東京電力の福島原発プルサーマル議論再開要請と県議会の態度
2009年 06月 21日
これを受けて、皷紀男副社長が福島県庁を訪れ、県と県議会に報告した。
この際、皷紀男副社長は、内堀雅雄副知事と佐藤憲保県議会議長に対し、福島第1、第2原発の耐震安全性が確保されたとして、県と県議会に福島第1原発3号機で導入が凍結されているプルサーマル計画の議論を再開するよう口頭で要請した。
これに対し、内堀副知事は「今日は考えを聞きおかせていただいて、知事に伝える。県民の安全・安心を最優先に対応する基本スタンスを続けたい。再発防止に努め、耐震化をきっちりしていただくことが重要だ」と述べたという。
佐藤議長は、県議会各会派から同計画についての意見集約をしていることから、「議会全体の議論の推移を見守りながら、慎重に対応したい」と報道陣に話した。
東京電力は、原発の耐震設計審査指針改定と新潟県中越沖地震をうけて原発耐震性の再評価をしているが、最終報告提出のめども立っていない。
にも拘らず、プルサーマル計画の議論再開を県と県議会に要請したのは、立地4町を申入れを受けて論議再開に舵を切った県議会自民党の動きに連動したものだ。
しかし、六ヶ所再処理工場の稼働のめどがただず、核燃料サイクル計画が破綻する中で、電気事業連合会と東京電力自体が、プルサーマル計画の目標達成時期を5年延長した。
翻って、1999年に福島第一原発に県民の反対を押し切って搬入されたMOX燃料は、製造後10年以上も貯蔵しているため核崩壊が進み健全性が問題となっている。
市民団体は、製造後10年以上貯蔵のMOX燃料の破棄を東京電力に求めている。
県議会では議論再開の流れが強まっているが、
この際、県議会は、2002年の東電不正事件の発覚で、プルサーマル計画を凍結した経緯を、自らよく振り返ってみるべきであろう。
県議会は、県民の代表として、整合性のある態度と行動をとるべきである。
老朽炉・福島第一原発3号機でのプルサーマル計画の中止こそ妥当な選択だ。