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共謀罪「恣意的運用」警告、国連報告者が首相に書簡

 国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪法案に対し、プライバシーや表現の自由を制約する恐れがあると強い懸念を示す書簡を安倍晋三首相あてに送付し、国連のウェブページで公表しました。法案の「計画」や「準備行為」の文言が抽象的で恣意的に適用されかねないなどと警告しており、国際的な視点から問題点が指摘されました。
 これについて、海渡雄一弁護士から解説と「プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏 共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳」が届きました。以下に、紹介します。

国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による日本政府に対する質問状について(解説)

             海渡 雄一(共謀罪NO!実行委員会)

国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する書簡を安倍首相宛てに送付し、国連のウェブページで公表した。

書簡の全文は次のところで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf

 書簡では、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があいまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範で、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることを指摘し、いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があるとしている。
 さらに、共謀罪の制定が監視を強めることになることを指摘し、日本の法制度において、プライバシーを守るための法的な仕組み、監視捜査に対する令状主義の強化や、ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に許可するための独立した機関の設置などが想定されていないことを指摘している。また、我が国の裁判所が、警察の捜査に対する監督として十分機能していないとの事実認識を示している。
 そのうえで、政府に対して、法案とその審議に関する情報の提供を求め、さらに要望があれば、国連から法案の改善のために専門家を派遣する用意があることまで表明している。
 日本政府は、この書簡に答えなければならない。
 また、日本政府は、これまで共謀罪法案を制定する根拠として国連越境組織犯罪防止条約の批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が選任した専門家から、人権高等弁務官事務所を介して、国会審議中の法案について、疑問が提起され、見直しが促されたことは極めて重要である。
 日本政府は、23日にも衆議院で法案を採決する予定と伝えられるが、まず国連からの質問に答え、協議を開始し、そのため衆議院における法案の採決を棚上げにするべきである。そして、国連との対話を通じて、法案の策定作業を一からやり直すべきである。

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プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏
共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳


 翻訳担当 弁護士 海渡雄一・木下徹郎・小川隆太郎
 (質問部分の翻訳で藤本美枝弁護士の要約翻訳を参照した)

 国連人権高等弁務官事務所
 パレスデナシオンズ・1211ジェネバ10、スイス
 TEL:+ 41229179359 / +41229179543・FAX:+4122 917 9008・EMail:
 srprivacy@ohchr.org

プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート
参照番号JPN 3/2017

2017年5月18日
内閣総理大臣 閣下

 私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。

 これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由
への過度の制限につながる可能性があります。

 入手した情報によりますと次の事実が認められます:

 組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。

 改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大することを提案したとされています。
 手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:

6条
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。
ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府

 さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解することが一層困難であることが懸念がされています。

 加えて、別表4は、森林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ずる文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対しても新法が適用されることを認めています。

 新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させ、テロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたとされます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります。

 政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。
 しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに限定されているとはいえません。
 新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求していると強調しています。
 しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく、「準備行為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念です。

 これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
 このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります。

 NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようで
す。
 しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可能性があるとも言われています。

 最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択させようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれているということが報告で強調されています。

 提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。
 とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険を懸念します。

 法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定されなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかについて合理的に認識できるようにし、不必要に禁止される行為の範囲が広がらないようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合しているようには見えません。

 プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになります。
 マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着目します。

1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えられます。

2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。

3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。

4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督です。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が含まれます。

5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)

 私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもりはありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関して国家が負っている義務を指摘させてください。
 自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有することを規定しています。
 さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」とされています。

 人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただけますと幸いです。

1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。

2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状況について情報を提供して下さい。

3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してください。

4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してください。

 要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。

 最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権利の特別報告者のマンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題となっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明らかにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。

 閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のために提出される報告書に掲載いたします。

閣下に最大の敬意を表します。

ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者
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by kazu1206k | 2017-05-20 23:38 | 平和 | Comments(0)

共謀罪法案、海渡参考人の公述

16日、衆議院法務委員会で、共謀罪法案に関する参考人質疑があり、5人のうち3人が反対を表明しました。東京の日比谷野外音楽堂では、法案の廃案を求める集会が開かれ、約4,200人(主催者発表)が抗議の声を上げました。以下に、海渡弁護士の公述を紹介します。


共謀罪法案なしで、国連越境組織犯罪条約は批准できる。

                                   海渡 雄一
1 なぜ法案に反対するのか

 組織的犯罪処罰法改定案、いわゆる共謀罪法案 について公述の機会をいただいたことに感謝します。私は、日弁連の共謀罪法案対策本部の副本部長を務めておりますが、本日の意見は、日弁連の意見として断らない限り、私の個人的な意見であることを最初にお断りしておきます。
 まず、なぜこの法案に反対なのかということからお話しします。
 刑法は、犯罪の定義を定めていますが、裏返せば、人の行動が自由である範囲を定めているのです。犯罪とは人の生命や身体自由名誉に被害を及ぼす行為と説明されてきました。
法益の侵害又はその現実の危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動されるというシステムは,我々の社会の自由を守るための制度なのです。
 約300もの多くの犯罪について共謀の段階から処罰できることとする共謀罪法案は、既遂処罰を基本としてきた刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入する際の境界線を、大きく引き下げるものです。(参考資料1)。
 次に、人と人とが犯罪の合意をする手段は、会話、目配せ、メール、LINEなど、人のコミュニケーションそのものによってです。その合意の内容が実際に犯罪に向けられたものか,実行を伴わない口先だけのものかどうかの判断は,犯罪の実行が着手されていないわけですから、大変難しい判断となり、その捜査は,会話,電話,メールなど人の意思を表明する手段を収集することになります。予算委員会では、法務大臣は共謀罪を通信傍受の対象とするかどうかは、将来の課題であると明言しています。私たちの危惧は決して杞憂ではないのです。

2 テロ対策について

 国連越境組織犯罪防止条約の目的はマフィアなどの経済的な組織犯罪集団対策です。この条約はテロ対策の条約ではありません。
 日本は、国連の13主要テロ対策条約についてその批准と国内法化を完了しています。法案には2月の段階でも、テロの文字は全くなく、法案提出直前に「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」という言葉を法案に入れ込みましたが、この修正にはテロの定義もなく、法の適用範囲を限定する意味は全くありません。
 政府は1月の国会審議の中で、共謀罪を作らないとテロは防げないとして、ハイジャック犯人が航空券を買ったり、危険な化学物質の原料を調達しても、その予備罪で検挙することはできず、テロ等準備罪が必要であると説明しました。しかし、特別刑法の権威ある注釈書に、これらは典型的な予備行為として掲げられており、政府の説明は間違いでした。政府は、テロ対策の穴を具体的に指摘できていないのです。
 森林法、所得税法や著作権法など組織犯罪やテロとは全く無縁で、未然防止が必要とは考えられない多くの犯罪について共謀罪を作ることが本当にテロ対策でしょうか。テロ対策として、空港保安対策の強化など、もっと別にやるべきことがあるのではないでしょうか。 
 政府が、この法案制定の最後のよりどころとする、UNODCから寄せられた口上書に対する答弁においても、「犯罪の規定ぶりは,締約国の国内法に委ねられている。本条約の犯罪化の要求を満たすために、国が定める国内法上の犯罪は,必要な行為が犯罪化される限り,本条約と全く同じ方法で規定される必要はない」と述べられています。必要な行為が犯罪化されれば足りるのです。
 日本政府の2003年法案が国連のガイドに沿っていなかったことは明らかです。実は、このガイドは2004年に出版されており、国内法制定の検討が開始されたのは2002年でした。国内法案の制定を急ぎすぎたため、このガイドを参照することができなかったのです。私は、立法ガイドだけを根拠に、新たな共謀罪立法が不要と言っているわけではありません。
政府は長期4年の刑を定めるすべての犯罪の共謀罪の制定が条約批准のために不可欠という立場を放棄したのですから、どれだけの立法が必要なのかを、明確な基準を示して絞り込みの議論をしなければならないはずです。

3 国連条約と我が国の組織犯罪対策

 そもそも条約5条は何を求めていたのでしょうか。この条約5条は推進行為付きの共謀や参加のどちらかの立法化を求めていると説明されますが、組織犯罪集団の関与が想定される重大犯罪について、未遂に至る前に処罰可能であることを加盟国に求めているのだと思います。このことは、条約第5条1項(a)には、犯罪目的を認識して団体に参加する罪と共謀罪の二つの選択肢を設けていますが、これに括弧書きで(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)と注記されていることで裏付けられます(参考資料8)。そして、この条約は国内法の原則に従って実施すれば良いことは、条約34条に明記されています。
 条約審議以前に広範な共謀罪が制定されていた国は、イギリスとアメリカとカナダくらいです。そして、条約批准のために新たに共謀罪を制定したのは、ノルウェーとブルガリアしか報告されていません。多くの国々は、それぞれの国内法をほとんど変えないで条約を批准しているのであり、日本もそうすれば良いのです。
 日本には、テロや暴力犯罪など、人の命や自由を守るために未然に防がなくてはならない特に重大な犯罪約70については、共謀・陰謀罪20,予備・準備罪50があり、これにより、重大な組織犯罪、テロ犯罪の未遂以前の段階はおおむね処罰可能となっています。
 暴力団対策法や全国で制定されている暴力団排除条例なども含めれば、日本の組織犯罪対策は、銃器の所持すら認められているアメリカと比較しても、決して遜色のない立派な法制度だと私は思います。
 日弁連は、これ以外に、人を殺傷する犯罪の予備段階を独立罪とした銃砲刀剣所持取締法、凶器準備集合罪や、重大窃盗の予備段階を独立罪化したピッキング防止法などがあることにも着目しています。
 これまで、日弁連は日本の制度は約70の共謀罪と予備罪、参加罪に類似した暴力団対策、重大犯罪の予備段階を独立犯罪化した犯罪類型があり、これらを総合すれば、条約の要求を満たしていると説明してきました。

4 民主党政権のもとにおける予備罪創設による批准のための努力

日弁連も政権交代時の民主党も、新たな立法は必要ないと述べていましたが、2011年11月7日には、民主党政権のもとで、平岡法務大臣は、法務省・外務省の関係部局に対して条約の目的・趣旨に基づいて防止すべき罪に対して、既に当該罪について共謀罪・予備罪があるものを除き、予備罪を創設することには、どのような問題があるか検討を指示しました。平岡元大臣の調査によれば、サウジアラビア、パナマは、このようなケースのようです。法務省稲田刑事局長は、2011年11月9日 衆議院予算委員会審議において、石破自民党幹事長の質問に「平成十七年に提出した際の考え方というのは一方にあるわけでございますが、ただいま大臣からも御答弁がございましたようなことを踏まえて今後やっていかなければいけないというふうに考えているところでございます。」と答弁し、この提案を受けて一定の作業をしたと聞いています。
法務省は、この提案を受けて一定の作業をしたと聞いていますので、その作業経過も明らかにされるべきです。

5 民進党の新たな提案

 この国会に民進党は組織的人身売買と組織的詐欺の二つの犯罪について、予備罪を設けるという提案をされました。このような提案について、5月12日の法務委員会審議において、畑野君枝議員の質問に対して、外務省の水島氏は、「この推進行為に予備罪を当てるという提案について、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備が整えられなければ、処罰ができないので、この条約5条の趣旨に反するおそれが高い」と答弁されています。
 しかし、これは、過去の政府の答弁とも異なります。2005年10月21日の衆院法務委員会で神余隆博氏は「オバートアクトのかわりに予備行為を要求することが条約の趣旨に反するか否かといつたことについては、確たる定義はない」と述べていたのです(平岡秀夫・海渡雄一『新共謀罪の恐怖』250ページ)。
 そもそも合意を推進する行為について、どのような行為を法的に要求するかは、各国が国内法の原則に基づいて判断できる事柄です。

6 組織的人身売買罪と組織的詐欺罪を選択したことの合理性

 新たに予備罪を制定すべき犯罪として、組織的人身売買罪と組織的詐欺罪を選択したことにも、十分な根拠があると考えます。
 すなわち、最終的には条約本文に残されませんでしたが、条約に重大犯罪のリストを記載すべきであるとの意見が、エジプト政府などから提案されていました。このリストは、かなり多くの国々の支持を集めました。ただ、ここにテロ関係の犯罪が含まれていたために、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、日本など多くの国々から、テロ犯罪を入れることについて反対する意見が出され、合意に至りませんでした。(参考資料3)。
 ただ、テロ関係以外の犯罪については、反対意見もなく、これにさらに追加を求める意見もなかったのです。このリストは条約制定過程の公式記録にも掲載されており、この条約が未然に防止すべきと考えていた犯罪がどのようなものであったか、このリストに明らかです。
 長期4年以上の刑を定める676の犯罪から、組織犯罪集団の関与が想定される犯罪の絞り込みを行うとすれば、このリスト以外に、条約審議過程に裏付けられた有効な資料はないのです。そして、私の見るところ、このリストの中で予備段階の処罰ができていないのは、人身売買と金融機関に対する詐欺なのです。
 さらに、日弁連と法務省が新たな立法は不要であるとの意見を公表した直後に、これに反論した法務省の2006年10月16日付のペーパーでは、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪には多種多様な犯罪があり、現行法上、予備罪、共謀罪等が設けられているのはその中の一部のみに過ぎず、例えば、犯罪組織が行うことが容易に想定できる詐欺罪や人身売買に関する犯罪等については、現行法上、予備罪も共謀罪も設けられていないことを指摘していました。法務省もこの重大犯罪リストを見ながら、足りないのはこの二つだとお考えになったのではないでしょうか。
 二つの予備罪を加えることで、日本では合計74の重大犯罪について未遂以前の処罰ができることになります。これは、外務省の調べた重大犯罪の数として、スペイン46を上回っています。外務省が数えたとされる数字でも70-100程度の国もあり、特に少ない数字ではありません(参考資料4)。
 今回の民進党の提案は、平岡元法務大臣による指示に沿って立案されたもので、バランスがとれ、我が国のこれまでの刑事法の法原則にも合致するものです。私は個人的にはこれに賛成です。このような抑制のとれた考えに基づいて、与野党の真剣な協議をしていただきたいと思います。

7 自民党小委員会案などについて

2007年の自民党小委員会案では密告奨励と批判された、必要的自首減免規定は修正され、対象犯罪は128にまで絞られた案が示されていました(参考資料7)。それで良いとは言いませんが、政府与党の姿勢が、後退していることは強く指摘せざるを得ません。
私は沖縄ですでに弾圧の道具に使われている威力業務妨害罪に注目したいと思います。1999年に制定された組織犯罪処罰法によって、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪が作られ、法定刑が長期3年から引き上げられ、共謀罪の対象犯罪とされました。これらの犯罪は、もともと構成要件があいまいで、弾圧法規として使われてきた問題のある犯罪です。これらの罪の共謀罪は労働運動や市民運動に対する一網打尽的な弾圧を可能にする点で、これらだけで治安維持法に匹敵する危険性を持っています。自民党の小委員会案では、これらの犯罪は共謀罪の対象から外されていたのです。なぜ、このような共謀罪が復活しているのでしょうか。組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪の共謀罪は真っ先に削除するべきです。

8 まとめ

 本日の公述では、法案に関する問題点を提起させて頂きました。この法案には、刑事法学者やメディア関係者を含め、多くの国民が疑問と不安を覚えています。2005/6年の国会では、真剣な審議と協議がなされました。そして、小泉純一郎首相と河野洋平衆院議長の話し合いと決断によって、法案の強行採決はなされませんでした。
ことは、一国の刑事法体系を崩しかねない重要問題です。民進党の提案された予備罪の追加法案だけで、条約を批准しても、他国の例を踏まえれば、国際的には問題は全く起きるものではありません。政府法案の修正案を決して強行採決することなく辛抱強く国会審議を尽くして頂き、日本の国の人権保障と民主主義の未来に禍根を残す法案の成立は断念されるよう訴え、私の公述とします。
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by kazu1206k | 2017-05-16 23:40 | 平和 | Comments(0)

共謀罪法案の廃案を求める国会前行動

 5月15日12時~13時、衆議院第二議員会館前での「共謀罪法案の廃案を求める5.15国会前行動」に参加しました。
 衆議院法務委員会での16日の参考人質疑をへて、委員会採決を17日にも強行して、18日に衆議院本会議で強行採決されるのを何とか止めようと、多くの市民団体や労働組合が参加。廃案を求める声が国会に向かって響きわたりました。
 物言えぬ再びの戦前に後戻りさせない為に、力を合わせて共謀罪法案を廃案に追いこみましょう!と、共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、今週、連続国会前行動を呼びかけています。
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の行動予定は、以下の通りです。

南スーダン問題は政府を追いつめました。5月ではなく、ただちに撤退を要求して頑張りましょう。
森友問題もトカゲの尻尾切りを許さないたたかいを。これを共謀罪の行動とともに頑張りましょう。

5月15日(月)
12時~13時 共謀罪廃案!議員会館前集会
13時半~16時 議員会館前座り込み行動
18時半~19時半 議員会館前集会
場所:議員会館前
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月16日(火)
12時~13時 共謀罪廃案!議員会館前集会
13時半~16時 議員会館前座り込み行動
場所:議員会館前
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月16日(火)
18時半~ 共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走を止めよう!5.16大集会
※集会終了後、銀座デモ
場所:日比谷野外大音楽堂
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月17日(水)
12時~13時 共謀罪廃案!議員会館前集会
13時半~16時 議員会館前座り込み行動
18時半~19時半 議員会館前集会
場所:議員会館前
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月18日(木)
12時~13時 共謀罪廃案!議員会館前集会
13時半~16時 議員会館前座り込み行動
18時半~19時半 議員会館前集会
場所:議員会館前
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月19日(金)
12時~13時 共謀罪廃案!議員会館前集会
13時半~16時 議員会館前座り込み行動
場所:議員会館前
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月19日(金)18時半~
共謀罪廃案、安倍政権の改憲暴走を止めよう!5・19国会正門前行動
場所:国会正門前(予定)
共催:安全保障関連法に反対する学者の会/共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

5月31日(水)18時半~
共謀罪廃案!安倍内閣は退陣せよ、日比谷野外音楽堂集会&デモ(仮称)
場所:日比谷野外大音楽堂
共催:共謀罪NO!実行委員会/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

6月10日(土)14時~
辺野古新基地建設と共謀罪新設を許さない!国会包囲行動
場所:国会周辺
主催:基地の県内移設に反対する県民会議
   「止めよう! 辺野古 埋立て」国会包囲実行委員会
   戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
協賛:共謀罪NO!実行委員会

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
(略称;「総がかり行動実行委員会」)
連絡先:

戦争をさせない1000人委員会
解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター

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by kazu1206k | 2017-05-15 23:42 | 平和 | Comments(0)

5.18人権・自由侵害の共謀罪に反対する集会

 共謀罪の組織的犯罪処罰法改正案について、自民・公明両党は、18日の衆院本会議で強行に採決する方針を固めたと、されます。6月18日の今国会の会期内に成立させるため、30時間の委員会審議に達すれば、野党の反対を押し切って採決を強行する構えです。
 緊迫した情勢で、日本弁護士連合会は、「市民の人権・自由を広く侵害する共謀罪創設に反対する集会」を以下の通り、呼びかけています。

「市民の人権・自由を広く侵害する共謀罪創設に反対する集会」

日本弁護士連合会は、共謀罪法案が市民の人権・自由を広く侵害するおそれがあるとして、同法案の創設に対し反対の意思を表明してきました。

しかし、本年3月21日、いわゆる共謀罪法案が「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」として国会に提出され、4月19日から実質審議が開始されています。

そこで、国会審議を踏まえ、同法案に反対する意思を表明するとともに、同法案の問題点を明らかにし、また、慎重な審議を求めるため、様々な参加者の方からの意見を分かりやすく発信したく、本集会を開催します。

日時 2017年5月18日(木) 18時30分~20時30分 (開場18時00分)
場所 イイノホール
(千代田区内幸町2-1-1)
・東京メトロ 日比谷線・千代田線 「霞ケ関」駅 C4出口直結
・東京メトロ 丸ノ内線 「霞ケ関」駅 B2出口 徒歩5分
・東京メトロ 銀座線 「虎ノ門」駅 9番出口 徒歩3分
・東京メトロ 有楽町線 「桜田門」駅 5番出口 徒歩10分
参加費・受講料無料
参加対象・人数どなたでもご参加いただけます(事前申込不要)
定員500名
ゲストスピーカー
(予定)
・木村 草太 氏 (首都大学東京 教授)
・周防 正行 氏 (映画監督)
・山田 火砂子 氏 (映画監督)
・山口 二郎 氏 (法政大学 教授)
・山田 健太 氏 (専修大学 教授)  他



主催日本弁護士連合会
共催(予定)東京弁護士会 第一東京弁護士会 第二東京弁護士会 関東弁護士会連合会
お問い合わせ先日本弁護士連合会 法制部法制第二課
TEL 03-3580-9852

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by kazu1206k | 2017-05-10 23:27 | 平和 | Comments(0)

5・9共謀罪法案廃案!国会行動

共謀罪NO!実行委員会から「5・9共謀罪法案廃案!国会行動」のお知らせです。

5・9共謀罪法案廃案!国会行動へ
 連休明け後の二週間が、共謀罪をめぐる最大の攻防のときになります。5月9日衆議院本会議で、まともに答弁できない金田法相隠しなどのの無茶苦茶な委員会運営をしてきた鈴木委員長の解任決議案の採決がおこなわれます。この日から共謀罪をめぐる攻防は一挙に強まります。安倍政権は、遅くとも5月19日までに衆議院法務委員会で共謀罪審議打ち切り・強行採決、本会議通過をねらっています。
話し合うことが罪になる共謀罪を廃案に追い込むために力をつくしましょう。5・9国会行動にご参加ください。

  ★5・9答弁できない金田法相は辞任せよ!★
    ★共謀罪法案廃案へ!国会前行動★


とき   5月9日(火)12時~13時
ところ  衆議院第二議員会館前
挨拶   国会議員
発言   表現者、法律家、市民団体 ほか


   ★5・9共謀罪法案廃案へ!院内集会★
ーテロ対策とウソつくな!狙われているのはあなただ!
     警察による市民監視の実態ー
■とき  5月9日(火)13時30分~15時30分
■ところ 衆議院第二議員会館多目的会議室

■挨拶  国会議員
■発言 篠田博之さん(日本ペンクラブ言論表現委員会)
    芹沢 斉さん(自由人権協会代表理事 青山学院大学名誉教授)
    山口 薫さん(アムネスティ・インターナショナル日本)
    ほか    
■報告 加藤健次さん(共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会 弁護士)
     「今も行われている市民監視」
■市民監視の実態
○大垣警察暑市民監視事件
  山本 妙さん(弁護士)
  船田伸子さん(当事者)
○イスラム教徒監視事件
  福田健治さん(弁護士)
○反原発運動への公安警察の潜入事件
  海渡雄一さん(弁護士)
●共催  共謀罪NO!実行委員会
     戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
●連絡先 共謀罪NO!実行委員会
・「秘密保護法廃止」へ!実行委員会(新聞労連 jnpwu@mxk.mesh.ne.jp
 /平和フォーラム 03-5289-8222) 
・解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(憲法会議03-3261-9007/許すな!
憲法改悪・市民連絡会03-3221-4668)
・日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)  mic-un@union-net.or.jp
・共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会(日本民主法律家協会 03-5367-5430)
・盗聴法廃止ネットワーク(日本国民救援会 03-5842-5842) 
◆連絡先 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
・1000人委員会 03‐3526-2920
・憲法9条を壊すな!実行委員会 03‐3221-4668
・憲法共同センター 03‐5842-5611
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by kazu1206k | 2017-05-06 23:21 | 平和 | Comments(0)

憲法9条改悪、3項に自衛隊を明記

 日本国憲法の施行から70回目の憲法記念日の5月3日。とうとう、安倍首相は、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と憲法改悪の日程を示し、憲法9条1項の戦争放棄、2項の戦力の不保持・交戦権の否認を残したまま、3項に自衛隊の存在を明記して、憲法9条を改悪する改憲案を挙げました。公明党などの加憲路線にあわせています。高等教育を含む教育無償化も加憲することで、日本維新の会もとり込むものです

 安倍政権は、2014年に従来の政府見解を変え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定、解釈改憲を強行。2015年には日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)の改定、安倍首相自身が法案への「国民の理解が進んでいない」ことを認めながら安全保障法制の強行採決、2016年3月安保法制が施行され、集団的自衛権に基づく武力の行使、後方支援として米軍等へ弾薬提供、PKOや米軍等の武器等防護として武器の使用など、海外における武力の行使に踏み出す段階になってきました。自衛隊任務を大幅に拡大して、アメリカ等他国への攻撃で日本が武力行使するもので、「専守防衛」は放棄され、憲法9条は踏みにじられてきました。
 このような立憲主義及び民主主義の危機はより深刻な状態の今、憲法9条3項に自衛隊の存在を明記して、憲法9条を改悪する改憲案は、まさに我が国の在り方が平和国家を放棄する、戦争国家に変わる重大な問題です。今まさに、戦争放棄をうたう憲法9条は崖っぷちにあります。

 安倍首相は、18年9月の自民党総裁選で勝って21年9月までの総裁の任期中の改憲を実現しようとするもので、個利個略そのものです。
 権力を縛るのが憲法という、立憲主義の考え方を公然と放棄して恥じない安倍首相の横暴を許してはなりません。
 
 以下は、日本弁護士連合会の5月3日付け「憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話」。


本日、日本国憲法が施行されてから70年目の憲法記念日を迎えた。

日本国憲法は、個人の自由・権利を保障するため憲法により国家権力を制限するという立憲主義を基本理念とし、基本的人権の尊重、恒久平和主義、国民主権を基本原理としている。

この間、日本国憲法は確実に国民の間に定着し、国民はこの憲法の下で不断の努力によって権利と自由を拡充させ、民主主義社会を実現・発展させるとともに、平和な国家を築き上げてきた。

しかしながら、集団的自衛権行使を可能とするなど憲法違反の安保法制が施行されてから1年の間に、安保法制の運用が進められ、違憲状態が既成事実にされようとしており、立憲主義の危機ともいえる状況が生じている。

また、衆議院憲法審査会では、憲法改正に関する審議が行われており、具体的な改憲項目として大規模災害など緊急事態における国会議員の任期延長問題が審議されているなど、今後の議論の状況が注目されるところである。

日本を取り巻く国際環境が変化しつつある今日、改めて、日本国憲法の恒久平和主義の下、70年の間に一度も戦争の惨禍に見舞われることなく、平和国家として歩んできたことを確認するとともに、国際紛争を外交努力で解決することにより平和と自由を守ることが求められている。

当連合会は、日本国憲法施行から70年目の憲法記念日を迎えて、日本国憲法の定める基本原理を尊重し立憲主義を堅持する立場から、日本国憲法の果たしてきた役割と意義を国民と共有するとともに、平和と自由を守るために、たゆまぬ努力を続けることを誓うものである。

2017年(平成29年)5月3日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 
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by kazu1206k | 2017-05-03 23:33 | 平和 | Comments(0)

公文書の安易な廃棄防止、管理徹底を求め日弁連声明

日本弁護士連合会は、4月28日、陸上自衛隊の南スーダンPKO派遣部隊の日報や学校法人「森友学園」への国有地売却経緯に関する書類などの行政文書が、保存期間が1年未満であることを理由に廃棄したとされることから、「公文書の安易な廃棄を防止し電子情報も含めた公文書管理の徹底を求める会長声明」を公表しました。
声明は、「これまで情報公開法改正とあるべき公文書管理法について提言してきたが、改めて、少なくとも1年未満保存の行政文書を指定する定義及び要件を明確にすること等により、公文書の安易な廃棄を防止し、電子情報も含めた公文書の管理を徹底することを求める」としています。

公文書の安易な廃棄を防止し電子情報も含めた公文書管理の徹底を求める会長声明

陸上自衛隊の南スーダンPKO派遣部隊の日報及び学校法人「森友学園」への国有地売却経緯に関する書類については、いずれも行政文書であるものの保存期間が1年未満であることを理由に廃棄したという政府説明がなされている。しかし、いずれも国政上重要な情報であり、これらの文書が行政機関の判断によって極めて短期間の保存期間を設定され廃棄された事態は、公文書の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)の趣旨に反することが指摘され、その内容や存否について国会で取り上げられ活発な議論がなされている。

公文書管理法では、第1条において、公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であることに鑑み「現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的」とし、第4条において、「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程」をも合理的に跡付け、又は検証することができるよう、文書を作成することを義務付けるとともに、第8条において、行政機関の長は、「保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない」ことを規定している。

他方、1年未満保存の行政文書については、行政文書ファイル管理簿への登録の例外とされており、行政文書の作成・保存・廃棄の状況を記録する仕組がない。このような例外が設けられた趣旨は、日々発生する行政文書をことごとく登録対象とすることが行政実務を無用に煩雑にするばかりで、行政の説明責任という観点からも特に必要とされないものだからである。
しかし、この現行法の問題は、1年未満保存の行政文書の該当性を判断するのが行政機関自身であり、その定義及び要件も曖昧であるという点にある。その結果、公文書管理法の趣旨を潜脱する運用・廃棄を認める結果となっている。行政機関による恣意的な運用・廃棄がなされないようにするためには、少なくとも1年未満保存の行政文書を指定する定義及び要件を明確にする必要がある。
また、南スーダンPKO派遣部隊の日報は電子情報として残っていたことが後日、明らかになったという経緯からすると、電子情報を公文書として保管することの重要性の位置づけが明確になされていないことが問題である。秘密保護法との関係について考えると、特定秘密の指定解除後の公文書保存が適正になされるかも危惧されるところである。
電子文書については、紙情報と異なり保管場所の確保の問題は生じないから、一旦は全てをデータベース上の中間書庫(電子中間書庫)に保管して、公文書の重要度が明らかになるかどうか、一定期間見定めたうえで、アーキビスト(永久保存価値のある情報を査定する専門職)によって廃棄か保存かを決めるような文書管理の体制が早急に作られるべきである。米国では、2016年12月31日までに各連邦省庁において、永久保存及び現用の電子メール記録をアクセス可能な電子的フォーマットで管理することとされている(2011年11月28日オバマ大統領の政府記録管理に関するメモランダム)。
当連合会は、これまで情報公開法改正とあるべき公文書管理法について提言してきたが、改めて、少なくとも1年未満保存の行政文書を指定する定義及び要件を明確にすること等により、公文書の安易な廃棄を防止し、電子情報も含めた公文書の管理を徹底することを求めるものである。

 2017年(平成29年)4月28日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 
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by kazu1206k | 2017-04-29 23:37 | 平和 | Comments(0)

4.25共謀罪法案に反対する市民集会

 4月14日、3度も廃案になった共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変えた組織的犯罪処罰法の改正案について、衆議院法務委員会で法案の趣旨説明が行われ、審議入りしました。政府は、東京オリンピックに向けたテロ対策の必要性を前面に出して法案成立を強行しようとしています。
 野党は「『共謀罪』の捜査によって監視社会を招く」と廃案を訴え、後半国会で最大の対決法案となりました。
 政府は、共謀罪法案を成立させて、国連組織犯罪条約を批准するとしています。しかし、国連組織犯罪条約は、もともとはマフィアを取り締まるためのものを、テロに置き換えているもので、テロ対策に必要な法律はすでに整っており、「現代の治安維持法「共謀罪」=共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる」と海渡雄一弁護士(日本弁護士連合会共謀罪法案対策本部副本部長)は指摘しています。
 共謀罪法案は、「刑法の原則は、違法行為の既遂。未遂の処罰は3割、予備罪は1割」の現状から、刑法体系の大転換となり、相談や準備、同意だけで罪になること、自供や転向しか罪を逃れるすべがなく、密告が奨励されること、盗聴捜査の大幅な拡大を招く危険、市民団体や労働組合はじめとして様々な活動も狙われることなど、人権侵害の監視社会となる危険な法案です。
 戦前の治安維持法が「一般人には不適用」としては導入され、治安維持法下では、範囲がどんどん拡大し濫用された苦い歴史的経験を忘れる訳にはいきません。
 日本弁護士連合会は、4月25日に、「いわゆる共謀罪に関する法案に反対する市民集会」を開催します。以下、ご紹介します。

「いわゆる共謀罪に関する法案に反対する市民集会」

共謀罪法案は、これまで国会に上程される度に廃案とされてきましたが、本年3月、本通常国会に従来の法案を修正し、名称も変更した新たな法案が上程されました。

そこで、市民の皆様に対し同法案の問題点を広くお知らせするため、この市民集会を開催します。

奮ってご参加ください。

日時 2017年4月25日(火) 18時30分~20時30分 (開場 18時15分)
場所 弁護士会館 17階1701会議室
(千代田区霞が関1-1-3 地下鉄丸ノ内線・日比谷線・千代田線 「霞ヶ関駅」B1-b出口直結)
参加費・受講料 無料
参加対象・人数 どなたでもご参加いただけます(事前申込不要)。※定員120名
※座席数に限りがありますので満席の際はご了承ください。
※テレビ会議中継での参加を希望される会員は、4月19日(水)までに所属弁護士会にご連絡ください。
内容(予定) ◆講演  松宮 孝明氏 (立命館大学大学院法務研究科教授)
       ◆基調報告  海渡 雄一 日弁連共謀罪法案対策本部副本部長

主催 日本弁護士連合会
お問い合わせ先 日本弁護士連合会 法制部法制第二課
          TEL 03-3580-9852

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by kazu1206k | 2017-04-14 23:44 | 平和 | Comments(0)

共謀罪法案の廃案に全力、日弁連声明

 日本弁護士連合会は、「いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の国会上程に対する会長声明」を明らかにしました。
 「監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い本法案の制定に強く反対するものであり、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、市民に対して本法案の危険性を訴えかけ、本法案が廃案になるように全力で取り組む所存である」と決意を明らかにしています。

いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の国会上程に対する会長声明

政府は、本年3月21日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)を閣議決定し、国会に本法案を上程した。

当連合会は、本年2月17日付けで「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(以下「日弁連意見書」という。)を公表した。そこでは、いわゆる共謀罪法案は、現行刑法の体系を根底から変容させるものであること、犯罪を共同して実行しようとする意思を処罰の対象とする基本的性格はこの法案においても変わらず維持されていること、テロ対策のための国内法上の手当はなされており、共謀罪法案を創設することなく国連越境組織犯罪防止条約について一部留保して締結することは可能であること、仮にテロ対策等のための立法が十分でないとすれば個別立法で対応すべきことなどを指摘した。

本法案は、日弁連意見書が検討の対象とした法案に比べて、①犯罪主体について、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団と規定している点、②準備行為は計画に「基づき」行われる必要があることを明記し、対象犯罪の実行に向けた準備行為が必要とされている点、③対象となる犯罪が長期4年以上の刑を定める676の犯罪から、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される277の犯罪にまで減じられている点が異なっている。

しかしながら、①テロリズム集団は組織的犯罪集団の例示として掲げられているに過ぎず、この例示が記載されたからといって、犯罪主体がテロ組織、暴力団等に限定されることになるものではないこと、②準備行為について、計画に基づき行われるものに限定したとしても、準備行為自体は法益侵害への危険性を帯びる必要がないことに変わりなく、犯罪の成立を限定する機能を果たさないこと、③対象となる犯罪が277に減じられたとしても、組織犯罪やテロ犯罪と無縁の犯罪が依然として対象とされていることから、上記3点を勘案したとしても、日弁連意見書で指摘した問題点が解消されたとは言えない。

当連合会は、監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い本法案の制定に強く反対するものであり、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、市民に対して本法案の危険性を訴えかけ、本法案が廃案になるように全力で取り組む所存である。

2017年(平成29年)3月31日
日本弁護士連合会      
 会長 中本 和洋 

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by kazu1206k | 2017-04-06 23:28 | 平和 | Comments(0)

現代の治安維持法=共謀罪法案に反対

 4月3日夜、いわき市文化センター 大講義室で、「『えっ?こんな会話でタイホなの!?』4・3 共謀罪に反対する市民集会〜「テロ等準備罪」の何が問題なのか?!〜」が開かれました。講師は、海渡雄一弁護士(日本弁護士連合会共謀罪法案対策本部副本部長)、脱原発福島ネットワークの主催でした。
共謀罪法案は、これまで3回、国会に上程される度に廃案とされてきましたが、安倍首相は3度も廃案になった共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変えて法案を閣議決定し国会に提出しました。これをつくらなければ2020年の東京オリンピックをむかえられないというのですが、同法案の問題点を広く市民にお知らせすため、この市民集会を開催が開催されたものです。
 海渡弁護士は、「現代の治安維持法「共謀罪」=共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる=共謀罪の新Q&A」について話しました。
 「共謀罪法案ー何と呼ぶかが問題、産経新聞は『テロ防止法』、NHKは『テロ等防止法』、他のマスコミ機関や地方紙は『共謀罪』。これがこの法律の本質」「政府の話は、ウソが多い。元の共謀罪と変わってないー団体が行なった犯罪=組織犯罪集団によるもの」「国連組織犯罪条約、もともとはマフィアを取り締まるためのものを、テロに置き換えている。テロ対策に必要な法律はすでに整っている」と話しました。
 また、「共謀罪は、英國ヘンリー8世が制定した国家反逆罪の処罰から。これが労働運動に適用。米国ベトナム・イラク反戦運動などの弾圧に使用」してきたと歴史的な経緯を解説。
 「刑法の原則は、違法行為の既遂。未遂の処罰は3割、予備罪は1割、共謀罪は1%」として、共謀罪法案は、刑法体系の大転換となり、相談や準備、同意だけで罪になること、自供や転向しか罪を逃れるすべがなく、密告が奨励されること、盗聴捜査の大幅な拡大を招く危険、スノーデンの告発した世界デジタル盗聴システムなど、市民団体や労働組合はじめとして様々な活動も狙われることなど、人権侵害の監視社会となる実態を詳細に指摘しました。そして、戦前の治安維持法との酷似を指摘し、「一般人には不適用」としては導入され、治安維持法下では、範囲がどんどん拡大し濫用されたことも、強調されました。

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by kazu1206k | 2017-04-04 23:42 | 平和 | Comments(0)

佐藤かずよし


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