市立病院改革プラン、市立病院の充実を求める請願に賛成討論

3月19日、2月26日から22日間のいわき市議会2月定例会が閉会しました。
最終日の本会議では、総額2,491億円の平成21年度当初予算案、保険料率が6段階から9段階に変わる市介護保険条例や市建築基準法関係手数料条例の改正案、いわき駅前広場(ペデストリアンデッキ)の工事請負契約の変更、県出向の副市長選任の同意など57議案と、山一商事の産廃最終処分場の再審査請求に対する裁決についての県知事への意見書など6意見書を可決・採択しました。

2月定例会の大きなテーマとなった市立病院改革プラン案に伴う「安心・安全・信頼の地域医療のために市立病院の充実等を求めることについて」など2つの請願は、賛成少数で不採択となりました。
また、「子供の医療費無料化拡大について」の請願は採択されましたが、継続審査となっていた、小学校卒業までの無料化実現の請願は、賛成少数で不採択となりました。

最終日の本会議で、わたしは、市立病院改革プラン案の問題点と課題を明らかにするため、「安心・安全・信頼の地域医療のために市立病院の充実等を求めることについて」の請願に対する賛成討論を行いました。

●以下は、請願の賛成討論の内容です。

 19番、創世会の佐藤和良です。
 ただいまより、「請願第3号 安心・安全・信頼の地域医療のために市立病院の充実等を求めることについて」を採択すべきとの立場から討論を行います。

 この請願は、「安心・信頼のいわきの医療を守る会」会長、「常磐区長会」会長、「いわき市立常磐病院腎友会」会長の3人が請願者となり、2万5,154人の署名を添えて提出されたもので、櫛田市長にも陳情書を提出しております。
 請願要旨は、「(仮称)市市立病院改革プラン(案)」に、安全・安心・信頼の市立病院を実現するための方向性を明確に盛り込み、市民による議論を十分に保障し理解と合意を得た上で決定すること。地域の中で市立常磐病院が今後果たすべき役割を再度検証し、地域住民の声を踏まえて存続すること、というものであります。

 わたしどもは、地域医療を守るために、安心信頼の市立病院の実現をめざして、市民の議論を十分に保障し理解と合意を得た上で決定すべきとの立場から、本件請願について、継続審査を主張してきました。
 市民福祉常任委員会では、10日に継続審査と決定しましたが、16日の病院局による「(仮称)市立病院改革プラン(案)」の見直し修正が議会に示され、一旦継続審査とした請願の再審査という、いわき市議会史上初の異例の事態となりました。
 再審査は、議会における一事不再議の原則の例外にあたるため、例外適用が認められる「事情変更」に当たるのか、具体的にはプラン案の修正が大きな事情変更に当たるのかという点で、市民福祉常任委員会の議論も別れたところです。
 市立病院改革プラン(案)の見直し修正内容は、実施計画の文言を「常磐病院の民間譲渡」から「市立病院の再編」に、また長期目標の「新病院の整備」を「新病院の建設」に見直し修正したものです。
 質疑においては、「常磐病院の民間譲渡」の内容に変わりはないとする病院局答弁があり、はたして一事不再議の原則の例外適用が認められた「事情変更」に当たるのかどうか、釈然としないまま、採決で再審査を決め、質疑ののち継続審査を否決、討論ののち採決の結果、不採択とすべきとの委員会決定となったたわけです。

 そうした審議の経過もふまえ、(仮称)市市立病院改革プラン(案)をめぐる問題点と課題について、であります。
 そもそも「(仮称)いわき市市立病院改革プラン案」は、国の社会保障費抑制、医療費削減策よって生み出された地域医療の崩壊と自治体病院の財政難を、病院の再編統合、赤字病院切り捨てによって打開しようとする、総務省の公立病院改革ガイドラインに基づいて策定され、年度末に総務省に提出するというものです。
 その内容は、市立病院再編として平成22年4月に、本院の総合磐城共立病院に分院の常磐病院のリハビリテーション医療と精神医療を統合、統合後の常磐病院は2次救急機能の存続を前提にして、民間の医療法人などに譲渡するとし、経営目標として短期的には「運転資金の確保」、中期的には「一般会計からの所定の繰出し後、経常黒字の達成」を平成25年に実現するというものです。
 ご承知の通り、2月20日の衆議院予算委委員会で鳩山総務大臣は、「公立病院改革ガイドライン」について、「地方自治法上は、技術的な助言。単なる指針だ」と答弁し、麻生総理も「損益だけのものではない」と答弁しております。

 まず、問題の第1点は、市立病院改革プラン案についての説明責任を十分に果たしていないことです。
 これは、常磐地区行政嘱託員会でも存続を求める声とともに「市民が納得いくように説明して欲しい」という声が多数であったように、地元常磐・遠野地区の「常磐区長会」、行政嘱託員、保健委員の皆様の声にあらわれております。
 プラン案に対して、市民の意見を考慮して意思決定を行うために、パブリックコメントも実施され、64人、277件の集約に市民の関心の高さが示されました。数多く意見が寄せられことばかりでなく、総合磐城共立病院の元院長様はじめ医師会、病院協議会、学識経験者など、市立病院と地域医療に造詣が深く、経験と実績を持つ市民の皆さんから、プラン案に対し貴重な提言と対案を頂いた事に大きな特徴があります。
 パブコメは、市民の意見も聞きましたという手続きの道具ではありません。よりよいプランをつくるためには、徹底した情報公開と市民参加による議論が必要でありました。しかし、市の考え方は、方針決定後の3月下旬に公表するとされ、情報公開や市民参加による意思決定の面では誠に不十分な対応であります。
 出先機関再編の説明会以上に、市民に対して説明すべきであり、医療関係者にも議論を保障し理解を得ることが必要であります。議会側にも、収支計画の根拠を明確に示して事の成否を精査する時間と説明が必要であります。そして、何より、統合される側の意思形成にたいする配慮に欠けています。病院局は、これらの説明責任を十分に果たすべきなのであります。

第2点は、これまでの市病院事業中期経営計画の経営実態の検証と総括が不十分なまま市立病院改革プラン案が作成され、責任ある経営が行われていないということです。

 平成18年の市立病院改革基本方針、平成19年の市病院事業中期経営計画の経営目標が実現されず資金不足の発生が現実化する状況となりました。しかし、その原因を、国の医療費削減策による医師不足の影響など客観情勢のみに帰するわけにはいきません。
 中期経営計画では、今後の取り組み項目を実施して、収支見通しの経営目標が達成され、平成20年度末で17億円の現金残高とされておりました。これが、何故、平成21年度には、運転資金の枯渇が予測される厳しい状況に立ち至ったのか。
 経営のどこが、組織の何が、まずかったのか。
 点検して原因を分析し、克服すべき点を洗い出してこそ、前へ進めるはずであります。
 また、中期経営計画では、平成20年度に財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定取得をめざしておりました。この認定取得はどうなったのでしょうか。
医療に対する信頼と質の向上をめざし病院の総合力をかけた認定取得に挑戦して、残念ながら認定取得できませんでした。
 何故、結果を出せなかったのか。どこにどのような問題があるのか。組織の切開をして、医師や看護士、コメディカルなど現場の声を積極的に活かすしくみ作り出すことがまず必要であると思います。
 公営企業法全部適用後2年、病院局としての主体的な総括があって初めて、プラン案の信頼性が高まるのであります。

第3点は、市立病院改革プラン案の収支計画の見通しの甘さ、実現の困難性であります。

 プラン案は、常磐病院の民間譲渡によって、常磐病院の医師11人が共立病院に移ることを前提にした収支計画であり、11人の移動が実現しないかぎり平成25年度の市立病院黒字化目標は絵に描いた餅になります。
 プラン案は、計画期間内で最大19億円の資金不足を想定しており、常磐病院の医師の移動が想定通り進まないだけでも、平成25年の収支黒字化の実現は困難ではないのか、ということであります。
 常磐病院の医師の移動は事務職員のようにいかず、むしろ看護職員の移動によって共立病院の人件費率を更にアップし、統合後の共立病院の欠損金累積に結果する可能性を高めます。
 最重要課題は、いわき市民の生命と健康の最後の砦である共立病院の抜本的改革であります。しかし、収益と費用に踏み込んだ抜本的な対応が必要といいながら、病床利用率を高め医師を確保するための具体策が示されておりません。このままでは、プラン案の計画期間中にも病院財政の破綻の恐れが懸念されるところです。

第4点は、実効ある市立病院改革を実現するため市立病院改革プラン案を見直すべきであるということです。

 地域医療を考える時、市地域医療協議会で築いてきた医師会や病院協議会との信頼関係を犠牲にしてはならないはずです。
 なぜ、市地域医療協議会が立ち往生しているのか。よく吟味すべきであり、今後のスムーズな運営と揺るぎない信頼関係を持続していくための努力が必要なときであります。
 プラン案は、今回一定の修正がありましたが、医師会や病院協議会はじめ医療関係者と議論を詰める一方、有力な市民意見も取り入れ、市立病院全体の経営と市民の医療サービスの観点から、実効ある市立病院改革プランにするため、より現実的に見直すべきであります。
 常磐病院改革では、現在の常磐病院の医師チームの診療に対する姿勢を評価し、不要病床を廃止し精神病床を除いて140床規模に縮小する案や、共立病院のサテライト診療所として機能させ、共立病院との一体化を進めながら、新市立病院へ統合する案なども検討し、地域の中で常磐病院が今後果たすべき役割を再度検証し、納税者である地域住民の声を踏まえて対応することが現実的ではないのかということです。

第5点は、新病院の建設は、病院経営と耐震対策から先延ばしせず、市立病院改革の中期的目標とすべきことです。

 プラン案の一定の修正により、新病院の早期建設として、市中期財政計画との整合性を図りながら、平成23年度から32年度までの新・市総合計画基本計画への位置づけを目指すとともに、統合後、新病院の早期建設に向け速やかに検討に着手するとされましたが、10年先の長期目標であります。
 申すまでもなく、医師から選択される病院であることが健全経営の基盤であり、今後3年間がいわき市病院事業の死命を制する情勢であると考えます。
 昨年12月の読売新聞は、厚生労働省の調査の結果、「100床あたりの医師数を53の大都会や中核市別に見た統計では、いわき市が青森市と並んで全国最下位の6.6人となった。郡山市の9.2人の約7割にとどまり、同じ県内の都市部でも地域間で格差が生じている」と報じています。
 新病院建設の内容が今後の3カ年の改革に大きな影響を与えるのは必至であります。
 共立病院の建て替え、新病院建設を求める市民の声に応え、新病院建設を先延ばしせず、新病院建設を中期的目標として、早期に検討に着手するよう改めて訴えたいと思います。

 思い起せば、総合磐城共立病院は、昭和61年、「経営の健全性が確保されており、そのうえ、地域医療の確保に重要な役割を果たしている」自治体立優良病院として、全国自治体病院開設者協議会と社団法人全国自治体病院協議会両会長の表彰を受けた病院であります。
 以来、二十余年、共立病院の変容と現在のありように心が痛みます。
 しかし、経営の健全性が損なわれてなお、地域の医療崩壊が進行する中で、地域医療に果たす役割は一層重みを増しております。
 いわき市のみならず、浜通り及び茨城県北部をも診療圏とする地域の中核病院である共立病院のありようはいわき市民のみならず、これら地域住民にも大きな影響を及ぼすものであります。
 共立病院の診療圏がいわき市以外に広がっている現在、経営をこれに一致させる第一歩を踏み出す勇気も必要です。

 最後に、国の医療政策、本市積年の病院行政の中で、医師と現場職員を生かせない経営、その組織が問題になっています。実効ある市立病院改革、それは人の問題に尽きるのではないでしょうか。
 実効ある市立病院改革のために、共立病院と常磐病院、それぞれの医師の協力体制を見直し、医療事務職員のレベルアップ、本市のやる気のある職員を集め、人事の刷新をすべき時であります。
 国の意向を気にするのはよい。しかし、職員、市民に寄り添った行政経営でなければ信もないのであります。
 温かみのある、人の情、血の通った経営が始まらなければならないと思います。
 市立病院と地域医療を守るために、市民の意見をよく聴き、市民の支持と市内の医療関係者の協力を得ることが、為政者のなすべきことであります。

 請願に寄せられた地区住民、患者さんたち、2万5,154人の署名人をはじめとする市民の叫びを議会はしっかりと受け止め、請願を採択していくべきだと思います。
 以上をもって、請願を採択すべきとの立場からの討論といたします。
 議員各位のご賛同を賜りますようお願い申し上げて、わたくしの討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
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by kazu1206k | 2009-03-20 08:32 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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