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経営形態見直しに偏らず、診療機能の充実はかる病院改革

いわき市議会創世会の行政視察で、7月2日、滋賀県大津市で「市立病院事業」の調査を行った。
調査項目は、大津市民病院の事業の現状、病院建設、ER、開放型病床などの現状と課題、地域医療の現状と課題など、4項目。このうち、いくつか紹介したい。

1.病院事業の現状
大津市民病院は、昭和12年開設、平成11年には本館、別館棟を増改築し、平成15年に地域医療支援病院の認定をうけた、大津保健医療圏の中核的病院である。許可病床は、506床。平成14年に回復期リハビリテーション科、平成15年救急診療科にERおおつを設置。医師120名(5割以上京都府立医大出身)、看護士477名など職員757名で運営している。看護学校も併設している。大津市の公設公営で、地方公営企業法の一部適用である。

大津市民病院の平成18年度から平成20年度の収益的収支は、毎年2億2千万円から6億3千万円の経常損益の赤字で、累積欠損金は74億4千万円から85億6千万円に増加している。経常収支比率の推移は、97.9%から94.4%、職員給与費対医業収益比率の推移は、53.7%から57.7%、一般病床利用率の推移は、78.6%から83.7%となっている。
平成18年度から平成20年度の資本的収支では、収入の他会計出資金が6億8千万円から8億円、不足額が3億5千万円から2億3千万円で、補填財源の損益勘定留保資金で同額補填している。

大津市民病院は、今後の収支見込みについて、大津市民病院改革プランでは、23年度で1千4百万円の経常損益、累積欠損金は 93億3千万円で、経常収支比率は100%、職員給与費対医業収益比率は59%。一般病床利用率は89%、他会計出資金が6億5千万円、補填財源の損益勘定留保資金3億8千万円を見込み、経営指標の目標としている。
大津市民病院改革プランでは、21年度に消化器センターの整備、病床削減、DPC による包括評価支払制度への移行、遊休土地の活用などをあげ、診療機能の充実と経営基盤の強化を図るとしている。経営形態の見直しについては、今後の経営状況を見極め、地域医療の確保の観点から慎重に検討する、としている。

2.病院建設
平成11年の本館、別館棟を増改築において、基本構想から建設供用開始まで8年。用地買収費を含めて費用は累計で210億円。設計施工は、日建設計。建設の経過の反省点として、設計施工業者が自己のコンセプトを譲らず、現場の声が十分反映されなかったこと。
運営面での課題として、10年経過して患者のプライバシー保護に配慮不足という現状から、4人部屋や個別の空調の改善などが課題となっている。
また、これまで直営で8,800万円の売り上げがあったレストランの撤退に伴い公募を実施、ホスピタルローソンが8月にオープンする。

3.調査からの考察
政府の医療費削減策による全国自治体病院の経営難の中、大津市民病院も累積欠損金を90億円近く抱えているが、大津市民病院改革プランが診療機能の充実と経営基盤の強化を主眼とし、経営形態の見直しは、地域医療の確保の観点から慎重に検討するとしたことは、ともすれば経営形態万能論に流れやすい中で、本市としても傾聴に値するものだ。

病院建設は、基本構想から供用開始まで8年を要しているが、経過の反省点として設計施工のコンセプトについて、現場の声が十分反映されなかった点をあげており、本市としても重々配慮しなければならない。

また、地域医療の課題では、地域医療連携室をリニューアルして職員3名外、10名の体制で、市立病院の医師の専門分野を紹介する文書を作成、開業医に配布したり、医師会主催の学術研究会へ参加するなど、「顔の見える連携」をめざして活動しており、本市としても地域医療連携室の機能強化を図るべきであろう。
by kazu1206k | 2009-07-14 20:11 | 福祉医療 | Comments(0)