喜多方市の小学校農業科の勧め
2009年 04月 10日
3月末に、市議会創世会で喜多方市を訪問し、平成19年4月からスタートした「喜多方市小学校農業科」の取り組みの実情をお聴きした。
それは、農政のキャリアであった現市長の号令で、農業教育特区設置の検討を職員に指示したことから始まった。
市教委の担当者は、耶麻農業高校などを訪問。そこで夏休み期間も休むことなく作物の世話をしている高校生の話を聞き、中学時代不登校だった生徒が、生命の大切さを実感して一日も休まず登校していることに驚き、市の基幹産業の農業を生かし、農業のもつ教育的意義を学校教育に生かす農業科の基本に確信を持ったという。
平成18年11月に、小学校農業教育特区として、国の構造改革特別区域の認定を受け、翌19年度4月から堂島小学校など3校で農業科の授業を開始。20年度には9校。21年度には14校に増え、23年度には市内18校の完全実施を目標としている。
この間、制度変更で、平成20年7月には特区認定から文部科学省の教育過程特例校の指定により「喜多方市小学校農業科」を継続、さらに学習指導要領の改定に伴い、21年度からは「総合的な学習の時間」での実施が可能となり、教科としての「農業科」を廃止しつつも「喜多方市小学校農業科」の名称を継続して使い、綜合学習の枠で年間35〜45時間の授業を実施している。
喜多方市小学校農業科の基本は「なすことによって学ぶ」精神に基づき、農作業の実体験活動を重視した教育である。3.4年生は主として農作業を中心に学習、5.6年生は「健康」「生命」そして「食育」について学習している。
作物の生育、数多くの失敗、収穫の喜び、子どもたちの気づきと学び。教育する教員自体が農業経験がない。そこで地域の農家が農業科支援員として協力し、稲作や畑作を指導し作業の仕方を教え、作物の生育を陰に陽に支え絶大な力を発揮されている。小学校農業科が地域に支えられ、学校と地域を深く結びつける取り組みになっている。
農業は国の基だ。
国民のいのちとくらしの源を支える農業が元気になってこそ、わたしたちも生きられる。
小学校農業科の取り組み、喜多方市の実践に大いに学ぶべきであると思う。