を掲げ、実技研修室の整備など、職員のスキルアップに資する学術・教育施設を拡充させるとともに、新たな院内保育所では、女性医師の増加も想定し、24時間保育や病児保育も実施する計画としております。
加えて、患者さんの利便性向上を図るコンビニエンスストア及びカフェは、職員の福利厚生の充実にも寄与するものと考えております。
今後におきましては、こうしたスタッフ確保の取り組みを、粘り強く継続することはもとより、新病院の魅力を積極的にアピールするほか、「治療」・「教育」・「研究」の各機能をより一層深化させることで、患者さんのみならず、高度先進医療を志すスタッフが自ずと集まるような、魅力あふれる病院にしたいと考えております。
⑦次に、新病院の機能と医療機器の整備について、新病院には高性能診断機器としてSPECT/CTが整備されますが、市民要望の強いPET/CTも導入して、地域がん診療連携拠点病院としての機能強化を図るべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(共立病院事務局長)
「医療機器等整備計画」における導入機器につきましては、市内の医療連携体制や導入コスト、患者の費用負担などの観点を踏まえ、選定を行ったところであります。
議員お質しのPET/CTにつきましては、既に、市内の「公益財団法人ときわ会常磐病院」において、導入・運用されていることから、当院におきましては、これに代わる機能として、新たにSPECT/CTを導入することとしたところであります。
また、SPECT/CTは、PET/CTと同様に、放射性物質を体内に注入し、代謝による機能イメージをガンマ線により計測し、CT画像を重ね合わせることにより、診断精度の向上を図るものでありますが、PET/CTに比べ、画像の解像度は劣るものの、検査に必要な専用薬剤の製造設備が不要であり、導入コストが低いこと、これに伴い患者の費用負担も低額となること、さらにPET/CTの検査可能範囲である腫瘍、脳血流に加え、心筋、肺血流など、広範囲な検査が可能であることも導入を決定した要因であります。
新病院の開院後におきましては、新たに導入する最先端の医療機器を積極的に活用するとともに、地域の医療機関との連携を、より一層強化しながら、地域がん診療連携拠点病院としての役割を果たして参りたいと考えております。
⑧次に、新病院の総事業費の財源について、総事業費約439.8億円のうち、県地域医療復興事業補助金などの国・県補助金が約113.8億円、病院事業債315.8億円、自己資金が10.2億円となっていますが、市債発行額を減らすために、国・県補助金や双葉郡など周辺自治体等からの支援もふくめ、あらためて財源の確保を進めるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(共立病院事務局長)
財源の確保につきましては、これまで、福島県地域医療復興事業補助金の増額を図るため、国・県に対し、継続的、かつ精力的な要望活動を実施してきたところであります。
その内容といたしましては、東日本大震災からの復旧・復興事業の本格化等を背景とした急激な建設物価の上昇、さらには、市民はもとより、双葉郡等からの約2万4,000人の避難者や除染・廃炉作業員などへの医療提供体制の充実・強化が急務となっている実情などを繰り返し訴えてきたところであり、その結果、補助金内定額が、当初の約5億円から約78億円へ、さらに約113億円へと、大幅な増額が図られたところであります。
今後におきましても、更なる補助金の確保に向け、国・県に対し、適時・適切に要望活動を実施して参りたいと考えております。
⑨次に、「雇用の場の創出につながる各種インフラの整備促進」について、小名浜道路の整備や重要港湾小名浜港の東港地区の整備など、雇用の場の創出につながる各種インフラの整備促進を、どう進めるのか、お尋ね致します。
—答弁(産業振興部長)
小名浜道路や小名浜港東港地区をはじめとする社会資本は、産業・経済を支える重要な基盤であり、それらの整備及び機能強化により、企業活動の効率性や生産性が向上することで地域経済の活性化が図られ、雇用の創出につながることが期待されます。
このため、市といたしましても、道路など社会資本の整備に努めるとともに、国や県が整備主体となっている小名浜道路や小名浜港東港地区などにつきましては、整備が促進されるよう、引き続き、民間企業や地域団体などの皆様とともに国や県に要望活動を行って参りたいと考えております。
3点目は、「子育て・教育先進都市の実現」について、です。
⑩まず、「すべての小学校区における放課後児童クラブの設置」について、整備費用や子どもたちの生活環境を考慮して、設置場所は小学校の余裕教室の活用や小学校敷地内での整備を原則として、例外なく進めるべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(こどもみらい部長)
放課後児童クラブの設置につきましては、小学校の余裕教室や、学校敷地内へのプレハブ建設を基本として対応してきたところでありますが、需要の急増等により早急に児童クラブを整備する必要が生じ、余裕教室がないなど学校敷地内への整備が困難な場合には、保護者との協議のうえ、近隣の施設や市有地等を活用しながら、その整備拡充に取り組んできたところであります。
今後におきましても、放課後児童クラブの設置にあたっては、子どもたちの安全性や生活環境の継続性の確保を最大限に考慮する観点から、学校側の理解を得ながら、可能な限り小学校敷地内へ設置することを基本とし、計画的に取り組んで参りたいと考えております。
⑪次に、放課後児童健全育成事業の委託料基準額について、71人以上の基準額が10人台に近い基準額で運営上厳しいとの指摘がありますが、改善に向けてどのように対応するのか、お尋ね致します。
—答弁(こどもみらい部長)
国の「放課後児童クラブ運営指針」及びその解説によりますと、子どもの集団の規模は、子どもが相互に関係性を構築し、1つの集団としてまとまりをもって共に生活することや、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築くことができるという観点から、おおむね40人程度が適当とされております。
従いまして、大規模クラブについて、おおむね40人規模のクラブへの分割移行を促進する観点から、国は平成22年度以降、放課後児童健全育成事業に係る委託料基準額について、児童数が36人から45人の放課後児童クラブにおいて最も高額とし、以降人数が増えるに従い減額しているところであります。
このような状況から、本市におきましては、利用児童の生活環境の改善という視点からも、適正な放課後児童クラブ運営の実現に向けて、可能なところから、大規模な放課後児童クラブについては、当該児童クラブの分割や、分割が困難な場合には、同一小学校区内に新たな放課後児童クラブを設置することにより、対応してきたところであり、今後につきましても、同様の対応を進めて参りたいと考えております。
なお、放課後児童クラブの運営につきましては、市学童保育連絡協議会等と連携、協議しながら、制度上改善が必要であると考えられる点があれば、児童の適切な生活環境と育成支援が図られるよう、国等に働きかけて参りたいと考えております。