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弾道ミサイル等に対する「破壊措置命令」、戦後初の戦闘準備態勢

3月27日、麻生内閣は「安全保障会議」で、北朝鮮が4月4〜8日に打ち上げると通告した人工衛星の「破壊措置命令」を決定した。

自衛隊法82条の2は、「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を定め、弾道ミサイルや人工衛星などが日本に落下し人命や財産に被害を及ぼす恐れがある場合、防衛大臣が上空で破壊する命令をすることができるとしている。
ミサイル等が落下する具体的な兆候がある場合は1項を適用し、閣議決定と内閣総理大臣の承認が必要だ。今回は、指定ルートなら日本上空を飛び越え、落下の恐れがあるとまでは認められないため、3項を適用して閣議を経ずに発令された。

この「破壊措置命令」を受け、防衛省は昨夜から、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)を弾道ミサイル・人工衛星の上空通過が予想される秋田・岩手両県の陸自駐屯地と首都圏の5カ所に配備。海上配備型迎撃ミサイル搭載の海上自衛隊のイージス艦「こんごう」「ちょうかい」を日本海に配備しはじめた。
航空自衛隊の航空総隊司令官が全体を指揮、アメリカの早期警戒衛星情報やレーダー・センサー分析で、日本落下が予想される場合、直ちに「迎撃」態勢に入るというが、わずか7〜8分で落下する物体の「迎撃」対象の可否を判断し数分で破壊することが現実的に可能かどうか。
そもそも、アメリカの宇宙軍拡の一環であるミサイル防衛(MD)システムは、まだ実験段階であり、あらかじめ軌道がわかっている目標の迎撃すら失敗している。軌道の不明の物体を破壊できる確率は低く、政府部内から「ピストルの弾をピストルで撃ち落とせるはずがない」という声が聞こえるのも不思議ではない。

総額7〜8兆円規模になるというMD開発費は、産軍複合体をなす日米の軍事当局と軍需産業にとっては、さながら「金のなる木」。このMDに正当性を与える絶好の機会が今回なのである。
しかし、この「迎撃」態勢は、確実に北朝鮮への軍事的威嚇となり、北東アジアの緊張を激化させる。
刮目すべきは、戦後はじめて、国内初の戦闘準備態勢へ入ったということだ。
15年戦争の甚大な犠牲の上につくられた戦後の社会と体制を画する、まさに歴史的事態である。
憲法9条が瀕死の事態だ。「破壊措置命令」に強く抗議するものである。
by kazu1206k | 2009-03-28 11:41 | 平和 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k