武力攻撃災害等派遣手当の新設に反対討論、3月定例会最終日

22日、いわき市議会3月定例会は、平成19年度予算や副市長の定数条例、市芸術文化交流館条例、市立病院医師修学資金貸与条例などの制定、市職員給与条例の改正、いわき市総合型図書館備品の財産取得など65議案を可決し、22日間の会期を終了しました。

わたくしは、最終日の本会議で、戦争を想定した国民保護法により本市に国や他の自治体から派遣された職員に支給する「武力攻撃等災害派遣手当」の新設に反対し、反対討論を行いました。以下、反対討論の全文です。


12番、創世会の佐藤和良です。
ただいまより、議案第8号いわき市職員の給与に関する条例の改正についてのうち「武力攻撃災害等派遣手当の新設」に、反対の立場から討論を行います。

本案は、市職員の給与が「一般職の職員の給与に関する法律」に規定する国家公務員の給与等に準じて改定されており、同法律を改正する法律が平成18年11月17日に公布されたことに伴い、所要の改正を行うものとされております。
改正内容のうち、問題は、第22条関係の「武力攻撃災害等派遣手当の新設」であります。
これは、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法の施行に伴い、武力攻撃等の場合に、国又は他自治体から本市に派遣される職員に対して支給する「武力攻撃災害等派遣手当」を新設する、というものです。

翻って、国民保護法は、憲法の平和主義の原則に反し戦争を想定した有事法制であり、国民の基本的人権と地方自治並びに市民生活に重大な影響を与えるものであります。
昨年2月定例会において、国の法定受託事務として、市の国民保護計画を策定する国民保護協議会及び対策本部の設置条例が上程された際、わたくしは、国が示した市町村国民保護計画モデルにおける武力攻撃原子力災害に対して、実効性ある保護計画の構築は現実的に不可能であり、国民の保護の前提となる戦時国際人道法の「軍民分離原則」の保証もないことから、本市の国民保護計画は、市民の生命と財産を守ることに結果しない、と主張し条例案に反対しました。
国民保護協議会及び対策本部の設置条例の可決により、市の国民保護計画が整備されつつあり、いわき市国民保護協議会の検討部会により作成された「市国民保護計画」素案について、昨年12月パブリックコメントが実施され、本年2月「市国民保護計画」が答申されました。

わたくしは、昨年11月「いわき市国民保護計画」についての「市民の意見を聞く会」を開催して市民の意見・要望をきいたところ、本市が昭和61年に制定した「非核平和都市宣言」の精神を踏まえ、かつ原子力発電所の隣接自治体であるという地域特性を考慮し、慎重な対処を求める根強い声がありました。
特に、有事法制への疑問も多く、そもそも戦時法に国民保護が可能なのかという意見も出されました。また、「平和の推進、基本的人権、国際人道法」の明記を求める声も多かったことから、昨年12月市長に対して要望書を提出したところであります。
本市の国民保護協議会により答申された市国民保護計画案は「非核平和都市宣言」や「原子力災害」などが加筆修正されたものの、課題も多く残されました。
市国民保護計画案をみれば、武力攻撃原子力災害に対する実効性ある保護計画の構築は現実的に不可能であること、また、国民の保護の前提となる戦時国際人道法の「軍民分離原則」の保証もないことが証明された形であります。
国民保護法が市民の生命と財産を守る国民の保護よりは、国民の戦時体制への動員と意識づくりにあることが、あらためて浮き彫りになってきたといえます。

こうした経緯を踏まえると、武力攻撃等の場合に、国又は他自治体から本市に派遣される職員に対して支給する「武力攻撃災害等派遣手当」の新設する本件でありますが、これは簡単に同意できるものではありません。

国又は他自治体から本市に派遣される職員に対して支給する派遣手当を整備するというのであれば、国民保護計画の策定にあたって、整理されなければならない問題点が多々あるからであります。

例えば、自然災害の場合には災害弔慰金・見舞金支給もありますが、武力攻撃事態災害では事態発生時に国や自治体の協力要請によらず救援活動等に自発的に参加して負傷や死亡された場合、補償の対象外で補償制度も不十分である点をどう解決するのかということ、
また、武力攻撃事態で自衛隊の防衛出動命令が出された場合の国民への強制措置について、交通運輸・建設土木・医療関係従事者に「業務従事命令」を出す場合に効力が及ぶのは事業者まででそこに働く者までは及ばないのではないかということ、
さらに、指定報道機関においては業務計画の作成など義務付けられており報道の自由を冒す危険性があり、取材の自由など戦時においてこそ報道の自由そして国民の知る権利が保障されなければならないということ、
外国籍市民の安全確保・人権保護など、十分検討すべき事項が多々あります。

現在、原発のトラブル隠しや事故が頻発して、市民の安全確保が脅かされています。市民の声には、「原子力発電所への攻撃に伴い大気中に放出される核分裂生成物の降下による被害を軽減するため、その被害の予測及び防災体制の整備、ハザードマップの作成に努めていただきたい」とありました。
これについて、市は被害の予測やハザードマップの作成については、市単独では困難で、県に対し国による対応を要望したいとしています。
市の言うとおり、武力攻撃事態の被害想定は、まず国が示すべきですが、国も「被害予測・避難プログラム」の開発は、まだ試行錯誤の段階といいます。
国民保護法は、家屋の立ち退き、物資の保管、製品製造の禁止などを命じることが可能な、私権を大幅に制限できる法律であります。人権への配慮をうたいながら、それを担保する具体の歯どめがないことについて、不安の声も少なくない現状であります。
原発隣接自治体の市民にとって、「被害予測・避難プログラム」もないまま、私権制限などで国民を思い通りに動かす態勢ばかり整え「戦争できる国」へ向けて準備態勢をつくるのでは、到底、納得も合意もできるものではありません。

こうした中で、国又は他自治体から本市に派遣される職員に対して支給する「武力攻撃災害等派遣手当」の新設のみが先行していくことに同意できません。
市国民保護計画の作成に当たっては、市民に対する十分な説明、開かれた議論が前提として必要であります。
ところが、この「武力攻撃災害等派遣手当」について、ほとんどの市民があずかり知らぬところで、畳みかけるように条例整備が進もうとしています。
この武力攻撃災害等派遣手当について、国又は他自治体から本市に派遣される、その派遣職員の内容、範囲などの実態について、市国民保護協議会での議論を経て市民にその内容を明らかにしていくべきと考えます。
今回のように市国民保護協議会での論議もないまま、「武力攻撃災害等派遣手当」の新設のみを条例に含め、それを導入することは拙速であります。

以上をもって、議案第8号いわき市職員の給与に関する条例の改正についてのうち「武力攻撃災害等派遣手当の新設」に、反対の立場からの討論といたします。

議員各位のご賛同を賜りますようお願い申し上げて、わたくしの討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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by kazu1206k | 2007-03-22 22:00 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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