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質問報告2-水産業の再生ー現状、市振興プランと「小名浜のカツオ」

いわき市議会12月定例会、12月11日に行った一般質問の詳細ご報告の二回目です。

1 いのちを守る、原子力災害対策について(第1回)
 (1)弾道ミサイル攻撃と東京電力福島第一・福島第二原子力発電所について(第1回)
 (2)米の全量全袋検査について(第1回)
 (3)県民健康調査・甲状腺検査と子どもたちへの支援について(第1回)
 (4)本市から市外への避難者の支援について(第1回)

2 水産業の再生について(第2回)
 (1)本市の水産業の現状について(第2回)
 (2)第二期いわき市水産業振興プランと「小名浜のカツオ」再構築について(第2回)

 
3 いわき市の再生と地域課題の解決について
 (1)タウンモール・リスポ閉館に伴う影響と跡地利用について
 (2)地域活性化をめざす商店街・空き店舗等のリノベーションまちづくり支援について

第2回は、「2 水産業の再生について」の「(1)本市の水産業の現状について」「((2)第二期いわき市水産業振興プランと「小名浜のカツオ」再構築について」、です。

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大きな第二点、水産業の再生について、であります。

1点目は、本市の水産業の現状について、です。

多彩な魚介類に恵まれた豊かな潮目の海=常磐沖は市民の宝です。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以来の本市の水産業は、水産関連施設等の復旧が進む一方、事故の影響により、まき網、サンマ等の沖合漁業は通常操業にあるものの、沿岸漁業の操業自粛—試験操業が続き、県によるモニタリング検査、漁協の50ベクレル自主基準による自主検査体制が続いています。国からの出荷制限指示は10魚種となったものの、沿岸漁業の漁獲量は震災前10年平均の8%という水準です。そこで、以下伺います。

⑪まず、本市の漁業就業者について、震災前の平成22年と震災後の平成27年ではどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 国勢調査に基づく本市の「漁業就業者数」につきましては、震災前の平成22年10月1日時点で「604人」、震災後の平成27年10月1日時点では「383人」で、「221人」の減、となっております。

⑫次に、本市の漁協別漁船隻数について、震災前の平成22年と震災後の平成28年ではどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 福島県からの聞き取りによりますと、本市の「漁船隻数」につきましては、沿岸漁業を担う「いわき市漁業協同組合」では、震災前となる平成22年が「380隻」、平成28年が「223隻」で「157隻」の減、となっております。
 また、主に沖合漁業を担う「小名浜機船底曳網漁業協同組合」など5団体の漁船数は、平成22年が「67隻」、平成28年が「61隻」で「6隻」の減、となっております。

⑬次に、本市の水揚状況について、震災前の平成22年と震災後の平成28年ではどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 本市の「水揚量」と「水揚金額」の状況につきましては、沖合漁業では、震災前の平成22年が「1万4,871 t」、「23億9,704万円」であったのに対し、震災後の平成28年では、水揚量が「8,514 t」で「42.7%」の減、水揚金額では「10億 300万円」で「58.2%」の減、となっております。
 また、沿岸漁業では、平成22年が水揚量で「5,252 t」、水揚金額は「20億 592万円」であったのに対し、平成28年は水揚量「300 t」で「94.3%」の減、となっておりますが、平成28年の「水揚金額」につきましては、試験操業中の相対取引のため、公表されておらず、比較は困難であります。

⑭次は、本市の漁業種別水揚状況について、沖合漁業のまき網・さんま棒受網など漁業種別の水揚げ状況は、震災前の平成22年と震災後の平成28年ではどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 漁業種別の「水揚量」と「水揚金額」につきましては、「まき網漁業」では、震災前の平成22年が「8,919 t」、「18億 263万円」であったのに対して、震災後の平成28年は水揚量が「6,522 t」で「26.9%」の減、水揚金額では「5億7,715万円」で「68.0%」の減、となっております。
 また、「サンマ棒受け網漁業」につきましては、平成22年が「5,001 t」、「4億5,977万円」であったのに対し、平成28年では水揚量が「1,857 t」で「62.9%」の減、水揚金額では「3億1,271万円」で「32.0%」の減、となっております。

⑮次は、本市の魚種別水揚状況について、カツオ・さんま・サバ等主要魚種の水揚は、震災前の平成22年と震災後の平成28年ではどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 主要魚種別の「水揚量」と「水揚金額」につきましては、「カツオ類」が、震災前の平成22年で「5,230 t」、「15億5,687万円」であったのに対して、震災後の平成28年では、水揚量が「231 t」で「95.6%」の減、水揚金額では「8,430万円」で「94.6%」の減、となっております。
 次に、「サバ類」につきましては、平成22年が「2,245 t」、「1億 969万円」であったのに対し、平成28年は、ほかの魚種とは逆に水揚量が「5,406 t」で「140.8%」の増、水揚金額では「3億1,793万円」で「189.8%」の増、となっております。
 なお、サンマにつきましては、先ほど答弁いたしましたが、平成22年と平成28年の比較では、水揚量が「62.9%」の減、水揚金額では「32.0%」の減、となっております。

⑯次は、本市の回船別水揚状況について、震災前の平成22年と震災後の平成28年では金額でどう変化しているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 平成22年における市外籍船の本市への「水揚量」と「水揚金額」について、福島県のデータでは、「18億7,862万円」となっており、平成28年につきましては、県のデータがないため、本市独自の集計値となりますが、水揚金額では「約1億8,609万円」で「90.1%」の減、になるものと試算しております。

 こうした水産業の現状を踏まえ、本市は、「震災や原子力災害を乗り越え次世代につながる水産業を目指す」ことを基本目標に、平成26年度から32年度までの、第二期いわき市水産業振興プランを策定して、関係者とともに取り組んでいます。
そこで、2点目は、第二期いわき市水産業振興プランと「小名浜のカツオ」再構築について、です。

⑰まず、第二期いわき市水産業振興プランの進捗状況について、プランに基づき、衛生面を強化した小名浜魚市場と凍結品を扱う荷さばき施設、超低温の機能を備えた冷凍・冷蔵施設を再整備した漁業基盤の整備事業、カツオやサンマなど回遊性魚種の水揚げの回復・確保を図る回船誘致及び魚市場活性化対策事業、さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因する本市水産物に対する風評を払拭するため、「常磐もの」をキーワードとしたプロモーション活動事業など、第二期いわき市水産業振興プランの進捗状況はどうなっているか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 「第二期市水産業振興プラン」に基づくこれまでの主な取組み状況でございますが、漁業基盤の整備事業につきましては、平成27年3月に、震災により大きな被害を受けた小名浜魚市場を冷凍荷捌き施設を併設した新たな魚市場として整備したところであります。
 次に、回船誘致等の取組みにつきましては、本市へ水揚げを行う沖合漁業者へのインセンティブ制度となる「魚市場活性化対策事業費補助金」を創設するなどの対応を図ってきたところであります。
 また、本市水産物の風評払拭のための取組みといたしましては、平成27年10月に地域ブランド「常磐もの」を立ち上げ、本市水産物の安全性やおいしさ等の魅力を、県内外にPRする事業にも積極的に取り組んでいるところであります。
 なお、プランの進捗状況につきましては、原発事故に起因する「風評の払拭」や「水産物の安定供給」、「水産業への就業機会の創出」などの取組みにつきましては、今なお課題が残る一方、「魚市場等の関連施設の復旧・整備」や、「本市水産物の安全性の確認と情報発信」、「本市水産物のPRによる消費及び販路の回復に向けた取組み」など、東日本大震災からの復旧については、概ね対応してきたものと考えております。

春、黒潮にのって日本近海を北上する初ガツオ、秋、南下する戻りガツオ。いわき市民の食卓、日本の食卓に季節を運んで来たのは、沖合カツオまき網船でした。魚群を追うカツオ漁では、全国各地の船が、港の相場をにらみながら水揚げ港を決めていきます。
震災前2010年のカツオの水揚げをみると、水揚量は5231t、県内総水揚額の14.2%にのぼり、全国各地の船による廻船水揚げ率は、小名浜港で78%、中之作港で88%に達し、カツオの水揚げは、小名浜港と中之作港でほぼ全量占めていました。
⑱そこで、本市の水産業の再生にむけて「小名浜のカツオ」の再構築について、です。「常磐もの」、いわきの文化と伝統食の代表として「小名浜のカツオ」を再定義し、本市の「小名浜のカツオ」を再構築するためには、水揚から流通、消費、食と料理までのオールいわきのプロジェクトチームを作り、本格的に取り組んでいくべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(農林水産部長)
 本市では平成27年10月から、カツオをはじめとする本市水産物の地域ブランド「常磐もの」を立ち上げ、本市水産物の安全性やおいしさ、品質といった魅力のPRに取り組んでおり、地域ブランドとしての認知度は、徐々に高まりつつあるものと認識しております。
 このため、市といたしましては、地域ブランド「常磐もの」の更なる認知度向上を図るための各種プロモーション事業に継続的に取り組んで参りたいと考えております。
 なお、議員ご提案の『小名浜のカツオ』など、個別魚種ごとのブランド化の必要性につきましては、市内の漁業者や水産加工業者、流通・小売業者などの関係団体等との協議を通じて、意見の集約を図って参りたいと考えております。

⑲次に、市外籍船による水揚げの促進について、カツオやサンマなど回遊性魚種の水揚げの回復・確保を図る回船誘致対策事業費補助金及び魚市場活性化対策事業補助金を抜本的に増額して、水揚げ量の増加を図るべきではないか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
 回船の本市への水揚げにつきましては減少傾向にあり、その原因として、カツオやサンマの不漁といった事象発生のほか、「原発事故の風評」により、魚の売値が安くなるとの懸念から、本市への水揚げを敬遠する、といったことも要因の一つとして考えられるところであります。
 このため、「補助金」の増額については、回船誘致を図るための一つの手段と考えられますが、風評の影響により、水揚量の回復につながらない可能性も想定されますことから、市といたしましては、風評の払拭に向けた事業の展開により、本市水産物の流通・消費の拡大に継続的に取り組むとともに、回船誘致のための有効な支援策につきましても、漁協等の関係団体と協議しながら、検討して参りたいと考えております。

風評ということで、例えばカツオにしても石巻港の方にどんどん揚がってしまうということで、震災前の面影が小名浜も中之作もないという状況まで来ているわけです。ですから、そういう意味では様々な手だてとはいえ、私たちができることを積み上げていかないと厳しい局面を打破できないという思いで、お話をさせていただいておりますので、その辺については、縷々、関係事業者の方たちと協議していただいて、前に進むような方策を取っていただきたいと思います。

⑳次に、漁業担い手の育成について、これまでの経緯をふまえて、本市としては今後どう取り組んでいくか、お尋ね致します。
—答弁(市長)
 本市の沿岸漁業につきましては、平成25年10月18日から試験操業中となっておりますが、今後、本格的な操業再開を迎えるに際しましては、高齢等を理由に廃業する漁業者が発生する可能性も十分に想定されるところであり、市といたしましても、漁業の担い手の確保・育成につきましては、水産業が抱える重要な課題の1つであると
認識しております。
 これまで、市といたしましては、県とともに「漁業体験学習」や「漁業市民学習会」など、漁業者と市民との交流機会を通じて、「漁業の魅力」を伝える活動を支援してきたところでありますが、今後につきましても、他の自治体における先進的な事例なども調査しながら、漁業の担い手確保につながる有効な対応策について、検討を進めて参りたいと考えております。

今必要なものはということなのですが、やはり「常磐もの」というポスターいっぱいサンマの匂いが立つようなポスターも貼ってあり、カツオのロゴマークもありということなのですけれども、「常磐もの」というプロモーション活動の域を超えることが必要なのではないか。そこのところをやって前に進んでいかないと、現状打破することはできないということです。
「小名浜のカツオ」というのはやはり、私たちのそういう意味では、心のふるさとの一つなんですね。ですからそういう意味で、いわきの食文化の核心の一つということで、私たちが再定義をして、水揚げの段階、そして、流通の段階、消費。それから、街の中の食と料理屋さんも含めて、オールいわきで取り組んでいくという体制を作っていかないとこの現状を打破するということはなかなか困難だと。
私たちとしては、私たちとはだれかということはありますけれど、やはり、いわきの食、いわきの漁業、水産業に思いを寄せて、何とかここを再生していきたいという、私たちという意味で言えば、水産業の再生をなんとしてもやっていかないと、いわきの復興再生は前に進まないんだと、強く私としてはこの際訴えたいなと思います。
今のままだと、口当たりのいい「常磐もの」というプロモーション活動にどうしても見えてしまって、本当に地べたに小名浜あるいは中之作、そしていわき七浜の港や浜に実際に根付いたいわき市の活動というものをもう一度再生していくために、今必要なことに集中するということに是非とも取り組んでいただきたいと思います。あえて市長というふうに申し上げませんので、ここはいわき全体でここを突破するために力を合わせていきたいというふうに申し上げたいと思います。


質問報告2-水産業の再生ー現状、市振興プランと「小名浜のカツオ」_e0068696_7523738.jpg

by kazu1206k | 2017-12-13 12:30 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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