市立病院改革プラン案、パブコメの市民意見を聴かぬ病院局

現在、国の社会保障費抑制、医療費削減策により、地域医療は崩壊の危機にある。
全国の公立病院が総務省の公立病院改革ガイドラインによって、財政難を理由に、再編統合、赤字病院が切り捨てられようとしている。

2月20日の衆議院予算委委員会で鳩山総務大臣は、「公立病院改革ガイドライン」について、「地方自治法上は、技術的な助言。単なる指針だ」と答弁。麻生総理も「損益だけのものではない」と答弁しているが、公立病院改革ガイドラインに基づき本年度中に策定を求められた「(仮称)いわき市市立病院改革プラン案」は、短期的には「運転資金の確保」、中期的には「一般会計からの所定の繰出し後、経常黒字の達成」を経営目標とし、平成22年4月に、総合磐城共立病院に常磐病院のリハビリテーション医療と精神医療を統合、統合後の常磐病院は2次救急機能の存続を前提にして、民間の医療法人などに譲渡する計画である。
常磐地区行政嘱託員会役員会でも常磐病院の存続を求める声とともに「市民が納得いくように説明して欲しい」という声が多かった。

プラン案は、計画期間内で最大19億円の資金不足を想定しており、常磐病院の医師の移動が想定通り進まねば、平成25年の収支黒字化は不可能だ。実効性に多大な疑問が残るプラン案なのである。地域医療を考える時、市地域医療協議会で築いてきた医師会や病院協議会との信頼関係、そして何よりを市民を犠牲にしてはならず、拙速は慎むべきである。
3月5日、いわき市議会2月定例会の一般質問では、市立病院全体の経営と市民の医療サービスの観点から民間譲渡案を見直すべきと訴え、医療関係者はじめ市民の声を聴き、原案を見直すべきと提言した。

これに対して、病院局側は、意見拝聴といいながらパブコメの意見にことごとく反論。答弁のほとんどが病院局長で病院事業管理者はわずかに1回。市長より少なかった。経営責任者としてのあり方に疑問符がついた。
国の医療政策の誤り、そして本市積年のツケが溜まった病院行政。
市民の意見をよく聴き、市民の支持と市内の医療関係者の協力を得ることが、市立病院と地域医療を守る道である。
市長は、9月の市長選を控え、大いに危機感を持って、この事態に対応すべきである。

●以下、一般質問のやり取りの一部。

1点目、(仮称)市立病院改革プラン案に寄せられた市民意見の反映について。

①パブリックコメントの集計結果、プラン策定までの期間やパブリックコメントの期間が短すぎるという声、また常磐・遠野地区の住民への説明会開催を求める意見も多い、こうした意見をどう受け止めているか。
(病院局長答弁) 
 公立病院改革プランの基本となります「市立病院改革に係る基本方針」につきましては、
市民公募委員をはじめ、市内の医療関係者等、各界各層の市民の皆様からなる懇談会における
2年半の議論を経て、まとめられた提言を踏まえるとともに、「市病院事業中期経営計画」につきましては、「基本方針」の行動計画としての位置づけのもと、パブリックコメントを実施し、市民の皆様の幅広い御意見を踏まえ、策定した経緯があり、その内容や経過につきましては、広報誌や市ホームページに掲載し、市民の皆様のご理解が得られるよう努めてきたところであります。
今回のプランにつきましては、これら「基本方針」や「中期経営計画」を国のガイドラインを踏まえ、統合・改定することにより、プラン(案)として策定したところであり、最終案の作成にあたりましては、市民を代表する市議会議員の皆様の御意見、パブリックコメントによる市民の皆様の御意見、さらには医師会や病院協議会など、市内の医療関係者の皆様の御意見なども拝聴しながら、適切に対処して参りたいと考えております。

②総務省が「公立病院改革ガイドライン」に基づき、平成20年度内の策定を求めている「公立病院改革プラン」は、自治体に対する強制ではないが、本市が国の財政措置を期待しないとすれば年度内の策定にこだわる理由は何か。
(病院局長答弁)
 病院事業は、これまで、平成18年2月に「市立病院改革に係る基本方針」、平成19年2月に「市病院事業中期経営計画」を策定するとともに、平成19年4月には、地方公営企業法の全部適用及び
「1市1病院2施設」へ移行するなど、改革改善に取り組んで参りましたが、依然として厳しい経営が続いており、平成21年度には、運転資金の枯渇も予測される極めて厳しい状況に立ち至っております。このため、病院事業の抜本的改革は「待ったなし」であると認識しておりますことから、
改革の指針となる「(仮称)市立病院改革プラン」を早急に策定し、病院改革の歩みをさらに加速させようとするものであります。

③平成19年病院事業中期経営計画により、地方公営企業法を全部適用して、病院事業管理者を設置しました。パブコメの市民意見には「初年度において大きな齟齬をきたしたにも係らず、その検証も不十分なまま、今回のプランが作成された」、また「責任感と使命感をもった経営が実は行われていないのではないか」、更に「プランの多くはこれまでも呈示されてきたものであり、実行されないが故に、現在の状況に陥っている」など、計画を実行する組織自体に厳しい意見がありますが、病院事業管理者は経営責任者としてどう総括しているか。
(病院事業管理者答弁) 
 病院事業につきましては、平成19年4月に、地方公営企業法を全部適用するとともに、総合磐城共立病院を本院、常磐病院を分院とする1市1病院2施設として、改革に取り組んで参りました。
しかしながら、こうした取組みにも関わらず、近年の度重なる診療報酬のマイナス改定や大学医局の医師派遣機能の低下などの外的要因が大きく作用し、平成19年度におきましては、医師不足の影響による患者数の減や退職者の増加に伴う退職給与金の増などの要因と相まって、過去最大の単年度純損失を計上するという極めて厳しい決算となったところであり、こうした状況に対しては、組織形態のみで対応できるものではなく、形態論と相まって、収益と費用に踏み込んだ抜本的な対応が必要であると総括しております。

④市立病院改革の「最重要課題はいわき市民の生命と健康の命綱、最後の砦である共立病院本体の抜本的改革のはず」という意見、そして「共立病院本体の改革にかける決意も具体的方策もないこの改革プランは、この原案通りに実行されれば、数年後には統合後の共立病院の欠損金累積により破綻は免れないと真剣に憂慮している」と、共立病院の抜本的改革を求める意見にどう応えるのか。
(病院局長答弁) 
 「(仮称)市立病院改革プラン」は、病院事業の厳しい状況を踏まえながら、安全・安心の医療提供と安定した経営基盤の確立を目指し、市立病院改革をさらに加速させていくために策定するものであります。
プラン案において、市立病院は、「選択と集中」の視点に立って、常磐病院の診療機能を総合磐城共立病院に統合した「1市1病院1施設」を実現することにより、真に持続可能な病院事業の経営を目指すこととしておりますが、統合後の市立病院である総合磐城共立病院においては、医師の確保を最重要課題として位置づけるほか、地域医療連携の充実や定員管理の適正化などに努めるなど、病床利用率などの数値目標を掲げ、収益の増加策と費用削減策を一体的に行うことにより、抜本的な改革に取り組もうとしているものであります。

⑤常磐病院の民間譲渡について、患者さんからは「無くさないで」という声が多く、「老朽施設と許可病床しか残らないのに応募する健全な医療法人があるのか」という意見、「民間のみならず共立病院等との医師・看護師の争奪戦になる」という意見、さらに「民間移譲による常磐病院の赤字解消と共立病院の医師不足の解消を挙げているが、医師の移動は事務職員のようにいかず、看護職員の移動は共立病院の人件費率を更にアップすることは明らかで、熟慮されていない机上の計画」とする有力な意見もあります。市立病院全体の経営と市民の医療サービスの観点から民間譲渡案を見直すべきではないか。
(病院局長答弁) 
 常磐病院の民間譲渡は、病院事業が厳しい状況を打開し、将来にわたり市民の皆様に安全・安心の医療を安定的に提供していくため、限りある医療資源の「選択と集中」の視点に立ち、常磐病院の診療機能を総合磐城共立病院へ統合することとした上で、常磐地区の地域医療の現状を踏まえ、地域に必要な医療機能は、引き続き存続させることが必要であるとの認識のもと取りまとめたものでありますが、譲渡にあたりましては、地域医療の崩壊を招かないよう、本市における地域医療の維持・確保を念頭に置きながら対処して参りたいと考えております。

⑥常磐病院改革の対案について、現在の常磐病院の医師チームの診療に対する姿勢を評価した上で、不要病床を廃止し精神病床を除いて140床規模に縮小する意見もありますが、市立病院全体の経営と市民の医療サービスの観点から考えて、共立病院のサテライト診療所として機能させ、共立病院との一体化を進めながら、新市立病院へ統合することが現実的ではないのか。
(病院局長答弁) 
 常磐病院を総合磐城共立病院のサテライト診療所とすることは、今後の市立病院の果たすべき役割や民間医療機関との適切な役割・機能分担に照らして、当面の措置とはいえ、好ましいことではないと考えられること、また、常磐地区の地域医療の維持・確保の観点から、常磐地区には、2次救急に対応できる医療機関が必要であると考えられることから、2次救急に対応できる後継医療機関への譲渡が適切であると考えております。

⑦「新病院の建設を急ぐべきだ。古びた診断機器、耐震不足、空調時間制限など余りにも劣悪な環境に医師が派遣されることはない。医師から選択される病院であることが健全経営の基盤だ」という意見、そして「新市立病院建設の内容が今後の3カ年改革に影響を与えるのは必須だ」など、共立病院の建て替え、新病院建設を求める意見も多かったわけです。新病院建設を先延ばしせず、病院経営と耐震対策から、新病院建設を市立病院改革の中期的目標とすべきではないのか。
(病院局長答弁) 
 新病院の整備は、今後の病院運営上、最重要課題の一つであると認識しておりますことから、プラン案において、長期的目標に位置づけ、調査・検討を進めることとしたところでありますが、プラン(案)では、計画期間中は、経営改善に取り組んでもなお、資金不足の発生が見込まれる厳しい状況にあり、経常黒字の達成は、平成25年度となるものと見込んでおります。
今後とも、収益増加策と費用削減策を一体的に行うことにより、中期的目標である経常黒字の達成を最優先としながらも、長期的目標の早期実現に向けて着実に取り組んで参りたいと考えております。

2点目、市立病院改革に対する今後の対応について。

⑧実効ある市立病院改革のために、共立病院と常磐病院、それぞれの医師の協力体制を強め、医療事務職員は転勤せず専門家としてレベルアップを図り、病院局のスリム化を含めて本市の精鋭を集めて人事の刷新をすべきではないか。
(病院局長答弁) 
 平成21年度の組織見直しにあたり、1市1病院1施設を視野に入れ、さらなる事務の簡素化、迅速化、効率化を図るため、経営企画室、本院事務管理部及び分院事務管理室を再編・一元化し、新たに「経営管理部」を設置することとしたところであります。
さらには、平成20年4月から、医事業務の有資格者などの民間等実務経験者を採用し、事務職員の専門職化に着手しているところであります。今後につきましても、経営の効率化を目指し、簡素で効率的な事務執行体制の構築に取り組んで参りたいと考えております。

⑨共立病院の建て替え、新病院建設にむけて、内外の有識者による新病院のあり方に関する調査検討機関を設置すべきではないか。
(病院局長答弁) 
 新病院の整備は、「(仮称)市立病院改革プラン(案)」において、長期的目標として位置づけ、調査・検討を進めることとしておりますが、まず、短期的・中期的目標の達成が最優先であると考えておりますことから、議員お質しの有識者による調査検討機関の設置につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。
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by kazu1206k | 2009-03-09 08:19 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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