東電福島原発MOX燃料32体を仏コジェマ社で加工中
2009年 08月 19日
脱原発福島ネットワークなど6団体が、7月に提出した公開質問状は、大きく下記の7点。
1、福島第一原発3号機用MOX燃料の品質保証上の疑惑は解明されたのか。
2、製造後10年以上貯蔵している福島第一原発3号機用MOX燃料は劣化していないのか。
3、プルサーマルの危険性はなくなったのか。
4、使用済みMOX燃料の処理方策は決まっていないのではないか。
5、使用済みMOX燃料搬出の前提である高速増殖炉商業炉と第2再処理工場はできるのか。
6、福島第一原発3号機用MOX燃料の使用済みMOX燃料は地元に残るのではないか。
7、福島第一原発3号機のプルサーマルは原子炉等規制法第23条第2項に違反しないのか。
このうち、1について、
●東京電力は、1998年に福島第一原発3号機に搬入されたベルゴニュークリア製MOX燃料の他に、現在、フランスのコジェマ社メロックス工場で第一原発3号機用のMOX燃料32体を加工中であることを認めた。
●福島第一原発3号機用コジェマ社製MOX燃料の製造確認試験は、「実際の部材」にMOX粉末ではなく、ウラン粉末を用いていたのではないか、との質問に対しても、その事実を認めた。
また、次の点は、再回答するとの回答だった。
●プルトニウム均一度に関する「技術的能力の評価」について、コジェマ社メロックス工場において加圧水型原子炉用燃料の製造実績をペーパー確認しただけではないか。
●コジェマ社メロックス工場の製造確認試験は、品質保証上疑義をもたれるのではないか。
2について、
●東京電力は、製造後10年以上貯蔵している福島第一原発3号機用MOX燃料が組成変化し、反応度が低下することを認めながら、炉心の燃料構成でカバーできるとの従来の主張を繰り返した。このため、明確な技術的根拠を示すよう再回答を求めた。
3について
●東京電力は、プルサーマルは、制御棒の効きが低下することは認めたものの、原子炉の安全余裕は問題とならないと強弁したため、その根拠を示すようデータの開示を求めた。
●炉の構造を変えず、富化度を高くしてプルトニウム含有率が高く燃焼度も高い日本のプルサーマルの危険性は、安全側に改善されたのか、という質問にも日本ばかりではないとしたため、具体的に事例を示すよう求めた。
●東京電力は、沸騰水型軽水炉で現在もMOX燃料を使用しているのは、独のグンドレミンゲン原発のみである事を認めた。
4について、
●東京電力は、使用済みMOX燃料の処理方策の「検討の開始」が「六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況」等を踏まえて行うことになっており、使用済みMOX燃料の処理方策が検討できない現状を、立地町や福島県には説明していないことを確認した。
5について、
●東京電力は、使用済みMOX燃料搬出の前提である高速増殖炉商業炉について遅れているのは事実としながら、第2再処理工場の建設の「2010年検討開始」は妥当だ、など述べたが、展望は見えない。
6について、
●東京電力は、2009年1月北海道議会において資源エネルギー庁が、使用済MOX燃料を「貯蔵する場所は発電所です」と答えたことに関連し、使用済みMOX燃料は福島第一原発に残り続けるものではないとし、19年以上使用済燃料プールで冷却した後も、第2再処理工場ができるまでは共用プールで保管貯蔵すると答えた。しかし、再処理工場さえ稼働のめどが立たない現状では第2再処理工場の完成予定2045年は到底不可能である。
福島第一原発3号機用MOX燃料の使用済みMOX燃料は地元に残る。
7について、
●東京電力は、福島第一原発3号機のプルサーマルは原子炉等規制法第23条第2項に違反しないとした。
今回の説明で、軽水炉でウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃焼させるプルサーマルの危険性は、払拭されなかった。
1999年に搬入された福島第一原発3号機用MOX燃料は10年も貯蔵して核崩壊が進み、燃料及び原子炉内での燃焼の健全性も確認されていない。そればかりか、フランスのコジェマ社メロックス工場で第一原発3号機用のMOX燃料32体を加工中である事も明らかになり、その品質管理も問題になってきた。
なにより、使用済みMOX燃料は処理方策も決まらず、高速増殖炉商業炉の建設も第2再処理工場の建設の検討すらできない現状では、行き場のない使用済みMOX燃料は地元に残され、福島は「核のごみ捨て場」になることが次第に浮かび上がってきた。