市立保育所の民営化を性急に進めないで!請願に賛成討論

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20日、12月定例会の最終日の本会議。
午後から議案と請願に対する討論があり、わたくしは「いわき市立保育所の民営化を性急に進めないことについて」と「いわき市の保育の充実と市立保育所の存続について」の2つの請願を採択すべきとの立場から賛成討論を行いました。
採決の結果は、議長を除いて39名中13名の賛成で、少数否決。
残念ながら、請願は不採択となりました。

以下は、討論内容です。

 本件は、いずれもいわき市が進める保育所の民営化をめぐるものであります。
 いわき市は、42ある市立保育所のうち、都市部の施設を平成21年から4年毎に4施設ずつ、民間に移譲しようと計画しています。
 この計画は、昨年2月に市社会福祉審議委員会の答申として市に答申されたものであります。本年度、4施設の保護者への説明などが行われ、移譲先の社会福祉法人の公募をはじめようとしています。

 請願のうち「いわき市立保育所の民営化を性急に進めないことについて」は、市保育所(園)保護者会連合会会長さんや移譲施設にあげられた保育所の保護者会会長さんらが請願者です。
 請願者は、「民営化の必要性について十分に納得できる財政的な根拠や民営化を安心して受け入れられる具体的な条件等が示されない中、保護者である私たちの理解が進んでいるとは言い難い状況です。平成19年9月4日に「いわき市立保育所の民営化を性急に進めないことを求める陳情書」を提出しましたが、現在の理解の状況は当時とは変わっておりません。また、地域住民、そして市民の理解を得るための説明会等も行っていないと認識しています。」として、「市立保育所の民営化について、保護者や地域住民等、市民が十分に納得できるものとなるまで、性急にその手続きを進めないこと。」を求めるものです。
 もう一方は、市職員労働組合の委員長外29,654名の署名をもって「いわき市の子供が健やかに育つため、市立・私立を問わず保育予算を増額すること。市立保育所を市直営で維持・存続するとともに、子育て支援機能を充実し、保育事業を拡充すること。」を請願しました。

 私は、昨年から、最初に民営化が予定される4施設を訪問して意見を聴取するとともに、裁判になった横浜市の民営化第1号の保育園を訪れて問題点等を調査し、昨年6月と9月定例会の定例会でこの保育所民営化問題を取り上げてまいりました。
 
横浜市は、民営化取り消し訴訟で民営化時の保護者説明や手続きなど、性急すぎる民営化手続きが違法と判断されました。横浜市では、民間移管第1号の保育園で移管先法人の理事長、園長、主任保育士、横浜市の担当者と懇談して民営化の現状と問題点を伺って参りました。
わずかな引継保育、半年間の保護者との厳しい関係、子どもたちの心の不安、保育者としての悩みなど「嵐の6ヶ月」の貴重な体験をお聞きしましたが、移管の困難を乗り越えたのは、産休明け乳児保育30年という移管先法人の保育実績と保育士さんたちの子どもたちに対する深い愛情、そして両者の強い使命感でありました。
まさに、移管先法人の選定が「保育の質」を決め、移管そのものの帰趨を決するという事実がそこにありました。
横浜市の民間移管検証結果報告を見ますと、「3ヵ年で2億7700万円、約18%の運営費縮減、156人の職員定数削減」とされております。しかし、その裏で移管先法人は単独で赤字であるとのお話をお聴きしました。公立の人件費削減が私立の安い人件費に依存している実態がそこにありました。
やはり、人を育てる児童福祉は、行き過ぎた市場原理主義や民営化万能論では片付けられない事業であります。

「請願第3号 いわき市立保育所の民営化を性急に進めないことについて」は、わが創世会として支持しました。
これは、保育所(園)保護者会連合会会長さんや当事者である移譲施設の保育所の保護者会会長さんらが請願者となって、「保護者や地域住民等、市民が十分に納得できるものとなるまで、性急にその手続きを進めないこと」を請願しているという事態を、議会人として、重く受け止めたからであります。

昨年の答申以来、いくつかの疑問が依然消えません。
第一に、保育所整備方針の決定過程と市民意見の反映について、です。

 昨年2月定例会において、当局は「今後は社会福祉審議会の答申内容を尊重し、保育サービスや保育環境のさらなる充実を図るための整備方針を決定したい」との説明でしたが、その後「整備方針」は答申そのものによって説明されました。
 本市は、行政に市民の意見や要望を反映させ、行政の意思決定過程における市民参画を進めるため、市民意見募集=パブリックコメント制度を活用していますが、子供の未来がかかっている重要施策の具体化である保育所整備方針について、市民意見を求めませんでした。
地域の保育園には、地域の子どもたちを地域の大人が一生懸命育んできた、それぞれの地域の歴史が刻まれていると思います。
 答申を出した最後の児童福祉専門部会で「保護者」代表の委員は、「公立の専念された保育士にみていただく子どもは幸せだと思っており、他の保育所・保育士も優れた所もあると思うが、公立には公立の威厳とノウハウ・歴史があり、極力守っていければ助かると思う」と述べたと記録されております。
子供の未来がかかっている重要施策の具体化について、市民意見を求め、市民参画をはかって、地域の歴史と社会的背景を踏まえてこそ、未来を担う子どもたちを育んでいけるのではないでしょうか。そうした機会を逸してしまったことが、誠に残念であります。
 第二は、保育現場の意見は反映されたのか、です。
 平成21年度移管対象施設の4施設、統合対象の2施設を見学した際、子どもとともに暮らし、心のよりどころになってきた保育士さんたちは、民間移管と聞いて「哀しい」と一様に語りました。
 「答申の前に何故話を聞いてくれなかったのか」と。
 「地域でひとつしかない公立がなくなったら公立の選択肢がなくなる」「人件費削減で経験の少ない若い保育士さんばかりになったら親御さんへの教育的指導は十分にできるのだろうか」「実費名目で保育料外の料金徴収の心配もあるのではないか」と、現場の保育士さんたちは、心配していました。
 また、民間移管による職員の異動や「待遇が悪いのに職員と一緒の仕事をしてくれている臨時雇用の保育士さんの雇用が心配」との声もありました。
 そこには、こまやかな配慮や継続性など、公立が培ってきた「保育の質」が、民間移管で確保され高められる確信を持てない、現場の苦悩があったわけです。
 現場の声に真摯に耳を傾けることがどれだけできたのか、残念ながら、当局の説明からはそれが伝わってきませんでした。
今年度に入り、民営化を進める過程自体にも、だいぶ無理が現れています。
それは、担当課の担当職員の昼夜を違わぬ諸々の作業と時間による業務費用、保護者・児童、現場保育士の諸々のストレスなど多くの犠牲強いています。
本来あるべき市立保育所の改善・民間保育所への支援拡大など、保育施策の改善充実にこそ、そのエネルギーを費やすべきところが、民営化問題に費やされている現状は、果たして如何なものか、という感があります。

第三は、質の高い保育を公平に提供する保育の公的責任について、です。
我が国では、少子化対策、子育て支援と叫びながら、保育所運営費を一般財源化するなど、国の宝である子どもたちの保育予算削減の傾向が続いてきました。
保育所の民間移管は、国の保育所財政縮減の直撃を受けた自治体の財政的事情によるもので、子どもの利益が最優先された施策とはいい難いものです。
 行政は、子どもたちの感性と知性、社会性、人間の生きる力を育てる児童福祉事業である保育の公的責任を果さねばなりません。
 公立保育所の存在意義は、行政が直接保育所の運営にあたることで、子どもの現状を把握し、ニーズにあった保育や子育て支援などの児童福祉施策を立案展開できること、またそれによって公立・民間共通に保育の水準、保育の質を保つことができること、さらには人材育成の役割、そして公立私立の地域的な連携、子育てネットワークの中心を担っているということです。
 子どもにとっての最善の形をめざすという児童福祉法の原点に立ちかえり、保育の公的責任を明確にして、公立保育所の存在意義を示すべきではないか、とおもいます。

 質の高い保育を公平に提供する保育の公的責任を考えるとき、保育所の統合については、当初の方針を一方的に変更し実施施設を変えましたが、民営化は当初の方針とおり、あくまで21年度に4施設強行するといいます。
 一方の方針は、保護者に何の話もなく、手直し、もう一方は保護者が十分な説明を求めているのに、これを強行する。
 これでは、行政の裁量権といえども少々恣意的すぎるのではないか、一貫性にかけると言わざるを得ません。

 さて、当局は、この請願の不採択理由として、「性急というはあたらない」といいます。
 果たしてそうでしょうか。
 先に紹介した横浜市の民間移管検証結果は「移管園の保護者に十分な理解が得られなかったこと」を指摘しました。
 児童福祉法では親の選択権が認められており、横浜地裁判決も「保護者には保育所を選択する権利と、同じ保育所で継続した保育を受ける権利がある」と判断しました。
 このことは在園中の子どもたちを無視した民間移管は法的に問題があり、厳に戒めたものであります。
  
 保育所の民営化は、主権者である保護者の合意がすべての前提であることを、行政が否定することはできません。
 市立保育所の民営化について、依然として、保護者、市民、の合意形成が実現されていないからこそ、今日の請願となったわけです。
 この際、答申の実施時期に固執せず、「保護者や地域住民等、市民が十分に納得できるものとなるまで、性急にその手続きを進めないこと」を明確にすることが、当局のなすべきことです。
 ここは、慎重に対処すべきです。

 今回の請願は、まさに保護者、子どもたち、市民の叫びであり、この訴えを議会はしっかりと受け止め、請願を採択していくべきだと思います。

 以上をもって、「請願第3号 いわき市立保育所の民営化を性急に進めないことについて」、および「請願第4号 いわき市の保育の充実と市立保育所の存続について」採択すべきとの立場からの討論といたします。
 議員各位のご賛同を賜りますようお願い申し上げて、わたくしの討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
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by kazu1206k | 2007-12-20 23:20 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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