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第五十八寿和丸転覆海難事故、海難審判不要?

昨年6月に殉職者17名という犠牲者をだした第五十八寿和丸転覆海難事故について、海難審判所は、審判の開始を申し立てないことを決め、今月8日付で「審判不要処分」とした。事故原因の究明は、東京の運輸安全委員会が進めている。
報道によると、海難審判に向けた公聴会の準備を進めていた船主の酢屋商店に十分な説明もなく、社長は「事故原因が明らかでない現時点で出された審判不要処分には疑問だ。原因調査などの結果、第三者がかかわっていた場合はどうなるのか」と語っている。

第五十八寿和丸転覆海難事故は、救助された生存者の証言から、船首右舷船底近くの側面に2度の強い衝撃を受け、船底の燃料タンクが何らかの原因で損傷、この損傷で右舷側に傾き、わずか10〜15分で沈転覆沈没したもの。「状況からみて潜水艦による衝突以外の可能性は考えにくい」とも報道された。

いわき市議会は、昨年12月定例会で「第五十八寿和丸」転覆沈没海難事故の原因究明を求める意見書を全会一致で採択し、「速やかに潜水調査を含め、徹底調査に努めること」「行方不明の乗組員御家族の心情を察し、第五十八寿和丸の船体映像を確認すること」を国に求めている。
今年1月、第五十八寿和丸転覆海難事故の潜水調査による原因究明を求めて、船主の酢屋商店社長や小名浜機船底曳網漁協組合理事、いわき市長、市議会議長、県漁連会長らと犠牲者のご遺族が、国土交通省や農林水産省、水産庁を訪問。国土交通大臣に「第58寿和丸海難事故原因究明に関する要望書」と14万5,683人の署名を手渡し、「波浪による単純な転覆事故ではない。寿和丸の船体を確認する必要がある」、水深5.800mの沈没地点を独立行政法人海洋研究開発機構所有の深海調査船によって潜水調査を行うよう要望している。

運輸安全委員会の事務局長は「できる限り真実に近づけるように努力したい」「100%証明するのは難しい。証明には時間がかかる」と語っているが、第五十八寿和丸の犠牲者やご遺族の心情を察すれば余ある。
何としても第五十八寿和丸転覆海難事故の原因を究明しないわけにはいかない。
潜水調査と船体映像の確認による徹底した原因究明は、海上交通の安全を願う国民の願いであり、ぜひとも実現しなければならない。
第五十八寿和丸は、水深5.800mの深海の底で、待っているはずだ。
by kazu1206k | 2009-04-17 22:49 | 農水商工業 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k