アメリカの再処理断念、核燃サイクル施設、高速炉建設計画の破棄
2009年 04月 23日
共同通信は、20日のワシントン電で「米国に核燃料再処理施設建設せず GNEPでオバマ政権」として、「先進的な核燃料サイクル技術の開発を目指した「国際原子力エネルギーパートナーシップ(GNEP)」について、オバマ米政権は20日までに、中核となる使用済み核燃料再処理施設と再処理で取り出したプルトニウムを燃やす高速炉を米国内に建設しないことを決めた」と報じた。
また、朝日新聞も21日のワシントン電として「米、核燃料の再処理を断念 オバマ政権、政策転換」と打ち、「米エネルギー省(DOE)は20日、原子力発電所の使用済み核燃料の商業用再処理施設や高速炉の建設計画を取りやめる方針を明らかにした。計画は、ブッシュ前政権下の06年2月に発表され、米国の「30年ぶりの再処理路線復帰」として注目されていた。米原子力政策の大幅な転換となる。」と報じている。
アメリカの再処理断念、核燃サイクル施設、高速炉建設計画の破棄という政策転換は、日本にも大きな影響を与えずにはおかない。
日本は、核燃サイクル路線を強引に進め、既に2兆円を超える巨費を投じ青森県六ヶ所村の再処理工場を建設した。しかし、その再処理工場は試験運転で相次いでトラブルを起こし、溶融炉の欠陥によるガラス固化体の製造不能という事態に追い込まれ、技術的に立ち往生している。
完全に行き詰まっている日本の核燃サイクル路線に、今後20兆円もの国費を投入することに、社会的合理性があるのか。世界恐慌下の日本国家財政に、そのようなムダ使いの余裕があるのか。
アメリカの政策転換は、日本に核燃サイクル路線の見直しを迫ったといえる。