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安保法案反対、平和と人権・立憲主義を守る日弁連の宣言

日本弁護士連合会は、5月29日に開かれた最高意思決定機関の定期総会で「安全保障法制等の法案に反対し、平和と人権及び立憲主義を守るための宣言」を採択した。

●安全保障法制等の法案に反対し、平和と人権及び立憲主義を守るための宣言

戦後70年を迎えた今、平和と人権及び立憲主義はかつてない危機に瀕している。

政府は、2014年7月1日に集団的自衛権の行使容認等を内容とする閣議決定を行い、これを受けて現在、安全保障法制や自衛隊の海外活動等に関連する法制を大きく改変する法案を国会に提出している。これは、日本国憲法前文及び第9条が規定する恒久平和主義に反し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり、立法により事実上の改憲を行おうとするものであるから、立憲主義にも反している。

先の大戦は国内外で多くの戦争被害者を生んだ。日本はアジア・太平洋地域への侵略により、同地域の多くの人々に重大かつ深刻な被害を与えた。また、日本軍の多くの兵士や関係者も死傷し、国内では沖縄における地上戦、広島・長崎への原爆投下、大空襲等により、膨大な数の人々が被害を受けた。

戦争は最大の人権侵害であり、人権は平和の下でこそ守ることができる。

これは、先の大戦の余りにも大きく痛ましい犠牲に対する真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓であり、この反省と教訓を胸に私たちの国は戦後の歴史を歩んできた。

憲法前文及び第9条が規定する徹底した恒久平和主義は、この悲惨な戦争の加害と被害を経験した日本国民の願いであり、日本は二度と戦争を行わないという世界に向けた不戦の誓いの表明である。これまでも幾度か憲法第9条を改正しようとする動きがあった中で、今日に至るまで恒久平和主義を堅持してきたことが、アジアのみならず世界の人々の平和国家日本への信頼を育んできた。

ところが、戦後70年を迎え、日本国憲法の恒久平和主義に、今大きな危機が迫っている。

今般、国会に提出された安全保障法制を改変する法案は、憲法上許されない集団的自衛権の行使を容認するものであり、憲法第9条に真正面から違反する。

また、自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案は、自衛隊を海外のあらゆる地域へ、しかも「現に戦闘行為を行っている現場」以外であれば戦闘地域を含めどこにでも派遣し、弾薬・燃料等の軍事物資を米国及び他国軍隊に補給することを可能とするものである。これは外国で戦争をしている他国軍隊の武力行使に対する積極的協力であり、他国軍隊の武力行使と一体となり当該戦争に参加するに等しいものであって、憲法第9条に明らかに違反する。また、このような戦争をしている他国軍隊への積極的協力は、相手側からの武力攻撃を誘発し、我が国が外国での武力紛争に巻き込まれる危険を伴い、現場の自衛官は、武器を使用して他国の人々を殺傷する立場に追い込まれ、自らが殺傷される危険に直面する。全世界の国民が平和的生存権を有することを確認し、国際紛争を解決する手段として戦争と武力行使を永久に放棄し、戦力の保持を禁じ、交戦権を否認している日本国憲法の下で、このような事態を起こしかねない法制への改変は到底許されない。

このように、最高規範である憲法の恒久平和主義に反する極めて重大な問題であるにもかかわらず、主権者である国民に対して十分な説明が行われないまま、2014年7月1日に閣議決定がなされ、それを受けた与党協議を経た安全保障法制等を改変する法案が第189回国会に提出されたが、米国との間で「日米防衛協力のための指針」の見直しが先行して合意された。政府の方針が、主権者への不十分な説明のまま、対外的に決定され、憲法改正手続を経ることなく、法律の制定、改廃によって憲法第9条の改変が事実上進められようとしている。これは立憲主義に反するものであり、到底容認することができない。

戦前、弁護士会は、言論・表現の自由が失われていく中、戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかった。戦後、弁護士及び弁護士会には弁護士法第1条の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という使命が与えられた。この使命は、国民からの期待と信頼に応えるものであり、今、弁護士及び弁護士会が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という立場から意見を述べ行動しなければ、弁護士及び弁護士会は、先の大戦への真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓を生かせないことになる。

私たちは、1950年の第1回定期総会(広島市)に引き続いて開催された平和大会において、日本国憲法の戦争放棄の崇高な精神を徹底して、平和な世界の実現を期することを宣言した。私たちはこの決意を思い起こし、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義を守り抜くために、集団的自衛権の行使等を容認し自衛隊を海外に派遣して他国軍隊の武力行使を支援する活動等を認める、今般の安全保障法制等を改変する法案に強く反対するとともに、平和と人権、そして立憲主義を守る活動に国民と共に全力を挙げて取り組む。

以上のとおり宣言する。


2015年(平成27年)5月29日
日本弁護士連合会
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提案理由

第1 はじめに

1 平和と人権及び立憲主義の危機

戦後70年を迎えた今、平和と人権及び立憲主義はかつてない危機に瀕している。

日本は戦後、恒久平和主義を基本原理とする日本国憲法の下、一度も戦争をすることなく、平和国家の礎を築いてきた。

ところが、政府は、2014年7月1日に「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題する閣議決定(以下「本閣議決定」という。)により、集団的自衛権の行使を容認する立場を明らかにするとともに、自衛隊を海外に派遣して戦争を遂行する他国軍隊を直接的に支援したり、任務遂行のための武器使用を認めるなどの活動の拡大方針を決定した。本閣議決定を受けて、「日米防衛協力のための指針」が国内法制に先行して見直され、そして今、安全保障法制や自衛隊の海外活動等に関連する法制を大きく改変する法案が国会に提出され、その審議が行われている。

これは、日本国憲法前文及び第9条の下でこれまで築いてきた平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり、立法により事実上の改憲を行おうとするものであるから、国家権力の行使は憲法に基づかなければならないという立憲主義にも反している。

今改めて、日本国憲法の恒久平和主義と、その原点である先の大戦を振り返り、平和と人権の問題を確認することが必要である。

2 アジア・太平洋地域における戦争下での人権侵害

1931年9月18日、日本軍が謀略により起こした柳条湖事件を口実に開始された中国侵略は、1937年7月7日の日本軍の夜間演習中の偶発的出来事から生じた盧溝橋事件等を機に本格化する。

日本は、アジア・太平洋地域への侵略により、同地域の多くの人々に重大かつ深刻な被害を与え、約1900万人の戦争犠牲者を出したとされており、数々の重大な人権侵害を引き起こした。

日本軍の多くの兵士や関係者も、戦死し、病死し、餓死していった。日本国内でも、沖縄における地上戦、広島・長崎への原爆投下、大空襲等により、膨大な数の人々が被害を受けた。我が国の戦争犠牲者の全体数は約310万人といわれている。

戦争は最大の人権侵害であり、人権は平和の下でこそ守ることができる。これは、先の大戦の余りにも大きく痛ましい犠牲に対する真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓であり、この反省と教訓を胸に私たちの国は戦後の歴史を歩んできた。

第2 日本国憲法の徹底した恒久平和主義

1 戦争の違法化の徹底

国際社会は、戦争をめぐり、不正な攻撃への対抗等を目的とする「正義の戦争」だけが許されるとする「正戦論」から、戦争に訴える権利は国家の主権的自由であるとの考え方(無差別戦争観)を経て、戦争は違法であると考えるようになった(戦争放棄に関する条約(パリ不戦条約、1928年))。もっとも、そこで禁止される戦争は、「國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭」、すなわち侵略戦争を指し、自衛戦争は認められるなど全ての戦争を違法とするものではなかった。

第二次世界大戦の反省の下に制定された国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)は、平和的解決義務を具体化し(国連憲章第2条第3項)、「武力による威嚇又は武力の行使」を原則として禁止し(国連憲章第2条第4項)、戦争の違法化を徹底した。しかしなお、国連が軍事的措置等をとるまでの間の暫定的な措置として、個別的又は集団的自衛の権利を害するものではないとされた(国連憲章第51条)。

2 国連憲章を超える日本国憲法の徹底した恒久平和主義

このような中で日本国憲法は、全世界の国民の「平和のうちに生存する権利」を憲法前文に明記し、「武力による威嚇」及び「武力の行使」を禁じて戦争を放棄したこと(憲法第9条第1項)に加えて、戦力の不保持と交戦権の否認を規定し(憲法第9条第2項)、国連憲章の規定による集団的自衛権の行使をも認めないという、世界の平和主義の系譜の中でも類がない徹底した恒久平和主義を基本原理とすることとした。

それは、余りにも悲惨な戦争の被害と加害を経験した日本国民の願いであり、日本は二度と戦争を行わないという世界に向けた不戦の誓いの表明である。これまでも幾度か憲法第9条を改正しようとする動きがあった中で、今日に至るまで恒久平和主義を堅持してきたことが、アジアのみならず世界の人々の平和国家日本への信頼を育んできた。

第3 日本国憲法の恒久平和主義の大きな転機

1 安全保障法制等を大きく改変する法案の国会提出に至る経緯

本閣議決定では、①武力攻撃に至らない侵害への対処、②国際社会の平和と安定への一層の貢献(①及び②は自衛隊の海外活動への規制を大幅に緩和するもの)、③憲法第9条の下で許容される自衛の措置(集団的自衛権行使容認に係る安全保障法制に関するもの)の3点について述べている。

本閣議決定を受けて、「日米防衛協力のための指針」の見直しが行われ、今般、安全保障法制及び自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案が国会に提出され、その審議が始まっている。

2 安全保障法制等の特徴-集団的自衛権行使容認と自衛隊の海外での戦争協力支援

(1) 徹底した恒久平和主義を採用している憲法第9条の下では自衛戦争を含めた全ての戦争を放棄したとの見解が有力にある中で、従来の政府見解は、自衛のための実力の行使が認められるとしつつ、それはあくまでも、我が国が外国から武力攻撃を受けた場合にこれを排除することに限定していた。その上で、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力を持って阻止する集団的自衛権の行使は認められないとしていた。これにより、自衛隊が海外に出て戦争に参加するような積極的な武力の行使に歯止めをかけ(専守防衛政策)、我が国の安全保障法制の合憲性を保持しようとしてきたのである。

しかし、本閣議決定はこれらを変更し、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」にも、必要最小限度の実力を行使し得ることとし、今般の安全保障法制を改変する法案は本閣議決定の実施に法律上の根拠を与えようとするものである。

これは従来の憲法上は許されないとしてきた集団的自衛権の行使を「自衛のための措置」として認めるものであり、さらには「自衛のための措置」であれば国連の軍事的措置への参加も可能にしようとするものである。

(2) また、自衛隊の海外活動等に関連する法制を改変する法案は、地理的限定をなくして海外のあらゆる地域の戦闘行為を行っている現場近くまで自衛隊を派遣し、戦争等を遂行する米国及び他国軍隊への支援として、弾薬・燃料等の軍事物資の提供や輸送その他の役務の提供等を可能とするものである。

これは外国で戦争をしている他国軍隊の武力行使に対する積極的協力であり、他国軍隊の武力行使と一体となり当該戦争に参加するに等しいものである。

さらに、今般の法案では、平和協力活動の範囲を拡大するとともに「駆け付け警護」その他の任務遂行のための武器使用を認めようとするものである。また、自衛隊法を改変する法案等により、自衛隊の活動と権限を他国軍隊の武器等の防護等や在外邦人の救出活動にまで広げようとしている。これらの法案もまた、我が国が戦争や戦闘行為に陥る具体的危険を生じさせるなど、自衛隊の海外における武器の使用に道を開くものに他ならない。

3 安全保障法制等を改変する法案は恒久平和主義に反する

このように、今般の安全保障法制等を改変する法案は、集団的自衛権の行使等を容認するばかりでなく、戦闘中である米国及び他国軍隊への後方支援として、自衛隊を海外のあらゆる地域へ、しかも戦闘地域まで派遣し、弾薬・燃料等の物品や自衛隊の役務を米国及び他国軍隊に提供することを可能とするものであり、また自衛隊の武器使用権限を拡大するものである。

他国軍隊に戦闘地域で弾薬・燃料等を補給することは武力行使と一体化した戦争参加とみるべきものであり、相手国からの武力攻撃を受け、武力紛争へと発展する高度な危険を伴う。また、武器の使用権限の拡大も武力紛争のきっかけとなりかねない。いずれにしても、このような状況下で、現場の自衛官は、武器を使用して他国の人々を殺傷する立場に追い込まれ、自らが殺傷される危険に直面する。戦前の盧溝橋事件は、現場での兵士の武器使用が全面戦争のきっかけとなる危険があることを示しており、今改めてこの歴史の教訓に学ばなければならない。全世界の国民が平和的生存権を有することを確認し、国際紛争を解決する手段として戦争と武力行使を永久に放棄し、戦力の保持を禁じ、交戦権を否認している日本国憲法の下で、他国軍隊の武力行使に協力することは、平和的生存権を侵害し、憲法第9条に反し、到底許されないものである。

第4 日本国憲法の立憲主義に対する危機

1 国民への情報提供が不十分な中での安全保障法制等の改変

今般の安全保障法制等の改変に向けて、本閣議決定やその後の「日米防衛協力のための指針」の見直し作業、さらには与党協議が行われてきたが、その間、主権者である国民に対しては、十分な情報が与えられず、民意を反映させようとする努力も行われてこなかった。国民は、第189回通常国会が開会された後、安全保障法制等の改正案等が国会に提出されて初めて具体的な情報を得ることができた。

そもそも、国政の在り方を決定する権威と権力を有するのは国民である(国民主権)。

この国民主権が十全に機能するためには、内閣総理大臣、国務大臣及び国会議員は、憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を負う者として、充実した国民的議論が保障されるように、必要かつ十分な情報を提供し、多様な意見に十分に耳を傾けながら、丁寧に説明する責任がある。しかし、政府は、恒久平和主義に反する安全保障法制等を改変する法案が国会に提出されるまで、主権者である国民に対して十分な説明を行わないまま、不透明な状況下で既成事実を積み重ねてきたのである。

2 立憲主義に反することは許されない

このように、最高規範である憲法の恒久平和主義に反する極めて重大な問題であるにもかかわらず、主権者である国民に対して十分な説明が行われないまま憲法の恒久平和主義に反する本閣議決定がなされ、それを受けた与党協議を経た安全保障法制等を改変する法案が国会に提出され、米国との間で「日米防衛協力のための指針」の見直しが先行して合意された。政府の方針が、主権者への不十分な説明のまま、対外的に決定され、憲法改正手続を経ることなく、法律の制定、改廃によって憲法第9条の改変が事実上進められようとしている。これは立憲主義に反するものでもあり、到底容認することができない。

第5 憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義の擁護と弁護士会の責任

1 戦前の弁護士会の活動の教訓

今、平和と人権及び立憲主義が危機に瀕しているときだからこそ、弁護士会は、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障及び立憲主義を守るための意見を述べ、活動に取り組まなければならない。

戦前、人権擁護活動を熱心に行っていた弁護士はいたものの、それは個人的対応に留まり、弁護士会としては、必ずしも十分な人権擁護活動は行っていなかった。朝鮮への植民地支配や、中国への侵略、さらにはアジア・太平洋地域へ戦線が拡大し、言論・表現の自由が失われていく中で、弁護士及び弁護士会も戦時色に染まっていき、1944年には、中国大陸の権益を軍事力により確保するための国家総動員体制に組み込まれる形で、大日本弁護士報国会が作られるなど、弁護士会は戦争の開始と拡大に対し反対を徹底して貫くことができなかった。

また、先の大戦下では、個人の権利主張は反国家的であるという風潮が強まる中で民事事件が減少し、刑事事件についても被疑者・被告人を弁護することを敵視する見方が強まった(日弁連五十年史)。そのため、国民が司法制度を利用する機会が減少し、弁護士の活動範囲が狭まったのであり、平和や人権を守るための活動を積極的に行うことは、それ自体大事なことであるとともに、日常の弁護士活動の基盤として弁護士が人々の権利を擁護するために必要であるということも、真摯な反省と痛切な教訓として残った。

2 当連合会の原点-人権を守り平和な世界を築くこと

日本国憲法は1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行された。基本的人権の保障が憲法上明確に規定されたことに伴い、弁護人依頼権の規定(憲法第34条、第37条第3項)など弁護士に関する規定が憲法上初めて置かれた。これにより、弁護士の職務が人権擁護や司法制度にとって不可欠な存在であるとされた。この弁護士の新たな地位及びその職務を規律するため、1949年5月30日に改正弁護士法が成立し、弁護士法第1条により新たに「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」使命が設けられた(同年6月10日公布・同年9月1日施行。)。

改正弁護士法を受けて、1949年9月1日に当連合会が設立された。1950年5月12日に当連合会は第1回定期総会を被爆地である広島市で開催し、それに引き続いて平和大会を開催して、次の平和宣言を採択した。

「日本国憲法は世界に率先して戦争を放棄した。われらはこの崇高な精神に徹底して、地上から戦争の害悪を根絶し、各個人が人種国籍を超越し自由平等で且つ欠乏と恐怖のない平和な世界の実現を期する。右宣言する。」

この宣言に表れているとおり、戦争を放棄した日本国憲法の恒久平和主義(憲法前文及び第9条)を徹底することは、当連合会の原点である。そして、その原点は、戦前において国が戦争への道を推し進めようとしているときに、弁護士及び弁護士会がそれに必ずしも十分な対応ができず、むしろそれを推し進める役割の一翼を担ってしまったことへの真摯な反省と痛切な教訓に基づくものである。

3 立憲主義違反を阻止するのは弁護士及び弁護士会の当然の責務

憲法をないがしろにすることは、憲法により守られている私たちの人権をないがしろにすることである。弁護士及び弁護士会の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という使命は国民からの期待と信頼に応えるものであるが、今この立場から意見を述べ行動しなければ、弁護士及び弁護士会は、先の大戦への真摯な反省と、そこから得た痛切な教訓を生かせないことになる。

当連合会はこれまでも、2013年5月の第64回定期総会において「集団的自衛権の行使容認に反対する決議」を、2014年5月の第65回定期総会において「重ねて集団的自衛権の行使容認に反対し、立憲主義の意義を確認する決議」を採択した。また、2014年9月には「集団的自衛権の行使容認等に係る閣議決定に対する意見書」を、2015年2月には「『日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告』及びこれに基づく見直しに対する意見書」を採択してきた。

平和宣言に示された私たちの原点を踏まえたとき、日本国憲法の基本原理である基本的人権の保障と恒久平和主義に反する法律が制定されようとし、立憲主義が脅かされている今、これに対して、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、日本国憲法の掲げる平和な世界の実現を期すると宣言した私たち弁護士及び弁護士会が、人権と平和を守るために意見を述べ、行動することは当然の責務である。

第6 結論

私たちは、1950年の第1回定期総会(広島市)に引き続いて開催された平和大会において、日本国憲法の戦争放棄の崇高な精神を徹底して、平和な世界の実現を期することを宣言した。私たちはこの決意を思い起こし、憲法の恒久平和主義や基本的人権の保障という基本原理及び立憲主義を守り抜くために、集団的自衛権の行使等を容認し自衛隊を海外に派遣して他国軍隊の武力行使を支援する活動等を認める、今般の安全保障法制等を改変する法案に強く反対するとともに、平和と人権、そして立憲主義を守る活動に国民と共に全力を挙げて取り組む。

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by kazu1206k | 2015-05-30 07:12 | 平和 | Comments(0)

日弁連が住宅無償提供の終了に反対声明

日本弁護士連合会は5月28日、東京電力福島第1原発事故による自主避難者に無償提供されている応急仮設住宅を2016年度末で打ち切り案について、「区域外避難者への避難先住宅無償提供の終了に反対する会長声明」を発表して、案の撤回と長期提供延長を求めた。
福島県の避難者意向調査(今年4月)によると、自主避難者の58.8%がみなし仮設などの応急仮設住宅に住み、46.5%が延長を希望している。応急仮設住宅のうち公営住宅や民間賃貸住宅を使った「みなし仮設住宅」の家賃については、東京電力が自主避難者分の支払いを渋り国が東京電力に請求(求償)していない。

●区域外避難者への避難先住宅無償提供の終了に反対する会長声明

福島第一原子力発電所事故後、避難指示を受けずに避難した区域外避難者に対する避難先住宅の無償提供について、福島県が2016年度で終える方向で市町村と協議しているとの報道がなされた(2015年5月17日付け朝日新聞、同21日付け読売新聞、同26日付け毎日新聞)。

当連合会は、復旧復興の主体は被災者・原発事故被害者であり、復旧・復興が憲法の保障する基本的人権を回復するための「人間の復興」であるとの認識の下、支援活動を継続してきた。すなわち、区域の内外を問わず事故以降1年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルトを超えることが推定される地域の住民には避難の権利を認めて必要な支援を求めるとともに(2013年10月4日付け「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議」)、原発事故による避難者に対する住宅提供の期間について1年ごとに延長する現在の災害救助法に基づく支援自体を改めて、これを相当長期化させ、避難者の意向や生活実態に応じて更新する制度等の立法措置を求めてきた(2014年7月17日付け「原発事故避難者への仮設住宅等の供与に関する新たな立法措置を求める意見書」)。

仮に、区域外避難者への避難先住宅の無償提供を2016年度で一律に打ち切るとするのであれば、到底看過することはできない。

福島県が2015年4月27日に発表した最新の避難者意向調査によれば、区域外避難者の58.8%が応急仮設住宅での避難生活を余儀なくされており、46.5%が入居期間の延長を求めている(前年度から2.5%増)。延長を求める理由として、58.3%が「生活資金の不安」を、56%が「放射線の影響に不安」をあげ、「よく眠れない」「何事も以前より楽しめなくなった」という心身の不調を訴える回答も増加している。

区域外避難者は損害賠償においても厳しい立場に置かれていることを踏まえれば、本来、上記の意向調査に基づき区域外避難者の実情に応じた追加の支援策が図られるべきであるが、区域外避難者への住宅無償提供の費用が国から東京電力に求償されていないと報道される(2015年4月4日付け毎日新聞)など、区域外避難者は、賠償と支援策の両面で厳しい状況に置かれている。

このような状況下で、国や福島県が、2016年度で避難先住宅の無償提供を終えるとすれば、避難生活を余儀なくされた被害者に対し間接的に帰還又は移住を強制する結果となりかねず、とりわけ区域外避難者に対する一人ひとりの避難・滞在・帰還のいずれの選択も尊重する人間の復興の理念に真っ向から反するおそれがある。

したがって、当連合会は、福島県に対し、区域外避難者への避難先住宅無償提供を2016年度で打ち切る方針を撤回し、長期の住宅提供期間延長を求めるとともに、政府に対し、上記延長による費用を東京電力に求償する(子ども被災者支援法第19条)ことで国庫負担を継続し、災害救助法に基づく支援を改め、被災者の意向や生活実態に応じて更新する制度の立法措置を講ずるよう、重ねて求める。

2015年(平成27年)5月28日
日本弁護士連合会      
 会長 村 越   進 
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by kazu1206k | 2015-05-29 10:07 | 脱原発 | Comments(0)

住宅無償提供終了に反対、東京弁護士会

東日本大震災復興支援で義捐金を募る活動や被災者対象の無料法律相談、被災地への法的支援と被災者の権利回復のための活動を積極的に行ってきた東京弁護士会が、「原発事故による避難者に対する住宅無償提供終了に反対する会長声明」を5月27日に公表した。

原発事故による避難者に対する住宅無償提供終了に反対する会長声明

2015年05月27日
          東京弁護士会   会長 伊藤 茂昭
          第一東京弁護士会 会長 岡  正晶
          第二東京弁護士会 会長 三宅  弘

 東日本大震災以来、被災者に対する無償住宅提供は、災害救助法に基づき1年ごとに期限が延長されてきたところ、本年5月17日、朝日新聞において、福島第一原発事故により政府からの避難指示を受けずに避難した自主避難者について、福島県が避難先の住宅の無償提供を2016年度(平成28年度)で終える方針を固めたとの報道がなされた。
 仮に当該報道が事実だとすれば、原発事故による区域外避難者への住宅提供は2017年(平成29年)4月以降もはや延長されず、打ち切られるということになる。
 自主避難者は、政府による避難指示区域外から避難したということで「自主」と呼ばれるが、実際自ら望んでわざわざ避難生活を選んだ者はいない。放射能による健康被害に不安を持ち、避難生活を選択せざるを得なかったという点では、避難指示区域からの避難者と本来変わるものではない。そして、自主避難者の多くは、災害救助法に基づく無償住宅の提供を各自治体から受けて生活している。その正確な数は公式には発表されていないが、福島市、郡山市、いわき市などから約2万1000人が、また既に避難指示が解除されている旧避難指示区域・旧緊急時避難準備区域からの約2万人が、現在も避難を続けているとされている(2015年1月28日内閣府原子力被災者生活支援チーム公表資料)。東京都内にも2015年4月16日現在7424人の避難者がいるとされているが(復興庁調べ)、この中にも数多く自主避難者がおり、災害救助法に基づく無償住宅の提供を受けている。
 自主避難者の中には、仕事を失った者、子どもを転校させた者、家族が別れて生活している者などが多数存在する。その精神的・経済的負担は測りしれない。しかしながら、東京電力から受けている賠償額は不十分であり、生活費増加分や交通費すら十分に支払われていないのが現状である。そのような中で、自治体から無償で提供されている住宅は避難生活を続けるための重要な支えとなっている。
 仮に無償住宅の提供の打ち切りがなされ、福島県への帰還をすることになれば、避難先での仕事、学校生活、その他ようやく築きあげた人間関係を捨て去ることになるが、それは容易なことではない。一方で、避難生活の継続を選択すれば、家賃負担がのしかかり、たちまち経済的困窮に立たされる可能性が高い。このような事態を招くことは絶対にあってはならない。
 自主避難者に対しても幸福追求権(憲法13条)、生存権(憲法25条)に鑑みて、将来的な生活支援のための計画が立てられなければならない。
 被災市町村の一部には「無償提供を続ける限り、帰還が進まない」との考えを持っている関係者もいるとのことであるが、帰還するか否かは被害者が自由に選択するべきものである。被害当事者の意向を無視し、苦境に立たせることは復興政策ではなく、「避難する権利」などの人権侵害に他ならない。
 よって、福島県は区域外避難者への住宅無償提供を打ち切るという方針を直ちに撤回するべきである。また、政府は被害者の意向や生活実態に応じた立法措置を早急に講じるべきである。

以上
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by kazu1206k | 2015-05-28 07:29 | 脱原発 | Comments(0)

住宅・健康・保養・賠償で12万3455筆の国会請願

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 5月27日、「国会に声を届けよう! Part III 原発被害者の救済を求める全国集会 in 東京&国会請願デモ」が行われた。原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会の主催。 東京電力福島第一原発事故は、事故以来4年以上が経過しても、収束の見通しが立たない中で、自主避難者の見なし仮設住宅の支援打ち切りや避難区域指定の解除、はては賠償の打ち切りの動きが出てきた。しかし、予防原則に基づき追加被ばくを回避するための具体的な政策や、長引く原発事故の影響を踏まえた抜本的な対策が必要なのだ。緊急性が高いのは、「住宅」「健康」「保養」「賠償」だ。 
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日比谷コンベンションホールで10時20分から、全国集会が開かれた。原発事故子ども・被災者支援法推進自治体議員連盟の片山かおるさん(小金井市議会議員)の開会あいさつのあと、日本諸費者連名の富山洋子さんが連帯の挨拶。
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「原発事故被害者はいま~住宅・保養・健康…いまこそ立法を!」と、住宅問題で吉田千亜さん(ママレボ)、保養で矢野恵理子さん(FoE Japan)、
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立法の重要性で宇野朗子さん(共同代表・福島市から京都府に避難)、
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避難解除促進で満田夏花さん(FoE Japan)が現状報告。
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 続いて、「原発事故被害者からの報告」として各地の避難者が発言。神奈川に避難の坂本健さんは、避難指示解除基準20ミリシーベルトの問題を指摘。札幌に避難の宍戸隆子さんは「自主避難者はわがままだ、とよく言われる。それでもなぜ、避難したのか?『子どもたちの命を守りたい』という一心で避難した。今、避難したお母さんたちがとても追い詰められている。いつでもSOSが受け取れるように携帯電話をいつも首にかけている。自主避難者の一番の支援が、住宅支援。私たちは、その場所で小さな一歩を踏み出している。住宅支援を、どうか、続けて欲しい。せめて数年、複数年を延長して欲しい。私たちの自立を応援して欲しい。みなさん、どうか力を貸してください。私たちの生きる尊厳を守って行きたい。どうぞよろしくお願いします」と訴え、新潟に避難の磯貝潤子さんは、「国と県は勝手です。どれだけ子育てをしているお母さんたちを頑張らせるの?どれだけ一人残るお父さんを頑張らせるの?」と切実な想いを話した。
 国会議蓮の川田龍平議員も連帯の挨拶。
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 「手をつなごう!立ち上がろう~原発事故被害者団体連絡会–ひだんれんの設立」を武藤類子さん(福島原発告訴団団長)が「一人一人の力はささやかでも、つながることで大きな力となる。すべての被害者の結集を呼びかけます」と報告。最後に、佐藤和良(共同代表)が「住宅支援打ち切りは、まさに被災者の生活の根幹に対する攻撃。今、戦争法案も通ろうとしている。この国家の暴走に対して、私たち民衆が止める力を持っているのか、問われている。『住宅・健康・保養・賠償』は、全て喫緊の課題。これを国会で審議せずして国民の代表と言えるのか。4年後には、原発事故がなかったことにされようとしている。政府による市民社会への攻撃に対して、声をあげ続けていこう」とまとめと閉会の挨拶。
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 12時5分、5月15日集約の「原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現を求める請願署名」を、国会へ提出するために約150名が請願デモに出発した。
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 参加者は、テーマカラーのオレンジのものを身につけている。大熊ワタルさん(クラリネット)、こぐれみわぞうさん(チンドン太鼓)ほかのジンタらムータのみなさんがにぎやかな演奏でデモを盛り上げる。 
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お昼休みの官庁街を「避難者の声を聴け! 賠償打ち切るな!」とシュプレヒコールをあげながら国会請願デモは、衆議院と参議院の議員面会所へ。民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちなどの国会議員と秘書のみなさんに請願書と全国から寄せられた12万3455筆の署名簿を手渡す。
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被災者・避難者から厳しい避難生活の実態が訴えられ、住宅支援の継続を求める要請が行われた。被害者切り捨ては許されない。国会は請願を採択し、政府に原発事故被害者の救済をせまれ!
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by kazu1206k | 2015-05-27 21:55 | 脱原発 | Comments(0)

原発事故被害者団体連絡会=ひだんれん結成!

5月24日、福島県二本松市の福島県男女共生センターで、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)設立集会が開催された。全国から被害当事者と支援者約300人が参加。ようやくにして、被害者団体がつながり、人間としての尊厳をとりもどす闘いの第一歩が始まった。
ひだんれん加入団体は、5月24日現在、13団体(参加団体10、オブザーバー団体3)、全国で約2万人が手をつなぎ、立ちあがった。

「手をつなごう!立ち上がろう!」
原発事故被害者団体連絡会設立宣言


若葉がつややかに輝き、風も爽やかな5月のこの美しい日に、私たち原発事故の被害者はここ二本松に集まりました。

原発事故から5年目の初夏を迎える私たちひとりひとりが失ったものは、数えることができないほどに膨大です。家、生業、家族、友だち、地域社会、健康、命。そして私たちを育み、癒し、慰めてくれたこの美しい大自然。
それは生きる尊厳を奪われたことです。この悲しみは、時が経つほどに心に深く沈みこみます。

福島原発サイトでは、汚染水の海洋流出、何処にあるか分からない溶け落ちた核燃料、夥しい放射性物質が付着した瓦礫と困難な問題にさいなまれ、収束の目途は全く立っていません。その中で1日7000人の作業員は危険な被曝労働と搾取の中にいます。更に労働力の確保のために、被曝線量限度が引き上げられようとしています。

 一方で国は、早期の帰還方針を押し付け、まだ放射線量の高い地域に人々を帰しています。「放射能安全キャンペーン」が流布され、不安や苦しさを声に出すことが難しくさせられています。住民の不安を払拭しないままに、避難指示の解除時期だけが先行して決められようとしています。

 納得のいく賠償はされず、生活再建の見通しもつかず、避難先でひっそりと亡くなっていく人々が大勢います。自主避難者の住宅支援が復興の妨げだといわれ、国と県、市町村による住宅支援の打ち切りの動きが進んでいます。避難者は、さらなる生活の困窮に陥ります。

 子どもたちの甲状腺癌は増え続けていますが、原発事故とは関係が無いと決めつけられています。被曝低減への無策は、若者や子どもたちの将来の健康影響や差別のリスクを増大させることになります。

 未だに誰一人、事故の刑事責任を問われず、事故の真相も明らかにならないのに、原発の再稼働が叫ばれ、この国の首相は他国へ原発を売りに行きます。

 このような絶望の淵から、私たちは立ち上がり始めました。損害賠償や被害の現状回復を求める訴訟、ADR申し立て、子どもの権利の確認、刑事告訴など、多くの人々がつながり、行動を起こします。

 私たち原発事故による被害者は、互いの困難を分かち合い、二度と同じ悲劇を繰り返さないために、国と東電に対し、被害者の責任として本当の救済を求め、次の目標を掲げます。

1、被害者への謝罪
2、被害の完全賠償、暮らしと生業の回復
3、被害者の詳細な健康診断と医療保障、被曝低減策の実施
4、事故の責任追及

 ひとりひとりはささやかな存在であっても、つながることが力となります。
 互いの困難を聞きあうことで、苦悩を分かち合うことができます。
 互いを励ますことで、勇気が溢れてきます。

 私たちは、諦めることをしません。
 口をつぐむことをしません。
 分断され、バラバラになることをしません。
 私たちは手をつなぎ、立ちあがります。
 そして、すべての被害者の結集を呼びかけます。

 ここに、「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」を設立し、原発事故の被害者がさまざまな分断を超えてつながり、傷つけられた尊厳を取り戻すために力を合わせて共に闘うことを宣言します。

原発事故被害者団体連絡会設立集会 参加者一同
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by kazu1206k | 2015-05-25 23:19 | 脱原発 | Comments(0)

廃炉収束・被曝労働で、東電に要請

5月22日、東電交渉(再開第20回)が東京電力(株)平送電所で開かれた。
冒頭、「福島第一原発・廃炉収束・被曝労働に関する要請書」を提出。その後、「K排水路からの高濃度汚染水の海洋放出と厳正な処置を求める抗議書」に対する東京電力の回答を受け交渉した。また、1号機カバー解体工事問題等も説明を受けた。
『福島第一原発・廃炉収束・被曝労働に関する要請書』は、以下の通り。

福島第一原発・廃炉収束・被曝労働に関する要請書

東京電力株式会社 代表執行役社長 廣瀬 直巳様       2015年5月22日

 貴社と国は、廃炉について、「準備」に10年、「デブリの取り出し」に15年、「処分解体」に20年と、およそ30年から40年かかると想定している。しかし、今、様々な困難に直面し、その成否は予断を許さない事態になっている。

 第一に、放射線被曝「法定限度」(5年間で100mSv)に近づいた従事者が増えている。
 第一原発では、今年3月まで100mSvを超えた従事者は174人で現場を離れた。50mSvを超え75mSv以下が2,349人で、これも同様である。更に、年20mSvを超えた従事者8,658人は被曝労働から外れ別の部署に配置転換していると思われ、それらの被曝従事者の数は全体の20%に当たる。このペースで行けば法定限度を超える従事者は激増すると見られる。NHKの調査では「デブリの取り出しの時期には現在の8割に減る」「廃炉の時期には現在の4分の1になる」と下請け企業が答えている。

 第二に、原発の内部を熟知した従事者が次々と現場を離れている。
 年齢別従事者を見ると50歳~70歳代が43%を占めている。法定限度に近づき配置転換と離職した従事者は、現場を熟知した人物に直結している。その結果「技術の伝承」が困難になりつつある。

 第三に、若い従業員の中に「原発離れ」が起きている。
 少子・高齢化の進展と原子力自体の人気の低下は就職説明会においても減少が著しくなっている。

 第四に、下請け企業の中に近い将来「会社を廃業する」と答えており減少は避けられない。
 同調査によれば「このまま会社を継続する」と答えた企業は53%、「今後は分からない」が30%。「廃業」が15%と答えている。「従業員が集まらない」が廃業の最大の理由となっている。

 第五に、貴社の「競争入札」の導入と「手当増額」が労働現場に様々な影響を与えている。
 同じく同調査によれば、下請け企業は「利益率が事故前から半減した」と答え、その理由を「東京電力の競争入札が影響している」と答えている。去年11月に「1万円上乗せ」されたが、末端に行けば行くほど受注金額の中に組み込まれ手元に入らず、従事者に大きな失望与えている。

 第六に、労働災害の増加、労働法令違反が続き事態は沈静化していない。
 放射線が飛び交う現場で多数の企業と従事者が錯綜して作業している状況にあり、正常な労使関係と労働専念義務が脅かされている。

 一見「小康状態」に見える廃炉収束作業は、一皮むけば、若年者と企業の原発離れ、厳しい放射線被曝と補償のない使い捨て労働、労災事故の多発などの過酷な現場になっている。貴社と国は、これを改革しなければ廃炉収束作業の「明日はない」ことを知るべきである。下記の通り要請し、回答を求める。



1.「廃炉準備・燃料デブリ取り出し・処分解体」をやり遂げるためには「放射線被曝法定限度・技術的伝承の低下・若年者離れ・競争入札と企業離れ」など避けて通れない課題である。貴社はそれらを克服する具体的計画を明らかにすること。この場合、検討されている緊急時被曝限度250mSvと1000mSvの生涯線量導入は決してあってはならないことを申し添え、併せて貴社の本問題に対する見解を示すこと。

2.様々な法令違反や事故の続発の克服に当たっては、貴社は単なる発注者ではなく、原子力施設の所有者、原発事故の当事者であるとの意識を持ち対策を講じること。

3.貴社と元請企業は「直接雇用」を高める具体的方策を示すこと。

4.「廃炉収束」作業では様々な隠ぺいなどが続いているため、市民による福島県民代表からなる「市民監視委員会」を設置すること。

以上

命を守る三春の会   風下の会福島   脱原発の日実行委員会福島  脱原発福島ネットワーク
脱原発緑ネット  ハイロアクション福島  福島原発30キロひとの会  双葉地方原発反対同盟 ふくしまWAWAWA―環・話・和―の会
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by kazu1206k | 2015-05-22 23:26 | 脱原発 | Comments(0)

自治体議連が住宅支援打ち切り撤回要請

5月21日午前11時、参議院会館で「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟、福島原発震災情報連絡センター、原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会の代表3名は、『「自主避難者」に対する住宅支援打ち切り方針に抗議し、撤回を求める要請書』を内閣府に提出しました。
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内閣総理大臣 安倍晋三 殿               2015年5月21日
 
「自主避難者」に対する住宅支援打ち切り方針に抗議し、撤回を求める要請書

         「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
         福島原発震災情報連絡センター
         原発事故被害者の救済を求める全国運動 実行委員会

福島原発事故から4年2ヶ月、長引く事故の影響の下、原発事故被災者は、ふるさとを追われ家族や地域が分断されたまま、避難生活を強いられる中で、福島県が「自主避難者」の避難先の住宅の無償提供を2016年度で終える方針を固めたとの報道がなされています。住宅提供は災害救助法の枠組みでなされており、国の意向も反映されたものだと伝えられています。

これは「自主避難者」だけの問題だけでなく、特定避難勧奨地点の解除など、高すぎる線量基準を基にした国の一連の帰還政策と一体のものであり、事故の風化・矮小化とともに、被災者救済の切り捨てにつながるものです。

しかし、避難元の地域の線量は事故前の基準に比べて高いところも多く、多くの自主避難者、特に小さな子どもたちを抱える親たちは帰るに帰れず、避難の継続を希望しています。そのため、私たちをはじめ、避難者を支援する団体、さらに避難者を受け入れている多くの自治体も、住宅借上制度の複数年延長やその柔軟な運用を求めてきました。

また、「原発事故子ども・被災者支援法」(以下「支援法」)では、「原子力発電所の事故により放出された・・当該放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」ことを明確に認め、支援策について、被災者ひとりひとりが「居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができる」ように、「そのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」と謳っています。当事者やそれを支えてきた市民や自治体の意向を無視した今回の方針は、支援法の理念に背くものであり、到底容認することはできません。

避難者の生活の最も重要な基盤のひとつとなる住宅への支援策は、本来、現在のように災害救助法に基づく「みなし仮設」として1年ごとに延長するのではなく、同法で想定されていなかった原発事故汚染に対処するため、「支援法」に基づく抜本的な対策や新たな法制度が必要です。また、今後の住宅支援策として打ち出されている「公営住宅への入居円滑化」も、その需給の把握すらなされておらず、入居を保障するものでもありません。有償で倍率も高い公営住宅に、当該地域の住民と競合する形で起こりうる問題なども懸念され、本質的な解決につながらない、場当たり的なものです。

抜本的な対応策を怠った上に、現行法での不十分な枠組みさえ打ち切ろうとするのは、支援法の理念ばかりでなく、憲法が保障する生存権を否定するものです。

私たちは、避難当事者や多くの支援者・団体とともに、国と福島県の方針に対して強く抗議し、撤回を求めるとともに、国に対し、抜本的・継続的な住宅支援が可能な新たな法制度の確立を求めるものです。
                       以上
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by kazu1206k | 2015-05-21 22:05 | 脱原発 | Comments(0)

住宅供与打ち切り方針の撤回を求める緊急集会

FoE Japanの満田さんから、「原発事故の避難者のいのち綱を切らないで
~住宅供与打ち切り方針の撤回を求める緊急集会~」の案内です。

一昨日キックオフした原発事故避難者の住宅供与打ち切り方針の撤回を求める緊急署名は、1日半ほど経過した今朝の段階で、3,000筆となりました。
避難者切捨てを許さない!という社会の声を、可視化させましょう!
1万筆を目指しています。引き続きみなさまのご協力をお願いいたします。
下記のサイトを拡散いただければ幸いです。
http://www.foejapan.org/energy/action/150517_jutaku.html

また、明日(5/20)緊急集会を開催します。
ぜひご参加ください。また知り合いの記者の方に取材を呼びかけてください。
※部屋がそれほど広くないので、必ずお申込みください。

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原発事故の避難者のいのち綱を切らないで
~住宅供与打ち切り方針の撤回を求める緊急集会~

http://www.foejapan.org/energy/evt/150520.html
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◆日時 :2015年5月20日(水)13:00~15:00
◆会場 :衆議院第一議員会館 第二会議室(最寄駅:東京メトロ、国会議事堂前、永田町)
◆内容(予定):
・避難先住宅の無償供与の打ち切り~何が問題か、何が必要か
・避難者の置かれている状況
・住宅供与の打ち切りが意味するところ

◆発言:
 ・加藤裕子(福島から京都に避難)
  ・鴨下祐也(福島から東京に避難/「避難生活を守る会」)
  ・その他、避難者数人
  ・河崎健一郎(弁護士/福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク)
  ・満田夏花(FoE Japan)
◆資料代:500円、避難者の方は無料 (当日、受付でお支払いください)
◆申込み:以下からお申込みください。
https://pro.form-mailer.jp/fms/c9597e0577708
※または、FoE Japanに電話またはファックスにてお申込みください。
◆主催 :原発事故子ども・被災者支援法市民会議
◆問合せ FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
携帯:090-6142-1807(満田)
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by kazu1206k | 2015-05-19 23:26 | 脱原発 | Comments(0)

【緊急署名】原発避難者の住宅支援を打ち切らないで!

FoE Japanの満田さんから【緊急署名】「原発避難者の住宅支援を打ち切らないで! 子を守るために避難した母たちのいのち綱を切らないで!」の呼びかけです。

福島県が、自主的避難者の避難先の住宅の無償提供を2016年度で終える方針を固め、関係市町村と調整に入った旨が報道されています。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11758231.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11758231
福島県は、今月中に方針を固めるとされています。

住宅は避難者たちの命綱です。原発事故避難者たちを見捨ててはなりません!
さらに、自主避難者のみを打ち切るという方針、避難者の間の分断をはかっているのでしょうか?
いまこそ、正念場です。分断に負けずに、手をとりあいましょう! 
緊急署名をはじめました。
団体賛同もぜひ! 紙の署名用紙を添付します。ぜひ、「○○も賛同しています」(○○は賛同団体を想定。”私たち”でもかまいません)と冒頭の部分にお書きの上、集会などで使っていただければと存じます。
要請行動なども計画しています。随時お知らせします。

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【緊急署名】 原発避難者の住宅支援を打ち切らないで! 
子を守るために避難した母たちのいのち綱を切らないで!

http://www.foejapan.org/energy/action/150517_jutaku.html

【一次締切 2015年5月19日 朝10時/二次締切:2015年5月末日】
Change.orgからのオンライン署名
https://goo.gl/FX8Oer
Change.org以外からのオンライン署名
https://pro.form-mailer.jp/fms/d72dc8c477614
団体賛同
https://pro.form-mailer.jp/fms/77e1741277616
紙の署名(PDF):
https://dl.dropboxusercontent.com/u/23151586/petition_jutaku.pdf
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2015年5月
福島県知事 内堀雅雄 様
内閣総理大臣 安倍晋三 様

福島県が、自主的避難者の避難先の住宅の無償提供を2016年度で終える方針を固め、関係市町村と調整に入った旨が報道されています。

住宅は避難者たちの命綱です。無償提供を打ち切らないでください!

多くの自主的避難者は避難の継続を希望しています。避難元の線量がまだまだ高いところもあり、小さな子どもを抱えた親たちは帰るに帰れない状況です。

健康への影響に対する不安は強く、それは根拠がないものではありません。
福島県県民健康調査で、甲状腺がん悪性と診断された子どもは、悪性疑いも含め117人になりました。1巡目の検査で、問題なしとされた子どもたち8人が含まれています。
福島県立医大は、「事故との因果関係は考えにくい」としていますが、誰にわかるでしょうか?

避難者たちの声をきいてください。

福島県知事におかれましては、未曾有の原子力災害を経験した県として、国に対して、抜本的な原発災害における住宅支援制度の確立を求めてください。

安倍総理大臣におかれましては、人道にかんがみて、住宅無償供与の延長をお願いいたします。
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by kazu1206k | 2015-05-18 21:48 | 脱原発 | Comments(0)

自治体議員立憲ネットワークが戦争法案で緊急声明

超党派の自治体議員215人による立憲主義と平和主義のネットワーク「自治体議員立憲ネットワーク」が、5月14日の安倍内閣による「国際平和支援法案」「平和安全法制整備法案」等計11法案の閣議決定について、『安倍政権の「戦争法案」閣議決定に断固抗議し、撤回と廃案を強く求める』緊急抗議声明を発表した。

【緊急抗議声明】
『安倍政権の「戦争法案」閣議決定に断固抗議し、撤回と廃案を強く求める』

5月14日、政府与党は新しい「安全保障法制」として、「国際平和支援法案」「平和安全法制整備法案」等計11法案を閣議決定した。11本の法律を2本にまとめて審議する強引なやり方は、まさにファシズム政権に近づいている。
 本法案は、昨年7月1日の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定、そして先日確定した日米新ガイドラインを法的に担保するものとして作成され、「平和」「安全」という名称とは裏腹に、まさに「戦争推進法」とも呼ぶべき内容となっている。

自衛隊はこれまでの「専守防衛」の姿勢をかなぐり捨て、政権の判断によりいつでも・どこにでも、武力行使のできる「攻撃型」の自衛隊へと改変された。
 「武力攻撃事態法改正案」においては、「存立危機事態」という定義を加え、他国への武力攻撃であっても、「我が国の存立が脅かされ」「国民の権利が根底から覆される」と政権が判断すれば、「集団的自衛権」行使を容認している。
 また、「周辺事態法」は「重要影響事態法案」と変えられ、事実上地理的制約を撤廃し、また米国以外の軍隊をも「支援」できるものとされている。
 「国際平和支援法案」においては、本来国会の事前承認を必要とする自衛隊海外派遣が、場合によっては事後承認でも可能としている。
 その他、活動地域の拡大、「駆けつけ警護」も含めた武器使用権限の拡大等、自衛隊をまさに海外での武力行使の戦力に変え、さらに主権者の市民生活もそのなかに組み込まれ従属させられることが、各条文に盛り込まれているのである。

 これに先立ち、安倍首相は日米首脳会談において、本法案を夏までに成立させると米側に確約した。国会の審議どころか、閣議決定さえ経ない段階での発言であり、立憲主義、議会制民主主義を破壊し、愚弄する暴挙と言わざるをえない。

 5月11日の世論調査では、日米新ガイドラインも安全保障関連法案も、反対が賛成を上回っている。このような国民の意思を顧みず、一政権の思惑と利害だけで憲法を一方的に改変する安倍政権に対し、強く抗議する。

私たちは、政府に対し、本法案11本の即刻の撤回と廃案を断固求めるものである。

2015年5月14日
自治体議員立憲ネットワーク
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by kazu1206k | 2015-05-15 22:51 | 平和 | Comments(0)

佐藤かずよし


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