常磐病院の後継医療機関選定の報告について、議会質疑
2009年 07月 27日
いわき市後継医療機関選定委員会は、22日、市立常磐病院の後継医療機関として応募があった財団法人ときわ会について、後継医療機関として適格だと市長へ報告した。
6月19日から7月2日まで、いわき市病院局は市立常磐病院の後継医療機関の公募を行ない、選定委員会が、7月20日プレゼンテーションと委員7人によるヒアリングを受けて、「病院の理念及び基本方針」「診療体制」「敷地・施設等の引き継ぎ」「地域医療機関との連携」「人材の確保」などを評価、審査して、この報告となった。
委員会は、法人の提案内容について、常磐地区の地域医療を担おうとする意欲が認められ、引き継ぎ後も安定した経営が可能であると判断しつつ、3つの課題を付帯意見とした。この点を含め、市民の不安や疑問点について、以下、質疑した。
今後、市長判断の上で、正式決定は、議会での条例等の議決による。
●質問:委員会は、法人の提案内容について、常磐地区の地域医療を担おうとする意欲が認められ、引き継ぎ後も安定した経営が可能であると判断していますが、本市としては、診療体制、医師・看護士の確保、地域医療連携、いわさき荘の診療所管理のほか、患者さんの引き継ぎも含めて、これまで常磐病院が担ってきた市民に対する医療サービスが確保されるとの認識か。
○答弁(病院局長):市民に対する医療サービスは、基本的には、確保されるものと考えていますが、特に、市後継医療機関選定委員会からの付言にもあるとおり、救急医療については、引継ぎの条件は満たしているものの、これまでの常磐病院の実績を踏まえ、提案がなされている診療体制のより一層の充実を図るなど、法人に対しさらなる努力をお願いする必要があると考えています。
●質問:市民からは「透析は充実するが、眼科や婦人科など一般の診療科目が少ない気がする」との意見もありますが、この点はどう対応するのか。
○答弁(病院局長):お質しの診療科目につきましては、現在、常磐病院においても、非常勤の医師で対応している状況にあります。これら診療科は、患者さんに御不便をおかけしないよう、法人からの提案では、継続についての要請や非常勤医師の常勤化、さらには関連大学を通じた新たな医師の確保に努めることなどにより、診療体制の充実を図ることとしておりますことから、市としても、法人に対し、さらなる充実を要請して参ります。
常磐病院においては、16の診療科目を標榜していますが、医師の不在により、呼吸器科や形成外科など、5つの診療科目を休診しています。一方、法人は10の診療科目を提案しており、これまで常磐病院が休診していた放射線科や麻酔科のほか、あらたに腎臓膠原内科を標榜することとしています。
●質問:委員会は、3つの課題を付帯意見とし、救急医療について、これまでの常磐病院の実績を踏まえて、法人の更なる努力を求めており、市民からも「やはり救急体制が心配」との意見がありますが、この点はどう対応するのか。
○答弁(病院局長):法人からの提案によれば、診療体制について、後継医療機関の決定を受けた後、非常勤医師の常勤化や関連大学を通じた新たな医師の確保に努めることなどにより、提案以上の診療体制を確保することとしており、診療体制が充実されることにより、救急医療体制の充実にも繋がるものと考えておりますことから、市としても、先ほども申し上げたとおり、法人に対し、さらなる充実を要請して参ります。
●質問:委員会は、法人からの救急医療に対する継続的支出の要望について、市内の2次救急医療機関に対する病院群輪番制補助金の充実を図るなど、本市に適切な対応を求めていますが、この点はどう対処するのか。
○答弁(病院局長):本市の2次救急医療を担う病院群輪番制事業については、これまでもいわき医師会、いわき市病院協議会及び市を構成員とする、いわき市地域医療協議会において検討を重ねているところです。本事業にかかる補助金の充実については、病院群輪番制事業をはじめとする救急医療体制の再構築を進める中で、市病院協議会をはじめとする関係医療機関の意見を聴きながら、検討して参ります。
●質問:敷地・施設等の引き継ぎのうち、土地について、法人は、一定年数経過後に無償譲渡を希望していますが、一定年数とは何年を目処と考えているのか。
○答弁(病院局長):7月20日に実施された「第4回いわき市後継医療機関選定委員会」におけるヒアリングによりますと、5年以内と伺っています。
●質問:委員会は、土地について、市が法人に対し譲渡する場合、有償を前提とすべきとしていますが、無償と有償の条件をどう整理するのか。
○答弁(病院局長):市としては、委員会報告を踏まえ、法人側と協議・調整を図って参ります。
●質問:委員会は、建物について、法人が老朽化した施設の改修等に多額の費用を要することから、法人が提案する無償譲渡について一定の合理性は認められるとしていますが、本市は施設の改修等の費用をどの程度と見込んでいるのか。
○答弁(病院局長):市としては、法人が提案の中で示した施設の改修内容及び費用について、現段階では検証しておりません。
●質問:委員会は、法人から市に対する財政支援の要望について、老朽化した施設の解体など理解できるものと、新病棟建設補助など理解を得難い内容もあり、対応は市の対応に委ねるとしていますが、そもそもこれら施設解体、耐震補強、新病棟の費用はどの程度を見込んでいるのか。
○答弁(病院局長):市は募集要項の中で、参考として、市立常磐病院の施設の解体撤去費用として、概算で約9億4,000万円と見込んでおりますが、耐震補強、新病棟建設の費用につきましては、現段階では、試算をしておりません。
●質問:委員会は、判断にあたり、常磐地区に必要な医療機能を存続させることと、過去5年平均で年約5億円の一般会計から常磐病院への財政負担をしている状況を踏まえて、総合的に検討することを望むとしていますが、この指摘についてはどう認識し対処するのか。
○答弁(病院局長):市に対する財政支援の要望は、市の判断に委ねることとされておりますが、今回の後継医療機関の選定にあたっては、常磐地区に必要な医療提供を存続させることや円滑な引き継ぎによる地域医療の確保をしなければならないこと、また、協議が整わず市立病院として継続となった場合の財政負担を考慮すると、市として、一定程度の財政支援を行う必要があるとの見解が示されたものと受け止めております。今後、市の財政状況などを総合的に勘案しながら、市の方針を決定して参ります。