第五十八寿和丸転覆海難事故、納得いかない運輸安全委員会の経過報告

昨年6月の第五十八寿和丸転覆海難事故で事故原因を調査している国交省運輸安全委員会は、調査の経過報告書を7月31日に公表した。

運輸安全委員会は経過報告では、浮遊していた燃料油の拡散範囲や航空写真による推定油膜の厚さなどから流出量を推定し、同船の燃料の満載搭載量は約65キロリットルで、仮に船体に何かが衝突して損傷すれば、流出量はさらに多くなると予想されると見解を示し、現場海域の流出燃料の油量は約15~23リットルと燃料の満載搭載量に対しては「ごく少量だった」と分析し、船体が外的要因で損傷し転覆、沈没した可能性は低いと推定する、船から流出した油量状況のみの公表で、今回の報告書で事故原因についてはふれていない。  

報道によれば、通常、事故発生日から1年で最終報告書の公表とされるが、寿和丸転覆事故は目撃情報や物的証拠少なく、昨年10月横浜地方海難審判理事所から調査途中の案件を引き継いだため、調査・分析に時間を要しており、通例での最終報告書の公表を断念し、経過報告という形で公表を行ったという。
運輸安全委員会は今後、気象・海象の解析、転覆と沈没のメカニズム解析を継続するが、最終報告書の公表時期は不明だ。

これに対して、第五十八寿和丸の船主である酢屋商店の野崎社長は「油の流出量に納得いかない所がある。生存者の証言から、油はもっと多く流出したのではないか」と話したと報道された。
運輸安全委員会の推定では、流出油量は、拡散範囲や航空写真から推定される油膜の厚さなどから分析し、流出量が満載量に対して少ないから、燃料タンクと甲板を結ぶ空気抜き管から流出した可能性があるとして、仮に衝突事故などで燃料タンクが損傷した場合、「流出量はもっと多くなるのではないか」として、衝突事故による燃料タンクが損傷ではないと結論したものだ。
しかし、果たしてそうか。流出油量の推定は科学的にみて妥当なのか。流出油量を推定した油膜の厚さ分析は合理的なのか。運輸安全委員会の推定に、客観的普遍性、科学的合理性があるのか、不明である。

「運輸安全委員会から説明を伺い、疑問点をきいてみたい」と野崎社長は言っているが、遺族をはじめ漁業関係者、いわき市民も同じ想いだ。
「波浪による単純な転覆事故ではない。寿和丸の船体を確認する必要がある」、水深5.800mの沈没地点を独立行政法人海洋研究開発機構所有の深海調査船によって潜水調査を行うよう要望した全国14万5,683人の署名人に、運輸安全委員会は説明する責任がある。




 
  
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by kazu1206k | 2009-08-03 09:14 | 農水商工業 | Comments(0)

佐藤かずよし


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